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みなさんは、「採用パンフレット」と聞いてどのようなイメージを思い浮かべるでしょうか。「冊子という時点で時代遅れなのでは?」「そもそも作る必要性はあるのだろうか?」など、疑問に思う点もいくつかあると思います。
本記事では、「採用パンプレットとは何か」から「採用パンフレット作成のポイント」「採用パンフレット作成の流れ」まで、採用パンフレットについて詳しくご紹介します!ぜひ、参考にしていただけますと幸いです。
1. 採用パンフレットとは?
採用パンフレットは、合同説明会や採用イベントなどにおいて非常に効果を発揮する採用ツール1つです。合同説明会や採用イベントにおいて、そもそも関心を持っていないという学生にも相手を振り向かせ、あわよくば好きになってもらうということが、採用パンフレットの大きなミッションとなります。
人が行動を起こすプロセスは、「認知→興味→欲求→確信→行動」であると言われています。パンフレットを配る段階は「認知」、つまり情報収集の段階です。ここで魅力的なセールストークができていないと「興味」の段階に移行できません。
せっかく読んでほしい学生の手元に渡ったのであれば、読んでくれるかもしれない、というチャンスを最大限に生かしましょう。
2. なぜ、企業は未だに採用パンフレットを作るのか?
インターネットの普及により就職活動の手法が劇的に変わり、今や、「Web上の会社案内ページや採用の募集ページを持っていない企業はない」といっても過言ではありません。
一般的に、各社が持つコーポレートサイトでは会社情報、企業理念、事業内容、代表挨拶、採用情報などが紹介されています。世界中のどこからでも、見たいときに誰でもアクセスすることができる手軽さを持っているのが特徴です。さらに、採用ページでは、実際の説明会などに足を運ばなくとも詳細な社員紹介や、場合によっては企業のSNSなども一度に閲覧することが出来ます。
では、なぜ多くの企業は未だに採用ブランディングのツールとして、超アナログな採用パンフレットを活用するのでしょうか。
「採用ページ(コーポレートサイト)」と「採用パンフレット」の大きな違いは、能動的か受動的か
コーポレートサイトや採用ページの場合、応募者が自らアクセスしなければ見てもらうことができません。言い換えると、何らかの手段で企業を知っている状態でないと学生がサイトを訪れないため、見られる機会が極端に少なくなってしまうということです。まさに仕掛けたワナに獲物が入るのを待つような受け身の手法となります。
一方、採用パンフレットは、合同説明会や採用イベントでの配布がメインになりますので、狩猟型のツールといえます。プレゼンなどで採用担当者が自社の魅力付けをしっかりおこなった上で、さらにパンフレットで強みをアピールすると上に効果的です。また、とくに合同説明会の場合、学生は1日にいろんな企業の説明を聞くことになるので、採用パンフレットは合同説明会後のリマインドとしても、大きな効果を発揮します。
「リマインド効果」としての採用パンフレット
採用パンフレットが持つ魅力はこれだけではありません。実は何気なく置いておいたパンフレットが、配布した人以外の目に留まる可能性十分に考えられます。周囲の人の興味をそそることで、学生間で再び話題に上がりやすく、さらなるリマインド効果が期待できます。
デバイス上の限られた視界ではなく、数人で囲んで見やすく、家族や友人同士ですぐに共有することができるのも、採用パンフレットの魅力の1つといえるでしょう。
また、Webサイトの場合は、一画面に収まりきっていないことが多く、記載された情報をすべて理解するには何度もスクロールしたり、別のページに飛んだりする必要があります。
しかし、パンフレットは1~2ページの範囲で伝えたい内容が一目で理解できます。さらに、印刷物の場合は読んで欲しい順番を意識して作られています。そのため、購買意欲を高める通販カタログも同じですが、ページを進めながらストーリーを展開することができ、より作成側の意図に近い形で訴求することが可能になります。
3. 採用パンフレットにはどんな内容を記載すべき?
紙媒体ではページ数が決まっているため、記載する内容が限られますが、逆に言えば、「本当に伝えたいこと」だけをピンポイントに伝えることが可能です。注意すべき点として、特に学生の場合は大量にパンフレットをもらうので、他社の差別化や、目立つようするなどの工夫が必要です。
それでは、パンフレットに欠かせない記載すべき項目をご紹介します。
企業紹介
最も一般的、かつ重要な項目です。内容としては、社長あいさつ、企業理念、事業内容の紹介、社員紹介、企業概要、募集要項などが含まれます。事務的な内容になりがちなため、逆に最も他社との差別化をはかれる部分でもあります。
ゲーム要素を取り入れるのも面白いでしょう。企業紹介を熟読すると採用時に特典をゲットできるなど、特別感や限定感を醸し出すのもおすすめです。
創業ヒストリー
社長の人となりを紹介しつつ、過去軸では「社長のこれまでの経歴」「どのように起業したのか」「なぜこのビジネスモデルを選んだのか」、未来軸では「どんな会社を作っていきたいか」「どんな人と働きたいのか」など、ドキュメンタリーやインタビュー形式で赤裸々に話すというのもいいかもしれません。
ここでは、学生に親近感や信頼感をもってもらう目的があります。創業社長や小規模・ベンチャー企業など社長の存在が強い企業にはおすすめの項目です。
採用コンセプト・理念・ビジョン紹介
入社する上で共感してほしい価値観や考え方を伝えます。会社のあるべき姿や社員に求める行動指針など、事業や仕事を通して「どんな価値を提供しているのか」、また「どのように社会貢献していきたいのか」を記載する必要があります。この会社に入れば個人がどのように成長ができるかを想像できるようにすると、より学生の志望度を高めることができるでしょう。
4. 採用パンフレット作成の5つのポイント
営業トークではなく、「メッセージ」を伝える
ページ数の制限という特徴を最大限に活かすために、「どんな相手に」「何を伝えたいか」を明確にした上で、採用パンフレットの構成を考えていきます。ターゲットの趣味や行動傾向を調べ、相手の身になって伝えてほしいであろう内容を取捨選択していく必要があります。
また、採用ターゲットとなる学生だけではなく、その学生の家族や友達にも気に入られるようにすることも、非常に重要なポイントです。採用はお互いが長期的な付き合いをスタートさせるか否かを見極める大きなライフイベントです。読み手に信頼感を与え、かつ長く付き合うためには長所だけでなく、欠点も同じように見せていくことも必要になります。
一貫性をもつ
採用パンフレットは雑誌ではありません。情報を詰め込んで結局何が言いたいのか分からないものになっては本末転倒となってしまいます。会社の企業理念(ロマン)があり、ビジョン(計画)があることで、現在の社風や共通言語が生まれていることを語り掛けましょう。
採用だけではなく、会社のブランディングが現場や外部でさえも共感を得て、シナジーを生み出していくことが長期的な資産となります。したがって、採用パンフレット作成において、ここだけはなるべく手を抜かずに、戦略性と納得感を持ったものにするようにしましょう。
共有欲を駆り立てる
センスのいい言葉や深い議論を生み出しそうな記事は、人の共有欲を強く掻き立て、SNSで拡散される時代です。自社で運用しているSNSなどがあれば、パンフレットの最後のページなどに自社のSNSアカウントのQRコードなどを記載するのもおすすめです。ただし、効果を出すためには、しっかりと自社のSNSアカウントを運用していることが最低条件とになります。
プラスαで、シェアすることによるお得な特典をつくったり、拡散されるような興味い内容や記事を投稿したりすると良いでしょう。このようにパンフレットをSNSと繋げ、読み手が情報を拡散してくれれば、採用パンフレットのポテンシャルをより引き上げることができます。
不安を解消し、安心感を与える
採用のPRとなると、バリバリ働くことばかりが全面に出てしまい、相手にとって長く続けられる環境なのかが分からず、かえって不安感を与えてしまう可能性があります。実際に働いている社員の休日の過ごし方や会社のレクリエーションで楽しむ場面、休憩時にリラックスできるような側面も同時に伝えるようにましょう。
これは、文字だけではなく、写真やイラストを上手に使ってビジュアルで訴求する方が、頭に残りやすくなります。働き方改革によりワークライフバランスが重視される中で、他社との差別化をはかるためには非常に重要度の高い情報となります。
モチベーションを保つことができる環境をアピールする
優秀な人材の確保には企業の社会的価値はもちろん、個人のスキルアップが期待できる教育研修制度、また、共に切磋琢磨できる仲間たちなど、向上心を持ち続け「自己実現」が可能である企業だということを紹介することも大切です。
5. 採用パンフレット作成の方法
①オンラインプリントサービス
オンラインプリントサービスのメリットは、手軽さです。大抵の場合は、アカウントの作成もFacebookやGoogle+ですぐにログインが可能。中には無料の素材やサービスもあり、料金をかなり抑えることができます。担当者が思うままにデザインや構成の組み合わせをおこなうことができるので、自由度が高いのが特徴です。
印刷に関しても、製本可能な複合機があれば自社内でスピーディーにおこなうことができます。ただ、デザインは一般的にテンプレートから選ぶことになるため、完全オリジナルの採用パンフレットを作ることが難しくなります。また、自社内で印刷する場合は、コストを削減できる分、印刷会社に依頼したものと比べると、やはり質は落ちてしまいます。
コンセプトなどが既に明確になっていて、試験的に採用パンフレットを導入してみたい企業や採用に多くの予算をかけられないという企業にはおすすめの手法です。
②制作会社に依頼する
採用パンフレットを作成するノウハウがない企業であれば、プロにお任せするのがいいでしょう。ノウハウがあったとしても、採用パンフレットを長期的に使用し、企業のブランディングに力を入れていきたい企業は、一度制作会社に依頼することをおすすめします。制作会社に依頼することで、幅広い選択肢の中から印刷・加工が選べるでけでなく、第三者目線から客観的にみて、記載すべき項目を判断することができます。また、キャッチコピーや表現方法によって相手に影響を与えるためには、ある程度プロの技術が必要になってくるかもしれません。
6. 採用パンフレット作成の流れ
制作会社に依頼する場合は、企画立案から、デザイン、印刷まで、しっかりとこまめにコミュニケーションをとりながら対応してくれる制作会社をおすすめします。
①ヒアリング
まずは、マーケティングのために制作会社と打ち合わせを入念におこないます。採用コンセプトと全体の構成を決定するために、はじめは費用感を考えずに、一度きめ細かに質問に回答していきましょう。ここで打ち合わせた内容から競合他社調査・分析をしてもらいます。
その後、訴求する内容のストーリー展開を考え、認識をすり合わせていきます。全体の設計図を二人三脚で作っていくということです。その後に見積もりを受け取り、料金を調整しましょう。
②デザイン制作
全体の構成が固まったら、デザイン制作にとりかかります。デザイナー、コピーライター・ライター、カメラマンなどを手配してもらいます。撮影が必要な場合は、撮影カットの洗い出しと撮影手法の確認をします。撮影以外にも3D・CG制作、人物イラスト・キャラクター作成、翻訳などもプロお願いすることができます。
③校正
初版が完成したらデザイン、文章ともに、さらに内容を詰めていきます。制作会社と何度もやり取りをすることで、どんどんと内容が推敲されていき、より満足度の高い採用パンフレットへと近づきます。数回の校正の後、最終版を確認したら校了となります。
④印刷
用紙の種類(コート紙、マット紙、上質紙、ケント紙など)、印刷の種類(何色刷りや特色印刷など)、加工の種類(ポケット加工、UV厚盛加工、箔押し、型押し、パール印刷、PP加工など)を選びます。試し刷りをおこない、問題なければ印刷、納品されます。
7. さいごに
情報があふれている現代においては、人々が新しい情報に対して疑い深くなっています。こういった事象に対応していくためには、いかに記載内容が誠実であるかが問われます。採用パンフレットにおいてもありのままを表現し、相手をもてなし、気に入ってもらうことが大切です。
どんなツールであっても、相手が心を開いてくれなければ、相手に気持ちは伝わりません。企業ブランディングも同じで、こちら側が一方的に押し付ける企業イメージではなく、応募者側の立場になって考え、理解しようとした上で、どうすれば企業を知ってもらえるのかを考えるようにしてみましょう。