リフカムが開催する『採用領域特化のリファラル採用成功事例セミナー』を取材。
セミナーでは、サイバーエージェント、freeeといったリファラル採用成功企業が登壇し、採用領域ごとの解消すべき課題と成功ポイントをお話されていました。
今回はその中で、「焼き肉きんぐ」「ゆず庵」といった飲食事業を中心としたFCビジネスを展開する、青山商事グループ 株式会社globのリファラル採用の取り組み内容を記事にまとめました。
globでは、本格的にリファラル採用に取り組みはじめてまだ3ヶ月とのことですが、取り組み以前からすでにアルバイト採用比率の約半数がリファラル経由で、自然発生的にリファラルが生まれていたとのこと。
globはリファラル採用において何を意識し、どのような仕組みをつくっているのか。是非、ご覧いただけますと幸いです。
【登壇者紹介】橋本 光司 | 青山商事グループ 株式会社glob 管理部 グループ長
1998年4月に青山商事株式会社へ入社。洋服の青山にて店長を経験後、本社人材開発部へ異動。新卒採用活動に携わり、年間1,000名の面接を担当。2011年、FC事業立ち上げに伴い、株式会社globへ出向。glob創業メンバーとして、「人」に関わる全ての領域を担当している。
目次
「紙媒体では採用できなくなってきた」globの採用事情
7年前は紙媒体でアルバイト採用はうまくいっていた
橋本氏:株式会社globの橋本と申します。
実は弊社は「リファラル採用をやる」と正式に意思決定してから3ヶ月しか経っていません。ですので、その効果や結果に関してはそこまでお話できないかもしれません。
ただ、本日はリファラル採用の重要性や、リファラル採用を導入した経緯についてお話をさせていただければと思っております。
我々が展開している「焼肉きんぐ」は、1店舗当たり40名から50名、しゃぶしゃぶ食べ放題の「ゆず庵」は70名から80名程度のアルバイトを確保する必要があります。
その内訳としては、学生が高校生を含めて7割程度、主婦層の方が2割、ダブルワークの方が1割という状況になっています。
基本的にアルバイトの採用活動に関しては、今までは大手の紙媒体をメインに活用してきました。その結果として、「特に採用に困る」ということはありませんでした。
過去を振り返ると、2011年に7店舗がオープンしたのですが、入社と退社のバランスが取れていて、新店舗をオープンした分だけ、採用数が純増しています。ですので、紙媒体メインでの採用活動で割と満足できていたという現状があります。
採用市況の変化に伴い、紙媒体の割合が減ってきた
橋本氏:では、なぜそういったところからリファラル採用を考えるようになったのかというと、採用市況の変化が挙げられます。
採用の構成比を見ると、2011年の立ち上げ当初は全体のほとんどが紙媒体での採用でした。ネット経由での応募や、既存スタッフからの紹介は10%程度です。
ここから、採用のやり方を一切変えずに店舗数を増やしていく中で、徐々に媒体別の採用構成比が変わってきたことに気づきました。
2014年くらいから変わってきたように感じていますが、紙媒体の採用割合が減ってきたんです。そこで、紙媒体に変わる次なる採用手法というのを模索していたというところです。
リファラル採用のために、従業員エンゲージメント可視化は必要なことだった
橋本氏:そこから何をしたのかというと、すぐにリファラル採用に取り掛かったわけではなく、まずはネット経由での採用に着手しました。ネットといっても自社ホームページをテコ入れしました。
どういうことかというと、Indeedをどう活用していくかを考えたんです。そのためにIndeed仕様にホームページを改修していきました。これだけでネット経由での採用数が上がってきました。
2017年の実績を見ると、紙媒体からの採用割合が約15%、ネット応募が40~45%、既存スタッフからの紹介も同様に40%程度ということで、この7年間で真逆になってきています。
ここで注目すべきが、2017年当時はリファラル採用をまったく推進していないにも関わらず、その割合が半数近くもあったんです。自然発生的にリファラル採用ができていたんです。
そんな中、リファラル採用を本格的に着手するきっかけとなったのが、HRイベントでリフカムさんと出会い、お話を聞かせていただいたことです。
そもそも、もうすでに何もしなくてもリファラルの割合がすでに半数近くある中で、あえてリファラル採用支援ツールを導入するのもどうなんだろうという想いは正直ありました。
ただ、リフカムに備わっている「エンゲージメント機能」に魅力を感じました。アンケート結果をもとに社員のエンゲージメントを可視化できるものです。
地方店舗の採用数を上げていくためには、やはりリファラル採用が効果的で、そのためにエンゲージメントを高めていくことが重要だと考えていたので、「実際に自社のエンゲージメントはどうなんだろう?」と気になっていたんです。
というのも、飲食店の経営において売上アップのためにまずやらなければいけないのが人の確保です。人がいなければお店は回りません。
今も我々が店長に常々言っているのが、「とにかく人を集めよう。それが売上に直結する」ということです。
そして採用に関しては7割が学生アルバイトなので、「店長が好かれる人間かそうでないのか」というところが非常に大きいんです。
人間的に魅力のある店長のところには人がどんどん集まってきますが、逆に嫌われ店長は何をやっても人が集まりません。このような現実があります。
どの店長が好かれる店長なのか。そういったところもしっかり可視化できる仕組みがほしいと思っていたタイミングでリフカムさんと出会い、導入を決めました。
「リファラル採用が当たり前」という企業文化をつくりたい
橋本氏:今はリフカムを導入して3ヶ月ですが、ざっと120名程度の採用ができています。前年比では微増で推移している状態なので、まだ効果があったのかどうなのかは正直わかりません。
ただ、定着率という部分では変化が見られています。弊社の場合は基本的に入社して100時間勤務するまでは「研修生」という位置づけにしており、100時間をクリアすると「社員カード」をお渡ししているんです。
その中で、100時間未達の状態で辞めていく方もやっぱりいらっしゃるのですが、リファラル経由で入社してきた方に関しては、少なくとも100時間未達で辞めていくということはないんです。
いずれにしても、リファラル採用は中長期的に見たときに、この採用方法がメインになっていくのではないかと思っています。
リフカムの導入が初期投資としてもしかしたら高くつくかもしれないし、どれだけの効果があるのかはわかりません。
ただ、自力で採用できる道をつくっていかないと生き残ることが難しいと思っているので、会社の中で「リファラル採用をするということが当たり前」という文化を根付かせていくことが今は大事だと思っています。
「バイト探しはタウンワーク」「仕事探しはインディード」といったキャッチコピーのように「アルバイト採用はリファラル」となり、これが店長をはじめ社員・アルバイト全員がそう思えるような企業風土をつくりあげたいですね。
globがリファラル浸透のために実施している施策
橋本氏:リファラル採用の浸透に向けてやっていることについてお話させていただきます。
そんなに奇策・妙策をやってるわけではなく、ごく当たり前のことを地味にやっているというのが正直なところです。
店長研修の実施
まず、店長研修を定期的にやっています。全国から東京に店長が集まって会議をするのですが、その中で私がお時間いただいて「現状の採用マーケットはこうです。これからはこのように変えていく必要があります」と、今お話した採用市況の変化や、リファラル採用の重要性を毎回毎回お伝えしています。
また、実際にリフカムを導入する3ヶ月前に、準備段階としてリファラル採用についての研修を実施しました。さらに導入直前に「さあスタートするぞ」ということで、制度内容をあらためて伝えるなどもしていきましたね。
成功体験・失敗体験の共有
3ヶ月を経ったとき振り返りも実施しました。
店長が実際にリファラル採用をやってみた体験談・成功体験・失敗体験などの情報共有がメインです。
成功体験だと、実際に入社をしてきた方には初日にオリエンテーションという形式で会社説明などをするのですが、そのときに「お店にとってアルバイトの方がいかに必要なのか」というお話もします。
「ですので、是非あなたの友だちも連れてきてください」と言って、直球でリフカムのシステムをお伝えし、その場で一緒にアプリをダウンロードしてもらいます。
そうすると、ほとんどの人が誰かしら友人・知人を連れてきてくれたんです。それがこの3ヶ月やって一番効果があった施策だと思っています。
一方で失敗体験については、これは先ほどもお話しましたが、嫌われ店長の店は何をやってもうまくいかないんです。これが今、我々の一番の課題です。自分が嫌だと感じている店長に友人を紹介しないじゃないですか。
そういったお店をどうやって救っていくのか。店長を変えるという手もなくはないのですが、それをやっているといつまでも解決につながりません。
嫌われ店長を好かれる店長に育成していくために、どのような仕組みをつくっていくべきなのか。今からしっかりと考えて改善していかねばなりませんね。
ちなみに、好かれる店長は誰とでも分け隔てなくコミュニケーションをとっており、「おはよう、今日もよろしくね!頼りにしてるよ」など、どんなに忙しくても必ず全員に声をかけている印象があります。
周りを巻き込む
社長の口から社長の言葉で言ってもらうことがすごく重要だと思います。トップを巻き込むことイコール会社全体の取り組みになります。
もちろん、研修の場でも社長に出席してもらっています。社長の力を借りることは、すごく効果があると思います。
また、現場のアルバイトの方もどこまで巻き込んでいけるのかも重要です。たとえば、A4サイズのポスターをアルバイトの休憩室に貼って、そこにのせてあるQRコードからいつでも友人を紹介してもらえる仕組みをつくるなどもおこなっています。
リファラル採用は私だけが頑張ってもまったく意味がなく、現場の社員一人ひとりの意識づけ、それがすべてだと思っています。これは今後もやり続ける・言い続けることが大切だと考えています。
キャンペーンの実施
今回、秋のキャンペーンということで考えているのは、全店でリファラル採用数の競争をしようということです。
多く紹介してくださった上位10名の方にはノベルティを差し上げる、そんなイメージです。リファラル採用を楽しみながら巻き込んで実施していくこともこれからやろうとしております。
いかにそういった雰囲気をみんなでつくっていくのか、そういったことも大事だと思っています。
以上になります。
やはり、店長が好かれていて、店長に対するロイヤリティー、お店に対するロイヤリティー、会社に対するロイヤリティーが高い店舗は、特別なことをしなくてもうまくいくんです。
逆にそうでない店舗はどれだけインセンティブを積もうがうまくいきません。
このようなリファラル施策をおこなった結果、失敗する可能性もありますが、いずれにしてもこのような取り組みは一発で結果が出るものでもありません。
繰り返しになりますが、本当に長い将来を見据えた際に、早いうちに当たり前の文化を根付かせていくことが重要です。そのための今だと認識して、取り組んでいこうと思っています。