次世代人事のキャリアパス|CRO(最高経営資源責任者)とは? |HR NOTE

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次世代人事のキャリアパス|CRO(最高経営資源責任者)とは?

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※本記事は、ヒト×テクノロジー研究所 所長の村山雄二さんより寄稿いただいた記事を掲載しております。

10年ほど前から、出ては消える人事バズワードのひとつがCHRO(最高人事責任者)
ただ、CHRO というワードは、CEOやCOOほど一般的ではなく、CFOやCTOのような専門領域のトップを指す言葉に比べても後塵を拝しているように感じています。

今後CHROというワードの浸透がどうなっていくのか、経過が気になるところではありますが、同時に近い将来、このCHROというワード自体が意味を成さなくなってくるのではないかと、ここ最近の流れで感じています。

現時点ではCHROという役職が設けられていない企業がほとんどで、おそらく人事部長や人事管掌役員という役職名が多いのではないでしょうか。

そもそもCHROの「HR」はHuman Resourcesの略語のため、マンパワーを中心とした「ヒト」に関わる部門を担当します。採用から始まり、教育・育成・評価・配置・組織づくり・代謝までを含めた人と組織の最適化が概ねミッションとなります。

一方で「ヒト×テクノロジー」の観点から近未来を見渡した時に、この領域「だけ」を担当する責任者はどうしても経営の第一線とはなりえないと思うのです。

近未来の人事の潮流

最近の識者のトレンドをいくつかピックアップしてみましょう。

トレンドその1:リクルートワークス研究所の元編集長、石原さんによる「正社員ゼロという選択」

▶正社員中心の日本型雇用システムに代わるものを提示。
▶9つの提言がなされているが、「テクノロジーの力で人をつまらない仕事から解放せよ」や「副業禁止を禁止せよ」といった内容が含まれている。

トレンドその2:ベンチャーキャピタリストMasayuki Minatoさんのレポート

▶Robotic Process Automation(RPA)とは、ざっくり言うと、ホワイトカラーの単純な間接業務を自動化するテクノロジー。
▶欧米ではRPAのテクノロジー自体は、既にキャズムを超え、現在early majorityに浸透しており、今後さらに拡大すると見られている。

いずれも、近未来の日本の働き方に関して、生産性をアップさせるためのリアルな予測を提示しています。特にテクノロジーに関しては両者共通の認識となっています。

これから求められる、最高経営資源責任者CROに必要な能力とは?

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こういった近未来文脈から読み取れるのは、会社資源の効率的な運用のためには、マンパワーのコントロールに限定されない「最高経営資源責任者CRO(Chief Resources Officer)」が必要になるということです。

すでに見えていることとして、先ほどの事例になぞらえれば、

  • AI化によるオペレーション業務の置き換え
  • ロボティクスによる採用費用の低下
  • 副業・兼業の活用による景気の乱高下へのリスクヘッジ

上記のような事例を総合的に判断する機能が既に求められています。

これらをトータルに経営資源の分配先として意思決定するには、当然にして経営的視点と共に、自社のビジネスモデルへの深い洞察と、既存マンパワーを代替できる新技術に対する高いセンサー機能が求められます。

これまで同様に人事という組織が存在し、それは人事部という形で残ったとしても、近未来の経営という視座から振り返ると、それは資源配分の一機能に過ぎなくなる、ということです。

ともすれば、人事が労働組合のように「ヒト」の利権を守り企業収益の観点からは獅子身中の虫となる可能性すら出てきます。

では、CRO(最高経営資源責任者)として求められるものは何か?
以下に、現時点で想定されるCRO(最高経営資源責任者)の要件を洗い出してみました。

【CRO(最高経営資源責任者)の要件】 (仮説)

  • 一般的な人事部長としての基礎スキルおよび経験
  • 自社ビジネスモデルの構造的な高い理解
  • 資源コントロールを経営陣から委任される実績
  • 現場の結果を有限の資源で最大化できる現場からの信頼感
  • コンサルタントやアナリストを活用できる統計解析スキルおよび論理性
  • 資源配分による原因と結果(P/L、B/S)に対する検証能力
  • 最新技術に関する高感度センサーと取捨選択の慧眼

最後に

いかがでしたでしょうか?

人事が「人事の高み」を目指すほど、それだけでは通用しない世界がすぐそこまでやってきています。同時に、もう一段高次で複雑な判断を求められる日がそこまでやってきていると思えば、それは挑戦する価値のある仕事ではないでしょうか。

今後のヒト×テクノロジー研究所では上記のような最高経営資源責任者に求められる要件についても検証を重ねていきたいと考えています。

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