超高齢社会が進行している日本社会において、『アクティブシニア』と呼ばれるシニア層をターゲットにした事業開発が活発になってきています。
アクティブシニアとは、一般社団法人日本アクティブシニア協会の定義によれば、定年後の65歳~75歳の方々を指しています。
団塊の世代を中心とする「アクティブシニア層」には定年後に趣味や仕事などに積極的にお金や時間を費やして「アクティブに生活をしていきたい!」と、戦後の高度経済成長やバブルを経験した世代の特徴が見られることが多い傾向にあります。
このようなアクティブシニア層を、企業の成長や店舗の運営のために採用する企業が増えてきており、街では活発にシニア層が働いている姿を見かけることも多いのではないでしょうか。
今回はシニアから日本に活力をもたらすためのカギを握るアクティブシニア採用についてまとめてみました。
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「人的資本経営」「ウェルビーイング」「DEI」といったトレンドワードが、HR領域だけでなく社会全体に拡がり始めた昨今。自社組織に漠然と"停滞感"を感じ、「うちは取り残されていないだろうか?」「何かやらないといけないのでは・・・」といった不安や悩みを抱える人事・経営者の皆様も多いのではないでしょうか。
本カンファレンスでは、HR領域の有識者の皆様に、様々な組織課題を解決するためのアプローチ方法について解説いただきます。強い組織を育む企業が実践している事例には、組織強化に必要な考え方や人事が果たすべき役割について学べるポイントが多くあります。ぜひ有識者の皆様と一緒に、組織を強化する「共通原理」について考えてみていただければと思います。
なぜ今シニア採用が活発になってきているのか?
日本の経済は長期的な停滞期に入っています。このため現在の学生や、20~30代の世代の人たちは、自身の将来を見据えることが難しくなっており、社会全体の活力の低下が懸念されています。
今後、少子高齢化が進むにつれて、企業からは定年を迎えるシニア層が減り、日本国内における労働力不足は年々深刻な課題になっていきます。その具体的な解決策として、シニア層の豊富な人生経験とこれまでのキャリアを活かせるような採用を進めていくという考えがあります。
そこで、定年を迎えられた世代「アクティブシニア層」が活躍できるような場を企業が提供できれば、企業とアクティブシニア層の両者にメリットが生まれるのではないでしょうか。
この「アクティブシニア採用」は、この層の方々に「生きがい」を与え、日本経済の活性化にもつながると考えられており、各企業で取り組みが活発になりつつあります。
アクティブシニア採用が産み出すメリットとは
企業側の労働力不足といったニーズに対して「定年で引退したがまだまだ働き続けたい」と思っているシニア層が多くいることからアクティブシニア採用を実施している企業が増えてきています。
ここでは、アクティブシニア採用が産み出す3つのメリットをご紹介いたします。
即戦力化と若手の育成に効果的
経験の少ない学生や若いフリーターに比べると、人生経験が豊富で定年退職をしたアクティブシニア層は仕事への意欲が高い傾向にあり即戦力としての採用が見込めます。シニア層の経験や仕事に対する姿勢は、若手のアルバイトやパートにいい刺激を与え、仕事の教育などに活かすことも可能だと考えられます。
幅広い世代とのコミュニケーションが取れる
アクティブシニア層には子育て経験や社会人として長年の経験があるので、子供からビジネスマンまで、幅広い世代の方々との接し方が身についている人が多くいます。そのため従業員間やお客様とのコミュニケーションが必須となるような、サービス業や接客業界における、アクティブシニア採用は多くのメリットが期待できるかもしれません。
時間に融通がきく
シニア層は働く時間帯に融通がききます。学業やサークルで忙しい学生アルバイト、複数の仕事を掛け持ちしているパート社員のように限られた時間内でしか働くことができないスタッフに比べて、シニア層は時間の成約が少ないのが特徴です。さらに、仕事に対する意識も、長年の経験から養われている方も多いので、積極的なシフトへの参加、また定着率も高いのではと考えられます。
避けて通れない少子高齢社会においては、若い世代の人だけでは事業を継続することが困難になりつつあります。定年退職後にも働きたいシニア層にあわせて、雇用形態を検討し柔軟に対応することによって、まだまだ戦力として活躍してくれる可能性が広がっていくのではないでしょうか。
アクティブシニア採用の実施をしている3企業
すかいらーく
ガストやバーミヤンなどのファミリーレストランを運営する株式会社すかいらーくは50代以上に特化した採用をおこなっています。50代60代のクルーは約1万人にのぼり、「仕事も余暇も妥協せず、充実した生活を送りたい」という元気でアクティブなクルーが、それぞれの働きたい日や時間帯に合わせてワークスタイルを実現しているようです。
すかいらーくは2015年9月に、正社員およびクルーの定年を65歳まで延長し、65歳から70歳までの再雇用制度を新設しました。現在クルー全体に占める60代の割合は約2%ですが、人口動態の変化とともに、その割合は高まっていくのではないでしょうか。すかいらーくでは今後も多様な働き方に柔軟に対応できる職場環境を整備し、充実したワークライフを目指しています。
ローソン
大手コンビニエンスストアの株式会社ローソンでは、シニア層に対する具体的な施策を次々と展開して成果をあげています。
ローソンが積極的にシニア層の採用を進めている理由の1つにあげられるのが人材の確保です。今後の日本の労働人口減少を考えると、シニア層でも働くことができる職場でなければクルーが今よりさらに不足してしまう可能性が高まります。
またローソンでは年齢が高いクルーほど長く在籍する傾向があるようです。その結果、シニア層に関心を持つようになり、シニア向けのポスターを製作するなど、さまざまな広報活動をおこなっています。
モスバーガー
モスバーガーは人手不足の対策として、シニア層の積極的な雇用をスタートさせました。モスバーガーで働くシニア層の傾向として、無遅刻無欠勤の方が多く、さらに非常に真面目に働いてくれる方が多いという傾向があるようです。また、孫のような年代のお客様に対しては、シニア層ならではの経験から、物腰柔らかな対応をしてくれるのでお客様や従業員同士からの評判が良く、店舗に大きく貢献をしています。
積極的にシニア層の働き手を求めていたわけではなかったのですが、雇用をしてみると、若い世代が中心の客層だった店舗が、シニア層のスタッフの安心感からか「高齢者のお客様が増える」という相乗効果もあったようです。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
アクティブシニア層を採用することは、今後の日本経済の課題である労働力不足の解決策として、非常に期待できるのではないでしょうか。
本記事でご紹介をした、アクティブシニア採用を導入している企業には、サービス業や飲食業が多かったですが、高い技術力を誇る製造業などにおいても、アクティブシニア層の雇用も需要が高まってくるのではないかと考えられます。
長年の社会人経験、そして人生経験を持つシニア層が若手の育成に携わることは、シニア層が築き上げてきた技術や、仕事に取り組む姿勢、そして社会人としてのモラル面などの教育に役立つことになり、職場の成長に直接繋がっていくでしょう。若手の従業員とアクティブシニア層に求められる業務上のミッションは少し異なってくるかもしれませんが、企業の持つ課題にどのような変化を与えられるのかを考えながら、アクティブシニアの採用を考えてみるの良いかもしれません。
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