学生が企業を選択するポイントは年々変化してきていますが、「行きたくない会社」はいつの時代も決まっているようです。
2019年卒マイナビ大学生就職意識調査によると、行きたくない会社の1位は19年連続で「暗い雰囲気の会社」であり、多数の学生が行きたくない理由の1つとしてあげています。
ですが、学生たちはこの「暗い雰囲気」をどこで判断しているのでしょう。
何を見て、「会社の雰囲気」を読み取っているのでしょう?
本記事では、実際にオフィスに来社したとき、学生は何を見ているのか、そこで感じた「雰囲気」と志望度はどういう関係があるのか、学生たちの声と先日就活を終えた筆者の私見をご紹介します。
目次
【豪華ゲスト多数登壇!】変化に負けない「強い組織」を育むためにHRが果たすべき役割を考える大型カンファレンス『HR NOTE CONFERENCE 2024』
「人的資本経営」「ウェルビーイング」「DEI」といったトレンドワードが、HR領域だけでなく社会全体に拡がり始めた昨今。自社組織に漠然と"停滞感"を感じ、「うちは取り残されていないだろうか?」「何かやらないといけないのでは・・・」といった不安や悩みを抱える人事・経営者の皆様も多いのではないでしょうか。
本カンファレンスでは、HR領域の有識者の皆様に、様々な組織課題を解決するためのアプローチ方法について解説いただきます。強い組織を育む企業が実践している事例には、組織強化に必要な考え方や人事が果たすべき役割について学べるポイントが多くあります。ぜひ有識者の皆様と一緒に、組織を強化する「共通原理」について考えてみていただければと思います。
【1】学生が重視する「会社の雰囲気」の正体とは?
1-1.「会社の雰囲気」を重視している学生の割合
2019年卒マイナビ大学生就職意識調査によると、19卒の就活生が「あなたが企業を選択する場合、どのような企業が良いと思いますか?」という質問に対して、15.1%が「社風が良い会社」と回答しました。
一方で、「行きたくない会社があるとしたら、どのような会社ですか?」という質問に対しては「暗い雰囲気の会社」と回答した学生が3割を超えると結果になりました。
このように、学生たちは特に「暗い雰囲気」に敏感で、それを感じる会社には「行きたくない」と感じるようです。
1-2.学生は企業に訪問したときに見ているポイント
学生たちが「会社の雰囲気」を重視しているのは、明白ですが、「雰囲気」とは抽象的な言葉です。
学生たちはどのように視点から「会社の雰囲気」を判断しているのでしょうか。
ここでは、初めて学生が企業に訪問したときに、見ているポイントをまとめてみました。
1.会社の立地
まずは学生のたちは、訪問する前から会社の立地を気にし、どんな雰囲気の会社かを想像します。
例えば、丸の内エリアであれば、「大企業がたくさんあり、大人な雰囲気がある」や渋谷エリアであれば、「ベンチャー企業が多く、勢いのありそう」など、立地から企業のイメージをしています。
しかし、学生たちの中でも働きたいエリアは決まっており、学生たちの間では、丸の内、大手町、霞が関エリアが人気なようです。
ここでは、「つながるオフィス」が調査した、学生たちに「働きたいエリアは?」と質問した回答結果をご紹介します。
2.オフィスの環境
訪問したときに、学生がまず見るのはオフィスの環境です。以下は学生に「オフィス環境に求めるもの」と質問したときの回答をまとめたものです。
オフィス内の清潔感を求めている学生が多くいることがわかります。社員が「うちの会社は清潔感がある」と思っていても、学生が同じように捉えるかは別の問題です。
オフィス環境が整っていないと学生から「ここで働きたいとは思えない」と感じられてしまうかもしれません。
この機会に学生が訪問したときにどう感じるかを考えながら、身の回りの改善できることから、オフィス環境を見返してはいかかでしょう。
3.社員の学生に対する態度
学生は社員の方々とお話する機会が一定数あります。企業側も学生に現場の社員と会話する中で「自社で働くイメージを明確化してほしい」と考えているでしょう。
しかし、そこで少しでも学生を見下すような態度をとると、「この人一緒に働きたくない」と思われ、志望度が下がる可能性があります。
直接のコミュケーション以外でも、選考案内のメールの内容や返信の速度、電話での対応などのコミュケーションから志望度が下がることがあるようです。
詳しい解説や具体例は次の第2章でご紹介します。
4.知人やSNS等からの噂
2020卒マイナビ大学生ライフスタイル調査によると、情報源として「最も利用しているメディア」について質問したところ、圧倒的に割合が高いのはインターネット(85.3%)だったようです。また、「最も信頼度の高いメディア」について質問したところ「インターネット」と答えた学生は21.4%でした。
このように、現在の就活生のなかでは、インターネットの情報を信じる人が一定数いるため、知らないうちに自社の「会社の雰囲気」がネット上で違った認識をされている可能性もあります。
【2】「会社の雰囲気」と志望度の変化ー具体例
「会社の立地や内装」はすぐに変えられものではありません。
ですが、オフィスの環境や社員の学生に対する態度などはすぐに変えることができ、学生の志望度に影響を与えるものも多くあります。
本章では、前述した「学生が企業に訪問したときに見ているポイント」のなかで、「会社の雰囲気」をすぐに変えられるものが、どう学生の志望度に影響を与えるのか。学生の声をいくつかご紹介します。
2-1.「会社の雰囲気」で志望度が上がった事例
- サイトに書かれた「相手が誰であれ、自分の意見を言え、それに対して誇りを持て」という社長の言葉がとても印象に残った。年齢や立場にとらわれずに、1人ひとりの個性が尊重されている職場だと感じた。
- 会社説明会で、登壇した社員の方が『全社員一丸となって○○をするのが目標だ』と話していた。その話を聞き、チームで目標を成し遂げようという決意、そして、社員の方々から感じた明るく活気あふれる雰囲気に強く惹かれた。
- 会社説明会の時に、若い社員の方々が前に出てきて「社員みんなで都内23区にそれぞれの一戸建てを建てるのが目標だ」とおっしゃっていた時に、その連帯感の強さと明るい雰囲気に心惹かれた。
良いと思った理由には、社員の学生に対する態度や言葉に惹かれたという学生が多いようです。
また、社員1人で会社のビジョンを伝えるのではなく、複数の社員で伝えることで連帯感が生まれ、より会社の雰囲気を感じとってもらえるようです。
2-2.「会社の雰囲気」で志望度が下がった事例
- 説明会で入社したばかりの社員が会社辛いって話を延々としてくるし、その話聞いて上司たちが何とも思ってないことに驚きを隠せなかった。
- 「朗報☆テストに合格して、店舗体験に参加すれば、6月役員面接の参加権ゲット!」と書かれたメールが来て、就活に対する誠意を欠いているように感じた。
- 受付のやる気がない。先輩社員の話も、表情から楽しく仕事をしていないんだなということが伺えた。
ここでも、社員の方が学生に対する態度や言葉があげられています。
学生は良くも悪くも社員の方のふるまいで志望度が変化しやすいため、学生の前での態度や学生にかける言葉は特に注視しなければなりません。
また、受付でのやる気がなく、会社の雰囲気が悪いと感じとった学生もいるようです。
【3】雰囲気が良いと思った会社5選
ここでは、先日まで就職活動をしていた筆者が「会社の雰囲気が良い」と思った会社を5社、ご紹介します。
5社とも多くの社員の方とお話する機会やオフィスも何度も訪れる機会がありましたが、あくまで初めて会社説明会に訪れた筆者の印象をお伝えします。
1.リクルート
あらゆる場面で感じる「人の良さ」
東京駅八重洲南口を徒歩2分ほど歩くと、見えてくのがリクルートの本社ビル、「グラントウキョウサウスタワー」です。
説明会の会場は24階であったので、エレベーターで上まで上がりましたが、エレベーターからは丸の内を上から眺めることができるため、今まで見たことのない風景を眺めることができ、新鮮さを味わうことができました。
会場についてからは、社員の方がとても丁寧に接してくれたことがとても印象的でした。
会社全体も社員同士や社員と学生が笑顔で会話している場面を多く見受けられ、他人を許容するような暖かい印象を受けました。
2.ディップ
アクセスの良さ、六本木を見下ろすことのできる高層ビル
東京メトロ南北線「六本木駅」から駅直結なため、駅からの近く、雨で濡れることもありません。
また31階という高層階にオフィスがあるため、ここでも六本木に街を見下ろすことができます。
待合室では、昔使っていたパソコンを地面に埋め込んでいるオブジェがあり、「dipのpassion」を感じました。
オフィスの中も、多くの机とソファがあり、社員の方がミーティングしている姿が見えました。
会議室などの一室でおこなわれる閉鎖的ミーティングだけでなく、誰もからも見える場所でミーティングできるスペースがいくつもある姿から、開放感にあふれる素晴らしい空間だと思いました。
詳しい写真は下記のリンクを参考にしてみてください。
3.メルカリ
様々スタイルで仕事可能なオフィス
六本木ヒルズ森タワーにあるオフィス。
ここでの働き方の多様さに驚きました。
窓際の「わざわざエリア」、たまには立って「スタンディングスペース」、集中BOX、みんなが自然と集まる「TATAMIスペース」など自分の働き方にあった場所で、働きたい場所で、働きたい時に働ける環境で働ける環境が整っています。
4.日本IBM
「世界」を感じられるオフィス環境
東京メトロ東西線/日比谷線 茅場町駅から徒歩7分ほど歩くと、「IBM」と大きく書かれたビルが見えてきます。敷地内に入ってみると、そのビルの大きさに驚愕し、社会に対する影響力の大きさを肌で感じることができます。
オフィスに入ると、何名もの外国人社員を目にすることから、外資系企業であることを改めて実感でます。その外国人社員の方と英語で会話する日本人の社員の方はとても輝いて見えました。
会社説明会でのプレゼンがとても印象的でした。コンサルティングファームなこともあり、他の会社を圧倒するパワーポイントの質の高さ、複雑な事例を学生でもわかりやすい説明など、これほど会社説明に感銘を受けたのは初めてでした。
また、入り口が多く、迷っていた私に、受付の方が気にかけて声をかけてくださり、とても丁寧に対応して頂いたことから、学生に対して親切な対応が徹底されていると感じました。
5.大和ライフネクスト
都心の真ん中にできた一軒家
東京メトロ「赤坂見附駅」徒歩6分ほど歩くと、ガラス張りのビルが見てきます。ビルの前には、植物が植えられており、とても清潔感を感じる外観でした。
ビル自体は大きくなく、赤坂という立地もあり、都心の真ん中にできた一軒家のように見えて、驚きました。
道に迷ってしまい、説明会開始時刻のぎりぎりに到着していまい、怒られるか不安でしたが、社員の方から「道複雑だったよね、初めて来る人はよく迷うから大丈夫だよ!」とおっしゃっていただき、とても安心しました。
【4】まとめ
企業側が「良い雰囲気会社だ」と思っていても、学生側も同様に考えているわけではありません。そこにはにはミスマッチが生じている可能性があります。
学生と企業の接点は少なく、話を聞ける社員も少ないですし、オフィス来る機会も多くありません。なので、少ない情報をもとに「この会社の雰囲気」はこうだと、自分なりに解釈し、読み取っています。
だからこそ、企業側は少ない接点に注力し、学生がオフィスに来たときどう思うか、この言葉をかけてどう思うかを考える必要があります。
「会社の雰囲気」が合うか合わないかは人によって違いますが、「暗い雰囲気がする会社には行きたくない」という点では一致しています。
「会社の立地や内装」はすぐには変えることはできませんが、学生が見ている視点がわかれば、その部分を変えることは可能です。
この機会で学生視点に立って自社を見返すのはいかかでしょうか。
【豪華ゲスト多数登壇!】変化に負けない「強い組織」を育むためにHRが果たすべき役割を考える大型カンファレンス『HR NOTE CONFERENCE 2024』
「人的資本経営」「ウェルビーイング」「DEI」といったトレンドワードが、HR領域だけでなく社会全体に拡がり始めた昨今。自社組織に漠然と"停滞感"を感じ、「うちは取り残されていないだろうか?」「何かやらないといけないのでは・・・」といった不安や悩みを抱える人事・経営者の皆様も多いのではないでしょうか。
本カンファレンスでは、HR領域の有識者の皆様に、様々な組織課題を解決するためのアプローチ方法について解説いただきます。強い組織を育む企業が実践している事例には、組織強化に必要な考え方や人事が果たすべき役割について学べるポイントが多くあります。ぜひ有識者の皆様と一緒に、組織を強化する「共通原理」について考えてみていただければと思います。