人手不足が社会問題となっている現在、新卒の理系学生を採用するのは非常に困難になっています。
大手企業ならばその知名度を活かすことができますが、いわゆる中小企業では学生を獲得するのが難しい現状です。そのような状況の中、地方大学出身の理系学生に注目が集まっています。
地方の学生は、「都市部企業の情報量が少ない」「都市部企業の説明会や選考会に参加するのにも交通費などの莫大な費用が発生する」など問題も抱えています。
本記事では、地方理系学生を採用するためにおこなうべきアクションをご紹介いたします。
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「人的資本経営」「ウェルビーイング」「DEI」といったトレンドワードが、HR領域だけでなく社会全体に拡がり始めた昨今。自社組織に漠然と"停滞感"を感じ、「うちは取り残されていないだろうか?」「何かやらないといけないのでは・・・」といった不安や悩みを抱える人事・経営者の皆様も多いのではないでしょうか。
本カンファレンスでは、HR領域の有識者の皆様に、様々な組織課題を解決するためのアプローチ方法について解説いただきます。強い組織を育む企業が実践している事例には、組織強化に必要な考え方や人事が果たすべき役割について学べるポイントが多くあります。ぜひ有識者の皆様と一緒に、組織を強化する「共通原理」について考えてみていただければと思います。
1. 地方の理系学生の就職状況
人手不足が社会問題となっている現在、新卒採用に苦労している企業も増えています。特に企業が集中する都市部での新卒採用は困難を極めています。そのような状況の中、注目されているのが地方の大学に通う学生です。現在の地方学生の採用状況はどうなっているのでしょうか?
1-1. 企業の需要は増加傾向に
リクルートワークス研究所の大卒求人倍率調査によると、2020年卒の大卒求人倍率は8年振りに減少し、1.83倍になっています。特に中小企業は、8.62倍と低下しているものの、依然として高水準なことがわかります。
学生を大きくわけると文系と理系に分かれますが、理系に関しては、首都圏の学生はほとんどが大手企業に就職します。大手企業のほうが知名度があること、研究環境が充実していることなどがその理由としてあります。
そのため、中小企業では理系学生を獲得することが非常に難しい状況になっています。では、文系の学生で代替できるのかというと、必ずしもそうはいきません。
最近では、文系出身の学生がエンジニアになるといったケースも出てきています。しかし、職種の中にはどうしても理系の学生が欲しいという職種もあります。そこで、企業が注目したのが地方の理系学生です。地方でも優秀な学生はたくさんいるため、企業が求める学生に出会えるかもしれません。
1-2. 地方の理系学生の就職状況
地方の理系学生を採用するためには、まず地方の理系学生の就職状況を把握する必要があります。ここでは、都市部と地方の理系学生の就職状況を比較してみたいと思います。
就職活動の情報量
インターンや会社説明会は都市部でおこなわれることが多く、都市部では採用に関する情報を集めやすい環境にあります。さらに企業単独での説明会や複数企業が集まっておこなわれる合同説明会が頻繁に開催されるため、企業の情報も得やすいです。
一方で、地方学生は企業情報が少ないのが現状です。インターネットが普及しているため、学生側から都市部の企業の情報を集めるというアクションをとれば、それなりの情報を得ることができます。
しかし、それでも都市部の学生に比べると圧倒的に情報量が乏しいです。地方の学生の場合は、近場での説明会が少なく、都市部での説明会に参加するには時間も費用もかかってしまう状況です。
その結果、地方学生はそのまま地方の企業に就職することを優先的に考え、都市部の企業の採用対象から外れてしまうことも多くあります。
就職活動にかかる費用
株式会社サポーターズの調査結果によると、地方の学生が就職活動にかかる費用はおよそ1.5倍という調査結果があります。関東の学生がかかる就職活動費用の平均は約13万円に対して、地方では約19万円と6万円も高い結果となっています。
説明会や選考会は都市部で開催されることが多いため、地方の学生は都心に出るだけの交通費が多くかかってしまいます。そのため、得られる情報量が少ない企業が単独でおこなう会社説明会には参加せず、合同説明会に参加することが多くなります。
都市部の学生の場合、ダメ元でもとりあえずこの企業の説明会に参加してみようと参加することができますが、地方の学生は都市部に出るたび交通費などが必要になるため、そう簡単には参加することができません。その結果、興味はあったとしても都市部まで出ずに地方の企業に就職をするという傾向になってしまいます。
2. 地方ごとに理系学生の就職活動を調査
理系学生の就活事情について調査した結果を公開します。19卒の学生に回答してもらった就活に対するアンケートをまとめています。
今回は、理系学生が就活に対しどのように考えているのかを地方ごとに(東北・関東・中部・関西・中国・四国・九州)まとめてみました。地方採用をおこなう際のご参考にしてください!
※北海道の学生は東北、沖縄の学生は九州に、それぞれ含まれています。ご了承ください。
※関東は東京以外の学生を対象にしています。
◆希望する企業規模は大手?中小?
引用:ネオキャリア「地域ごとの理系学生就活調査」
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企業規模の希望としては、大手企業が集まる首都圏の学生のほうが「大手に就職する」ということを意識するようです。どうしてもベンチャーに就職したいと考える学生の割合はほとんどいません。
学生の就職に関して、安定志向が進んでいるということがわかります。
また四国に関しては、どうしても大手がいいと考える学生と同じくらい、中小での勤務を考える学生も多数います。四国は他の地方にくらべ中小企業の立ち位置が高いといえるのかもしれません。
◆どの地域に就職したい?
引用:ネオキャリア「地域ごとの理系学生就活調査」
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やはり、関東に住んでいる学生は首都圏で勤務したいと考える人が多いようです。
関東以外で首都圏に勤務を希望している学生が多いのは東北でした。東北地方は高齢化が進むことにより、働き口が少なくなっていることが考えられます。多少差はありますが、首都圏と現住所・地元、全国どこでもがほぼ1:1:1という割合であることからも外に出ることを考えている学生が多いことがわかります。
関西では、大阪が第二の経済の都市といわれることから、首都圏にいかなくても関西で満足に就職できると考える学生が多いようです。
中国、九州の学生も比較的に全国的に勤務するのも構わないと思っている学生がいることがわかりますね。
地方の学生は、どうしても首都圏がいいという人もそれほど多くなく、地元に留まると考える人も一定数であるため、魅力付けができれば採用することも可能です。
3. 地方理系学生の採用ポイントまとめ
都市部の理系学生に比べて、地方理系学生の方が採用できる可能性は高いといえるかもしれません。
とはいえ、地方理系学生が都市部の企業に積極的な就職活動をおこなうには情報量が少ない、交通費などの費用がかかってしまうなど、地方学生にとって不安要素となる部分があります。
企業としては、このように都市部の企業に就職したいけれど就職活動を積極的になれない、優秀な地方理系学生の獲得を目指す企業が増えています。
3-1. 積極的にアプローチし、ブランディングをおこなう
インターネットが普及して企業の情報を地方にいる学生まで伝えることができるようになったとはいえ、企業の数は莫大であり、その中で自社のホームページを見てもらえている企業はかなり少ないでしょう。
インターネットは情報を伝える手段の一つではありますが、「インターネットに情報を掲載する=地方学生に見てもらえる」とは限りません。
まずは、学生に企業名や仕事内容を知ってもらうことが重要です。そこで魅力的だなと感じれば、学生が自らインターネットなどを通じて企業の情報を収集することができます。まずは、企業名とどのようなことをしているかを知ってもらうことが重要です。
そのためには、地方大学への出張セミナーや地方会場での面接、地方にいながら都会の企業とつながることができるオンライン説明会や選考会などが有効です。
3-2. 地方学生向けのインターンをおこなう
学生が就職を考える上でもっとも良いきっかけの一つとなるのが実際に職場体験をおこなう、インターンです。会社の雰囲気も実際に感じることができ、その企業への思いが強くなった結果、就職先に選んだという話もよくあります。
このように企業としてはインターンで学生に職場体験する機会を設けるのも、採用活動において重要度が高くなっています。
しかし、地方学生にとってはほかの就職活動の情報と同じでインターン情報も少ないのが現状です。情報としては、インターネットなどを通じて流れていますが、人数制限があるうえ、早いもの勝ちなのでどうしても情報がまわりやすく感度が高い都市部の学生で埋まってしまう傾向にあります。
そのため、地方学生向けに限定したインターンをおこなうのも地方学生を獲得するための良い手段となります。最近は地域創生と称した地域の学生向けのインターンも流行っています。
3-3. 交通費支給サービスを活用して就職活動を支援
地方学生は、都市部の企業の面接を受けるためには交通費や宿泊費など費用がかさんでしまいます。一泊するだけでも交通費と合わせて数万円は必要になります。就職活動をしながらなので、アルバイトをする時間を十分にとることもできません。
企業としては就職活動にかかる費用(交通費や宿泊費)を補助することで地方の学生が都市部に出てきやすい環境をつくってあげることも一つの手です。
もし、同じような企業があった場合、交通費を出してもらえる企業とだしてもらえない企業ならばどちらを選ぶでしょうか?交通費を出してもらえる企業を選ぶのは明白です。
まずは、会社を見てもらう。そのための投資と考えればそれほど高くはありません。
3-4. オンライン説明会、選考会で費用負担の低減
最近は、インターネットとともにオンライン会議が広がりをみせています。就職活動においても同じことがいえます。
これまでは、説明会や選考会は交通費を支払ってでもその場に移動しなければなりませんでしたが、今はさまざまなオンライン会議サービスがあり、自宅にいてもパソコン(もしくはスマホ)と専用のアプリがあれば、オンラインで説明会の話を聞く、双方向で質問や解答をする、面接をすることが可能になりました。
アプリは通常無料でダウンロードできるので、地方学生の就職活動にかかる費用を大幅に削減することができます。また、移動する時間が不要になるので効率的な就職活動が可能になります。今では、面接までオンラインでおこなう企業も増えてきたので、その点をアピールするのも地方学生を獲得するための一つの売りになります。
新しいことにチャレンジする企業という印象を持ってもらえるのも一つのメリットとなります。
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4. まとめ
人手不足で採用が充足しないと頭を抱えている採用担当者様が増えているかと思います。
地方の理系学生に注目してみてはいかがでしょうか。地方にも優秀な学生は多いため、獲得できれば大きな利益につながります。
しかし、地方の学生には就職活動をする上で情報量の乏しさや交通費の面など、さまざまな問題を抱えています。そのため、これらの問題を解決することが重要になります。
地方の大学へ出張セミナーを開いて企業の名前を覚えてもらう、地域学生に特化したインターンをおこなう、都市部への選考会などにかかる費用を負担する、オンラインでの情報交換や選考会をおこなうなど、ちょっとした配慮で地方学生を獲得するチャンスがめぐってきます。
都会の学生獲得を難しいと感じている人事採用者の方にはぜひ地方の優秀な学生の獲得をおすすめします。本記事に掲載した採用ポイントを確認し、地方の優秀な学生を獲得して人手不足を解消できれば幸いです!
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「人的資本経営」「ウェルビーイング」「DEI」といったトレンドワードが、HR領域だけでなく社会全体に拡がり始めた昨今。自社組織に漠然と"停滞感"を感じ、「うちは取り残されていないだろうか?」「何かやらないといけないのでは・・・」といった不安や悩みを抱える人事・経営者の皆様も多いのではないでしょうか。
本カンファレンスでは、HR領域の有識者の皆様に、様々な組織課題を解決するためのアプローチ方法について解説いただきます。強い組織を育む企業が実践している事例には、組織強化に必要な考え方や人事が果たすべき役割について学べるポイントが多くあります。ぜひ有識者の皆様と一緒に、組織を強化する「共通原理」について考えてみていただければと思います。