株式会社リクルートが提供する転職支援サービス『リクルートエージェント』における 2022年10-12月期の「転職時の賃金変動状況」を報告します。
「転職時の賃金変動状況」では“転職者の賃金は転職前後でどのように変化しているのか”という点に着目し「前職と比べ賃金が明確に(1 割以上)増加した転職者数の割合」の経年変化を観察していきます。
前職(転職前)の賃金は時間外労働等の「変動する割増賃金」を含む一方、転職後の賃金にはそれらが含まれないため「前職と比べ賃金が 1 割以上増加した転職決定者数の割合」は実態よりも低めの値となる傾向があります。
全体
10-12月期の「前職と比べ賃金が 1 割以上増加した転職決定者の割合」は 33.4%。
新型コロナウイルスの感染が拡大し始めた 2020 年 1-3 月期を起点に大きく水準を切り下げたが、翌年2021 年 1-3 月期には概ね感染拡大前の水準近くに回復した。
足元 2022 年 10-12 月期は、そこから更に伸長を続けており、最高値を更新している※1。
※1 「全体」の統計の始点(2002 年 4-6 月期)以降の最高値。
職種別
IT 系エンジニア:
10-12 月期の「前職と比べ賃金が 1 割以上増加した転職決定者の割合」は 39.7%。
2019 年頃より幾分減速感が見られていたが、2021 年は上昇基調に復し、足元 2022 年 10-12 月期は更に伸長を続けており、最高値を更新している※2。
機械・電気・化学エンジニア:
10-12 月期の「前職と比べ賃金が 1 割以上増加した転職決定者の割合」は 28.9%。
2019 年以降、下落基調が続いていたなか、2020 年 10-12 月期を底として反発。以降は上昇基調に復し、足元 2022 年 10-12 月期も前年同期差+3.7pt となっている。
営業職:
10-12 月期の「前職と比べ賃金が 1 割以上増加した転職決定者の割合」は 32.3%。
新型コロナウイルスの感染が拡大し始めた 2020 年 1-3 月期を起点に大きく水準を切り下げたが、翌年2021 年 1-3 月期には概ね感染拡大前の水準近くに復した。
その後、一時的に弱含むも、以降は上昇基調に復し、足元 2022 年 10-12 月期も前年同期差+2.8pt となっている。
事務系専門職:
10-12 月期の「前職と比べ賃金が 1 割以上増加した転職決定者の割合」は 31.4%。
2017 年以降、弱めの動きが続いていたなか、新型コロナウイルスの感染拡大も重なり、2020 年頃にかけては幾分水準を切り下げた。
その後、2021 年 4-6 月期以降は上昇基調に転じ、2021 年 10-12 月期は最高値を更新※2、足元 2022 年 10-12 月期も同水準を維持している。
※2 「各職種」の統計の始点(2008 年 4-6 月期)以降の最高値。
接客・販売・店⻑・コールセンター:
10-12 月期の「前職と比べ賃金が 1 割以上増加した転職決定者の割合」は 38.6%。
新型コロナウイルスの感染が拡大し始めた 2020 年 1-3 月期を起点に大幅に水準を切り下げたが、その後は 2020 年 7-9 月期を底として反発。
以降は上昇基調を続け、2021 年 7-9 月期には最高値を更新※2、足元 2022 年 10-12 月期も引き続き高い水準を維持している。
※2 「各職種」の統計の始点(2008 年 4-6 月期)以降の最高値。
高田 悠矢 | 株式会社リクルート 特任研究員
2010 年 日本銀⾏⼊⾏。経済指標の推計⼿法設計や景気判断など、マクロ経済・金融領域における統計分析業
務に携わる。2015 年 株式会社リクルート⼊社 (統合前はリクルートキャリア所属)経営統括室、事業開発室、人事部、広報部を兼務し、戦略策定のための分析や、リコメンドエンジンの開発、人事課題に対する統計分析の適用、⾃社データを活用した経済指標の作成・発信など、データ起点のさまざまな取り組みの企画・実⾏を担う。2021 年 Re Data Science 株式会社 創業 / 株式会社リクルート特任研究員 就任。2018 年より、総務省 統計改革実⾏推進室 研究協力者
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