苦労をして中途採用をおこなっても、ミスマッチを理由に早期離職する人がいることに頭を抱えている人事担当者も多いでしょう。
エントリーシートや面接だけでは応募者の本質を見抜くことは難しい場合もあります。そこで注目を集めているのがリファレンスチェックです。
本記事では、リファレンスチェックとは、実際にどのように実施されているか、また法対策やセキュリティに強いリファレンスチェックサービスについてご紹介します。
無料で気軽に!エンゲージメントチェックシート
近年、転職が主流となり、社員の定着率に課題を抱える企業が増えています。特に、GWなどの長期連休を境に、若手社員が退職を検討するケースが増加しています。
そのため、若手社員の定着率を向上させるためには、今のうちから適切にフォローしていくことが重要です。
今回、「HR NOTE」では、社員の定着率に課題を感じている人事担当者様や管理職の方向けに、【離職率改善の第一歩】エンゲージメントチェックシートを作成いたしました。
このチェックシートでは、
- 上司と部下の信頼関係はどうなっているか
- 社内コミュニケーションに問題は無いか
- 会社の方針がどの程度社員に浸透しているのか
など、社員のエンゲージメント状況を気軽に測定することが出来ます。
エンゲージメント調査は有料の調査もありますが、気軽に試してみたい、自分の部門のみ実施したいという場合には、まずは無料でできるものがおススメです。
是非、本資料をご活用ください!

1. リファレンスチェックとは
企業は、求職者から提出してもらった応募書類の内容をもとに採用活動をおこないます。
しかし、応募書類の内容と事実が異なった場合、仕事にも影響が出る可能性があります。また、企業側からの期待と実際の実力の差があり、働きづらくなり、早期離職するケースもあります。
このように応募者が提出した書類が事実と合っているかを確認せず、採用することには大きなリスクを伴います。そこで注目を集めているのが、リファレンスチェックです。
1-1. リファレンスチェックとは
リファレンスチェックとは、書類に書かれている職務遂行能力や性格などが事実と合っているかを確認することです。特に欧米や外資系企業で盛んにおこなわれています。
具体的には、前職の上司や同僚に、応募者の業務実績や人物像などを確認します。
応募者の言葉だけでなく、第三者にこれまでの仕事内容や人柄を確認することで、書類や面接時の姿と実際の姿とのギャップを減らし、採用リスクを低減させるのが主な目的です。
リファレンスチェックの具体的な流れは、下記の4ステップになります。
【リファレンスチェックの流れ】
- 応募者に対してリファレンスチェックの目的および実施することを伝える
- リファレンスチェックを実施することに対する承諾を得る
- リファレンス先を決める
- リファレンスとなってくれる人と連絡を取り、応募者について、職務遂行能力や人柄について情報を調査する
リファレンスチェックは通常内定前後(オファーレター前後)に実施することが多いです。
「リファレンスチェックで選考に落ちる」というケースは少数ですが、経歴詐称や重大なトラブルを起こしていたことなどが見つかった場合は、合否に関わるケースがあります。
また、リファレンス先の探し方は大きく2通りあります。
1つは自社で探す方法。もう1つは応募者に提案をしてもらう方法があります。一般的には前職の上司2名に依頼することが多いようです。
1-2. リファレンスチェックの具体的な質問例
リファレンス先の人選だけでなく、「リファレンスチェックでどのような質問をするか」も重要です。
リファレンスチェックしてくださる方も通常の業務をしながら対応することになるため、多くの時間をとってもらうことは難しいです。短時間でいかに必要な情報を得るかが重要です。
ここでは、実際に過去に使われた質問内容をご紹介します。
- 応募者との関係性を教えてください。
- 一緒に仕事をしたのはどれくらいの期間でしょうか?
- 応募者は前職でどのようなお仕事をしていましたか?
- リーダーシップを発揮しましたか?その結果、どのような影響を及ぼしましたか?
- 仕事上でよい変革をもたらしたか?具体的な例があれば教えてください。
- 応募者の長所および短所を教えてください。
- 職場でどのような人でしたか?人間性を含めて教えてください。
- もう一度一緒に働きたいと思いますか?回答に対する理由も教えてください。
- 個人、チームどちらで働くことに適していると思いますか?
- コミュニケーションをとることはできていましたか?
- 部下がいた場合、部下の教育はできていたでしょうか?
- 問題解決能力や決断、決定力はありましたか?
- 今後、改善すべき点はありますか?
質問する際に、期待している回答を考えておくと効率が良くなります。
仮に期待と異なる回答が返ってきたときに「なぜそうなったのか」について聞くこともでき、さらに深く応募者のことを知るチャンスとなります。
1-3. リファレンスチェックと前職調査の違い
リファレンスチェックと似た調査として前職調査というのがあります。
先ほどの質問事例からわかるように、リファレンスチェックは、人間性や職務遂行能力、コミュニケーション能力に関する質問が中心です。
それに対して前職調査とは、主に経歴に偽りがないか、金銭的なトラブルがないかなどの質問が中心です。
従来、応募者が働いていた企業に直接問い合わせをおこなっていました。しかし、現在は、個人情報の保護に関する法律の整備が進んだため、個人情報を入手するのが難しくなりました。その結果、前職調査は減っています。
1-4. リファレンスチェックを実施するメリット
リファレンスチェックは社外の人に協力してもらう必要があります。
そこまで手間をかけて、チェックスするメリットはどのようなものがあるのでしょうか?リファレンスチェックを実施する3つのメリットをご紹介します。
公正な選考をおこなえるため
履歴書に記載されている内容に虚偽があると、公正な選考を実施できません。リファレンスチェックによって応募者の経歴や職歴に虚偽がないかを確認することは、公正な選考につながります。
また、応募者に関する情報が増えれば、より公正な判断を下せることができるようになります。
応募者を多角的、客観的に吟味できる
エントリーシートや面接は、あくまでも応募者本人によってアピールがおこなわれるため、応募者の主観的な要素が強くなってしまいます。
応募者にリファレンスチェックを実施することで、前職の上司などから、客観的な視点で応募者の能力や人柄を多面的に把握できます。
その内容と面接官の印象とを合わせることで、応募者の姿をより正確に見極めることができるようになります。
ミスマッチの防止
下の表をみるとわかるように、ミスマッチは「労働条件」「人間関係」「仕事内容」が原因で起こりやすいです。
そのうち、「人間関係」と「仕事内容」に関しては、リファレンスチェックによって防止できる可能性があります。
参考:『独立行政法人 労働政策研究・研修機構』資料シリーズNo.171
リファレンスチェックでは、応募者の価値観や職能、人間関係の築き方などについてを客観的な視点から把握することができます。
これらの情報があれば、応募者が自社の社員と融和性があるか、どのような仕事が適任かをより判断しやすくなるはずです。
さらに、前職の人との関わり方がわかれば、どのような人と仕事をさせたらいいのかがわかり、最適配置につながります。
また、本来は会社との価値観等がマッチしないのに、面接の場面では普段の自分と異なる姿を演じたため生じるミスマッチの予防にも、リファレンスチェックは有効でしょう。
2. リファレンスチェックの活用
これまで、リファレンスチェックの内容についてお伝えしてきました。
では実際に、リファレンスチェックを活用することは、中途採用のどのような悩みを解決してくれるのでしょうか。
2-1. 価値観の違いにより、早期離職が起こりやすい
人材不足が社会問題となっている現在、採用にはさまざまな悩みがあるでしょう。中途採用においては、「応募者が少ない」「希望した人材が集まらない」といった悩みがあげられます。
そのような状況で、苦労の末、人材の採用に成功したにも関わらず、早期離職されてしまうことも少なくありません。実際、新卒の入社3年以内の離職率は3割なのに対し、中途採用では5割です。
【参考】中途採用後のケアは大丈夫? 転職者の定着率を上げるために大事なポイント
早期離職は採用や教育にかけたコストが無駄になるため、企業にとって致命的な問題です。中途採用者が早期離職する原因として価値観のミスマッチがあげられます。
前職と同じような業務であったとしても、会社によって仕事の進め方や、目指しているビジョンは違うケースが多いでしょう。
そのため、単に仕事で専門のスキルをもっているだけでは、即戦力として会社の利益に貢献することはできません。
採用の段階において、自社の仕事の進め方や価値観とマッチするかを見極めなくては、早期離職を防ぐことはできません。
2-2. リファレンスチェックの活用
これまで価値観のミスマッチによる早期退職に悩んでいた人事担当者に注目されているのが、リファレンスチェックです。
先ほどもお伝えしたとおり、リファレンスチェックは応募者の職務遂行能力だけでなく、価値観や人間関係の築き方、コミュニケ―ション能力まで応募者本来の姿を知ることができます。
そのため、自社の価値観、期待する人物像とマッチするかどうかを判断しやすくなります。
その結果、採用時の価値観のミスマッチを減らすことができ、早期離職を防ぐことができるのです。
3. リファレンスチェックの注意点
近年、個人情報の管理に注目が集まっており、いかに個人情報を保護するかが重要となっています。そのため、個人情報保護法など法令に違反しないように実施する必要があります。
違法になるケース
リファレンスチェックは、正しく実施しなければ、違法になります。
2005年に施行された個人情報保護法により、第三者に個人情報を提供する際は、下記の条件を満たすことが必要になりました。
- 本人から「事前の同意」を得ること。
- あらかじめ、本人に個人データを第三者に提供することを通知、または認識できる状態にしておき、本人が反対しない限り同意したものとみなす。
このように個人情報保護法によって、本人の同意なしで個人情報を提供することは禁止されているため、リファレンスチェックも本人の同意なしでおこなうと個人情報保護法に抵触して違法となります。
そのため、自社でリファレンスチェックするときには、手順に気をつけましょう。
4. 法対策やセキュリティに強いリファレンスチェックサービス6選!
応募者の個人情報を扱うリファレンスチェックは、専門的な知識がない方が実施すると「知らずしらずのうちに個人情報保護法を違反していた」といった事態になりかねません。
そこで、「リファレンスチェックに特化したサービス」を利用すれば、安心して応募者の情報が正しいかどうか確認することができます。
本記事では、企業のリファレンスチェックを支援する6つのサービスをご紹介します。
ネンタメ | 月額1万円で使い放題のオンラインリファレンスチェックサービス
【特徴】
- 【業界最安】初期費用なし・月額1万円で使い放題
- 平均3日程度のスピード回答・業界最高水準90%以上の高い回答率
- 英語でのリファレンスチェックも可能なため、グローバル人材の採用にも対応
back check(バックチェック) | オンライン完結のリファレンスチェックサービス
【特徴】
- オンラインで手軽に実施できるため、短い期間で、高い回答率のリファレンスチェックが可能に
- 書類選考や面接だけでは分からない、採用候補者の経歴や実績に関する情報をレポートとして集計できる
- 個人情報保護法に遵守した設計になっており、実施に経験がない、利用方法や運用に不安がある方にも、簡単な操作で利用できる
TASKEL(タスケル)|リファレンスチェックを第三者機関(セカンドオピニオン)に依頼できるサービス
【特徴】
- ネガティブな身辺調査ではなく、採用予定者への前職での評価や魅力、退職理由をしることができる
- 1名から利用できるプランがある
- SNSを中心に、webに関する風評のみを、調査するプランがある
MiKiWaMe (ミキワメ)| リファレンスチェック・WEB風評被害サービス
【特徴】
- 初期費用無料、1件2万円とリーズナブル
- 弁護士監修のもとコンプライアンスを遵守しているため安心して利用できる
- ウイルスのリスクや無数にある情報からピンポイントで情報をピックアップできるネット監視システムを用いた業界トップクラスの技術力を持つ
リファレンスチェックサービス|ヘッドハンティングのジーニアス株式会社が代行
【特徴】
- ヘッドハンティング・エグゼクティブサービスの一環として提供
- 客観的な調査レポートに加えて、採用のプロフェッショナルがインタビューすることにより、採用予定者の能力・状況をレビューすることが可能
- 「思考/遵法チェック」「生活/経済チェック」「職務遂行能力チェック」など、豊富な調査項目がある
oxalis(オキザリス)|オンライン自動リファレンスチェックサービス
【特徴】
- 採用予定者へのリファレンス提出依頼や推薦者へのリクエスト、お礼からフォローアップまで全てオンラインで完結する
- 求職者は、面接だけで表現しきれなかった自分の資質を、第三者からアピールしてもらえる
- 提出されたリファレンスシートは、しっかりとセキュリティ管理されたoxalisサーバーに保存される
5. まとめ
人材不足が社会問題となっている現在、中途採用が盛んにおこなわれています。しかし、中途人材を採用したとしても、早期離職されるケースが多く、悩んでいらっしゃる人事担当者も多いかと思います。
早期離職の要因の一つとされているのが、価値観のミスマッチです。この価値観のミスマッチによる早期離職を防ぐ手段として、リファレンスチェックがあります。
リファレンスチェックは、エントリーシートや面接だけではわからない、前職などでの職務遂行能力やコミュニケーション能力、適用力などを前職の上司や同僚から知ることができ、価値観が自社とマッチしているかを確認できます。
従来の採用方法や対策で中途採用の早期離職を防げない場合、リファレンスチェックを導入してみるのも、解決策になるかもしれません。
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