「もう一度、創業期に戻ろう」自分ごと化で前進する組織をつくる3つの指針とは|組織のDNA Vol.6 | 人事部から企業成長を応援するメディアHR NOTE

「もう一度、創業期に戻ろう」自分ごと化で前進する組織をつくる3つの指針とは|組織のDNA Vol.6 | 人事部から企業成長を応援するメディアHR NOTE

「もう一度、創業期に戻ろう」自分ごと化で前進する組織をつくる3つの指針とは|組織のDNA Vol.6

  • 組織
  • 企業文化・組織風土

※本記事は、インタビューを実施したうえで記事化しております。
※本記事は株式会社JAM(JAM Inc.)の「コラム」より転載しております。

成長企業で組織づくりへのこだわりを持つ社長に、同じく成長企業で組織づくりにこだわりを持つ社長をご紹介いただく「組織のDNA」。

Vol.6は株式会社ポジティブドリームパーソンズ杉元社長からご紹介をいただき、株式会社クロス・マーケティンググループ 五十嵐社長に組織づくりのこだわりをお伺いしました。

【豪華ゲスト多数登壇!】変化に負けない「強い組織」を育むためにHRが果たすべき役割を考える大型カンファレンス『HR NOTE CONFERENCE 2024』

「人的資本経営」「ウェルビーイング」「DEI」といったトレンドワードが、HR領域だけでなく社会全体に拡がり始めた昨今。自社組織に漠然と"停滞感"を感じ、うちは取り残されていないだろうか?」「何かやらないといけないのでは・・・といった不安や悩みを抱える人事・経営者の皆様も多いのではないでしょうか。

本カンファレンスでは、HR領域の有識者の皆様に、様々な組織課題を解決するためのアプローチ方法について解説いただきます。強い組織を育む企業が実践している事例には、組織強化に必要な考え方や人事が果たすべき役割について学べるポイントが多くあります。ぜひ有識者の皆様と一緒に、組織を強化する「共通原理」について考えてみていただければと思います。

1|成長への貪欲さを忘れないための組織づくり

五十嵐さん組織づくりでは、成長に対するこだわりを一番の根幹においています。

僕らは今、「もう一度創業期に戻ろう」という取り組みをしています。今、規模的には売上約200億円、社員約2,000名なので、外からの見え方としてはベンチャー企業ではなくなってきていると思います。

既存社員も新規社員も、経営陣から「うちはベンチャー企業だから」と言っても、ベンチャー企業と感じにくい。

それによって、クロス・マーケティンググループとして保ちたい「成長のスピード感」についての認識にずれが出てきていて、目指すべき基準を目指せなくなっていることが問題だと思っています。

加えて、現在グループ会社がグローバルで約30社あり、多様性のある組織になっています。半数はM&Aでグループ会社として加わった企業で、30カ国以上の国籍の社員がいます。

各社の企業ステージも、年齢、国籍も異なることで価値観はバラバラです。それをどう統合していくかというのが、ここ2〜3年の経営課題になっています。

しかし、会社として創業期のような成長に対する貪欲さは大切にしたい。組織が大きくなるといつの間にか「誰かがやってくれる」という感覚が生まれていて、もっと一人ひとりが自分事化して前進する組織づくりをしたいと思いました。

そこで、おこなったのがMission・Vision・Road of Growth(行動指針)の作成です。

以前にも企業理念をつくったことはあったのですが、多様性を加味すると、どんどん抽象度の高い表現になって言葉がぼやけるという課題感がありまして、集合知から寄せ集めるとノンポリシーになることに気がつきました。

創業期って、ゼロから物事をつくりますよね。それであれば「今こそもう一度創業期を」ということで僕に対してCFOにロングインタビューをしてもらいながら自分でつくることにしました。

このプロセスは、聞き手の役割が非常に大事で、会社の歴史を知る人に言葉尻をえぐり切ってもらうことが大切だと感じました。

「あの時、五十嵐さんはああ言っていたが、この時はこう言っていた、そのギャップは何なのか?」「あの時の決断は何を優先しての決断だったのか?」など、具体的な事例について質問をしてもらうことで、適切な言葉が紡ぎ出されてMissionをつくることができるのだと構築しながら感じました。

そういったロングインタビューを重ねて半年間かけて作成しました。

1-1|Mission  Discover Something New. 未来をつくろう

五十嵐さんこれは今後ずっと変わらないこととして掲げました。僕らは総合マーケティング会社として、世の中に対して新しいものを提供する存在でありたいと考えています。

新規事業であったり、新サービスであったり、世の中を変えるきっかけだったり、そういった新しい価値をつくる存在としてこのMissionを掲げることにしました。

1-2|Vision  Just go for it! やればいいじゃん」

五十嵐さんベンチャー企業で働きたい人は、自分でやりたいことがあって、それをやってみたい、早くやってみたいという思いで入社する人が多いと思います。

でも組織が大きくなってくると、稟議の煩雑さであったり、組織の大きさに萎縮してしまったり、そもそもやりたいことをやっていいのか分からなくなってくることが多くなると感じています。

当然、内部統制は必要なことなのですが、社内の仕組みというのは「やってみよう」とすることを制限する仕組みではないということを大々的に宣言して、むしろ「やればいいじゃん」と推奨していることを伝えたいと思い、このVisionを掲げることにしました。

■Road of Growth(行動指針)

・自分たちのチームは、自分たちでつくる
・仲間は全力で支えろ、そして裏切るな
・挑戦した上での失敗は許容する
・チャンスは待つな、自らつくれ
・未来を恐れず、挑戦しろ
・ジブンゴトで考え、ジブンゴトで動け
・自滅するな、自分の未来は自分で創れ
・仕事に夢中になれ、一流を目指せ
・結果から逃げない
・スピードは常にマックスで
・調整よりも推進しろ

五十嵐さん普通行動指針って行動に言及しますよね。でも今回つくった行動指針は、成長するための信念・考え方・行動だけに限定しているんです。

そして、上記の言葉についての解釈に多様性が生まれないよう、それぞれの言葉を説明する文章をつけていきました。あと、結局覚えきれない言葉は絶対定着しないと思っているので、強くて覚えられる言葉でつくることに徹底的にこだわりました。

行動指針の内容をお伝えしますと、例えば「挑戦した上での失敗は許容する」というものがあります。

みんな失敗って恐れますよね。でも、この行動指針で失敗を許容すると明言しているので、周囲から反対される理由はなくなります。たとえ、上司が反対したとしてもです。

失敗の中身が企画力の問題であれば、アドバイスや指摘は入ると思いますが、それを通過したものに関しては失敗を許容します。そもそも失敗を恐れてもしょうがないという考え方を大切にしたいと考えています。

ほかに「仕事に夢中になれ、一流を目指せ」というものもあります。

社員に、仕事に夢中になってほしいんです。大変だね、頑張っているねという言葉ではなくて、仕事に夢中な人が増えたらいいと思っています。

頑張っていると苦労している感じが出てしまうのですが、夢中な人は本人が楽しくて仕事をしているのでやらされ感もありません。仕事を頑張れとは言いたくないんです。夢中になって、一流を目指して欲しいと思っています。

このMission、Visionを公開して半年ほどなのですが、早速効果を感じていて、Mission、Visionを掲げることの重要性を改めて感じています。

具体的には「やればいいじゃん」というVisionに背中を押されるように一部社員の動きが加速していきました。

やりたいことを止める理由がないので、やりたいことのある人がどんどん動くようになっていて、今後もっとその動きを加速させていきたいと考えています。

どちらかというとこういった思考は、男性色が強いのかもしれませんが、そこはサブシステムを作って解決していきたいと思っているのと、今後の課題はMission・Vision・行動指針浸透プログラムを開発して、さらに浸透をはかっていきたいと思っています。

2|事業づくりを任せて人を育てる。そして組織文化は、トップ人材が引き上げる。

五十嵐さん「成長」へのこだわりとは別に、組織づくりをする上で大切にしているのは「やりたい人には任せて人を育てる」というこだわりです。

サービスやプロダクトは2〜3年以内になくなることも多いですが、「人」は唯一なくならないものだと思っています。

学生時代から団体競技が好きで、人と戯れて何かを生み出すというプロセスが好きなんです。それと、僕がVC(ベンチャーキャピタル)で働いていたこともあって、新しいものを生み出す人をとにかく支援したいという思いがあります。

その方法として、会社・事業をつくりたいという人には任せるようにしていて、最近では孫会社を増やしています。

今後、市場が拡大する可能性がある領域で、社内メンバーが協力できる範囲内の飛び地であれば業種を問わず任せます。

今まで任せてきてどういった人がうまくいっているかと考えると、以下の3つの条件を満たしている人が多いと感じています。

・到達度の水準値が高い 
・組織信頼度が高い
・ほぼゼロからのリソースで始めることをちゃんと知っている

五十嵐さん新規事業って1人で生み出すものではなくて、社内の仲間の応援の力を受けるとか、外部から応援をされないとできないものなんですよね。

その時に、仲間に支援をしてもらえるのは、在籍期間が長く、結果を出し、周りの人から信頼を得ているメンバーが多いと思います。

事業づくりって、困った時に周りの仲間が助けてあげようという感情が動くかどうかなど、さまざまなものの総合的な結果です。組織って生き物なので、合理的なものだけでは人は動かないと思っています。

そしてもし、その人が新規事業を失敗しても、今まで結果を出していて、長年クロス・マーケティンググループの組織にいた人であれば「あの人がやってできなかったのであればしょうがないよね」という組織納得度、組織許容度が高くなると思います。

ちなみに、3つの条件を満たす人を育てるためには、新卒も含めて若い段階で育成した方がいいと思っていて、20代全体を新卒と同様に扱って、クロス・マーケティンググループとして、しっかりと育成していった方がいいのではないかと今考えています。

極論を言うと中途も、入社の入り口の段階で新卒研修並みに、採用プロセスも研修制度も変えた方がいいのではないかと思っています。

新卒と中途では、体感でいうと新卒:中途=9:1くらい、面接にかける時間と工数がかなり違うというのはおかしいと思っているんです。

本来、人と戯れることが好きなので退職があるとショックですし、入社のタイミングでもっと工数をかけて採用をしていきたいと最近見直しをかけています。

そして、採用したあとは活躍する人が定着するかどうかが大切です。新規事業企画コンテストとか、研修を受けて何か新しいものを生み出すのは難しいと思っていて、自分が本気でやりたいと思う事業をどんどん手を挙げて実現する機会をつくります。

新規事業を立ち上げて走れる人を1人より2人、2人より3人と増やしていって、そのロールモデルをどんどん出していきたいですね。

M&Aを繰り返して、さまざまなカルチャーがぶつかる中で組織をリードしてくれるのは、そういった人だと思っています。

そういう人たちがこれからどんどん生まれるためには「やればいいじゃん」と会社が挑戦を推進していることが、結果を出している人や事業をやりたい人にどれだけ刺さっているかが大切だと思っています。

そういう人がのびのび事業をつくっていることを、社内報アプリなどをつくって、個人に焦点を当てたり、発信頻度を増やして、情報量をあげていくようにしています。

組織づくりはまとめるとシンプルで、MissionVisionを宣言して、事業に挑戦するチャンスをつくる。そして、その事業づくりをしている人の情報を発信して、組織全体のレベルを引き上げて文化をつくっていくことだと思っています。

株式会社クロス・マーケティンググループ

代表取締役社長兼CEO
五十嵐 幹

設立
2003年4月1日(五十嵐社長によって設立された株式会社クロス・マーケティングの設立日)

事業内容

  • マーケティングリサーチ事業
  • ITソリューション事業など

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