「人事」という言葉を聞いた時、皆さんはどのようなことを思い浮かべるでしょうか。
新卒採用や中途採用をおこなう採用の担当者、人材育成に携わる組織開発の担当者、人材配置や評価制度の構築などの担当者、また勤怠管理や雇用管理といった労務に関する担当者など、企業内で人事業務をおこなっている方はとても多岐にわたります。
今回は、そんな人事担当者の仕事内容を中心に、人事担当者に求められるスキルや気になるデータについて詳しくご紹介します。
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「人的資本経営」「ウェルビーイング」「DEI」といったトレンドワードが、HR領域だけでなく社会全体に拡がり始めた昨今。自社組織に漠然と"停滞感"を感じ、「うちは取り残されていないだろうか?」「何かやらないといけないのでは・・・」といった不安や悩みを抱える人事・経営者の皆様も多いのではないでしょうか。
本カンファレンスでは、HR領域の有識者の皆様に、様々な組織課題を解決するためのアプローチ方法について解説いただきます。強い組織を育む企業が実践している事例には、組織強化に必要な考え方や人事が果たすべき役割について学べるポイントが多くあります。ぜひ有識者の皆様と一緒に、組織を強化する「共通原理」について考えてみていただければと思います。
1. 企業の顔とも言える「人事担当者」
大前提として、人事は会社経営に大きく関わるものであり、無くてはならない機能です。
企業が扱う経営資源は、大きく「ヒト・モノ・カネ・情報」に分けることができますが、その中の「ヒト」に関する仕事を全般的におこなうのが人事担当者となります。
それは、社内の従業員の育成や配置に関する業務だけでなく、採用活動といった社外のヒトに対して目を向けることも含んでおり、経営資源である「ヒト」を最大限に活用するために日々の業務をおこなう存在・役割を担っています。
採用業務に関して言えば、会社説明会や面接などで前に出る機会も多いポジションとなる場合も多く、求職者にとっては「人事担当者の雰囲気から、企業の雰囲気を知る」といったこともあるでしょう。
優秀な人材や企業のビジョンに合った人材を採用することができれば、企業の成長に目に見える形で貢献することができます。実際に採用した社員が活躍する姿を見ることは、個人のやりがいにもつながるかもしれません。
また、社員が働きやすい社内の環境を整えるために、社内制度や福利厚生の面で整備をおこなうことで、離職率の低下や従業員エンゲージメントの向上を推進することも人事担当者の役割です。
働き方改革や雇用の流動化の進行が進む中で、このような「ヒト」に焦点を当てた業務をおこなう人事担当者の重要性は、確実に大きくなっています。
2. 5つの具体的な人事業務
人事業務は、大きくまとめると以下の5つに分けることができます。それぞれについて、詳しくご紹介します。
①人材採用
人事担当者の業務内容として、一番代表的で知られているものは人材採用かと思います。
企業のビジョンを基にした採用計画に則って自社に適している人材を募集し、採用活動をおこないます。
新卒採用の場合には、会社説明会やインターンシップなどを企画開催するなど、自社に合う人材を募集・採用するために自社の魅力を外部に発信する活動もおこなっていきます
②人材育成
従業員の育成をおこなうために、研修制度の設計や資料の作成、具体的な講師としての仕事などをおこなうことも人事担当者の役割です。
従業員にどんなスキルを身に着けて欲しいかあらかじめ設計した上で、どのようなコンテンツが必要かを考えながら、企画実行します。
また、同時に社内制度なども設計することになるため、企業の経営資源の一つである「ヒト」をいかにして育成していくのかといった中核を担う業務をおこないます。
③人材評価
人材の評価制度を設計するのも人事業務の1つです。評価制度は、各企業の成り立ちやカルチャー、対峙する業界によっても異なるケースが多く、細かなチューニングが必要な業務となります。
現場で働く社員(管理職)が、どのような評価基準で人材評価をすれば良いか分からないと適切な評価をすることは困難です。
また、評価される側としても、どのようなことが評価につながるのか事前に知っておくことで、よりパフォーマンスを向上してくれる可能性は高まります。
そのため、業績に対しての貢献度を適切な形で評価として反映し、報酬として従業員に還元する制度を設計することが大事になります。
従業員が正当な評価を得られていないと感じた場合、離職にも繋がってしまうので、重要な業務と言えるでしょう。
④労務管理
勤怠管理、雇用管理、給与管理、社会保険などの手続き、福利厚生など、従業員の労務管理も人事担当者がおこなうケースが多いです。
従業員1人ひとりに関する情報の記載された書類(データ)を管理し、適切なタイミングで取り出せるような状態にしておく必要があります。
近年、このような管理業務はデジタルでおこなう企業も増えているので、少しずつ効率化が図れている業務と言えるかもしれません。
⑤制度・環境整備
最後に、社員が働きやすいような制度や環境を整えることも人事担当者がおこなうべき業務の1つです。
社員同士や部署同士の関係性の向上を図るイベントを企画したり、社員のモチベーションを維持するための制度を設計したりします。
また、社内に心理的安全性の低い社員がいないかアンケートを取るなど、様々な声やHRデータをもとにして制度を整えていきます。
このような人事施策の実施のPDCAを回していくことで、社員の働きやすい環境を整えていきます。
3. 人事担当者に向いている人・求められるスキル
ここまで具体的な人事業務の内容についてご紹介してきました。
では、実際にどのような方が人事に向いているのか、そして人事に求められるスキルについて解説します。
3-1. 人事担当者に向いている人
人事担当者に向いている人は、大きく分けて4つあります。
①社内の機密情報を守れる人 | 人事は従業員のプライベート情報や企業の機密情報に触れる機会があります。そのため、外部には漏らしてはいけない情報を簡単に漏らしてしまうような人だと人事は務まりません。情報漏洩は企業の存続にも関わることなので、口の堅い人が人事に向いているといえるでしょう。入社してまもない社員は特に注意が必要です。 |
②コミュニケーション能力が高く、観察力のある人 | 人事は、学生や求職者、いろいろな部署の社員と関わる機会があります。そのため、コミュニケーション能力が低いと人事の仕事は務まりません。また、人材の採用での面接や社員の心身の状況などを把握するためには人間観察力が必要です。その人が何を思っていて、実際にはどのような人なのかを把握し、採用・部署異動などを行う必要があります。 |
③論理的思考ができる人 | 人事は社員を評価したり、人材を採用したり「ヒト」に関わる仕事がほとんどです。そのため、感情に流されて判断してしまうと大きなミスにつながることがあります。感情に流されることなく、論理的に考え、本当にこの人材が必要なのか、この評価は適切なのかを考える必要があります。 |
④アイデア力のある人 | 人事は制度やイベントの企画を考える機会があります。その際に、他社で実施されているものを導入するよりも、自社独自のものを企画した方が満足度は高くなります。新しい企画や新しいやり方を取り入れていくことで、企業の成長にもつながるのではないでしょうか。 |
3-2. 人事担当者に求められる能力・スキル
人事担当者に求められる能力やスキルは、以下の5つあります。
①業務を正確かつスピーディーに行える能力 | 人事の業務は多岐にわたり、とても多いです。最近ではHR Techの導入により紙による労務の手続きをデジタルで行っている企業も多いです。しかし、その他の業務も多いためスピーディーに行わないと、残業時間に響いたり、提出の期日に間に合わないなどの弊害も出てきます。また、手続きの書類に不備があったり、記載に不備があるのに、人事がスピードを重視するあまり、見落としてしまうとトラブルになりかねません。そのため、人事は業務を正確かつスピーディーに行う能力が必要なのです。 |
②計画を立て実行する能力 | 自分自身の計画だけでなく、組織の長期計画を立てることもあります。どのようにしたら人材の最適化が行えるのかを計画し、実行していく必要があります。企業の目標やビジョンを叶えるために、高い計画力と実行力が必要なのです。また、労務に関してもいつまでに何をしなければいけないのかの計画を立て、逆算し実行していきます。 |
③戦略構築力 | 企業や従業員を育成していくためには戦略が必要です。その育成に関する戦略を立てていくのが人事の業務です。そのため、戦略構築力がないと、人材の育成をすることができず、企業の成長にもつながりません。現状を分析し、どのような研修内容、企画内容にしたらいいのか、最適な戦略を考えて実行していく力が求められます。 |
④情報収集能力 | 企業の戦略を立てていくとき、または優秀な人材を採用しようとするときには、社内だけにとどまらず、社外のトレンドなどをキャッチアップする必要があります。今何が求められているのかを把握しなければ、時代に合う人材の獲得や企業の成長は見込めません。また、人事の業務は法律に関するものが多く存在します。法律は年々変わる可能性が高いため、常に最新情報を把握しておく必要があります。社内外の新しい情報み目を向け、収集できる能力が求められます。 |
⑤変化対応力 | 社内研修やインターンシップを行う際に、意図しないトラブルなどが発生することがあります。その時には臨機応変な対応を心がけ、スムーズな進行を行っていく必要があります。また、保険関連の手続きの際に、書類不備などの問題が起こることがあります。その際は、期日までに書類を提出するにはどうしたらいいのかを考え、間に合わせないといけません。このようなトラブルにも対応していく変化対応力が必要になります。 |
- キャリアコンサルタント
- 社会保険労務士
- メンタルヘルス・マネジメント検定
- 人事総務検定
- 衛星管理者 など
4. 人事に関する気になるデータ
最後に、現在の人事担当者についての気になるデータをご紹介します。
人事担当者の平均年収は、約450万~550万円
人事担当者の平均年収は、一般的な従業員よりは比較的高い傾向にあるようです。しかし、他の管理部門よりは低い傾向があります。
- 経理:443万
- 総務:381万
- 法務:511万
- 経営企画:522万
- 財務・会計:531万
また、人事に転職した人の転職回数も0~1回の人が約6割を占めているので、転職回数においては一般的な割合といえるでしょう。
参照元:https://mynavi-agent.jp/helpful/income/category/
男女比は半々で、他部署と比較すると女性が活躍。
また、男女比は男性が51%、女性が49%となっています。
少しの誤差で男性の方が多い部署ではありますが、他の部署に比べると女性の割合が多い部署と言えます。
参照元:https://doda.jp/guide/zukan/029.html
残業時間は、月平均30時間前後とのこと
人事担当者の月平均残業時間は、30時間前後とのデータがあり、他部署に比べて残業時間は少ない方と言えます。
ただし、会社説明会やインターンシップは土日の開催が多いため、休日出勤をしなければいけないことはあるかもしれません。
参照元:https://www.pasonacareer.jp/jb200/column/210504/
5. まとめ
今回は、そもそも人事とは何か、そして具体的な業務内容について詳しく解説しました。
人事業務はとても幅が広く、また重大な責任を負うものがほとんどとなります。人事は企業経営の中核を担うため、これから更に大きな期待を寄せられていくことでしょう。
企業や従業員の成長に貢献できることは、1つのやりがいだと言えます。人事業務を通して替えの利かない人材になれるようにしていきましょう。
【豪華ゲスト多数登壇!】変化に負けない「強い組織」を育むためにHRが果たすべき役割を考える大型カンファレンス『HR NOTE CONFERENCE 2024』
「人的資本経営」「ウェルビーイング」「DEI」といったトレンドワードが、HR領域だけでなく社会全体に拡がり始めた昨今。自社組織に漠然と"停滞感"を感じ、「うちは取り残されていないだろうか?」「何かやらないといけないのでは・・・」といった不安や悩みを抱える人事・経営者の皆様も多いのではないでしょうか。
本カンファレンスでは、HR領域の有識者の皆様に、様々な組織課題を解決するためのアプローチ方法について解説いただきます。強い組織を育む企業が実践している事例には、組織強化に必要な考え方や人事が果たすべき役割について学べるポイントが多くあります。ぜひ有識者の皆様と一緒に、組織を強化する「共通原理」について考えてみていただければと思います。