「すべき論」でとらわれない!2児の母とCOOを両立する「会社の母」が考える仕事の流儀 |HR NOTE

「すべき論」でとらわれない!2児の母とCOOを両立する「会社の母」が考える仕事の流儀 |HR NOTE

「すべき論」でとらわれない!2児の母とCOOを両立する「会社の母」が考える仕事の流儀

EC・D2Cブランドのマーケティング支援をおこなうライフェックス。2021年の10月で14期を迎え、現在を「第2創業期」として、急成長している同社のリブランディングや組織づくりを進めています。

そんなライフェックスの「会社の母」として組織に欠かせない存在となっているのが、創業メンバーであり、COOであり、2児の母としても奮闘する村田さん。

今回は、村田さんの仕事に対する価値観、社長との関係性、産休・育休から復職までの過ごし方を取材。社長の右腕として意識していること、子育てとCOO業務をどのように両立しているのか、その想いやスタンスを探ります。

村田 貴和子|株式会社ライフェックス COO

大手通販会社の営業・秘書を経験後、Lifex立上げ直後からのメンバー。会社設立からの経験を活かして、コンサルティング業務に従事。プライベートでは二児の母、仕事と家庭の両立に奮闘中。

大半の社員が独立し工藤社長との2名体制に。再スタートを図るも、妊娠が発覚

ー本日はよろしくお願いします。村田さんのこれまでのご経歴や、役割について教えてください。


村田さん:
ライフェックスはECやD2Cのパートナー企業として、ブランディングから新規獲得、顧客育成まで一気通貫でサポートしている会社です。2009年に創業し、2022年2月に14年目を迎えました。

私は2009年の立ち上げ期からライフェックスに参画しています。社長の工藤はもともと前職の上司で、前職を辞めるときに声掛けをしてもらったのが入社のきっかけでした。

私が入社したころは、工藤と営業のメンバーとあわせて4名の規模でした。入社当時の私はまだ20代前半だったのですが、正直何をするかはっきり決まっていない状態でのスタートでして、営業アシスタントや経理、コーポレートまわりの業務まで幅広く携わっていました。

村田さん:今でこそ売り上げも、社員も増え続けていますが、すべてが順風満帆にいっていたわけではありません。

入社して少し経ったころ、とあるOEMメーカーの営業支援の案件に関わったことをきっかけに、私と工藤以外のメンバーが全員独立してしまい、しばらくは2人で会社をまわしていた時期もありました。

創業期からさまざまな危機や苦労を乗り越えてきましたが、その中でも大きな転機となったのが、私の1人目の妊娠でした。

実はこのタイミングが、工藤と私の2名体制になったときだったんです。もちろん祝福はしてくれましたが、お互いに「仕事どうする?」という感じで、何度も話し合いをしました。

村田さん:当時の私はコーポレート部門を中心に、クライアントサポートや細々とした仕事を幅広く任されていました。ですが、1人目の出産だったので里帰り出産を希望し、結果として1年半の産休・育休を取得しました。

タイミングよく社員を増員することができたので、産後休業、育児休業の間はきっぱり仕事から離れて、その間会社は5名体制で運営をしていました。

育休から復帰した後は、クライアントワークを任せてもらった後、社員数増加に伴い、コーポレート部門の業務に軸足を置くようになります。

その後、2018年に2人目を妊娠します。実は、1人目の育休から復帰して2か月で2人目の妊娠が分かったんです。

復帰したばかりで仕事も楽しいタイミングだったので、2人目のときは育休をとらずに産前産後休業のみ取得し、トータル3か月のお休みですぐに職場復帰しました。

2回の出産を経て、現在は会社組織全般をコーポレート部門から支えるのが私の役割です。

取締役の1人として目標達成のために責任を負うこと、また、在籍期間が一番長いので社員と社長のハブとなっていくことが現在のミッションとなります。

工藤社長との関わり方|役割分担やコミュニケーションで意識していることは?

ー村田さんから見て工藤社長はどのような人ですか?


村田:
工藤とは10年ほど付き合いがありますが、一言でいうと彼は「人を惹きつける魅力がある人」だと思います。

周囲の人から「工藤さんと一緒に仕事がしたい」と紹介をいただくことが多いです。人との信頼関係を築くことが得意で、かつ人に興味があるタイプだと思います。

工藤のキャリアは営業職が基礎となっているので、「やらない理由よりもやる理由を考える」というビジネススタンスが根幹にあると思います。

難しい局面でも、別の視点から考えてどうやってトライすればいいのかと、考える人です。創業14年目の今でも、ベンチャーマインドを大切にしていますね。


ー工藤社長との役割分担について教えてください


村田:
工藤が攻めで、私は守りといったイメージです。私は石橋を叩きすぎて割ってしまうくらい慎重な性格なので、自然とリスク管理の役割を担うようになりました。

ただ性格はかなり異なるものの、工藤は私の新卒時代の上司なので、根本的な思想は同じです。

工藤がやりたいことを実現するためにどのように落とし込んでいくのかサポートするのが私の役目で、決して彼のブレーキをかけることはありません。

もちろん、彼がやりたいことをすぐに現実化できないケースもあります。無理だからといって「それは現実的に無理です」と伝えて諦めさせるのではなく、いつか実現できるタイミングが来るまで私の中であたためておくようにしています。その時が来たらいつでもGOサインを出せるようにしたいんです。


ー工藤社長とぶつかったエピソードはありますか?


村田:
基本的に
争うことはないですが、唯一の喧嘩といえば、オフィス移転の際に壁紙をどうするか、意見がぶつかったときのことです。

これはもう笑い話なのですが、壁紙をレンガ調のデザインシートで安く済ませようとしたところ、彼はリアルなレンガを使用したいと言い出したんです。

私はコーポレート部門で経費も管理してますので、簡易的なシートが良いと意見しましたが、結果として工藤の言う通り本格的なレンガ調の壁になりました。

社長やメンバーが気持ちよく働けるなら…と、彼の意見を尊重し、最終的に私が折れました(笑)。


ー工藤社長とのコミュニケーションで意識していることはございますか?


村田:
コミュニケーション方法は電話がメインで、頻度は毎日、必要なときに細々とるようにしています。

私は、比較的細かくコミュニケーションをとっていくタイプなのですが、社長業は多忙を極めるため、要件を事前にまとめて結論からコンパクトに話すように心掛けています。

電話で話せるのはだいたい1~2分ですし、ミーティングの合間などに細切れにしか話せないので、伝えたいことをしっかり準備してコミュニケーションをとるのがコツです。


ー会話のみだと、よく「言った・言わない問題」が起こりませんか?


村田:そこでいくと、軸さえぶれなければ「言った・言わない」はどちらでも良いと思っています。

というのも、社長は日々言うことが変わるものと受け止めているので、話の内容が頻繁に変わっても特に気にしません。

また、私は新入社員の時から工藤と一緒にいるので、阿吽の呼吸で理解できることが多いです。

しかし、メンバーが増えたときにこのままではいけないと気付きました。他のメンバーは、社長が何を考えているのか分からずに困ってしまうことがあります。

そのため、最近は工藤が考えていることを確認して言語化し、他のメンバーに伝える役割も果たしていこうと試みています。

COOとして会社・組織づくりで意識していること

ー村田さんは、組織づくりにおいてどのようなことを意識されていますか?


村田:
目指すべき方向性を揃えることと、そのためにメンバーの声に耳を傾けることですかね。

全社のリブランディングも終盤に差しかかってきており、今まさに組織として目指すべき指標を明確に作っている真っ最中です。

弊社はクライアントのブランディング支援をしている会社なので、ブランディングの筋道を意識したミッション・ビジョン・バリューもつくっています。

MVVや指標など大きな部分の組織づくりだけでなく、コロナ禍で出社している社員とリモートで働く社員に情報の差を生まないための仕組みづくりなど、細かなルールも作成しています。

大きな部分は役員メンバーを中心に決めながら、働くうえでの価値観、バリューの部分はメンバーにディスカッションをしてもらって一緒に決めるようにしています。

実は、オフィスに移転する3年前に今のMVVをつくったのですが、メンバーの意見を吸い上げきれず失敗した経験があります。

当時は5名しかメンバーがいなかったので、きちんと全員の話を聞けたつもりになっていました。しかし、MVVをつくったとあとに「もっと意見を聞いてほしかった」と言われてしまったんです。

この経験があるからこそ、まずはメンバーの意見、話を聞くことに徹するようになりました。みんなの意見が反映されるかどうかが重要なのではなく、「きちんと聞いてくれたかどうか」という納得感が、メンバーとの信頼関係にもつながると思います。


ー組織づくりの過程で「決断」することも多いと思いますが、どのように意思決定されていますか?


村田:
先ほどの失敗経験にあったように、まずはメンバーの意見を聞いて情報をそろえてから決断するようにしています。

「ここまで情報をそろえたから、納得してもらえないなら仕方がないかな」と思えるくらい、事前にヒアリングして情報精査してから決断をします。

ただし、スピード感をもって決断すべきことは、メンバーではなく役員陣に聞いてトップダウンで決断することもあります。

繰り返しになりますが、「あのとき聞いてくれなかった」「意見を反映してくれなかった」とメンバーがネガティブに感じることを避けるためにも、説明できるだけの情報を徹底的に集めてから決断していくのがポイントです。


ーメンバー個々人と接するときに意識していることはありますか?


村田:
毎週月曜日に全社定例をおこなっていますが、社内で決まったことは私からしっかり伝えていく意識をもっています。

情報をメンバーに伝えて、都度メンバーからの感触が知りたくて、伝達後に必ず「皆さんはどう思っていますか?」と確認をして、進めていくように心掛けています。

また、COOは役割の一つだと思っているので、メンバーとの関係性はフラットだと考えています。メンバーと接するときは、「元気・明るさ・笑顔」をモットーとしていますね。

私と接するときに、「村田さん今日も元気だったな」と思ってもらえるように意識しています。

意思をもって決断した産休・育休とCOO業務の両立

ーワーキンマザーとして多忙な日々かと思いますが、産休・育休・仕事復帰、それぞれを振り返っていかがですか?


村田:
私は1人目のときは産休・育休あわせて1年半お休みをいただき、2人目は産休のみ3か月間で復帰しました。

どちらの産休時にも意識していたのは、当たり前ですがしっかりと引継ぎをおこなうことと、工藤と何度も面談を重ねて、自分の意思を確認してから復帰したことです。

まず、産休前に引継ぎを丁寧に進めることで、周囲との信頼関係をより強く築ければ、復帰時に大きなサポートを得られると思います。

そして復帰するタイミングは社長や上司としっかり話し合うことが大事です。話し合ったうえで、自分自身はどうしたいか意思を伝えることを意識していました。

会社に言われたとおりに決断するのではなく、自分の意思を会社に伝え、それを実現するにはどうしたらいいか方法を一緒に考える流れが良いと思っています。

たとえばテレワーク1つにしても、「子どもが病気になったら不安なのでテレワークを導入したい」という自分の意思が先にあり、それを会社に伝えてから、「じゃあどういうルールで進めようか」と一緒に仕組みを作っていくなどです。

また、同じ出産でも、1人目と2人目のそれぞれのタイミングで、自分の仕事に対する想いや状況は異なるものです。

1人目は里帰り出産を希望していて、かつ1歳で保育園に入れなかったため、1年半の長い産休・育休期間となりました。一方で2人目のときは里帰りをせず、仕事にとにかく早く戻りたい一心で、3か月の産休のみで復帰しています。

産休・育休はこうあるべきという概念にとらわれず、そのときの自分の気持ち、家庭、会社の状況と照らし合わせて、意思をもって判断していくと良いのではないでしょうか。


ー復職後の働き方において、村田さんの中でなにか変化がありましたか?


村田:
出産前は、仕事をいつ・何時までに終わらせるという考えがあまりありませんでした。夜遅くまで相当の仕事量をこなしていたのですが、産後ははっきりと時間制限ができたのが大きな違いですね。

1日ごとの区切りをしっかりつけて、「今日はここまで。この仕事は明日以降」と、スケジュール管理にメリハリをつけるようになりました。

仕事のときは仕事、子どもと向き合うときは子どもだけと、しっかり区切りをつけたことで生産性高く働けていると感じます。


ーワーキングマザーとして働き方で工夫されていることはございますか?


村田:
1つ目に、自分がどうしたいのか軸をもつように意識すること。2つ目に、家庭内でも役割分担のルールを細かく決めること。

子どもが生まれて、私も最初はどうやって働けばいいか全くわからない状態からスタートしました。

会社や家族に意見を求めるのも大切ですが、さまざまな人と対話を繰り返しながら「自分は今、どうしたいのか」という自分軸を見つけるのが、1番大切だと気付いたんです。

軸が定まっていれば、悩んだときもぶれずに、迷わずにいられます。

自分の軸は、その時々で変化しても問題ありません。その都度、自分に問いかけて自分はどうしたいか確認しておくようにしています。

家庭内では、主人と役割を明確に決めて、どちらかに負荷が偏らないようにしています。

最初はどうしても主人は「育児を手伝う」スタンスだったのですが、手伝うのではなくしっかりと主体性をもってほしかったため、色々話あった結果、分業制に行き着きました。

主人が“朝担当”、私は“夜担当”で時間帯で分けていて、朝担当の主人は子どもを起こして朝ごはんを準備し、お着替えと保育園に送るところまですべて任せています。子どものお迎えと夕食の準備、寝かしつけまでは私が担っています。

どうしても手伝うスタンスが抜けない男性も多いと聞きますが、最初は「主人はまだアルバイトなんだ」と受け止めて、イライラをコントロールするようにしました。

「なんでやってくれないの」と怒るのではなく、「こういうものなんだ」と一度受け止めて、冷静に希望を伝えるようにしました。

今後も、自分の軸をもちながら、家庭でもしっかり対話を重ねて、協力し合って働いていきたいですね。

肩肘張らず、「すべき論」は取っ払って考える

ー今後、会社または個人としてどのような展望を描いていますか?


村田:
ライフェックスは、3年後に組織規模を倍にする中期目標を掲げて、それに向けた土台と仕組みづくりに取り組んでいる最中です。会社も、私個人としても第二創業になります。

工藤が創業期のころから話しているとおり、魅力的な人材を輩出することに注力していきたいです。「ライフェックスの人と仕事すると楽しい」「ライフェックスの人と働きたい」と言ってもらえるように、イケてる人材を育てていくのが目標の1つです。

また、コロナ禍でテレワークをする機会が多いからこそ、子どもたちに「仕事って楽しいんだよ」と背中で語れるような、働く大人の姿を見せていきたいと思っています。


ー最後に、COOやワーキングマザーの先輩として一言メッセージをお願いします。


村田:
私も一般社員の立場にいたころは、納得できないことはたくさんありました。納得できなかったとしても、上司や社長などに言われたメッセージを1度、素直に受け止めるのは大切です。

立場が異なれば、見える景色も異なるのは当然です。上司や役員、社長と近しい立場になったときに分かることもあるはずです。まずは、相手を一度受け止めるスタンスで臨んでいっていただければと思います。

ワーキングマザーの皆さんに対しては、偉そうなことは言えません。私は週4でUber Eatsに頼ってるくらいですから(笑)、皆さんも完璧を求めずに抜くときは抜く、やるときはやるという気持ちで取り組んでいってほしいです。

ご飯を毎日つくらなくても子どもはちゃんと成長します。

ママだからこうしなきゃという「すべき論」は取り払って、楽して手を抜いてうまくやっていきましょうねと伝えたいですね。

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