モチベーションエンジニアリング研究所が「部下から評価されるマネジャーの特徴」に関する 研究結果を公開 |HR NOTE

モチベーションエンジニアリング研究所が「部下から評価されるマネジャーの特徴」に関する 研究結果を公開| HRNOTE

モチベーションエンジニアリング研究所が「部下から評価されるマネジャーの特徴」に関する 研究結果を公開

株式会社リンクアンドモチベーションの研究機関であるモチベーションエンジニアリング研究所は、「部下から評価されるマネジャーの特徴」に関する調査をおこないました。

調査背景

2010年代以降、競争環境の激化や、転職市場の高まり、コンプライアンスの強化、働き方改革など、企業を取り巻く環境は大きく変化しています。

そのような変化の中、マネジャーは部署に与えられた目標を達成することだけではなく、新たな戦略の発案や、メンバーのリテンション、ハラスメントへの対応、多様な働き方への理解と対応など、これまで以上に大きな役割を求められる時代になっていると考えられます。

このような時代において、マネジャーは何に注力していく必要があるのでしょうか。

今回の調査では、マネジャーの部下からの評価に着目し、同社が持つマネジメントサーベイ(※)を使用した360度評価の結果を集計。

集計結果を元にマネジメントサーベイの総合スコアが上位5%、上位5~20%、上位20~50%、下位50%である4群に分類し、各群ごとに項目の偏差値ランキングを作成しました。

このランキングから上位5項目を抽出し、部下から評価されるマネジャーの特徴を分析しました。今部下から求められるマネジャーにはどのような特徴があるのでしょうか。

※マネジメントサーベイの詳細は、記事下部に記載しているAppendixを参照

<調査対象>

2015年1月~2021年12月に当社が提供するマネジメントサーベイを実施した累計779社、16,483名

<分析方法>

得られた結果を、マネジメントサーベイの総合スコアが上位5%、上位5~20%、上位20~50%、下位50%である4群に分類。各群内のマネジメントサーベイの40項目の平均値から、全サンプルを母集団として各項目の偏差値を算出。得られた偏差値をランキング化し、上位5項目のみを抽出。

調査結果

各総合スコア群ごとの項目の偏差値ランキングTOP5から、部下からの評価の程度ごとにどのようなマネジメントの特徴があるのかを読み解いていきます。

①部下からの評価が上位5%に位置するマネジャーは、顧客視点を持ち、部下の成長支援や、業務の意義伝達をおこなっている

総合スコアが上位5%に位置するマネジャーでは、偏差値の高い上位5項目として、「顧客評価の確認」「部署内役割責任の明示」「評価基準の提示」「業務の背景や意義の提示」「部下の成長の方向性提示」があがりました。

業務を自社視点だけではなく、顧客視点で考える姿勢や、部下の目指すべき方向性とその基準を提示していること、部署内でそれぞれの役割を明確にするだけではなく、それらの業務の背景や意義を伝え、部下のやりがいを創出していることが評価されていると考えられます。

②部下からの評価が上位5~20%に位置するマネジャーは、自部署の使命の実現に向けて、戦略や役割、行動指針の具体化をおこなっている

総合スコアが上位5~20%に位置するマネジャーでは、偏差値の高い上位5項目として、「行動指針や考え方の提示」 「部下の成長の方向性提示」 「自部署の組織的使命の明示」「部署内役割責任の明示」「戦略遂行の具体策の明示」があがりました。

自部署の使命、言い換えれば抽象的な目的・目標から、具体的な役割や戦略、行動指針などを設計していることや、部下の成長を支援していることが評価されていると考えられます。

③部下からの評価が上位20~50%に位置するマネジャーは、自ら動き部下に寄り添うことで、部下からの信頼を獲得している

総合スコアが上位20~50%に位置するマネジャーでは、偏差値の高い上位5項目として、「部下への支援行動」 「率先垂範行動」 「即時の意思決定」「対立時の葛藤解消行動」 「部下の意見の傾聴姿勢」があがりました。

管理職として自ら動き、意思決定する姿を見せていることや、部下の意見を聞き、対立時には葛藤の解消に向けて話し合いをしていることが評価されていると考えられます。

総じて、部下から「上司として信頼できる」と思われているといえるのではないでしょうか。

④部下からの評価が下位50%に位置するマネジャーは、目標必達を掲げるも、部下に任せるばかりで、部下からの信頼が醸成されていない可能性がある

総合スコアが下位50%に位置するマネジャーでは、偏差値の高い上位5項目として、「競合動向の伝達」 「毅然とした態度の明示」 「オープンでフランクな姿勢」「部下への権限委譲」「自部署の定量目標の明示」があがりました。

部下からの評価が相対的に低いことを踏まえると、目標必達を掲げるも、部下に任せるばかりで、部下からの信頼が醸成されていない可能性があるのではないでしょうか。

考察

今回の調査では、部下から評価されるマネジャーは「部下との信頼醸成」⇒「成果創出に向けた戦略・役割の具体化」⇒「部下の成長支援・やりがい創出」という段階を踏んでいることが示唆されました。

近年、価値観や働き方の多様化、コンプライアンス意識の高まりを受け、マネジャーが部下一人ひとりと密なコミュニケーションをおこなうことが求められています

しかし、今回の調査結果ではあくまでもそれらは「良いマネジャー」のファーストステップであり、更にレベルアップをしていくためには、組織成果の創出はもちろん、部下の成長支援ややりがいの創出が求められることが明らかとなりました。

部下の意見の傾聴や信頼醸成は欠かせないものではありますが、それだけをおこなっていれば良いというわけではなく、それらを土台としながら、一人一人の意思や課題に向き合い成長を促すとともに、仕事のやりがいを創出することが「良いマネジャー」には求められるのではないでしょうか。

Appendix

<マネジメントサーベイについて>

マネジャーのマネジメント状態を診断するためのサーベイ。質問項目は、全体的な満足度を問う「総合満足度(※1)」と、マネジャーに求められる「4機能(※2)」から構成されている。

サーベイでは全40の質問項目に対し、マネジャーの部下が「何をどの程度期待しているのか(=期待度)」、「何にどの程度満足しているのか(=満足度)」について「非常に期待(満足)している(5)」から「全く期待(満足)していない(1)」までの5段階で回答する。

すべての項目の期待度・満足度のスコアから、マネジメントの偏差値として総合スコアを算出する。

発行責任者のコメント

今回の調査では、リンクアンドモチベーション社が蓄積しているマネジメントサーベイデータベースから、評価されるマネジャーの特徴を、部下評価をもとに分析しました。

調査結果の中では、マネジャーがレベルアップしていく過程では、「部下との信頼醸成」⇒「成果創出に向けた戦略・役割の具体化」⇒「部下の成長支援・やりがい創出」という3段階があることが明らかになりました。

信頼醸成が重要という結果は、昨今の心理的安全性への注目度の高さからも納得の結果と言えるのではないでしょうか。

一方で、成果創出ができるマネジャーが最も評価されるのではなく、部下の成長支援ややりがいが創出できるマネジャーが最も評価されるというのは興味深い結果です。

部下から見て、成果創出に導いてくれるマネジャーはとても心強いですが、部下はそれ以上に、目の前の仕事に自分にとってどのような意味があるのか、その仕事を通してどのような成長ができるのかを示してくれるマネジャーを求めているということでしょう。

昨今の人的資本経営、従業員エンゲージメント向上の潮流において、マネジャーのレベルアップは必要不可欠です。しかしながらマネジャーには厳しい市場環境、コンプライアンス遵守、リモートワーク等の働き方の変化を受けて、これまで以上に高い成果創出が求められています。

変化し続ける状況の中で、いかに成果創出と部下の成長支援・やりがい創出を両立するかが今後マネジャー育成における重要なテーマとなってくるのではないでしょうか。

 大島 崇 | 株式会社リンクアンドモチベーション モチベーションエンジニアリング研究所 所長

略歴2000年 京都大学大学院エネルギー科学研究科卒業。2005年 住商情報システム株式会社を経て株式会社リンクアンドモチベーションに入社。2010年 モチベーションマネジメントカンパニー 執行役部長に就任。大手企業向けの組織変革や人材開発で多くのクライアントを担当。同時に商品統括ユニット、モチベーションエンジニアリング研究所を兼任し、新商品を開発。2015年 モチベーションエンジニアリング研究所 所長に就任。2022年 当社執行役員(モチベーションエンジニアリング研究所管轄)に就任

リンクアンドモチベーショングループの概要

・代表取締役会長:小笹 芳央
・資本金:13億8,061万円
・証券コード:2170(東証プライム)
・本社:東京都中央区銀座4-12-15 歌舞伎座タワー15階
・創業:2000年4月
・事業内容

組織開発ディビジョン(コンサル・クラウド事業、IR支援事業)
個人開発ディビジョン(キャリアスクール事業、学習塾事業)
マッチングディビジョン(人材紹介事業、ALT配置事業)
ベンチャー・インキュベーション

本記事の詳細はこちらよりご確認いただけますと幸いです。(2022年09月08日リンクアンドモチベーショングループより引用)

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