こんにちは!株式会社HARESの西村創一朗です。
新年度が始まり早くも4月は折り返し。人事の皆様は2017年新卒入社の新人研修だったり、2018年卒の新卒採用活動がいよいよ佳境を迎えていたりと、一年の中で最も忙しいシーズンではないでしょうか。
GWが明ける頃には、夏期インターンシップの企画や、キャリア採用における新しい採用の取り組みなど、企画系の仕事の割合が増えていくと思いますので、今日は一つ新しい採用の発想をお伝えしたいと思います。
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目次
マーケティング化する採用
これまでの連載でもお伝えしてきた通り、ダイレクトリクルーティングやリファラル採用など、テクノロジーとSNSの普及に伴い、ここ数年で新しい採用手法がどんどん増えています。
共通しているのは、求人を掲載して後は応募を待って、選考をこなしていく「待ちの採用」ではなく、企業自ら採用ターゲットにアプローチする「攻めの採用」へのシフトが起こっているということです。
その結果、採用のポートフォリオが一気に多様化し、求人サイトや人材紹介のみならず、ビズリーチやWantedly、FacebookやTwitter、はたまた採用オウンドメディアに至るまで、あらゆる手法を活用して優秀な人材へのアプローチを試みる企業が増えてきているのです。
転職ノンアクティブ層との接点が激増している
採用ポートフォリオの多様化によって、接点を持つ人のタイプも大きく変わってきています。採用活動で接点を持つ候補者には、大きく分けて2つのタイプが存在します。
一つは、転職アクティブ層です。「今すぐ転職したい」と考えている人から、「良い会社があったら転職したい」と漠然と考えている人までを含めて「転職アクティブ層」と呼びます。
もう一つは、現時点では転職を考えていない「転職ノンアクティブ層」です。
転職活動をしている人、検討している人が登録している求人サイト・人材紹介が主体の時代は、接点者の多くが転職アクティブ層でしたが、採用環境の激化、採用ポートフォリオの多様化によって、転職ノンアクティブ層との接点が急激に増えているのです。
「今は転職を考えていないです」という方にどう向き合うか?
そこで重要になるのが「すぐに転職は考えていない」という転職ノンアクティブ層に対して、どう向き合い、いかに採用につなげていくか、という考え方です。
当然、これまでの転職アクティブ層を前提にしたコミュニケーションの取り方では、うまくことが運びません。「一度弊社に遊びに来ませんか?」と呼ばれて行ったのに、「志望動機は?」と聞かれて激怒した、なんていう冗談のような本当の話も未だに聞きます。
転職ノンアクティブ層とのコミュニケーションにおいては、自社のことを好きになってもらうという「好感度軸」と、転職しても良いかなと思ったタイミングを逃さないという「時間軸」という二つの軸で考える必要があります。
これまでの考え方だと「時間軸」という概念がないために、
「とっても良い人なんだけど、『今は』ちょうど当てはまるポジションがなくて…」
「とっても良い会社なんだけど、『今は』転職するタイミングじゃなくて…」
ということで「タイミングのミスマッチ」が起こってしまっていました。
そうした「もったいない」を解消する新しい発想が「タレントプール」です。
接点を財産に変える「タレントプール」という新発想
タレントプールとは「将来的に自社の採用候補となりうる優秀な人材を逃さず、蓄積するためのデータベース」のことを指します。
その会社について興味を持った個人が、今は転職を考えていなかったり、希望する求人が公開されていなかったりする場合に、タレントプールに登録すると、新しい求人の情報やブログの更新情報が定期的に配信され、タイミングがあった時に選考に進める仕組みになっています。
「新しい発想」と言っても、欧米では既に採用のスタンダードになっており、コーポレートサイトや採用サイトで、求人詳細よりも上位に「タレントプール」へ登録するボタンが設置されているケースも多いです。
日本ではまだ本格的にタレントプールを導入している企業がほとんどありませんが、「5年追いかけ続けて優秀な人材を採用した」というDeNA創業者の南場さんのエピソードにもあるように、優秀な人材こそ時間をかけて追いかけ続ける必要があります。そうした取り組みを属人化せずに、テクノロジーを活用して最適化するのが「タレントプール」という仕組みなのです。
究極の理想は「ジャストインタイム採用」
タレントプールとは言わば、「自社だけの特別な人材データベース」です。タレントプールを突き止めて、あらゆる職種で優秀な人材をプールしておくと、これまでとは根本的に違う「採用イノベーション」が起きます。
①求人発生
②求人作成
③求人展開(エージェント/求人サイト等)
④応募喚起
⑤応募
⑥書類選考
⑦日程調整
⑧面接
①求人発生
②タレントプール検索
③該当者に声がけ
④日程調整
⑤面談or面接
比較してもらっても分かるように、採用プロセスを大幅に短縮でき、まるでトヨタの「かんばん生産方式」のように、「ジャストインタイム」での採用活動が可能になるのです。
まだまだ国内では認知度が低く、事例も少ないですが、タレントプール構築に特化したITツールのTalent Cloudが昨年リリースされるなど、徐々にタレントプールに取り組み始める企業が増えてきました。
リファラル採用や採用広報など、転職非アクティブ層との接点が増えている今だからこそ、彼らとの接点をムダにせず、しっかり財産に変えて採用につなげる「タレントプール」という発想を取り入れてみることをオススメします。