近年、雇用形態が多様化してきており、それに合わせたさまざまな採用手法やサービスをよく耳にします。
新卒採用のみを見ても、リクナビ、マイナビといった求人広告サービス、新卒紹介サービスがある中で、ここ数年で多くの切り口のサービスが誕生しており、自社に合った採用手法の取捨選択が求められてきているように感じます。
今回は採用手法にフォーカスして、主に新卒採用に関する手法の遷移を調べてみました。以外と知らなかった事実があり、興味深い気づきが満載でした。
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採用手法にフォーカスして歴史の遷移をみる
1870年代|日本初の求人広告が掲載される
1872年7月14日、東京日日新聞に日本初の求人広告が掲載されました。それにより、7月14日は「求人広告の日」となっています。
ちなみに、その時の求人は「乳母」で、当時、商売をしている家では乳母や子守を雇うことは珍しくなかったとのことです。
1960年代|「企業への招待」創刊
「企業への招待」は、1962年に大学新聞広告社(現リクルートグループ)が発行した大学新卒者向けの求人情報誌です。
就職先を自分の意思で選ぶという価値を市場に提案した最初のメディアで、それまでは推薦・縁故採用が中心であった日本の就活のあり方を大きく改革したと言われています。
1969年には、「企業への招待」は「リクルートブック」へと誌名変更しています。
その5年後の1974年には、今やお馴染みの適性検査である「SPI」が誕生しました。
1980年頃~|新卒向け合同企業セミナーが開催
1981年に学情が実施した「就職博」が日本初の新卒向け合同企業セミナーのようです。
その後1987年に、ディスコが留学生向けにボストンで「キャリアフォーラム・イン・USA」を開催し始め、2001年になってマイナビが「マイナビEXPO」を開催。それ以降で、「リクナビLIVE」を始めとしたさまざまな合同企業セミナーが登場してきています。
現在では、会場から溢れてしまうくらい満員の状況も見られ、2000年に入ってWeb求人広告の台頭ともに、新卒採用のイベントも盛り上がってきた印象を受けます。
1980年頃~|就職四季報創刊
「就職四季報」は、東洋経済新報社が1983年の9月に創刊した、大学新卒者向け就職情報誌です。
上場企業が中心ですが、求める人材、採用実績、初任給、平均年収、残業状況、3年以内の離職率などが掲載されています。有料の就活情報誌で、掲載企業からお金をとっておらず、中立的な視点での情報となっています。2017年度版では、約5,000社の企業の情報が掲載されています。
当時の就職活動は、中途採用では複数の求人を集めた求人情報誌が主流でした。
新卒採用では大学からの推薦や、企業が求人票を学校に提出、学生が四季報をもとに企業にハガキを出して応募するといった動きがありました。
1995年頃~|Webでの新卒求人広告が開始
1990年代の後半からWebサイトでの求人広告が開始され、これが現在、新卒採用活動の主流となっています。
新卒採用では「リクナビ」「マイナビ」「キャリタス」、中途採用では「リクナビNEXT」「マイナビ転職」「en転職」「DODA」「@type」「Green」などが挙げられます。
ちなみにリクナビは、1996年2月に「Recruit Book on the Net」という名称のWeb求人広告がオープンしており、1997年に「リクルートナビ」(リクナビ)に名称を変更。リクナビ2017では、掲載企業数が約24,000社(2016年9月時点)となっています。
マイナビは1995年12月に「Career Space」という名称で誕生し、1999年11月より「毎日就職ナビ」としてリニューアルを経て、現在の「マイナビ」となっています。マイナビ2017の掲載企業数は約14,000社(2016年9月時点)です。
なお、新卒求人広告は上記以外にも「あさがくナビ」「就活ラボ」「ダイヤモンド就活ナビ」「パッションナビ」など多数のサービスがあります。
2000年頃~|新卒紹介サービスが登場
新卒紹介サービスは、2000年代に入ってからサービスが誕生しており、近年の売り手市場による、求人広告での母集団形成の苦戦などもあって、それを補完するために新卒紹介サービスを活用しようと、各企業への認知が広がってきている印象です。
「就職エージェント」「リクナビ就職エージェント」「キャリタス就活エージェント」「マイナビ新卒紹介」といった幅広い層の学生を対象としているサービスから、体育会系の学生に強みを持つ「アスリートプランニング」「ジールアスリートエージェンシー」、その他にも、高学歴の学生や留学生など、各分野に強みを持つサービスが、数多く存在しています。
基本的には、成功報酬型のビジネスモデルとなっています。
2005年頃~|逆求人イベントが登場
逆求人とは、学生側がイベントやWEBなどを通して自らをPRし、企業がそれを見てアプローチする仕組みのことを言います。
代表的なサービスとしては、ジースタイラスが実施している「逆求人フェスティバル」や、アイデムJOBRASS新卒の「逆求人イベント」などが挙げられます。
イベントでは、学生のブースに企業が出向き、学生のプレゼンを聞くスタイルとなっており、自社の知名度に関係なく優秀な学生と話す機会を創出できます。
2010年以降、多様な採用手法が登場するように
2012年頃~|SNSを活用した採用手法が登場
FacebookやTwitterの登場により、新卒採用領域でも2012年頃から、SNSを活用した採用が盛り上がりを見せ、「ソーシャルリクルーティング」という言葉を良く聞くようになりました。
Facebookでは企業のファンページを作成、そこから自社の活動や採用状況をタイムラインに投稿し、学生に自社を認知して興味を持ってもらうとともに、つながりをつくることで定期的な交流を図って採用に結びつけている企業も存在します。
さらにはWantedlyのような、SNSと連動して情報の登録ができるソーシャル・リクルーティング・ツールも今注目されています。
ソーシャルリクルーティングをメインで実施しているというよりは、求人広告や紹介サービスを活用しつつ、併用して行っている企業が多い印象です。
2014年頃~|スカウティングサイトが盛り上がりを見せてくる
i-plugの「OfferBox」やジースタイラスの「逆求人ナビ」、グローアップが運営する「キミスカ」、アイデムの「JOBRASS新卒」など、ダイレクトリクルーティングのひとつとして、スカウティングサイトが注目を集めてきています。
WEB上で学生のプロフィールや自己PRを見ることができ、その上で自社にマッチしそうな学生に対しオファーを出します。
こちらから欲しい学生を採りにいく攻めの採用で、「会いたい人物」にのみに絞って効率的にアプローチすることができます。
2015年頃~|ミートアップを行う企業が見られるように
ミートアップは、自社を知ってもらうために自社の社員と外部の方々の交流を深める気軽なイベントです。そこで自社に合いそうな方がいれば、「思い切って採用のご案内をしてみる」なんてこともあります。
最近では、新卒採用においてミートアップを取り入れている企業もちらほら出てきています。
Sansan株式会社は、17卒のエンジニア学生向けに「お寿司パーティー」を行い、そこでお互いに交流を深めて採用につなげていたり、電通アイソバーでは、学生の自社理解を深めてもらうためにカジュアルなトークイベントを開催したりしています。
より多くの学生と接点を持ちたい、エンジニアやデザイナーのような専門職の学生に出会いたいという企業が、自社を知ってもらうことを目的に実施しているようです。
2016年頃~|AIなどを活用したマッチングが登場
最近では、登録学生の大量のデータを人口知能をもとに分析しマッチングを行うサービスも登場してきています。
人工知能を用いてマッチングを図り、学生に特別選考オファーを送ることができる新卒採用サービス「GROW」や、「OfferBox」も学生検索機能に人工知能を活用しており、今後も新しいサービスが登場してくるのではないでしょうか。
最後に
いかがでしたでしょうか。
求人広告や新卒紹介では、学生からのエントリーやエージェントからの紹介など、「待ちの採用スタイル」でしたが、そこからSNSの活用やスカウティングサイト、ミートアップなど企業から学生を採りに行く「攻めの採用スタイル」も取り入れている企業が増えていきているように感じます。
ただ、依然としてメインは求人広告や新卒紹介で、幅広く採用を行うための第三の選択肢として「攻めの採用」を行っている企業が多いのではないでしょうか。
さらには新卒採用領域にもAIというワードを耳にするようになってきており、採用手法も早いスピードで多様化してきているように感じます。