ビジネスに特化したSNSで、人材採用でも使われているLinkedIn。ここ最近は採用においてLinkedInの活用が当たり前になってきています。
それでは、LinkedInを採用活動に役立てるために、どのようなことができるのでしょうか。本記事ではLinkedInの活用方法や他社事例をご紹介します。
目次
1.現在の採用市場
現在の日本では、多様な働き方が増えてきていることから、新卒で入社した会社に定年まで働き続ける終身雇用制度や、結婚・出産のタイミングで退社する寿退社などの流れがなくなりつつあります。
ここでは採用の現場で変化していることについて取り上げます。
1-1.終身雇用制の崩壊
かつての日本では、高校や大学を卒業した後に就職した会社で定年を迎えるまで働き続ける「終身雇用制」が取り入れられていました。
しかし、近年ではスキルアップ・ライフスタイルの変化による理由から転職をする人が増えてきており、実質終身雇用制がなくなりつつあります。
また転職することに対しても前向きに捉えられるようになっており、近年では転職市場も賑わっています。
1-2.通年採用の増加
従来の採用手法では、3月に採用情報が解禁され、夏ごろを目安に内定が決まっていくのが新卒採用の流れでしたが、最近ではこの流れも少し変わりつつあります。
1年中採用活動を行う「通年採用」を取り入れた企業が増えてきています。通年採用を取り入れることで、春から夏にかけておこなわれる採用期間に間に合わない海外留学をしていた学生や既卒学生も時期をずらすことなく就職活動をおこなうことができるようになりました。
1-3.売り手市場になっている
現在の日本は少子化の影響から売り手市場と呼ばれる、企業の求人数(売り手)に対する就職希望者(買い手)が少ない状態になっています。
売り手市場になると、就職希望者側が企業を選べる優位な立場になりやすくなるため、企業が求める人材の確保が難しくなります。よって企業側から就職希望者をスカウトする逆求人型や、マッチング度合いを測る採用手法が増えてきています。
2.採用活動にも役立つビジネスSNS、LinkedInとは?
LinkedInはビジネスに特化したSNSです。LinkedInの登録者数は、世界で9億人を超えました。
また、デジタルマーケティング会社OMNICOREの調査結果によると、LinkedInには4,000万人の学生および新卒者が登録しており、アメリカ、インド、ブラジル、イギリス、カナダといった国々でのユーザー数が多い傾向があります。
さらに、アメリカやヨーロッパだけでなく、アジアにも多数のユーザーがいるのがLinkedInの特徴です。
LinkedInは、Facebookと同じように実名でアカウントを作成し、そこから職種・学歴・職務経歴・スキルなど、これまでのキャリア情報を登録することができ、仕事で関わる人たちとつながることができます。
2-1.Linkedinはどのように活用されているのか?
Linkedinには、ビジネスパートナーを探す、自分のスキルや職歴をアピールすることで就職、転職をしたいと考えている人などが登録しています。
また、企業としても採用したい人材を自分たちで探して直接アプローチができる、いわゆるダイレクトソーシングとして活用しています。
もちろん、人材探しだけでなく、自社ページをつかったブランディング活動もでき、世界中の人にアピールする場として活用しています。
さらに、各企業や個人からリアルタイムに情報発信がおこなわれているので、仕事に役立つ最新の情報を収集するために活用することもできます。
LinkedInの大きな5つの特徴
- 自分のプロフィール(職務経歴やスキル)を発信することができる
- 社会的な人脈づくりができる
- 経営者などのエグゼクティブクラスと直接コンタクトをとることができる
- 業界や各企業の情報を収集することができる
- ビジネスをする上でのパートナーや人材を探すことができる
2-2.LinkedInは採用活動にも貢献できる
また、LinkedInは転職・採用活動に利用できる独自の機能も持っています。
LinkedInのプロフィールは、氏名、メールアドレスや勤務先だけでなくスキルや職務経歴などの情報を登録するビジネスに特化したフォーマットとなっています。
またLinkedInで、ユーザーが求人に応募することも可能なため、企業としては求人、採用活動の時だけでなく、常日頃からLinkedInに登録しておくことで求人者の目に留まるチャンスを増やすことができます。
さらに、世界中のビジネスマンが登録、活用しているため、グローバルな人材を獲得するチャンスがあるというのも大きな特徴です。
2-3.LinkedInを使った求人活動が多い業界は?
LinkedIn社の調査によると現在、LinkedInで求人が多い業種はIT業界という結果がでています。
また、最近は金融関係×ITのFinTech業界が活況ということもあり、金融領域に関する求人も増えています。しかし、ITに関連した業界に限らず、他の業種でも求人機能の利用は活発におこなわれています。
一方で、どのような職種の求人があるのかに目を向けると、
販売、オペレーター、エンジニア、事業開発、セールス&マーケティング、プログラミング、総務、財務、プロダクトマネジメント、経理、人事、品質保証、サポート、コンサルティング
このように幅広い職種で求人活動がされていることがわかります。
3.LinkedInを利用するメリット・デメリット
それでは、LinkedInを活用するメリット・デメリットとはいったいなにがあるのでしょうか。またLinkedInを採用でどのように活用すればよいのでしょうか?
ここではLinkedInの活用に適している企業や、LinkedIn採用で使える機能と使い方を具体的に紹介します。
【メリット1】採用コストを抑えることができる
LinkedInは無料でアカウントを作成できます。有料プランもありますが、無料で利用できる機能も多く、相手に推薦状を依頼・提供や、DMの送付、ユーザーのプロフィールを閲覧することができます。
【メリット2】会社ページに求人を掲載できる(無料施策と有料施策あり)
会社ページでは、自社の紹介や自社に関する投稿ができると同時に、求人を掲載することができます。それにより、興味をもって会社ページを訪れた人に、自社求人をアピールすることができます。
会社に興味をもってアクセスしてくれる人は求人情報にも興味を持つ可能性が高くなります。ユーザーとしても、興味のある会社のページに求人情報が掲載していると応募までが簡単になります。
また、会社ページ掲載には有料版と無料版があります。それらの違いを紹介します。
会社ページ掲載(無料)
- 会社紹介のサマリー
- 求人情報(求人しているという情報だけで求人の詳細を掲載することはできない)
無料版ではLinkedIn上から直接求人応募ができません。会社紹介サマリーに自社ホームページを掲載することができるので、自社ホームページへのリンクをはり、そこから求人応募への導線を用意しておく必要があります。
会社ページ掲載(有料)
有料版は、無料ページ版の機能に追加して、
- 写真を使った詳しい会社紹介
- 社員の紹介
- フォトギャラリー
- 社員のブログなど
- 企業文化関連データ
が掲載可能で、企業のより詳細を伝えることができます。もちろんLinkedIn内で直接応募することもできます。
また、自分がLinkedInでつながっている知り合いがその会社にいる際は、その方に推薦してもらうことが可能です。求人を掲載した社員に直接アプローチすることもできます。
【メリット3】適切な候補者を発見できる(有料施策)
無料の施策のみでは、求人を会社ページにユーザーがきてくれることを待つしかなく、受動的な採用活動になります。
しかし、有料の機能を使えば、数あるユーザーの中から目的にあった採用候補者の検索をし、直接アプローチすることができます。
検索機能では、業種や職種、スキルなどユーザーが登録したキャリア情報を使った絞込みができます。検索した結果、目的に合致した候補者がいれば、求人広告の配信やスカウトメールの配信が可能になります。
これらの機能を活用することで、転職潜在層にもアプローチすることができます。
競合他社の人材を検索できる(有料)
競合他社の人材を発見し、直接コンタクトがとれるのもLinkedInの大きな特徴です。通常ではコンタクトをとることが難しい競合他社の人材にもスカウトメールが配信できます。
さらに、競合他社の組織や人材の構成を把握することが可能になります。競合他社がどんな人材をどのくらい採用しているのかもわかります。
たとえば、競合企業にどれだけのエンジニアがいるのか、その年齢・ポジションの構成はどうなっているのか、どんな経歴・スキルをもったエンジニアが多いのかなど、LinkedInで把握することができます。
また逆に、自社から転職した人材が競合他社に流出していないか、そのようなこともわかるようになります。
求人広告の配信(有料)
LinkedIn内のホーム画面のフィードや求人ページ、またLinkedInから送られてくるメールなどに広告を掲載することができます。
LinkedInの登録者は、学歴、職歴、資格などを記載しており、その登録情報をもとにターゲティング広告を配信できます。
LinkedIn広告には、スポンサード求人広告、スポンサードコンテンツ、テキスト広告、スポンサードInMail、ダイナミック広告、ディスプレイ広告など、多くの種類の広告配信方法があります。
スカウトメールの配信(有料)
検索機能で見つけた人材にLinkedIn内でスカウトメールを送ることができます。
まず、「リクルーターライセンス」というプランを購入する必要があり、取得後に自社の求める人材を検索し、スカウトメールを配信できます。
また、配信対象を絞り込むことも可能です。スキル、会社名、役職、卒業年、学校、所在地など、多くの個人プロフィールに多くのビジネス情報が掲載されているLinkedInならではの、多彩なスクリーニング機能があります。
【デメリット1】即効性がない
LinkedinはビジネスSNSと呼ばれているだけあって、SNSアカウント同様にアカウントを育てていく必要があります。そのため、認知拡大に向けた定期的な投稿やユーザーとのコミュニケーションが欠かせません。
中長期的な目標を立てて継続的に運用する必要があるため、アカウント運用に抵抗がある方や、短い期間で採用を伸ばしたいと考えている方向きではないといえます。
【デメリット2】日本のユーザーが少ない
LinkedInは海外で誕生したツールであるため、海外のユーザーは多いのですが、日本のユーザーが少ない傾向にあります。
外資系の企業や外国人材を求めている企業であれば、運用するメリットはあると思いますが、それ以外の場合はマッチング率も低くなってしまうことが考えられるため、思うような採用ができない恐れがあります。
4.LinkedInを使った際の採用フロー
LinkedInのメリット・デメリットについて紹介しました。では、LinkedInを利用するとなった場合に、どのようなフローが発生するのでしょうか。
ここでは、LinkedInを使った際の採用フローについて紹介します。
4-1.会社ページの作成
LinkedInに登録が済んだらまず始めに会社のページを作成しましょう。LinkedInでは会社のページを無料で作成することができます。会社ページでは、企業の情報を発信することができるだけでなく、求人も掲載することができます。
ユーザーが会社ページを見て興味を持った際、ユーザーは会社ページから直接応募することができるため、効率的な募集が可能です。
4-2.つながり申請で輪を広げる
LinkedInを活用するにあたって、ユーザー同士のネットワークを広げることがポイントになります。検索バーに名前を打ち込むだけで知り合いを探すことができ、メールアドレスを同期させることもできるため、つながり申請機能を使い輪を広げることで、新規のユーザーとの交流もおこなえるようになります。
また自分のプロフィールを閲覧した人を確認できる足跡機能もあるため、プロフィールに訪れたユーザーにつながり申請を送ることで更に繋がりを拡大させることもできます。
4-3.継続的な発信
LinkedInはビジネス版のSNSであるため、より広くユーザーに認知してもらうためには定期的な発信をおこなう必要があります。発信内容は会社の風土や考えがわかるものを投稿すると、ユーザーの会社理解が深まります。
ただ発信をするだけでなく、他のユーザーの投稿に対していいねやコメントなどの反応を送ることも認知に繋がるためリアクションをすることも忘れずにおこないましょう。
4-4.DMを送る
つながりのあるユーザーにはDMを送ることができます。投稿に対してリアクションがあったユーザーや足跡機能で検出されたユーザーにはつながり申請を送り、DMを送ってみましょう。
DM機能を使うことでより深く相手のことを知るきっかけにもなり、どのくらい興味をもってもらえているのかも知ることができます。
5.LinkedInの活用をしている5社の事例
ここでは、実際にLinkedInをどのように活用しているのか、他社の事例を5社紹介します。
事例1:mercari
mercariは、「フリマアプリ」のサービスを提供しており、日本を中心にアメリカ、イギリスにも拠点展開している急成長企業です。
そんなmercariは「“顔の見える”プロフェッショルとつながれる」「ゆるくつながりながら自社のファンを増やしやすい」といった理由からLinkedInを活用。
直接的なスカウトではなく、まずは自社に興味を持って共感してもらうことを第一だと考え、LinkedInを運用しています。
そこから、同じ職種の人を集めた「ミートアップ」の案内を送信。ミートアップで気軽に飲み食いをしながら話をして自社ファンをあつめ、自社で働く魅力を伝え、理解してもらったうえで採用につなげていきます。
事例2:Rakuten
Rakutenは、インターネットサービスを展開する日本を代表するIT企業です。
会社がグローバル化する中で、スピーディーにかつコストを削減した採用手法を検討した結果、ダイレクト・リクルーティングに着手。そのためにLinkedInを導入しました。
まずはエンジニア採用に注力していく中で、転職市場にはなかなかいない転職潜在層のグローバル人材に、LinkedInを通して多くアプローチができ、結果として質の高いエンジニアの採用に成功。
さらに、候補者と直接コミュニケーションがとれるため、自社の理解促進や魅力を伝えることができ、採用ブランディングにもつながっているとのこと。
事例3:パナソニック
パナソニックは、世界的に有名な電機メーカーです。
海外人材の採用に向けて、今後LinkedInが欠かせないツールになる、グループ全体で統一したプラットフォームとして活用できる、採用広報にも貢献できると考え、導入。
その結果、北米におけるキャリア採用の8割はLinkedIn経由での実績をあげており、ブラジル、インドなどの他国でも成果が出ているとのこと。
事例4:Origami
キャッシュレスを実現するプラットフォームを提供しているOrigamiは、採用のレベルアップにLinkedInが大きく貢献したとのこと。
他の採用チャネルでは出会えないような求職者にタイムリーにアプローチできる、という点に魅力を感じLinkedInを導入。採用難易度が高いエンジニア、UI/UXデザイナーの採用に成功しています。
また、今まではエージェントを活用しており、その分の採用コストが割高になっていたところ、LinkedInの活用により、採用コストを大幅に削減することもできています。
事例5:ツネイシグループ
ツネイシグループは、造船事業、海運事業、環境事業、エネルギー事業、サービス事業の5つの事業分野でサービスを提供している会社です。
「会社の認知度が低い」「ターゲット人材となかなか出会えない」という課題がありLinkedInを活用。
会社ページを作成し、会社の最新情報や社内イベントなど「ツネイシで働く魅力」を定期的に配信。ターゲット層とエンゲージメント強化することに注力。
その結果、LinkedInを通して8,000名以上のターゲット層を、会社ページのフォロワーとして獲得しています。
さらに「Branding Excellence Award」という、LinkedIn上で、企業の公式アカウントのフォロワー伸び率が高い企業に贈られる賞を、2016年上半期に受賞しています。
6.まとめ
LinkedInは、有料にはなりますが、自社が求める候補者を高い精度で検索することができ、広告やスカウトメールといった方法でアプローチ可能です。
また、他の採用チャネルにはいないような、転職潜在層が多く登録しており、普通の採用手法では出会えないような方と出会う機会もあります。
一方で、そのような層の候補者を採用するためには、すぐにオファーを出すことは難しく、中長期的なコミュニケーションを取り続け、しかるべきタイミングを待つ必要があります。
一見するとLinkedInの活用は魅力的ですが、しっかりと自社の宣伝広報をし続けられる継続性や、候補者に対して適切なアプローチをするための採用ノウハウなどが求められるでしょう。
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- 日本国内ユーザー数は350万人で、エンジニア採用での実績が多数ある。
- 決定課金が無いため、人材紹介やスカウト代行と比較してリーズナブルな料金である。
- 世界登録ユーザーは7.5億人となり、外国籍(バイリンガル)人材の採用も可能である。