こんにちは!HR NOTE編集長の根本です。
今回、株式会社オールアバウト、株式会社ガイアックス、株式会社モバイルファクトリーの3社が合同で実施する「シェア研修」についてご紹介。
シェア研修とは、毎年4月に約1ヶ月間、各社の新卒たちが集まり、一緒になって研修をおこなうというものです。
本記事では、シェア研修をはじめた背景や目的、具体的な内容、実施メリットなど、シェア研修の魅力について余すことなくまとめました。
是非、ご覧いただけると幸いです。
目次
開催は今年で7回目!シェア研修の概要について
シェア研修は、「インターネットビジネスに関連する企業」が集まって毎年実施されている新卒合同研修で、今年で7回目の開催となります。
参加企業はその年によって変わり、2018年の今年は以下3社で実施。
シェア研修の期間は約1ヶ月。その間に新卒に考えてもらいたいのは「インターネットで社会を支える一員になったことの意味」ということです。
インターネット時代のリーダー、ビジネスパーソンが持つべき原理原則とは何か?それを体現することを大きな目的としてシェア研修は実施されます。
3社合同で実施するため、当然職種はバラバラです。総合職の方もいれば、エンジニア職の方も参加しています。それぞれの社風、新卒のカラーも違っているため、その分多くの気づきや視点を持つことができます。
シェア研修の狙いは、「仮想同期」をつくってもらいたいから
もう少し、シェア研修を実施する背景について、深掘りしていきたいと思います。
「井の中の蛙」を飛び出した、次世代のリーダーをつくりたい
通常、新人研修は「自社にとって最適化した人材」に育成するために実施されます。
しかし、社会の変化が激しくなっている昨今、自社だけに最適化した人材を育成したとしても、これからの社会で通用することができるのか。会社の業績に大きく貢献することができるのか。
不安定で、不確実で、複雑な時代になってきており、自社での研修だけ受けていても「井の中の蛙」になってしまう可能性も否めません。
そのため、社会人として最初のフェーズとなる新人研修から「大海」を見せたほうが、より社会で活躍できる人材になれるのではないかという考えが根底にあります。
1社だけで活躍する人材になってほしくない。どこでも通用できる人材になってほしい。広い視野を持ってほしい。そのような想いから、シェア研修は生まれています。
他社の新卒と交流をはかり、「仮想同期」をつくる
上記のような人材に成長するために、他社の新卒と交流する機会をつくり「仮想同期」をつくってもらうように促していきます。
自社の同期のみの交流だけでは視野が狭くなりがちですが、「仮想同期」として会社を超えたつながりが生まれることで、多くの気づきを得ることにつながります。
たとえば、「自社のカラー」が理解できます。アツさ全開の新卒がそろった会社もあれば、控えめなロジカル新卒が集まった会社など、さまざまあります。
「自社の中だけで見ると、自分は異色でなんで採用されたのか不思議だったけど、他社と比べると自分は自社の同期たちと同じ属性だ」「自分たちのカラーってあるんだな」と、自社の社風やカルチャーの理解促進につながります。「自分がなぜこの会社に採用されたのか」腹落ちするようになります。
今回の取材を通して、「本当に各社で新卒のカラーはまったく異なるな」と感じました。
また、他社の社員と一緒に研修を実施することで、単純に緊張感が生まれ、刺激になります。
ちなみに、過去のシェア研修でつながった仮想同期たちは、自社を飛び越え各業界で活躍しており、いつまでも横のつながりがあるとのこと。そのような関係がいつまでも続くのは非常に良いですね。
シェア研修は、人事同士の交流にもなる
シェア研修は、新人の育成貢献はもちろん、人事の方にとっても非常に意味のある場となります。
多様な研修を用意することができる
まずは、自社で実施する研修よりも中身が濃いものになりやすいという点です。各社のノウハウを持ち寄って企画するために、多様なコンテンツが盛りだくさんになります。
各社の代表や、活躍しているメンバー、つながりのある著名人に登壇してもらうなど、さまざまな方の話を聞く機会が豊富にあります。
採用した新卒のお披露目会
そして、このシェア研修は採用担当からすると、「新卒のお披露目会」だと言います。
「他社はこういうカラーの人を採用しているんだな」「ああいうタイプの子はウチでも活躍しそうだな」など、各社の新卒の雰囲気がわかるため、互いの採用成果が見えるとのこと。
比較対象が生まれることで、自社の採用活動を振り返ることができ、「もっと頑張らないと」と、危機感を覚えたり、励みになったり、多くの刺激を受け、採用担当としての視野が広がることにつながります。
また、シェア研修を通して、人事同士で情報交換をしています。たとえば、2019年度の採用状況や2020年度のインターンシップの計画など、お互いが今抱えている悩みや課題を相談することができます。
シェア研修の内容を紹介|実際に何をしているのか?
それでは続いて、実際にシェア研修でおこなっている内容を簡単にご紹介していきます。
1、ビジネスマナー研修
まず、やはり最初はビジネスマナー研修。ここははずせません。
「ビジネスマナーとは何か」からはじまり、あいさつの仕方、敬語の使い方、名刺交換、来客訪問、電話対応など、ビジネスマンとしての基礎を学びます。
今年のビジネスマナー研修のコンセプトは、「思いやりをもって相手に接する」。
相手への気遣いを持って欲しい。その場でその場で相手を思いやった対応ができるようになってほしい。そのようなメッセージを発信していきます。
シェア研修では、総合職やエンジニア職といったように、「違ったタイプの人材」とやりとりできます。また、他社の社員や人事がいることで、馴れ合いにならずにいつも以上に緊張感が増す、といった効果もあるようです。
2、ミッション・ステートメント研修
「ミッション・ステートメント」とは、端的に言えば、自分の人生における信念やモットーをあらわすものです。これを企業におきかえると、「企業理念」「行動指針」などに該当すると思います。
ミッション・ステートメントは、世界的ベストセラーで、共通の成功法則について書かれている「七つの習慣(スティーブン・R・コヴィー著)」でも、取り上げられています。
スティーブン・R・コヴィーは、自著の中でミッション・ステートメントについて、以下のように述べています。
目的を持って始める最も簡単で大きな効果をもたらす方法のひとつは、ミッション・ステートメントを書くことである。そのなかで自分はどうなりたいのか、何をしたいのか、そして、自分の行動の基礎となる価値観や原則を明らかにするのだ
この研修では、「7つの習慣」にもとづきながら、ミッション・ステートメントの重要性を学びます。
これまでの経験や価値観を振り返り、その内容をグループで共有していきながら、自分自身の今後のミッション・ステートメントを作成していきます。
ミッション・ステートメント研修は、3日間にわたりおこなわれます。
最後には、各自のミッション・ステートメントと、そのためのアクションプランを作成し、全体に向けて発表します。
お互いの過去や未来を共有することで、同期同士の理解促進、信頼関係の醸成にもつながります。
3、マインドフルネス研修
Googleも取り入れているという「マインドフルネス」。ここでは、マインドフルネスの重要性や実践方法について学んでいきます。
このマインドフルネス研修は、今年だけの特別なもので「リプトン ポジティブアクション」とのコラボレーションで実施されています。
ユニリーバ・ジャパンが展開する紅茶ブランド「リプトン」による、前向きに頑張る人を応援する活動で、今回はその一環として、「新入社員を応援しよう!」と、シェア研修にお越しいただいたとのこと。
マインドフルネス研修の講師は以下の2名。
- 久賀谷亮氏:アメリカ神経精神医学認定医/著書「世界のエリートがやっている最高の休息法」
- 島田由香氏:ユニリーバ・ジャパン・ホールディングス株式会社 取締役人事総務本部長
今回は、リプトンとのコラボレーションのため、紅茶を使ったマインドフルネスも実施されていました。このように著名な方をお招きし、普段できない経験ができるのもシェア研修の特徴かもしれませんね。
4、非エンジニア向けのプログラミング研修
こちらの研修はおもに総合職向けに実施されるものです。
実施理由としては、今後の業務において、エンジニアと円滑なコミュニケーションを取れるようになることを目的としています。
営業活動をして受注した案件に対し、エンジニアの観点から考えられるようになること。エンジニア・顧客との共通⾔語を持つこと。エンジニアの思考を学ぶこと。そういったことを理解できるようになるため、基礎的なシステム開発スキルの習得をしていきます。
プログラミング研修は、5日間で実施されます。
5、他社紹介研修
仮想同期にヒアリングし、ヒアリングした内容をもとに他社人事に他社紹介をしてもらう、という研修です。
ヒアリング力とそれをアウトプットする力が求められます。
また、反対にヒアリングされる側は自社のことを他社の同期に説明をしなければならないため、自社への理解も重要となります。
たとえば、モバイルファクトリー社員が仮想同期のオールアバウト社員にオールアバウトについてヒアリングし、オールアバウト人事に向けてオールアバウトの紹介プレゼンをするというイメージです。
6、自社紹介研修
「自社の魅力を伝える」というテーマのプレゼンテーションを実施していきます。
まずは、各社ごとに予選を展開。そして、各社から勝ち抜いた1グループが選出され、計3グループで決勝をおこないます。
プレゼンテーションの準備風景を見ていると、各社の新卒のカラーがそれぞれ違っていて非常に面白かったです。今回は、自社紹介研修について詳しく取材させていただきましたので、詳細にまとめてみました。
ホワイトボードを持ち出して、全員が立ちながら熱く議論をしているグループ。
あまり会話をせずにそれぞれがパソコンを見て作業をするグループ。おそらく、Slack上でものすごく多くのやり取りがされているはず(笑)。
向かい合って席をつくり、議論を交わしていくグループ。上記2グループの中間といったイメージでしょうか。
各社ごとに予選を実施!
各社にわかれ、新卒の方々が人事に対して、真剣にプレゼンをしていきます。
プレゼン後に、人事からフィードバックが返ってきます。
「業務内容は理解できたけど、魅力が1ミリも伝わってこないね」
「結局、一番は何が言いたかったのかがわからない」
「他社との違いって何?」
「事業のマーケット規模とそれぞれの競合はどうなっているか理解できている?」
「それってうちじゃなくても言えることじゃない?」
「ちゃんとプレゼンのシミュレーションの準備できた?」
上記のように、各社の人事から非常に厳しいフィードバックが飛び交ってました。
各社から代表を決め、いよいよ決勝へ!
予選が終わると次は決勝です。決勝では、なんと特別ゲストの審査員が登場。
【審査員紹介】
- ログミー株式会社 :代表取締役 川原崎 晋裕さん(写真右)
- 株式会社PR Table:取締役/共同創業者 菅原 弘暁さん(写真左)
まずは、モバイルファクトリーの新卒チームによる発表。
次に、オールアバウトの新卒チームが発表。
最後にガイアックスの新卒チームです。
ここでも、特別審査員からの鋭いツッコミが・・・!
「自社のサービスで誰が幸せになっているかおしえてください」
「なぜそのようなビジョンをつくったんですか?」
「どのようにブランドをつくりあげていこうと思っていますか?」
「サービスの信頼性の担保をどのようにしているのですか?」
「本当に社内ではそのような文化をつくれているのですか?」
あえて厳しいフィードバックをするようにと言われていたみたいですが(笑)、予選よりも厳しいフィードバックが満載でした。
決勝を終え、栄えある優勝は・・・?
決勝を終えて、いよいよ結果発表・・・。
今回の優勝は・・・モバイルファクトリーの新卒チーム!
モバイルファクトリーは、この7年間、毎年シェア研修に参加しているとのことですが、なんと今回が初優勝とのこと。歴史的な瞬間に立ち会えました。
シェア研修で新卒に起こる変化とは?
シェア研修を実施することで、新卒にどのような変化が見られるのか。
ガイアックス人事の流 拓巳さん(写真左)と、オールアバウト人事の井上 美里さん(写真右)にお話をお伺いし、その声をまとめてみました。
なんとお二人とも2017年度入社の新卒で、去年はこのシェア研修にも参加していたとのこと。新卒側と人事側の両方でシェア研修を経験されています。
シェア研修に参加した新卒の声
まずは、シェア研修に参加した新卒の声についてまとめてみました。以下のような感想が挙がっているとのこと。
- さまざまなタイプの優秀があることに気づいた。自社の中で持っていた“優秀”は、その中の一つの定義でしかない。
- この研修があったから、さまざまな人と関わる重要性を感じ、外部交流にいくようになりました。
- あらためて一年を振り返った後に全部意味があったと感じた。
- シェア研修があったから、自社以外の仮想同期と集まる機会が増え、お互いに情報共有を実施している。
- 他社の先輩社員やスペシャルゲストを呼んでくれ、他社の考えや著名な方の意見など、多くのスキルを学べる機会だった。
シェア研修参加後に新卒にどのような変化が見られたのか
では、実際に新卒にどのような影響を与えることができたのか。共通して見られる変化は以下になります。
- 横のつながりができて、主体的に外部交流するようになった。
仮想同期同士で、定期的にライトニングトーク(LT)会を実施しているとのこと。今、自分が取り組んでいること、勉強していることなどを互いにプレゼンしています。- 自社の同期だけでなく、他社の仮想同期もライバル視するようになり、より幅広く、高い視点を持って仕事に取り組んでくれるようになった。
- 会社によって特徴が違うことに気づき、自分たちのカラーを意識するようになった。
- 他社の事業やカルチャーを理解することで、あらためて自社の良さに気づくようになった。
最後に
いかがでしたでしょうか。
今回、シェア研修に参加させていただき、新卒の方々にとっては本当に多くの価値観に触れることのできる有意義な時間になったのではないかと思いました。
どのような研修を実施するのか、各社の目的に応じてさまざまな方法がありますが、自社の研修だけでは物足りない。もっと違う研修を取り入れてみたい。さまざまな視点を身に着けてほしい。
そのようなことをお考えの際は、各社で集まってシェア研修を実施することは非常に面白い試みだと感じました。