人材獲得の手段として、『紹介予定派遣』をご検討されたことはありますか?
紹介予定派遣は、「自社に必要な人材を獲得することができる採用手段」です。
今回は、そんな紹介予定派遣について整理するとともに、紹介予定派遣を利用する上で注意すべきポイントについてまとめました。
現在、紹介予定派遣を利用されている企業の方、そして、これから紹介予定派遣を利用される企業の方の参考になれば幸いです。
目次
1.人材獲得に悩みを抱える人事担当者
人材を獲得するための採用手段はさまざまあります。
求人広告の掲載や人材紹介の活用、一時的な労働力を確保するために人材派遣を利用するなど、さまざまな観点から人材サービスを活用されている企業は多いと思います。
そのような企業の中に、以下のお悩みを抱えている人事担当者はいらっしゃらないでしょうか?
【人材獲得を考える際に人事担当者が抱える悩み】
これらのお悩みを解決する採用手段が『紹介予定派遣』です。
2.そもそも紹介予定派遣とは?
紹介予定派遣とは、派遣社員が派遣先企業で一定期間の就業後に正社員や契約社員として直接雇用されることを前提としている派遣のサービスです。
派遣社員に対して事前に紹介予定派遣の求人であることを説明した上で、派遣期間終了後に双方が同意すれば、派遣先企業はその派遣社員をそのまま自社に採用することができます。
人材派遣会社が人材派遣終了後に派遣社員を派遣先企業に人材紹介するという仕組みを取っており、紹介予定派遣は「人材派遣と人材紹介の業態を組み合わせたハイブリット型」と言えます。
紹介予定派遣のルール
紹介予定派遣には、通常の派遣とは異なる特徴やルールが存在します。
派遣期間は最長で6カ月以内
通常の派遣においては、派遣期間の制限が原則1年、最長3年以内と定められています。
しかし、派遣期間終了後の採用が目的である紹介予定派遣は、通常の派遣と異なり派遣期間が最長で6カ月以内と定められています。派遣先企業は、この期間内で派遣社員のスキルや仕事ぶりが自社に適しているかを判断することになります。
また、紹介予定派遣で派遣された派遣社員は、派遣期間を試用期間として過ごします。すなわち、紹介予定派遣で採用した場合は、直接雇用後に試用期間を設けることができません。
事前に派遣社員に面接することができる
通常の派遣は、人材派遣会社主導の下で派遣社員が選出されます。そのため、実際に派遣されるまで派遣先の企業は派遣社員について詳しく知ることはできません。
しかし、紹介予定派遣では派遣先の企業が事前に派遣社員に面接をおこなうことができます。履歴書や職務経歴書の提出も義務付けられているため、派遣先の企業は派遣社員のスキルや仕事への意欲を確かめることが可能です。
正社員登用しない場合はその理由を説明する
紹介予定派遣では、派遣社員に対して事前に紹介予定派遣の求人であることを説明した上で、就業してもらう必要があります。そのため、就業前の時点では、派遣期間終了後の直接雇用が双方の同意の上にあることがわかります。
しかし、これはあくまで前提であり、派遣期間終了後に派遣先の企業が派遣社員を必ず登用しなければならないというわけではありません。
派遣社員が実際に派遣先の企業で働く中で、人間関係やスキル面での不一致などが起きた場合には、登用しない理由をしっかりと提示した上で登用しないことも可能です。
紹介予定派遣のメリット/デメリット
紹介予定派遣には、企業側に以下のようなメリット/デメリットがあります。
メリット |
コスト削減ができる
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人材のミスマッチが防げる
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デメリット |
派遣社員を必ず採用できるわけではない
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募集先が派遣登録スタッフに限られる
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3.紹介予定派遣の特徴
紹介予定派遣は、さまざまある人材獲得方法の中の1つです。その特徴をまとめると、以下のようになります。
費用 | 人材派遣料、人材紹介料 |
人材獲得期間 | 有期契約(比較的長い) |
人材の質 | 派遣社員の中から一定のスキルを持った人を選ぶことができる |
ミスマッチの可能性 | 派遣期間中に働きぶりを確認することができるため、可能性は低い |
Point 1. 費用は「人材派遣料+人材紹介料」
紹介予定派遣を利用する場合、派遣期間中の人材派遣料と正社員になることが決まった際の人材紹介料が発生します。
一見、人材派遣料がかかってしまうため、人材紹介よりも費用がかかるように感じるかもしれません。
しかし、派遣期間中は正社員として雇用した場合にかかる教育費や福利厚生費を人材派遣会社が負担してくれているため、全体の費用としては、人材紹介とあまり変わらない金額になります。
※「人材派遣料」に関して
人材派遣料は、派遣社員に支払われる賃金に対して人材派遣会社が約30%のマージンを上乗せした額に設定されていることが多いようです。上乗せされた部分には、人材派遣会社が派遣社員に対しておこなう教育費や福利厚生費なども含まれています。
※「人材紹介料」に関して
正社員や契約社員として直接雇用をすることが決まった場合、人材派遣会社に人材紹介料を支払う必要があります(成功報酬型)。人材派遣会社によって異なりますが、正社員として雇用する派遣社員の年収の約30%が相場だそうです。
Point 2. ミスマッチが起こりにくい
紹介予定派遣は、社会人向けの長期インターンシップのようなものです。
一定の派遣期間(試用期間)を経た上で採用に移るので、その他の採用方法と比べれば企業側と働く側のミスマッチは起こりにくいと考えられます。
双方の同意が無いと正式な雇用関係には至らないため、通常の派遣よりも長期的な視点で人材を獲得していく方法なのではないでしょうか。
Point 3. 仕事に対する姿勢や熱意は高い
紹介予定派遣に登録している派遣社員は、正社員や契約社員として働くことを望んでいることが多いです。そのため、比較的仕事に対する姿勢や熱意は高い傾向にあります。
また、人材派遣会社に必要なスキルや経験などをあらかじめ提示しておくことで、自社に適した人材を探すことも可能です。ピンポイントで欲しい人材を獲得することができる可能性がより高くなります。
4.紹介予定派遣を利用する際のポイント
先述したように、紹介予定派遣で派遣されてきた派遣社員が、必ず直接雇用を承諾するというわけではありません。派遣社員が職場の環境に不安を感じてしまい、直接雇用されることを辞退することも充分に考えられます。
そのため、紹介予定派遣で人材獲得を考える中では、派遣社員を受け入れる体制を整えておくことがとても重要です。
事前の面接を有効活用して人材を見極める
前述のように紹介予定派遣では、派遣社員に対して面接をおこなうことができます。そのため、スキルや資格など定量的な指標だけでなく、事前に人柄や性格などの定性的な指標でも人材を見極めましょう。
また、事前に派遣社員に対しての印象や希望条件などの情報を人材派遣会社から提供してもらうことも可能です。自社に適した人材かどうか、面接前の段階でも情報収集をしっかりとおこないましょう。
社内の受け入れ体制をしっかり準備しておく
派遣社員が仕事内容や職場環境に適応できないと、採用してもモチベーションが上がらず、早期退職につながってしまいます。派遣社員に入社したいと思ってもらえるような社内環境を整備しておきましょう。
また、紹介予定派遣の場合も通常の派遣と同様に、派遣先の責任者を選任し、派遣先管理台帳を作成する必要があります。派遣社員を直接雇用しているわけではありませんが、派遣先企業として派遣社員を適切に管理することも重要です。
人材派遣会社とも良好な関係を築く
人材派遣会社は、派遣期間中の派遣社員に対しての研修やフォローをしてくれる存在です。人材派遣会社とも良好な関係を築くことで、さまざまな部分でより細やかなサポートをしてもらえるでしょう。
適切な労働派遣契約を結び、派遣社員が働きやすい環境整備をしていくことが重要です。
わからないことは専門家に相談する
紹介予定派遣を含め、人材派遣の領域は労働者保護の観点から、労働者派遣法や労働契約法などの法律が定められています。
対応を少し間違えるだけで、法律違反になってしまう可能性があります。
わからないことはそのままにせず、人材派遣会社の担当者や法律に関する専門家に相談しましょう。
5.まとめ
紹介予定派遣は、まだ一般的にはあまり知られていない人材獲得の方法かもしれません。しかし、人材派遣会社を通すことで、今までよりも効率的に人材を採用できる可能性があります。
もし紹介予定派遣を利用するのであれば、法制度やスタッフへの対応を事前に理解しておくことが必要です。起こりうる問題を想定した上で、その後の対応がスムーズにいくように準備できるといいですね。