採用担当者はさまざまな人に出会います。
ビックリするぐらい優秀な人がいる一方で、書類選考の時には予想もしなかった、いわゆる「困ったちゃん」に出会うこともしばしばあるのではないでしょうか。また、優秀な受け答えができている方でも、本人の熱意や素顔が見えずに、採用担当が困ってしまうというケースもあるかと思います。
そこで今回は、面接官のさまざまな「困った」ケースとそれにどう対応すればよいのかご紹介します。
【豪華ゲスト多数登壇!】変化に負けない「強い組織」を育むためにHRが果たすべき役割を考える大型カンファレンス『HR NOTE CONFERENCE 2024』
「人的資本経営」「ウェルビーイング」「DEI」といったトレンドワードが、HR領域だけでなく社会全体に拡がり始めた昨今。自社組織に漠然と"停滞感"を感じ、「うちは取り残されていないだろうか?」「何かやらないといけないのでは・・・」といった不安や悩みを抱える人事・経営者の皆様も多いのではないでしょうか。
本カンファレンスでは、HR領域の有識者の皆様に、様々な組織課題を解決するためのアプローチ方法について解説いただきます。強い組織を育む企業が実践している事例には、組織強化に必要な考え方や人事が果たすべき役割について学べるポイントが多くあります。ぜひ有識者の皆様と一緒に、組織を強化する「共通原理」について考えてみていただければと思います。
面接官が困ってしまうような25のケース
面接官が困ってしまう内容やそのケースを以下に25個、挙げてみました。 みなさんは、どのような対応をとりますか?一度考えてみてください。
- ガチガチに緊張しており、パニック気味
- 声が小さくて聞こえない
- 1つ1つの答えが長い
- 答えが簡潔すぎて、補足の質問をしなければならない
- 優秀でスキのない回答をするが本人の個性がわからない
- 答えの内容に宗教的な内容が含まれる
- 志望動機や質問内容が保身的(安定しているから、定年まで勤められるか?など)
- 答える内容が抽象的で何が言いたいのか伝わらない
- 「あ、はい」「えーっと」「とりあえず」「絶対」を多用する
- 志望動機がミーハー
- 質問内容により不機嫌になったり感情的になったりする
- 大人しすぎる、暗い雰囲気でやる気を感じない
- 無表情に近く表情が読めない
- 面接官と目を合わせない
- 配属先ややりたいことに対するこだわりが強い(やりたくないことを先に伝える)
- 転職理由や経歴に「嘘」がある
- 帰国子女だからハーフだから多少敬語が使えなくても許されると思っている
- 海外からの留学生で日本語が日常会話で使えるレベルではない
- 元重役だからと面接官に向かって「君ねぇ」と上から目線
- 「質問はありますか」と聞いても何も出てこない
- 質問内容が個人のプライベートに関わるような内容(退職理由や社内恋愛など)
- 採用担当の知らない分野の質問をされた
- 応募者から労働環境の不備を指摘された
- 後日面接で自分の能力が最大限に発揮できなかったのでもう一度チャンスが欲しいとの連絡が入った
- 不採用の理由を聞くために何度も連絡してくる(メール→電話→来社)
困ったケースに対する対応はどうすればいいか
ここでは、それぞれの困ったケースに対して、面接官はどのように対応すればよいのか、参考例を記載させていただきます。 もちろん、必ずしもこれからご紹介する方法が正解とは限りません。応募者ごとに対応が変わるかと思うので、あくまでも参考までにみていただけると幸いです。
1.ガチガチに緊張しており、パニック気味
そのまま面接を進めるのではなく、「そんなに緊張しなくても大丈夫ですよ。」と励ますように話しかけ、可能であれば、面接官も含めて深呼吸をしたり伸びをしたりするのも良いでしょう。出身地や趣味などの雑談で、一度ブレイクタイムを挟むように進行してもよいかと思います。
2.声が小さくて聞こえない
「もう少し大きな声で話してもらえますか?」とお願いした後に「面接は皆さんの良いところを知るためにおこなっています。自信を持ってお話ししてくださいね」と自信を持って話すように促しましょう。
また、Yes・Noの質問やパっとでてくる答えやすい質問をはじめに聞くようにして、この場に慣れてもらうように進めていきましょう。
3.1つ1つの答えが長い
質問をする時に「簡潔に」と入れてなるべく、本人の力で簡潔に話してもらうように促してあげましょう。 それが、難しいようであれば、ある程度本人の話を聞いたら途中で話しをまとめてあげるように動くのがよいかと思います。
4.答えが簡潔すぎて、補足の質問をしなければならない
簡潔にまとめて話すことが良いと思っている人は、簡潔にまとめすぎて肝心な部分が抜けていることがあります。 この場合は「詳しく」や「エピソードを交えて」という言葉を質問に入れると良いでしょう。
5.優秀でスキのない回答をするが本人の個性がわからない
面接対策をガチガチに固めてやってきた方によく見られるタイプかと思います。練習をしてきた内容を機械的に答えているだけなので、本人の素顔が見えなくて当然です。つまり、質問がありきたりなのです。独自の質問を考えることが解決策です。
例えば、面接の中に心理学テストを交えてみたり、突然「名前の由来を教えてください」「あなたの人生で3番目に頑張ったことを教えてください」と質問してみたりするのもよいでしょう。驚いた時や予期していない質問が出た時に応募者の素顔が見えるものです。特に学生の場合、心理テストの結果を伝えた時の表情に素顔が見えることが多いようです。
6.答えの内容に宗教的な内容が含まれる
宗教や思想で合否を決めてはいけない前提があっても、宗教的な内容が多く散見されると対応に困ってしまうことがあると思います。「宗教と切り離した状態の●●さんのこと知りたいので、●●さんはXXに対してどうお考えですか。」と質問をしたうえで、合否を判断しましょう。
宗教に関することでは近年、留学生を募集している企業もあります。例えば、ヒジャブ(ムスリム女性が頭に身につける布)をまとっている留学生が、機械作業が含まれる職種に応募してきている場合に、ヒジャブを取ることができるのか質問してよいのか迷う人もいるようですが「安全性を確保するため」と前置きをして質問をして「入社後もこのような質問をすることがあるかも知れないけれど気を悪くしないでください」とフォローをしましょう。
7.志望動機や質問内容が保身的
志望動機が「業種的に安定しているから」、質問内容で「定年まで勤められるか?」と保身的で、やる気があるのかわからない人もいます。この場合は「安定を求めるなら公務員がいいのではないか」や「大企業の業績が大赤字であったり、外国企業の傘下に入る現在は、必ずしも定年まで勤められるとは限りません。定年まで勤められるかはこれから入社されるあなたにかかっています」と現実を伝えましょう。そのうえで「あなたは当社にどのような形で貢献できますか?」と質問をして、やる気があるか確認しましょう。
8.答える内容が抽象的で何が言いたいのか伝わらない
この場合は「●●ということですか?」と確認・質問をして具体性を求めて掘り下げていくしかありません。質問の事前に「具体的に、何を、どのくらい、どのような経緯で、その結果どうなったのか」と知りたい内容を提示してあげてもよいかもしれません。
9.「あ、はい」「えーっと」「とりあえず」「絶対」を多用する
学生気分が抜けず社会人としての意識が足りない。TPOをわきまえた言葉遣いができない証拠です。特に「絶対」は自分を正当化したいという気持ちから根拠もなく、言っていることがあります。気になる部分ではありますが、話し方や話の内容、身振りなど、総合的に評価するようにしましょう。
10.志望動機がミーハー
商品のファンだから、企業が有名だから、職種や業界全体に華やかなイメージがあるからという理由で応募してきた人も、面接官として困りものです。熱意はあるのである程度頑張ってくれそうですが、良い面しか見ていないため、「思っている以上に厳しい世界ですよ。大丈夫ですか」と泥臭い現実を具体的に伝えていきましょう。
また、入社してどのようなことを成し遂げたいのかをヒアリングし、それが会社の方向性に沿ったものなのか、やはりただのミーハーなのか判断していきましょう。
11.質問内容により不機嫌になったり感情的になったりする
圧迫面接をしているわけでもないのに、少しプライベートなことを聞いただけで不機嫌な顔をされ、「どうしてそんなことを答えなければならないのですか」と言う方がいます。面接も「試験」の1つですから、感情の揺れがある、状況により冷静さを欠くと判断してもよいかもしれません。その上で、その後の質問は波風立てずに進めましょう。また、面接官は本当に自分に非はなかったのか振り返りをしてもよいでしょう。
12.大人しすぎる、暗い雰囲気でやる気を感じない
第一印象というのは、ビジネスの場で重要です。募集職種が事務であっても初めて会う相手にさわやかに挨拶ができないと、一緒に仕事をする相手として考えてしまいますよね。この場合も緊張している方への対応と同様に、まずはアイスブレイクからおこなうといいでしょう。
13.無表情に近く表情が読めない
顔に出なくても情熱を持っている人は多くいます。また、職種によっては冷静さが武器になることもあります。表情に出にくい人でもじっくり話を聞いてみると、仕事に情熱を持っていたり勝気な一面が見えたりすることがあります。そのため、根気強く、質問を掘り下げてじっくり話を聞いてみましょう。また、その方がどんなときに気持ちが高ぶるか質問してもよいかもしれません。
14.面接官と目を合わせない
目を合わせないのは自信の無さ、背伸びをした回答をしている、人と接するのが極度に苦手という心のあらわれです。優秀な回答をしていても、背伸びした回答である可能性がありますので応募者の視線もしっかりチェックをしましょう。真実を語っているかどうかは、質問を掘り下げていけば何かしらほころびが出るので、そこで判断することができます。
15.配属先・やりたいことにこだわりが強い
例えば、「希望職種しかやりたくありません」「お茶くみや電話の取次ぎはしたくありません」と正直に話す人もいますが、会社は組織で動きます。そのときは「はじめは、希望の仕事に就けないかもしれません」「希望職種に就くことができますが、個人のキャリアアップを図るために配属先を変えることもあります。」と説明をして考えてもらったうえで次の選考に進むか考えてもらうか、意思決定をしてもらいましょう。
16.転職理由や経歴に「嘘」がある
とくに重要なポジションでの採用では、リファレンス(身元照会、信用照会)をおこなうことがよくあります。内定前に調査をすれば経歴の嘘はわかります。また、完璧に嘘を押し通すことはできません。質問を掘り下げることでどこか矛盾が出てきますので、そこを見逃さないようにしましょう。
17.帰国子女だからハーフだから多少敬語が使えなくても許されると思っている
語学力が高くても敬語が使えないのは、入社後にトラブルを招く原因になります。現状で敬語が使えなくても、使おうとする努力が見られればいいのですが、敬語を使えないことに対し、悪びれる様子もない際は、不採用にしてもいいかもしれません。優秀な人材で採用したいと思った場合は「入社までに敬語を使えるようにすること」を採用の条件にしてもよいでしょう。
18.海外からの留学生で日本語が日常会話で使えるレベルではない
留学生の中には日本人以上に日本語が上手な人もいれば、カタコトの人もいます。次の選考に進ませたいと思う人材であれば、次の面接までにある程度会話をマスターしてきてもらう約束をしましょう。入社意欲のある人であれば一生懸命勉強をしてきます。たとえ完璧にならなくてもその努力の過程が見えれば問題はないかと思います。
19.元重役だからと面接官に向かって「君ねぇ」と上から目線
若手社員が面接官を務める場合、「君は入社して何年?」と面接官を小ばかにしたような態度を取る人も中にはいます。この場合は不愉快ですが我慢をして、いつも通りに面接を進めましょう。このケースは人材紹介会社から紹介されたから面接に来ただけで、入社意欲の低い人が多い傾向にありますので、不採用にしても気にも止めないことが多いようです。
20.「質問はありますか」と聞いても何も出てこない
企業に関心があれば1つは出ても良いはずですが、なかなか出てこないことがあります。この場合は、よくある質問をいくつか紹介して再度「質問ありませんか」と聞いてみましょう。そのうえで「詳細にご紹介いただけたのでありません」というのであれば、それが応募者のホンネと考え面接を終了しましょう。
21.質問内容が個人のプライベートに関わるような内容(退職理由や社内恋愛など)
退職内容を答えることはできないと思いますので「個人により異なりますのでお答えできません」と回答し、社内恋愛に関しては、会社にもよりますが、「何組かご結婚した社員もいます」と回答します。結婚したケースがない場合は「私は聞いたことがありません」と事実を答えましょう。
22.採用担当の知らない分野の質問をされた
「後日担当者に確認して個別に回答させていただきます」と答え、ごまかさずにきちんと誠実に対応しましょう。その内容については次に質問されたら回答できるように覚えておくことが重要です。エンジニア採用などの専門職の採用ではよくあると思いますが、その知識の積み重ねが後々役に立ちます。
23.応募者から労働環境の不備を指摘された
「貴重なご意見をありがとうございます。担当者に伝え改善できるように対応いたします」と御礼を述べ、会社の代表として恥ずかしくない対応をすることがベストかと思います。
24.後日面接で自分の能力が最大限に発揮できなかったのでもう一度チャンスが欲しいとの連絡が入った。
再チャンスが認められない際は、「採用試験は公平に実施しておりますので、申し訳ございませんが、●●様だけもう一度試験を行うことはできません」ときっぱり回答しましょう。
25.不採用の理由を聞くために何度も連絡してくる(メール→電話→来社)
「あらかじめお伝えしているように、いかなる理由があっても合否に関するお問い合わせをお受けすることはできません」とメールでも電話でも、きっぱりお断りして、場合によっては上司に相談しましょう。それでも来社されて場合は1人では対応せずに上司に同席してもらい話し合いをします。対応は必ず2人以上で対応をして、執拗なケースは脅迫と受け取ることもできますので、総務や法務にも相談しましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
中には、「いやいや、私はもっと手ごわい人に会った」という人もいるかも知れません。求職者からの予期せぬ対応にびっくりすることもありますが、あらゆるケースを想定し、面接を重ねて経験を積んで慣れることが、熟練の面接官になる近道だと思います。
忘れてはならないのは、求職者も面接官のことをよく見ています。面接官を通して会社を見ています。会社の代表として求職者と接することになるため、好印象を与えられるような面接対応を心がけるようにしましょう。
【豪華ゲスト多数登壇!】変化に負けない「強い組織」を育むためにHRが果たすべき役割を考える大型カンファレンス『HR NOTE CONFERENCE 2024』
「人的資本経営」「ウェルビーイング」「DEI」といったトレンドワードが、HR領域だけでなく社会全体に拡がり始めた昨今。自社組織に漠然と"停滞感"を感じ、「うちは取り残されていないだろうか?」「何かやらないといけないのでは・・・」といった不安や悩みを抱える人事・経営者の皆様も多いのではないでしょうか。
本カンファレンスでは、HR領域の有識者の皆様に、様々な組織課題を解決するためのアプローチ方法について解説いただきます。強い組織を育む企業が実践している事例には、組織強化に必要な考え方や人事が果たすべき役割について学べるポイントが多くあります。ぜひ有識者の皆様と一緒に、組織を強化する「共通原理」について考えてみていただければと思います。