有給と残業の関係は?有給が残業代に与える影響や違法なケースを詳しく解説 |HR NOTE

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有給と残業の関係は?有給が残業代に与える影響や違法なケースを詳しく解説

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有給休暇取得時の残業有給休暇には賃金が支払われるため、労働時間として扱われると考える人もいるかもしれません。しかし

実際は労働時間にはカウントされないため、残業時間や割増賃金に影響が出る場合があります。

この記事では、有給休暇が残業に与える影響について解説します。有給休暇を取得したときの残業時間の考え方は通常と異なるため、間違えることのないよう注意しましょう。

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1. 有給休暇は実労働時間として扱わない

有給休暇は実労働ではない有給休暇と残業時間は、正しく解釈をしていないと労使トラブルにつながる恐れがあります。まずは、有給休暇と残業時間から考える労働時間や残業の相殺について確認しましょう。

関連記事:有給休暇の基本的なところや発生要件・計算方法を解説

1-1. 有給休暇と残業時間の関係

有給休暇は労働をしている時間ではないため、実労働時間として扱われません。しかし、所定労働時間としてカウントされるので、賃金が発生します。

一方、労基法に基づく残業時間とは、1日8時間、週40時間の法定労働時間を超えた時間のことです。残業時間には、時間外手当として25%の割増賃金を支払います。

ここでポイントとなるのが、有給休暇は労働時間に含めないものの、残業においては実際に時間外で労働した分だけ賃金を支払わなくてはならないという点です。

例として、以下のようなケースで考えてみましょう。

  • 月曜日:8時間労働
  • 火曜日:8時間労働
  • 水曜日:10時間労働
  • 木曜日:10時間労働
  • 金曜日:有休取得

この場合、一週間の実労働時間は36時間です。水曜日と木曜日は法定労働時間を超えているので、残業時間は各2時間ずつの計4時間になり、4時間分の時間外手当が発生します。

仮に、有給を労働時間として数えてしまうと、週の労働時間は44時間です。時間外労働時間は4時間で変わりませんが、総労働時間に差が出ることで、休日出勤をしたときの残業代の扱い方が変わってしまう可能性があります。

まず、有給休暇は実際に働いた時間ではないため、労働時間ではないことを理解しておきましょう。

1-2. フレックスタイム制の場合の残業時間・残業代の考え方

フレックスタイム制の場合は、通常の考え方と異なります。というのも、有給休暇を取得した日の実労働時間を0時間としてしまうと、該当する期間中に働かなくてはならない労働時間が不足し、有給休暇の取得自体を阻害してしまう可能性があるからです。そのため、フレックスタイム制の場合は、有給取得日における実労働時間を企業と従業員の双方で協議して決めることが義務付けられています。

また、残業代に関しても、算定期間内に法定労働時間を超えた分は割増賃金を支払わなくてはなりません。

1-3. 残業を有給休暇で相殺することは違法

前述の通り、時間外手当は法律が定める法定労働時間を超えた分に対して支払う賃金です。そのため、残業を有給休暇で相殺してしまうと、割増賃金が支払われていないことになってしまいます。

例として、所定労働時間を8時間とした以下の勤務スケジュールで考えてみましょう。また、前提として1日にあたりの通常賃金及び有給休暇1日分を8,000円として考えます。

  • 月曜日~木曜日の4日間:10時間勤務(各2時間の残業発生)
  • 金曜日:有給取得

上記の場合、本来であれば残業8時間分として、割増賃金25%込みの10,000円が発生しています。また、有給休暇を1日取得しているため、この日は8,000円の賃金を支払われなければなりません。

したがって、同じ8時間であっても有給休暇で残業を相殺してしまうと、従業員は2,000円損することになってしまいます。

なお、有給休暇を使用して休んでいるからといって、有給の8時間分を残業の8時間としてそのまま相殺し、残業をなかったことにするのは違法です。

支払われるはずの10,000円が支払われていないため、残業未払い金として請求されても仕方ありません。

では、割増賃金分の2,000円のみ別途支払えば、相殺しても良いのかという問題ですが、そもそも残業を有給休暇で相殺できる法的な規則ありません。トラブルのない適切な運用をおこなうためにも、両者は別物として扱いましょう。
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2. 有給休暇で残業を相殺できるケース

有給休暇が相殺されるケース先ほど紹介したケースの相殺は違法であると解説しましたが、適法として相殺できるケースはあるのでしょうか。

残業代は基本的に実労働に応じて支給されるものです。しかし、法定労働時間内であれば割増賃金の支払い義務はありません。有給休暇は実労働時間に含めないため、場合によっては残業時間の割増賃金を支払わないケースも出てきます。

2-1. 午前だけのように半日有給を取得して残業をした場合

半日有給の例として、午前休した場合で考えてみましょう。例えば9:00~18:00が所定労働時間とし、午前休を取得して14:00~18:00まで働いたとします。

仮に2時間残業し、20時まで労働をしたとしても、割増賃金は支払われません。なぜなら、午前に取得した有給休暇4時間分は実労働時間ではないため、残業時間が相殺できるからです。

しかし、残業代は通常通り支給される点に注意が必要です。割増賃金は1日の労働時間が8時間を超えた23時以降から発生します。(※休憩1時間を含める)

2-2. 所定休日に出勤した場合

平日に有給休暇を取得して所定休日に出勤すると、場合によって割増賃金を支払わない可能性があります。例えば、1日8時間、週40時間労働している場合、1日有給を使うとその週の労働時間は32時間になります。

その週の所定休日である土曜日に出勤して8時間働いた場合は、週の所定労働時間内に収まるため、残業時間を相殺しても問題ありません。つまり、割増賃金の支払いも必要ありません。

ただし、このようなケースでも、所定労働時間を超えた場合は残業代は支払わなければなりません。また、法定休日に出勤した場合は、法定労働時間を超えていなくても休日手当として割増賃金の支給が必要となるので注意が必要です。

2-3. 月60時間を超える労働をした場合

残業が相殺されるケースとは少し異なりますが、大企業に限り月60時間を超える労働に対し、割増賃金の一部を有給休暇として付与できる代替休暇制度があります。

通常、時間外労働の割増賃金は25%ですが、60時間を超える分には50%支払わなければなりません。しかし、この制度を利用すると、50%のうちの25%は通常の割増賃金として支払い、残りの25%を有給に代替できます。

制度を導入するには労使協定の締結が必須であり、残業代を休暇に替えるかどうかは従業員の意思で決めることが前提です。

なお、2023年4月以降は中小企業もこの制度の対象となります。

3. 遅刻や早退の場合は相殺できる?

はてなマークが4つ残業時間が相殺されるケースについて紹介しましたが、遅刻や早退をしたときの残業はどうなるのでしょうか。

結論、遅刻は当日中であれば残業時間と相殺できます。例えば8:00~17:00勤務の従業員が1時間遅刻をして9:00~18:00まで働いた場合、通常17時からは残業が発生するため割増賃金が支給されます。

しかし、遅刻の場合は実労働時間が8時間に満たないため、割増賃金は支払わなくても構いません。

このように遅刻を残業時間で相殺することは、同日内でしかできません。翌日以降に帳尻を合わせることはできないため、8時間以上の労働には割増賃金を加算します。

早退に関しては、そもそも残業という概念がないため、同日内での相殺は不可能です。所定労働時間が6時間や7時間の職場であれば別日に相殺できるように感じられますが、早退と残業は別々の扱いとなるので注意が必要です。

4. 有給休暇と残業の関係を理解して残業時間や残業代を正しく計算しよう

有給休暇の残業今回は、有給休暇が残業代に及ぼす影響や相殺されるケースについて解説しました。有給休暇を取得すると賃金を支払いますが、実際に労働しているわけではないため労働時間には含みません。

残業時間の割増賃金は、法定労働時間を超えた分に加算されるものです。そのため、有給を取るタイミングや遅刻をした場合など、ケースによっては割増賃金が発生しないこともあります。

支払うべき残業代を支給しないなど、有給の相殺が違法になることもあるので、有給を取得した従業員の残業代が正しく計算されているか確認する必要があるでしょう。

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