サイボウズ・i-plug・コネヒトの成長企業3社に学ぶ「採用・定着のアップデート」#ActivateHRイベント | 人事部から企業成長を応援するメディアHR NOTE

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サイボウズ・i-plug・コネヒトの成長企業3社に学ぶ「採用・定着のアップデート」#ActivateHRイベント

  • 採用
  • 採用戦略・要員計画

※本記事は、主催企業や登壇者/登壇企業に内容を確認のうえ、掲載しております。

2019年8月、パーソルテンプスタッフ株式会社、株式会社ビースタイル、株式会社リクルートスタッフィングの人材サービス3社で立ち上げた協業プロジェクト『ActivateHR』。

多様な働き方を推進し、企業の成長を支援することを目的としています。

活動の第一弾として、9月19日に「成長企業から学ぶ!“採用難”はウソ?!~採用・定着をアップデート~」と題したイベントを開催。

約100人の人事担当者が集まる中、元Chatwork株式会社のCLOでありYUGAKUDO代表を務める田口光氏による基調講演や、成長企業3社がゲストとして登壇し、「採用・定着」をテーマにパネルディスカッションを実施。

成長企業3社は、どんな方針・手法によって人材の採用・定着を成功させているのか。各社による取り組み事例やパネルディスカッションで語られた内容から、一部を抜粋してご紹介します。

採用や定着への課題感が増す中で企業が成長する人事戦略とは

冒頭におこなわれたのは、田口光氏による基調講演。

テーマは「令和に必須の採用・人材活用戦略  ~ 組織とHRの在り方はどうなる?!」。変化の時代に求められる組織とHRの在り方について講演されました。

田口 光|合同会社 YUGAKUDO 代表社員/元Chatwork株式会社 CLO

早稲田大学大学院商学研究科修了。大手人材サービス企業・エンジニアリングサービス企業にて、新規事業開発・事業戦略・上場準備・M&A・人事総務・人材開発部門経験を経て独立。組織開発コンサルティングLearning Strategy Partnersを設立。多くのベンチャー・スタートアップ企業で顧問・役員を務める。2019年5月1日より合同会社YUGAKUDOとして活動。中小企業機構/BusiNestアドバイザー 組織行動科学学会会員、人材育成学会会員 ㈳企業研究会/組織開発研究委員

田口氏は、事業戦略と採用方針について次のように提言します。

 

事業戦略にもとづく人材戦略では、採用は一つの手段に過ぎない。

事業目標達成のためにどのような組織能力とボリュームが必要かを考えれば、必ずしも採用という手段ではないかもしれません。単純に「1日8時間・週5日働ける人を○人採用する」という見積もりは安易だと思います。

都度、細かな工程設定をするのは確かに難しいのですが、採用難かつ変化が激しい今の環境においては、事業成長への人的投資の見積もりは、もっと精緻におこなうべきではないでしょうか。

正社員・週5日である必要性が本当にあるのか。見直してみれば、人的リソーシングや採用の選択肢はもっと増えるはずです』(YUGAKUDO・田口氏

 

実際、「1日8時間・週5日勤務」という常識を取り払い、「100人100通りの働き方」を打ち出しているのがサイボウズです。

人事本部部長の青野氏によると、同社では2005年頃に離職率が28%に達し、働き方改革を実施。ここ数年の離職率は5%を切っているといいます。

同社が当初導入したのは「選択型人事制度」。社員が自分の希望に合う「時間」「場所」を選べるよう、働き方を9通りに分類しました。

さらには、他社に先駆けて副業(複業)も解禁。それでも一人ひとりの希望に対応しきれず、現在は「100人100通り」に移行しています。

 

「午前中は在宅勤務、午後出社して、途中に複業で抜けます」「週3日勤務し、週2日は複業します」など、一人ひとり勤務スタイルが異なる。上司や人事部による管理はもはや不可能です。

そこで、全員が情報をすべてオープンにして「公明正大」の風土を築いています。全員が専用アプリに自分が働く時間・場所を登録し、全員がそれを閲覧できる仕組み。

自分で判断し、自立して、ビジョンに向かって行動してもらうということですね』(サイボウズ・青野氏

青野 誠|サイボウズ株式会社 人事本部部長 兼 チームワーク総研研究員

2006年サイボウズ株式会社に新卒で入社。営業やマーケティング、新規事業立ち上げなどを経験後に人事部へ。現在は採用・育成・制度づくりとチームワーク総研を兼務。2016年よりNPO法人フローレンスの人事部門にも参加し、複業中。

また、サイボウズでは「複業採用」も実施。「別の企業で働きながらサイボウズでも働きたい」という人を積極的に受け入れています。

勤務ペースも雇用形態も、本人が選択可能。数ヵ月で数百人の応募が寄せられ、「この働き方はニーズが高いと確信した」と、青野氏は言います。

 

高度な専門スキルを持つエンジニアやマーケティング人材からの応募もありました。恐らく通常の募集では来なかった人材だと思います。そんな人材を仲間として迎えられたのは、複業採用の大きなメリットです』(サイボウズ・青野氏

 

i-plugもまた、創業当初から「1日8時間・週5日勤務」に捉われない人材活用をおこなってきました。

採用を開始した頃から、「時短正社員」「在宅勤務」「フレックス(早朝5時からOK)」などの制度を設けています。現在、時短正社員制度を活用している社員は14%。

 

創業初期の知名度もなく、採用コストもかけられない会社が優秀な人材を採用できる方法を考えた結果、このスタイルに行き着いた』と、i-plug取締役 兼 CFOの田中氏は振り返ります。

田中 伸明|株式会社i-plug 取締役 兼 CFO

三重県松阪市出身。関西学院大学、グロービス 経営大学院卒。前職の株式会社グロービスでは営業として関西圏の企業の人材育成・組織開発を支援。2012年4月にグロービス 経営大学院で出会った仲間とともにi-plugを創業。新卒に特化したオファー型就活サイト「OfferBox」を提供している。

最初のきっかけは、マーケティング担当として迎えた女性です。彼女のご主人はイギリス人で、年1回・1ヵ月間、イギリスで暮らしたい。かつ、子どもがいるので時短で働きたい、というのが入社時の希望条件でした。

そういえば、自分たちの周囲を見回してみても、同世代の女性たちには、育児中のため働ける場を見つけられずに悩んでいる人が多い。

そうした人たちを受け入れられるような制度を作り、プロモーションをおこなって採用を強化していったんです。

結果、「このスタイルであれば働ける」と入社してくれた人たちが、当社の厳しい局面でも支えとなり、成長に貢献してくれた。以来、さまざまな条件の人が働きやすい環境づくりにこだわってきました』(i-plug・田中氏

「ミッションへの共感」をコアエネルギーとする採用戦略

ワークスタイルの柔軟性が功を奏した2社に対し、「共感」をキーワードに採用をおこなっているのがコネヒト。

執行役員 兼組織開発室室長の宮崎氏は、採用について「ブルーオーシャン戦略をとる」と言います。

宮崎 拓海|コネヒト株式会社 執行役員 兼 組織開発室室長

2006年株式会社リクルートに新卒入社し営業、商品開発業務に従事。その後、株式会社nanapi(当時は株式会社ロケットスタート)に取締役COOとしてジョイン。2014年、M&Aを経てKDDIグループ入り。KDDI傘下のSupership社にて組織開発、新卒採用など立ち上げ後、2016年6月よりコネヒト株式会社の組織面のPMIを担当。この時の縁から、2017年10月にコネヒト社へ出向、コーポレート部門を統括。2019年4月転籍、6月執行役員に就任。

働き方の多様化が進む中では、「なぜその企業と時間を共にするか」が問われています。私たちはその答えを「目指す目的への共感」としました。

「コネヒトのミッション・目標に共感しているので、共に働く意味がある」と思ってくれる人を迎える。それが当社の採用における前提条件です』(コネヒト・宮崎氏

 

では、どんな人がコネヒトに共感してくれるのか。同社は「ママの一歩を支える」というブランドミッションを掲げ、ママ向けQ&Aアプリ・情報サイト「ママリ」を提供しています。

サービスの提供だけに留まらず、一歩を踏み出したママを受け入れる社会を作ることにもコミットしており、社員も社会貢献へ意欲が高い人たちが集まっています。

 

内閣府による世論調査によると、「働く目的は何か」という問いに対し、「お金を得るため」という回答が半数以上、2番目が「生きがいを見つける」で、3番目に「社会の一員として務めを果たす」となっています。

3番目の回答をした、社会貢献意識が高いと見受けられる人はわずか14%ほど。この層に確実にリーチするような採用広報戦略を仕掛けています。これが、採用激戦区を避けて戦うブルーオーシャン戦略です』(コネヒト・宮崎氏

採用後のオンボーディング・成長支援は、個人の志向に沿って実施する

もう一つのテーマとして注目したのが「オンボーディング」。

オンボーディングには、「組織に新たなに加入した人に手ほどきをおこない、慣れさせる」「組織や部署のルールや文化、仕事の進め方などの教育訓練プログラム」などの意があります。

時間やコストをかけて採用しても、パフォーマンスが上がらない……という事態を避けるために、注目度が高まっています。

オンボーディングの観点から、「入社後90日間」を重視しているのがコネヒトです。

 

転職活動を通じてキャリアに向き合い、自ら選んだ会社に入社してくる人のモチベーションはとても高い状態にあります。

しかし、会社が何も支援しなければ、徐々にトーンダウンしていく傾向にあります。

会社へのエンゲージメントというのは、大体入社90日くらいで水準が決まると考えており、一旦下がった水準を再び引き上げるのは大変なので、最初の90日間、集中して支援をおこないます』(コネヒト・宮崎氏

 

支援の柱は3つ。「クイックウィンの支援」「カルチャーの理解支援」「コミュニケーション支援」です。

「クイックウィン」とは、長期視点での目標を見据えつつ、短期・中期でも成果を目指す方策のこと。素早く成果を出すことで、周囲からの信頼も集まり、自信を持って働ける環境ができあがります。

 

内定時、最初の90日間でその人に期待する目標をドキュメントで提示。そして、人事も現場マネジャーも、このクイックウィンを支えるというスタンスです。

カルチャー理解支援では、会社が歩んできたプロセスを伝える計5~6時間のプログラムを数回に分けて実施。

コミュニケーション支援では、業務に必要な情報を得るため、社内の様々なチャネルにアクセスできるようにサポートします』(コネヒト・宮崎氏

 

田口氏は、『技能的な導入研修はどの企業もおこなっているが、「個人のキャリア志向にどう沿うか」という観点が抜け落ちているケースが多い。これは離職傾向にも大きく影響する』と指摘します。

 

i-plugでは、「カスタマーサクセス」ならぬ「エンプロイーサクセス」を人事ポリシーとして掲げています。

さまざまなメンバーが揃い、多様性に富んだ環境。そこに個々の成長を掛け合わせていく必要があると考えています。

一人ひとりの自己実現や成長につながる仕組み、機会をつくって提供することに重点を置いて取り組んでいます。

社員の満足でありロイヤリティの高さがあってこそ、お客様へのサービス提供価値も高まるはずですから』(i-plug・田中氏

 

少し前、マネジメント層とメンバーのコミュニケーション量が不十分であると感じ、「一人ひとりと向き合う時間を作ろう」と制度企画に着手。

今年4月から導入した評価制度は、「評価のための評価制度」ではなく、一人ひとりの成長につなげていくことを目的に設計され、評価面談を2ヵ月に1度のペースでおこなっているといいます。

 

評価の権限は、マネジャーより下のチームリーダーに与えています。

日々、その人の仕事ぶりを一番近くで見ている人が、1on1を通じて目標や期待に対する達成度をすり合わせ、評価するスタイルにすることで評価への納得感を高めたいと考えました。

また、2者の面談で出た評価の結果はそのまま採用し、かつそれを報酬にまで反映させています。チャレンジングではありますが、社員におこなったサーベイの結果を見ると評価への納得感に改善が見えてきています』(i-plug・田中氏

 

報酬額の決定については、サイボウズでも独自の手法がとられています。

社内の給与規程・相場で判断せず、「市場価値」を見ています。「この人が転職市場に出たら、年収いくらいで採用されるだろう」ということです。

データを集めて照らし合わせたり、本人にいくら欲しいかを尋ねたりして、多面的に判断した上で給与提示をしています。

新卒入社者であっても、その段階で持っている能力で市場価値は異なると捉え、給与額は一律ではありません』(サイボウズ・青野氏

 

サイボウズでは、会社都合でキャリアチェンジを強制することもないといいます。

一方、社員は、いつでも別の部署への異動や職種転換の希望を出すことが可能。アプリに希望を登録すると、すぐに検討がなされ、異動の可否が判断されます。気になる部署があれば、3日~3ヵ月以内で体験入部制度も。

 

個人の自主性・自立性に任せて、それぞれが活躍できるスタイルを確立させています』(サイボウズ・青野氏

さいごに

イベント終盤では、参加した人事担当者からの質疑応答コーナーがありました。

「採用・オンボーディング・育成をセットで実践するために大事なポイントは?」「採用競争率が高いエンジニアのリソース確保のポイントは?」「現場から、フルタイム勤務以外の人を受け入れづらいという声が上がったら?」などの質問が寄せられました。

登壇企業からは、採用・定着・活性化のためには、事業戦略を踏まえた人事戦略が必要であるという見解が発信されました。

多様な人材を活用することがその選択肢のひとつであり、それが、優秀な人材の獲得と事業成長につながっている。

締めくくりには、「ActivateHR」協業企業を代表し、パーソルテンプスタッフ株式会社の田村氏が「人材や採用に対し、新たな価値観を提供するために情報を送り続けていきたい」とメッセージを送りました。

「ActivateHR」では、今後もイベント、セミナーなどを通じて、これまでの価値観にとらわれない、新しい働き方や働く場所などの提案を積極的におこなうことで、「多様な人材を受け入れてみたいけれど、前例がなく不安」という人事担当者や受け入れ部署の心理的な障壁を取り除き、「マインド変化」に取り組んでいくとのこと。

▼今後、開催予定のActivateHRイベントについて▼

①12月11日(水)開催予定|「採用に困らない会社」になるために明日から人事がすべきこと
  • 開催日:12月11日(水)14時30分~17時
  • 会 場:新宿マインズタワー18F パーソルテンプスタッフセミナールーム
    東京都渋谷区代々木2丁目1番1号
    JR/小田急線/京王線 新宿駅「南口」より徒歩4分

【イベント概要】
企業として人材獲得をするためには、“選ばれる会社”であることが重要で、企業風土や価値観のアップデートに人事は経営者と一緒に取り組む必要があります。

では、明日からどうするべきか。今とこれからの人材採用、人材活用において何から着手していくべきか、そのヒントと事例をご紹介。

②1月28日(火)開催予定|「企業における人材開発・組織開発を研究する」
「企業における人材開発・組織開発を研究する」立教大学 経営学部教授 中原 淳氏が登壇予定
  • 開催日:1月28日(火)14時~17時
  • 【会場】リクルートGINZA8ビル11階大ホール

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\期間限定でアーカイブ配信中!/
今、知っておきたいテーマについて豪華ゲストが詳しく解説!

▼アーカイブ配信視聴はこちらの特設サイトから▼
https://hrnote.jp/dx-action-summit-2023-archive/

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