「起業家の良さを潰してはいけない」30歳でIPOを実現した社長を支えるポートCOO丸山さんの哲学 |HR NOTE

「起業家の良さを潰してはいけない」30歳でIPOを実現した社長を支えるポートCOO丸山さんの哲学 |HR NOTE

「起業家の良さを潰してはいけない」30歳でIPOを実現した社長を支えるポートCOO丸山さんの哲学

社長の右腕人材にフォーカスをあて、彼らが乗り越えてきた過去の体験やビジネススタンス、ボスマネジメントのアレコレなど、財産とも言えるノウハウをお伺いし、記事にまとめていく企画「社長の右腕」。

久し振りとなる今回は、創業社長が30歳という若さで東証マザーズに上場を果たした、ポート株式会社春日社長の右腕である取締役副社長COO丸山さんにインタビューを実施。

現在は就職、リフォーム、カードローンを中心にインターネットメディア事業を展開し、「キャリアパーク」「就活会議」「外壁塗装の窓口」「マネット」といった多様なサービスブランドを持っているポート株式会社。

No.2としてその成長を支えてきた「社長の右腕」は何を意識して動いているのか、丸山さん流の右腕の哲学や、CEOとの関係性について、ご自身の役割や取り組みについて詳しくお伺いしました。

【人物紹介】丸山侑佑|ポート株式会社 取締役副社長COO

1986年兵庫県生まれ。立命館大学卒業後、2009年組織人事コンサルティング会社に入社。外資系大手メーカーの人材開発・採用プロジェクトリーダーとして、戦略から運用までをハンズオンで実行。その後、東証一部上場のIT系企業KLab株式会社へ転職し、人事マネージャーとして経験を積む。2013年1月株式会社ソーシャルリクルーティング(現 ポート株式会社)に入社し、同年3月取締役COOに就任、2015年6月取締役副社長COOに就任。

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1. 組織人事コンサルから、ポートのCOOになるまで

ーまずは、ポート株式会社の事業内容と丸山さんの経歴について教えてください。

丸山さんポート株式会社は、ユーザーの行動促進を促すインターネットメディア事業を展開しており、「就職」「リフォーム」「カードローン」の3テーマが主力メディアです。

M&Aで取得したリフォームメディア以外は自社開発が中心で、ユーザーを送客するビジネスモデルを基本にサービス提供をおこなっております。

私自身は2009年卒で、ファーストキャリアは組織人事系のコンサル企業に就職しましたが、もともとは労務関連のコンサル志望だったため、社労士の勉強も同時並行でおこなっていました。

新卒で入社した当社は、組織人事の中でも評価制度や労務など、アカデミックなテーマに関わりたいと考えていましたが、大半は採用アウトソーシング(RPO)や企業コンサルティングの実務を担当することになりました。

当時は、世界3位のグローバルメーカーのM&A後の企業ブランディング戦略から人事、採用、教育関連部署の推進などを任されたことが印象に残っています。

その後、25歳になったタイミングで、成長産業かつ意思決定スピードが早い業界に身を置きたいと思うようになり、ソーシャルゲーム業界を中心に転職活動を始めます。

そして、拡大期のKLab株式会社に採用担当として転職し、人事部の立ち上げから大量採用の実務部分まで、幅広く担当させていただきました。

しかし、ここでアカデミックな人事労務や拡大期の企業の採用を担当する一方で、心の中では「経営者になりたい」という思いも密かに持つようになりました。

今後のキャリアについて考えていたタイミングに、創業者の春日に声を掛けられて、当時20名弱のポートに入社を決めたという流れです。

ー入社してからは、COOとしてどのような業務、役割を担って来られたのでしょうか。

丸山さん入社してすぐにCOOとしての事業や人事に関する全ての権限を委譲してもらい、2013年~2015年頃は事業担当の役員を務めた後、2016年頃からは地方創生をテーマとした新規事業の立ち上げと、IPOを見据えた内部管理体制の構築に注力しました。

事業推進のリーダーシップは代表の春日に任せて、私はIPO中心、管理サイドの役員としての役割が大きくなっていきました。

経理、財務、法務、内部監査などの管理業務のバックグラウンドはありませんでしたが、独学で調べながら一通りのIPO準備をこなしました。

IPO審査では700問ほどの大量の質問がきましたが、その回答はほぼ自分で対応しましたね(笑)。

もちろん対応できる社員が少なかったのもありますが、上場に関わる内部体制の構築、および推進を外部に任せることは難しいと感じていたので、大事なところは自分で全て担当することを決めたわけです。

2. 「“守りの仕事”を快く引き受ける」丸山さんが意識しているNO.2としての役割

ーここからは、丸山さんが考える理想のCOO像について伺っていきたいと思います。

丸山さん私見ではありますが、日本のスタートアップでは、「No.1が“起業家”なのか、それとも“サラリーマン経営者”なのか」という考え方をCOOが持っている必要があると考えています。

特に起業家は、経営リスクや企業の未来を考える経営の仕事よりも、創業者として事業をつくり、ブーストしていくことに長けていることが多いと思います。

もし、No.1が起業家であるならば、No.2は起業家のモチベーションを支えながら、経営者の仕事を巻き取らなければなりません。

起業家に経営の仕事を任せてしまうと、せっかく持ち合わせている突破力が半減してしまいます。

転職市場が活発化する中で優秀な人材がベンチャー企業に飛び込むことが増えるなど、最近は20代の起業家が増えやすい傾向にありますが、その一方で、優秀なNo.2が枯渇しているのではないかと感じています。

No.2がいなければ起業家は十分に活躍できないと考えているので、起業家の持つ世界観を受け止めて経営に落とし込み、起業家が生きる環境を作り、より良い方向に導いていくのがNo.2(COO)の役割だと考えています。

ーそのうえで、No.2にとって大事な要素はどのようなものでしょうか?

丸山さんNo.2として重要視すべきことは、

①どのように起業家の才能を活かしていくか?

②本物のNo.2になれているか?

の2点だと考えています。

まず、大きなリスクに向かって突き進むべき存在である起業家をどのように活かしていくかという発想が必要となるでしょう。

No.2は、リーダーである起業家の意思を汲み取って、代わりに交渉したり、マネジメントしたりする役職だと勘違いされている場合も多いです。

しかし、社長に「どのように進めますか?」と聞いて、言われた通りに実行するのは本物のNo.2ではありません。

本物のNo.2は、自ら交渉し、リスクをとり、機会に対して自ら判断する必要があります。

社長の指示のもと、社長に代わって動くだけなら、ただの都合の良い部下でしかありません。

社長と共に掲げたビジョンに向かって、自らの意思で判断と行動を続け、No.1が期待した成果を超えていくように動くことが重要です。

それでこそ経営者であり、起業家のパートナーであり、No.2であると個人的には考えています。

この考え方で取り組めば、No.1との間で短期的な目線で衝突が起きることも必ずあります。

ー丸山さんがCOOとして意識していることを教えてください。

丸山さん1点目は、先ほどお話した「理想的な部下にならないこと」です。

No.1の言うことに従って「社長に全部決めてもらおう」「社長が言ったからやろう」というのはダサいと思っています。

突破力を尊重しながらも、総合的な判断が必要な経営では安易に無責任なことはしないように心がけています。

2点目は、「内部統制やコンプライアンスの管理といった守りの仕事を引き受けること」です。

上場した企業にとって、内部統制やコンプライアンスは非常に重要性が増してきますが、これらは起業家としての社長を縛り付けて、彼の良さをつぶしかねない要素になり得ると個人的には考えてきました。

牛舎に押し込むように小さく細かく縛ってしまうのではなく、広い高原(牧場)でのびのびと走っているイメージで、起業家の良さを潰さないようにする意識を持っています。

「高原の敷地内は出てはいけないけど、この敷地内なら自由に動いていいよ」というように動くことのできる枠を広げたほうが良いと思っているので、「内部統制の関係でここだけは絶対に(ルールを)破らないでね」と、広めのラインを決めて、後は本人に委ねています。

法令を含めたルールを意識しすぎると、小さくなりかねないので、そこは自分が担い、落としどころを明確に示すことで社長の良さを失わないように意識しています。

3点目は、「忙しさを理由に会社の未来を潰さないこと」です。

特に経営陣はスケジュールが過密で、なかなか広い視野や長期的な戦略を考えることができなくなりがちですが、目先のことに追われないよう注意しています。

たとえば「何曜日は~をしよう」とアウトプットの時間を自ら作ったり、自分より先を行く人の動きに焦点を当てたりしています。

現在は財務にも注力しているのですが、強制的に時間を確保して、色々な会社のCFOのお話を聞きに行くように意識しています。

優秀な部下を持てば持つほど、経営陣は自分の介在価値がなくなっていくものです。

しかし、だからこそ実務ではなく「視野の広さ」「時間軸の長さ」を意識して、戦略性をもつことが重要だと思っています。

優秀な部下よりも、広い視野、長期スパンで対話できることが戦略性であり、それが私たちの介在価値だと考えています。

3. 忖度なく言い合える関係性が、一緒に困難を乗り越える秘訣

ーもし理想のNo.2を採用するとしたら、丸山さんが考えるポイントについて教えていただけますか。

丸山さんNo.2を採用するポイントは、以下の3点だと考えています。

①部下だと思って採用しない

②自分ができないことをできる

③尊敬できる人である

No.2を部下だと考えると、No.2自身がどんどん縮こまってしまうので、十分な力を発揮することの期待ができません。なので、No.1のパートナーだと思って採用するのが良いでしょう。

少なくとも、春日がそうしてくれたおかげで、私は経営者としての自覚が芽生えました。

また、お互いに尊敬できる人を採用しないと、その後に良好な関係性は築けません。

経営は時として苦しい判断を迫られますし、お互いを信じて進まざるを得ない時もあります。

信頼に勝る尊敬をお互いに抱くことができるかは、結果としてNo.2の責任意識にも繋がると考えています。

ー春日社長とは、どのような関係性を築いているのでしょうか。

丸山さん仲は非常に良いですが、実は喧嘩もかなりします。

前職時代は、春日が営業として採用担当だった私に訪問に来ており、お客様と営業という関係性でしたが、その頃から変わらず、ずっと対等な関係を保っています。

一時期は2人で旅行に行ったり、毎年1月2日は会社の事業拡大を願って、一緒に初詣に行ったりもしました。

ただし「仲良しクラブ」になって、お互いに言いたいことが言えなくならないように気を付けてはいましたね。

ーお二人の間で決めごとなどはありますか?

丸山さんお互いフェアに、遠慮せずに言い合うことと、コミュニケーション頻度を保つことですかね。

はっきり伝え合うことができる関係でないと、どこかで「No.1の優秀な部下」に成り下がってしまいます。

なので、「俺は違うと思う」「これはわからない」といったことは明確に伝えていますし、「社長がやりたいと言っているからやります」といった判断は絶対にしません。

先ほどの話とつながるかもしれませんが、経営者としての自覚をしっかりともつことが結果として経営陣の中でフェアな関係を維持できるのかもしれません。

また、上場した現在も、週4時間は1on1を実施して、お互いのアウトプットに対して意見を言うようにしています。

そして、方向性をすり合わせる時間を重要視しているので、1日中チャットでやり取りもしていますね。

過去を振り返ってみると、いちばん腹を割って話し合ったのは上場前の出資話が挙がった時でした。

当時、とあるベンチャーキャピタルから出資を受けないとキャッシュアウトしてしまう寸前までいったことがあったのですが、出資を受ける条件が私たちのミッションから反する内容だったのです。

「ミッションに素直に向き合った結果、出資してもらえず倒産してしまった」場合と、「ミッションからずれた判断をして出資を受けて拡大していく」場合を想定して、どちらが自分たちにとっての正解か2~3カ月もの期間繰り返し話し合いました。

結局、「会社にとって最も大事なミッションをないがしろにしてはいけない」という結論になったのですが、ここでお互いの信頼関係を大きくしたと思っています。

4. ポートNo.2としてのこれから

ー今後のNo.2としての展望をお伺いできますか?

丸山さん大企業に向かっていく過程でのガバナンス作りを主軸に、起業家であるNo.1と約300名の社員のパフォーマンスを最大化することを考えていきたいと思います。

短期的な業績達成に関しては部長陣が頑張ってくれているので、私はボードメンバーとして、長期視点で「組織・カルチャーづくり」に注力すべき役割だと認識しています。

自分たちの襟を正すことはNo.2にしかできない仕事だと考えているので、足もとではなく、長期視点で未来を見据えた組織の牽制機能としての役割を持っていきたいと思います。

ー最後に、これからNo.2を目指す方、現在No.2として奮闘中の皆さんへメッセージをお願いします。

丸山さん繰り返しになりますが、No.2は経営者としての自覚と尊厳を持ち、起業家であるNo.1と対等に向き合っていく必要があります。

中には経営者気質のNo.1もいますが、No.1が起業家(創業者)であれば、彼ら・彼女らを活かしていくのがNo.2の仕事です。

社長室の優秀な部下を目指すのではなく、経営者として自覚を持ち、取り組んでいってください。

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