ベンチャー企業の採用でもブルーオーシャン戦略で優秀層の採用を!|HDE高橋氏が挑んだグローバル採用とは |HR NOTE

ベンチャー企業の採用でもブルーオーシャン戦略で優秀層の採用を!|HDE高橋氏が挑んだグローバル採用とは |HR NOTE

ベンチャー企業の採用でもブルーオーシャン戦略で優秀層の採用を!|HDE高橋氏が挑んだグローバル採用とは

  • 採用
  • 採用戦略・要員計画

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※本記事は、主催企業や登壇者/登壇企業に内容を確認のうえ、掲載しております。

ソフトバンク、アクセンチュア、ヤフー、HDE、成長企業4社の人事責任者が、自社の具体的な採用手法について語った『第67回グローバル人事塾

本記事ではHDE人事の高橋さんが話す、ベンチャー採用のブルーオーシャン戦略についてご紹介。知名度が低いベンチャー企業で、優秀な人材を獲得するための、採用ノウハウをご紹介いたします!

是非、ご覧いただけますと幸いです!

高橋 実(タカハシ ミノル) | 株式会社HDE 人事部長

1968年東京生まれ。1991年新卒で株式会社ジェーシービー入社。企画、新規事業を担当した後、NTTファイナンス株式会社、トヨタファイナンス株式会社の新規カード事業立ち上げに携わり、2008年トヨタファイナンス株式会社で東京本社の総務人事マネージャーに。以降人事を専門分野として100年企業の株式会社廣瀬商会の人事責任者を経て2013年より現職。採用方針を大きく転換し、ワーキングマザー等の多様な人材の活用や直接海外現地からのグローバル人材の採用、働き方改革などを行っている。

「優秀人材は有名企業に流れる」採用の成功体験がない企業でのミッションとは

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弊社は「HDE One」というメールセキュリティのクラウドソリューションを開発、販売しており、この分野では国内で70%を超えるトップシェアを誇っています。現在急成長中で、今後は2020年までに事業規模を10倍にしようと思っています。

私が人事部長として入社をした2013年当時は、社員数は60名でした。現在は130名程の規模になっており、2020年までには社員を300人ぐらいまで増やそうと思っています。

また、国内100%の売上比率を、国内と海外の50%ずつにして、グローバルへの事業展開も開始しています。

私が入社当時、弊社は「会社の知名度が低いという理由から優秀な人材が有名企業に流れてしまう。その結果、いい人材が採用できていない」という採用に課題を抱えていました。これ、中小企業あるあるですよね。

当時の新卒採用人数は2~3人で、「新卒も多くても5人」「中途採用も年間で10人」くらいの採用人数です。この目標は採用を1年間やっていれば誰でもできる人数です。あとは施策を工夫すればいい。

中小企業にとって「優秀な人材は有名企業に流れる」と、よく言いますが、弊社は20年もやっているので、候補者の惹きつけになるプラスポイントは、必ずあると思っていました。

中小企業の経営者は採用において成功体験をしていない方が多いと思っています。弊社もその中の1つで、失敗をしてきたことが多いので、それがトラウマとなって、ネガティブな方向にしか考えられませんし、経営者は「見たことがないものができる」なんて言えません。なので、採用を成功するために人事をチューニングしてあげることが、私の入社時のミッションだというふうに感じていました。

100点満点採用でリスクがある採用をなくす

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入社して1週間ぐらいで経営陣と合宿を開き、会社に対して考えていることを全部引き出して、棚卸をおこないました。あと1カ月目で、全社員60名ぐらいと面談をおこない、社員が何を考えているのかをヒアリングしました。

経営陣との合宿、社員との面談を終えて私が一番初めに出した結論は『100点満点採用』をするということでした。

弊社の中で「活躍できていないメンバー」「退職してしまったメンバー」彼らの履歴書を100点満点で点数をつけるとだいたい70点ぐらいだったんです。その残りの30点は、退職率や、活躍ができないリスクにつながっているということがわかったんです。だったら、あえて退職などのリスクがある採用をするのではなく、100点満点の人材を採用すればいいのではないかと思ったんです。

しかし、経営者に100点満点採用をしますと伝えた際に「なに馬鹿なこと言ってるんだ」というふうに言われましたが、あえて私は一番初めのゴールセットにしました。

会社の『宝物』から人材要件を設定する

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100点満点採用を実施するために、弊社の『宝物』を整理して、採用における人材要件を設定していきました。私が言う『宝物』とは、会社が持っている強みや、誇りにできることです。

僕が入社当時から、弊社には非常に優秀で卓越した技術力を持っているエンジニアが多くいました。小さな会社ですが、このエンジニアの強みが、20年間も弊社が続いてきた理由だと思っています。

弊社では『テクノロジーで世界を変える』という企業ビジョンを掲げています。全社員と面談をした時に驚いたのですが、ほぼ全社員がこのビジョンに共鳴をしていました。

あと経営者が社員たちに対して「自ら学んで成長してほしい」と感じている。この2つを持っている人を採用するべきだと。

「エンジニアの強み」「企業ビジョン」「経営者の思い」この3つの『宝物』から「DNA」「経験のベースにある思考」「伸びしろ」の3つを人材要件にしました。

この「DNA」というのは候補者が事業の考え方に賛同できるかという話と、経営者の「自ら学んで成長してほしい」という思いにコミットができるかどうかです。

次に「経験とベースにある志向」ですが、協力してくれる採用エージェントさんには、履歴書の情報だけでなく、その履歴書の裏側にある情報が欲しいという話をずっとしています。「とにかく履歴書の情報は見ればわかるので、説明はいらない。むしろ、候補者がキャリアの中でどういうプロセスを通ってきたのか、その裏側にある思いは何なのか」を聞くように伝えています。

その中で、候補者の思いや考え方がHDEとマッチしているかどうかを見ていきます。この部分はかなり重要なので、面接には長い時間をかけることもあります。面接が長いときだと3時間近くになることもありました。

「伸びしろ」というのは、HDEという会社で働くイメージ、活躍できるイメージ、成長できるイメージがお互い湧くかどうかです。

そしてこの3つの人材要件に適しているかどうかを、選考に関わる社員がチェックできるように、選考とかプロセスの中で出てきた候補者の情報を全部言語化して提供するようにしていました。候補者に関してわからないことがあると言語化できないので、わからないことが言語化できるまで何度も候補者に確認するプロセスを繰り返すことを徹底的にやっていました。

グローバルな人材を見つけるためにおこなった2種類のインターンシップ

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人材要件を設定してから選考をしていましたが、短い面接時間でわかることなんてはっきり言って、たかが知れてると思っています。しかも面接官も人間なのですべてを見れない。それならば、インターンシップを通じて候補者にリアルに働いてもらうことが最大のマッチングになると思っています。なので、弊社では2種類の『新卒選考直結型インターンシップ』をおこなっています。

グローバルビジネスの展開に向けて『海外出張カバン持ちインターンシップ』と、エンジニア向けの『グローバル長期インターンシップ』をおこなっています。

海外出張カバン持ちインターンシップ

グローバルビジネス展開をおこなうメンバーの採用は、弊社のような企業ではとても難しかったので「候補者を海外出張に連れていく」というインパクトのあるインターンシップをはじめました。

1週間ぐらい海外出張に同行してもらうのですが、このインターンシップのゴールセットは「社員と同じ目線で仕事ができるか」。このインターンシップには選考があり、このゴールにたどり着いた人だけが海外出張に同行できます。

実はここにポイントがあって、はじめの説明会においてはゴールセットをまず伝え、「選考プロセスは決まったものはありません。自分がゴールを勝ち取るために何をすればいいか、自ら考えて選考プロセスを作ってください」と伝えるのです。

「物事のプロセスが決まっていないと行動ができない」という考えを持ってる学生の多くは、説明会後に辞退をします。弊社はグローバル展開はまだ始めたばかりなので、実際のビジネスの現場では「タイに行ってビジネスを立ち上げて来てくれ」とロードマップがひかれているわけではない。プロセスが決まっていなくても「なにこれおもしろそう」「チャレンジしたい!」と感じてもらえる学生に僕らは参加してほしいのです。母集団は少なくてもそういう志向のある学生に参加してほしい。過去に4回このインターンシップを続けてきた中で、15人ぐらいの母集団が集まり、そこから各1人ずつ内定者が出ています。

この母集団の中には毎回東大生が3人くらい、早慶の学生で半分ぐらいが入ってきます。弊社が普通に採用をしていたら来ないような学生が参加してくれます。学生からするとこのインターンシップには予想以上のインパクトがあるらしくて、非常に優秀なメンバーが集まってくれています。

何が言いたいかというと、採用において弊社のような小さな会社は大きな会社に勝てないんです。ただ弱者なりの戦い方があるんじゃないかと思っています。「大きな会社や競合会社に勝てない、確率論で勝てないのであれば、勝てる方法を探した方がいいよね」というのが、私が考えている採用です。

エンジニア向けのグローバル長期インターンシップ

当社ではグローバル展開をここ2年間でやっていますが、一番の問題というのが社員の英語力が不足しているということでした。クラウドビジネスをおこなうようになって、パートナー企業が外資系になってくると、リファレンスなどは全部英語で、エンジニアが英語を読めないと、それを翻訳してからの開発になる。クラウドの世界は新しいプログラムが入る頻度が早く、翻訳に時間をかけていると開発スピードについていけなくなるんです。当時の弊社社員は、当然日本人だけで、TOEICの平均が470点ぐらいでした。

そこでまず、社員に英語を学ばせようと、オンライン英会話の導入をおこなってみましたが、勉強しろと言ってもすぐに取り組めるわけでもない。英語を学ぶための気持ちのハードルをいかにして下げていくかを考えました。そこで、ピザパーティーを開き、その中でオンライン英会話をコンテンツとして盛り込んだりしました。楽しく学んでみよう、という感覚をもってもらうことが大事だと考えたからです。結果、社員の90%がノリとお酒の勢いで、英会話の無料トライアルに取り組むと宣言してくれました。でも、英語学習を継続することは大変です。すぐに結果が出るものでもない。

そこで『セブ島流し制度』という、フィリピンのセブ島にある英会話留学に社員を4週間送り込む取り組みもおこないました。もちろん、該当社員は業務から外した上で、これまで15人ぐらいをセブ島に送り込んでいます。集中して英語に取り組ませる環境を作って上げることで、一気に英語力を上げようというものです。その結果、セブ島へ行った社員はTOEICで500~600点をとれるようにはなって帰ってきてます。しかし、さらに英語力を上げる、そのスキルを継続させるには、自身で学習を継続する必要があるんですよね。

そこで、英語ができるエンジニアを採用しようということになりました。しかし、日本で英語ができるエンジニア採用するのは競争が激しすぎるので、だったらいっそのこと直接海外に出向いてグローバル人材を採用した方がいいということになり、グローバル長期インターンシップをはじめました

一般的にエンジニアをグローバル採用する際には、エンジニアスキルと日本語スキルの両方が王道になってるいると思います。しかし、これだとなかなか採用ができないんですよね。他社と差別化をして採用のハードルを下げるには、日本語スキルを取り去るしかないんです。エンジニアスキルは高い水準が必要なので、日本語はできなくてもOKという条件を提示してインターンシップの募集をしました。

このインターンシップは全世界向けにおこなっています。もちろん日本人も対象です。4週間~8週間の長期インターンシップで、エントリーした後にスクリーニングテストをしているのですが、この水準はおそらく国内でもトップレベルだと思っています。

生活費や渡航費は全額支援しています。工夫したのは選考プロセスの自動化です。スクリーニングテストを実施しGithubのコードををもらって、そこで自動的に評価できるような仕組みにしているんです。それを弊社のエンジニアが見て、次のプロセスに進むかを判断します。たった130名の会社なのにもかかわらず、ほとんど告知をせずに、3年半で4,000以上のエントリーがありました。その中から通過率は約1%ぐらいになっています。

自ら海外に足を運ぶ「ブルーオーシャン戦略」

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インターンシップだけだと待ちの採用になってしまうので、弊社では自ら海外に足を運ぶようにしています。

ブルーオーシャン戦略』って言っているんですが、先進国などの中国、インドはもうレッドオーシャンなんですよね。そこに今更突っ込んでいっても勝てる確率が低いわけなので、ブルーオーシャンは他にないのかと探しながらやっています。

これはもうシンプルで、総人口に、若年層の比率と、あと競合の数っていうふうに掛け合わせたら、たとえば、インドネシア・ベトナム・マレーシアなどは完全にブルーオーシャンなんです。競合が少ないところで採用すれば採用の確率は一段とあがります。そこで、一番優秀な人材を採用していけばいいわけです。

2014年にインドネシア、台湾、ベトナムにほぼ飛び込み営業に近い形で行ってきました。インドネシアのバンドン工科大学のキャリアセンターにいってみると「日本からこんなところにくる企業なんていないよ。来月にジョブフェアやるから参加しない?」と言われて、ジョブフェアに参加させていただくことができました。

そのときは参加した学生数が2万人、エントリーが300人を超えるんです。ここは機械工学がメインなので、情報工学、情報系のメンバーは少ないはずなんですが、これだけのエントリーがもらえるとなると、海外に直接に行くのはオススメです。

結果、現状128名の社員のうち、社員の約14%の18名がグローバル社員となっています。日本語ができないメンバーも増えてきていますので、弊社では去年の10月から英語を公用語にしています。

このように、縮小していっている国内や先進国のマーケットだけでなく、途上国などのこれから大きくなっていくであろうマーケットを狙って攻めていけばいいのではないかと思っています。企業プレゼンスが弱ければ、戦えるところで戦えばいいと思っています

弊社ではグローバル採用をはじめて優秀な人材をたくさん採用しています。たとえば、グーグル本社に内定をもらっていたのに、弊社を選んだ学生や、バンドン工科大学院を20歳で卒業した学生の採用にも成功しています。

とにかく優秀な人材のマッチングにこだわる

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グローバル採用のように、まだブルーオーシャンで採用されていない優秀な人材を狙えば、優秀な人材はたくさんいます。しかし、規模の大きな会社や競合他社がたくさんいるのでレッドオーシャンになってしまっています。であれば、本人に制約条件があって他社が採用しないような人材、その中でも優秀な人材を採用していけばいいわけです。会社がその制約条件を飲んであげればいい。

その一例がワーキングマザーです。ワーキングマザーは、子育てや家事などで時間が制約されているのですが、出産前に活躍していた人たちが、制約条件をネックに出産後に就業していない優秀な方がたくさんいます。弊社では優秀だったワーキングマザーに、フル在宅勤務で働いてもらったこともありました。

とにかく、優秀な人材であれば制約条件があっても積極的に採用していくことにしています。中小企業だからと、優秀な人材が採用できない状況を乗り越え方る方法として、自社ならではのオリジナリティな採用方法をつくることが僕は重要ではないかと思っています。自社の事業としっかりと直結して、ストーリー性のある採用こそが大事だと思ってます。

ブルーオーシャンで戦うこと」「競争相手がいるのであれば、競争相手がいないところで採用をしていく」「優秀な人材のマッチングにこだわる」この3つをやり続けていくことが、中小企業やベンチャー企業の採用のポイントだと思っています。

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