こんにちは。原田社会保険労務士事務所の原田 圭です。
今回、内定辞退に関して人事採用担当者と学生の両方に取材をして気づいたことをご紹介させていただきます。
4月1日の入社式前日、あなたは翌日の最終準備をオフィスでしている。
するとそこに、スマホのFacebookメッセンジャーにメッセージ受信の通知あり。
やり取りをしていた内定者からだ。
〇〇(人事採用担当者の名前)さん
△△(内定者の名前)です。
入社の件で〇〇さんにお伝えしたいことがあります。
この度、内定を辞退させていただきたくご連絡を差し上げました。
辞退の理由は、□□□□□□□□□□□□です。
〇〇さんのご都合がつく際に、直接お会いして、謝罪をしたいと思っています。
このような形でのご連絡をお許しください
これは入社式前日に、実際に送られてきたメッセージ。
信じられないかもしれないが、これも「内定辞退」の現実である。
採用担当者や面接で会った社員や社長などへの感謝の気持ち、辞退する理由、辞退した後の話など30行ほどの長文メッセージが送られてきていた。冒頭2行のインパクトがあまりに強すぎて、その後の文章が頭に入ってこない。昔であれば、直接会いに行くか電話で伝えるものだが、今はメッセンジャーのチャットで伝えてくるのだ。
この事実を上長である人事部長や役員にどう伝えればいいのかを考えただけで胃が痛くなる。人事採用担当者は4月1日の入社式まで気を抜くことはできないのだ。
10月1日の内定式が近づく今の時期、人事採用担当者が最も恐れているのは「内定辞退」。なぜ内定辞退をするのか。理由は学生によって様々あるが、「内定辞退した学生は、企業のこんなところを見ていたのか・・・」という事実が、取材を通じて浮かび上がってきた。
人事採用担当者が恐れる「内定辞退」を招く2つの行動
その1:連絡がつかない、連絡がない、連絡が遅い
当たり前のように聞こえるが、学生が非常に気にしているのがこの「連絡」である。内定が出た直後は、学生も高揚しているので良いのだが、ちょっと落ち着いてきた頃から周囲に内定先の話をしていくうちに、変化が起きてくる。
多くの企業が採用したいと考えるいわゆる「優秀な」学生というのは、行動力があり、人脈もあることは容易に想像がつく。
ベンチャー企業の内定者の場合などは、周囲に不安感をあおられるケースが結構な頻度で起こるのだ。
「その会社で本当に大丈夫?」
「もっと大手とかも受けておいた方が良かったんじゃない?」
「今からでも遅くないから、受けるだけ受けてみなよ!」
こんな言葉で、心を迷わされている学生は少なくない。こんな時、きちんと相談してもらえる関係性を作っておくことは大前提だが、連絡に対する返信スピードに意識を向けたい。内定者だからと甘えて、ついつい後回しになっていないだろうか。
また、内定者は不安と常に隣り合わせなので、自己肯定感を求める学生が多いことが分かった。そんな学生にはどう接すれば良いのか。
こまめに連絡をして、こちらが気にかけていることを伝えるだけではなく、レスポンス早く対応することが極めて重要である。
何か用件がないと連絡をすることができないという場合は、用件を作っていただきたい。
例えば、残りの学生期間をどのように過ごすのか、本人に目標を立てさせ、情報を定期的に共有してもらうなどの「連絡を取る口実」や「他の会社に目を向かせない何か」を準備するのだ。
その2:社員と会わせることが逆効果を生むことがある
これは大手企業に多い話である。よかれと思って内定者をフォローするために現場の社員と会わせて話をしてもらうことをしている人事担当者は多いだろう。そこでやってしまうのが、「人選を間違える」ことである。なぜ人選を間違えるのか。学生が今どんな状況だから誰からどんな話を聞きたいのか、しっかりと把握せずに、人選しているケースが多いことが散見される。
例えば、やる気に満ち溢れている学生に、“生活感が漂う社員”を会わせたらどうなるだろうか。理想と現実は違う、会社のマイナスな面も含めて入社してほしいという「善意」も、学生にとってみれば逆効果である。現場の社員にフォローしてもらう際は、学生の情報はもちろんの事、どんな話を学生が聞きたいと思っていて、会社のどんなところをアピールしながら回答して欲しいのかを事前に伝える必要がある。
そしてこれも当然だが、現場の社員のフォローが終わったら、学生にコンタクトして、どんな話をそのメンバーがしていたのか、正確に把握することが必要である。
最後に
いかがでしたでしょうか。
以上が、内定辞退者や辞退された採用担当者に取材をしたことによって浮かび上がった「内定辞退を招く2つの行動」でした。
次回以降は、内定者に友人を会社に紹介してもらう方法や昨今話題のリファーラル採用ツールのご紹介など、人事採用担当者の方にタイムリーに役立つ記事をお届けします。