人事労務分野の情報機関である産労総合研究所は、2019年3月に同社の独自調査、「2019年(平成31年)新入社員のタイプ」を発表しました。
本レポートは、企業の人事担当者、大学のキャリアセンター担当者などからなる「新社会人の採用・育成研究所」が、産労総合研究所が調査した2019年度の採用・就職支援活動などを踏まえて、今年の新入社員の特徴と育成のヒントをまとめたものです。
調査の結果、2019年の新入社員のタイプは「呼びかけ次第のAIスピーカータイプ」と発表されました。
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「人的資本経営」「ウェルビーイング」「DEI」といったトレンドワードが、HR領域だけでなく社会全体に拡がり始めた昨今。自社組織に漠然と"停滞感"を感じ、「うちは取り残されていないだろうか?」「何かやらないといけないのでは・・・」といった不安や悩みを抱える人事・経営者の皆様も多いのではないでしょうか。
本カンファレンスでは、HR領域の有識者の皆様に、様々な組織課題を解決するためのアプローチ方法について解説いただきます。強い組織を育む企業が実践している事例には、組織強化に必要な考え方や人事が果たすべき役割について学べるポイントが多くあります。ぜひ有識者の皆様と一緒に、組織を強化する「共通原理」について考えてみていただければと思います。
1|新入社員のタイプ
2019年の新入社員は「呼びかけ次第のAIスピーカータイプ」です。
この名前がつけられた理由は大きく分けて3つあります。
1つ目の理由は、近年の時代背景です。
AIスピーカーと新入社員の両者は、近年のAIブームと採用の売り手市場の時代背景から、「求められる存在」という点で共通点があります。
2つ目の理由は、AIスピーカーと新入社員が能力を発揮させるためには、充実した環境を用意する必要があるためです。
AIスピーカーを使うためには細かい設定とスピーカーを補助する装置が必要です。
新入社員も同様に、能力を発揮させるためには細かい教育と、周りの環境を整える必要があります。
3つ目の理由は、AIスピーカーも新入社員もこちらから話しかけることで最大限の能力を発揮します。
AIスピーカーとコミュニケーションをとるには、まず「Hey,Siri」といった呼びかけをします。
呼びかけたうえで、「知りたいこと」や「調べたいこと」について聞き、答えを得ることができます。
新入社員も同様にまず声をかけることが重要です。
上司が積極的にコミュニケーションをかけることで、自分の意見を発信するなど、次第に主体性能力を最大限発揮できます。
上記のように、新入社員とAIスピーカーは、多くの共通点があります。
一方で、多くの新入社員はAIにはできない仕事にチャレンジしたいと考えているようです。
3. 両者ともこちらから話しかけることで能力を最大限発揮
2|2019年新入社員の就職活動の特徴と今後のヒント
留年や浪人なく最短で大学を卒業した2019年の新入社員が生まれたのは1996年です。
この平成最後の新入社員の就職活動は大卒求人倍率が1.88まで回復し、2015年に1.5を回復して以来5年連続の売り手市場でした。
2019年の就活ルールでは、経団連加盟企業は、大学3年生の3月1日に説明会などの広報が解禁され、その3ヶ月後の大学4年生の6月1日以降に選考開始と定められていました。
しかし、売り手市場の影響で、3月より前に学生と企業が接点を持つことが当たり前となっているなど、実際の就職ルールとは異なる方向に就活トレンドが変化しました。
また、卒業してから3年が経っていない既卒者を新卒枠で採用する企業が増加するなど、新卒の定義も変化してきています。
近年の売り手市場により、学生の就活活動に対する意識も変化しています。
「簡単に内定が取れるだろう」と考え、就職活動に全力で取り組む学生が減ってきています。
このような時代背景の中で、「新卒のタイプ」の命名の由来ともなった昨今のAIブームは、学生の志望する働き方に影響を与えています。
学生は、AIブームの影響から、将来AIにとって代わられるような仕事に就きたくないという思いを強めているようです。
新卒採用とはスキルを問わない採用です。
少子化時代の貴重な若い新卒者を採用した以上、丁寧な育成を心がけ、「会社」ではなく、仕事をするという世界に定着できるよう、先輩社員や上司は努力し、立派な仕事人に育てることが重要です。
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