こんにちは、HR NOTE編集部 野上です。
グローバル化が進み、日本国内で活躍をしている外国人や、世界で活躍している日本人が増えてきています。
求職者の中には、漠然と海外で仕事がしたいと考えている人たちも多いと思います。しかし、世界で活躍したい、日本じゃなく海外で働きたいと思っても、どこで仕事ができるか、どういった仕事が海外にはあるのかという実態を掴むことはなかなか難しいことではないでしょうか。
そんな中、先日「世界シゴト博」という採用イベントに参加させていただきました。
ゼスト株式会社が主催となり、世界で活躍したい人と、世界へ果敢に挑戦する企業が出会うキッカケづくりを目的とした場でした。
世界で活躍したいと考えている社会人と学生約100名と、世界で挑戦をしている出展ブース16社と協力企業12社が集まったセミナーで、グローバルで活躍されている方の講演(スペシャルセミナー)や、企業による説明会がおこなわれていました。
本日はその「世界シゴト博」から、スペシャルセミナーのレポートと、企業の人事に聞いた「世界で働ける人材を採用するために気をつけていること」についてご紹介させていただきます。
目次
スペシャルセミナー|世界で活躍する人材になるための心構え
スペシャルセミナーでは、世界を舞台に活躍されている、株式会社スクールウィズの太田氏と株式会社イマジナの奥山氏のお二人が登壇し、「自身の体験から世界で活躍するための心構え」についてお話されていました。
日本がヤバイではなく、世界がオモシロイから僕らは動く|株式会社スクールウィズ 代表取締役 太田 英基氏
太田氏は学生時代にグローバルな社会を築いていくためには、他国を相手にしてビジネスで戦うという考え方をするのではなく、世界をフラットに考えることができる人が、世界を舞台にして活躍できるビジネスパーソンになることができるのではないかと述べています。
太田氏自身は、世界で活躍する人間になるために、「語学力の向上」、「世界に友人を作ること」、そして「世界を知ること」の3つがMUSTであると考え、その実現に向けて「世界一周をしたい」というWANT(欲求)が出てきたとのことです。
人は、「身につけなければいけないMUST」と、「自分がしたいWANT」が繋がったとき、それはその人の「BEST」になります。太田氏はそのBESTな方法の一つとして、SAMURAI BACKPACKER PROJECTを立ちあげ、バックパッカーとして訪れた世界のあらゆる街で活躍している日本人をレポートしていくブログを作りました。そこにはグローバルで働きたい人のロールモデルになるような人を発信していきたい思いがありました。
そんな中で太田氏が感じたことは、「グローバルスタンダードの中で、日本人だからといって世界で求められていることはない」ということでした。グローバルのステージでは日本人というだけで何も有利には働かず、グローバルで通用する人材になるためにまずは「外に踏み出す勇気」が必要になるのではないでしょうか。
そこで「世界を舞台にする人があたりまえになる社会へ」をビジョンとして掲げ、日本人のフィリピン留学の仕掛け人として株式会社スクールウィズを立ち上げ、日本国内の学生のグローバル思考の底上げをおこなっています。
決断の瞬間に運命が変わる!世界のどこでも必要とされる人になる|株式会社イマジナ 代表取締役CCO 奥山 由美子氏
奥山氏は1993年にニューヨークのスターバックスをオフィスとして起業。日本の企業がアメリカで生き残るには、アメリカの労働者の働き方や、価値観を理解する必要があると感じ、日系企業のコンサルティング業務を始めました。2006年には日本国内で人事コンサルタントや企業ブランディングをサポートする株式会社イマジナを設立しています。
働き方の多様化や、企業がグローバル化していく中で、人はどこで働けるかを選択ができる時代になってきています。
そんな時代だからこそ日本企業は世界に出て行くべきだと奥山氏はいいます。
しかし、日本企業が海外進出していく中で、欧米諸国と日本では働き方がまったく異なってくるため、「各国のカルチャー」を理解したうえで異国での経営を進めていく必要があると説いていました。
日本では、古くから上下関係を重んじる文化があるので、目下が目上の話を聞くこと、話し手が主導権を握るといったカルチャーがみられます。これに対して、欧米文化では上下関係が関係なく、積極的な発言や、意義を唱えることが好まれるといったカルチャーがあります。
奥山氏は、これらの文化を理解した上で、企業は従業員のマネジメントをしていく必要があると述べています。
今後世界で活躍する企業、人材になるためには、世界各地のカルチャーに柔軟に対応できるようになり、多角的な視点から物事を観察できる能力を身につけれることができれば、世界のどこでも必要とされる人材になることができるといっており、異なる文化を認め、そこに溶け込む能力が求められます。
シゴト発見コーナー|各国の事情に精通した経営者や人事の話が聞けるイベント
シゴト発見コーナーでは、国内外から参加する各国の事情に精通した経営者や人事責任者、人材エージェントがブースを設けており、そこで自社の魅力や業務内容の紹介、求人内容などを説明会形式でお話いただく内容となっています。
今回はその中で、株式会社力の源ホールディングスとリングロー株式会社の2社に、採用のこだわりに関してお伺いさせていただきました。
株式会社力の源ホールディングス 社長室兼人材戦略本部採用・教育グループ 関口 照輝氏
株式会社力の源ホールディングスは、皆さんもご存知のラーメンの有名店『一風堂』を経営する会社です。世界で13カ国に出展をしており、RAMENを世界共通語にするために世界進出を加速させています。
-採用で大事にされていることはなんですか?
-関口氏:採用活動の中で最も大事にしていることは、求職者と本音で意見交換ができるようにすることです。本音で意見交換といっても、採用面接の場においては、求職者はガチガチに緊張をしているのが当たり前だと思います。そこで、最初に求職者から話を聞くのではなく、まずは私の経験談を話すようにしています。
「私がどんな人間なのか」「なぜ私が一風堂に入社したのか」「どこに魅力を感じているのか、将来どうなりたいのか」などを話すことで、私のことを理解してもらうように努めています。面接官がどんな人間なのか知ってもらうことで、求職者も心を開いて本音で話をしてくれやすくなります。
心を開いてくれた求職者には、面接という形式で会話をするのではなく、悩み相談役になって話をしていくことを心がけています。
-海外採用ではどのような方を求めていますか?
-関口氏:海外で働くために求める人材としては、海外での生活や留学の経験は関係なく、チャレンジをしたい人、当事者意識のある人に魅力を感じます。
力の源ホールディングスでの海外業務に関しては、すぐに海外で働く環境があるわけではありません。国内での経験を積んで、一人前になった後にチャレンジする機会が与えられます。海外のような異なる環境でも仕事ができる適応力に問題がなければ、海外での業務も可能です。
-今後の展望などございますか?
-関口氏:今後世界でさらに挑戦するために、さらに店舗数を増加していこうと計画中です。また、採用において「ラーメン屋」というイメージを覆していきたいと思っています。海外のみならずチャレンジングな環境がありますし、もっと求職者に届けられていない、自社の魅力を発信していきたいです。
リングロー株式会社 管理部門人事課 小俣 勇祐
リングロー株式会社は、中古パソコンの販売・修理・買取をおこなっている会社です。現段階での海外拠点はマレーシアだけとなっていますが、2020年までには欧州、米国2拠点、ドバイの計4拠点の開設を目指しています。そんなリングロー株式会社の管理部門人事課の小俣氏にお話をうかがいました。
-小俣氏:私は、人事担当者ではありましたが、マレーシア拠点の立ち上げを任され、立ち上げから軌道に乗るまでの半年間をマレーシアで過ごしました。
-え!?それは他社の人事にはないようなエキサイティングな経験ですね(驚)。そんな御社では、採用においてどのような方を求めているのでしょうか?
-小俣氏:リングローの採用活動としては新卒採用を重要視しています。その理由としては会社のビジョンや社風などに0から馴染むことができるためです。能力・スキルより意欲のある人間を弊社は求めています。
また就活生に対しては、就活という重く堅苦しい雰囲気をすべて消してもらうために、形式的な面接などはせずに、飲みに行ったり、遊びに行ったりしています。いわゆる、“就活鎧”を脱ぎ捨ててもらいたくて、学生の方々と親密な関係を築くことを目的としています。エントリーシートや自己PRなどの従来の面接の感じを弊社ではださないようにしています。「就活アウトロー採用」みたいな感じにしたいですね。
-就活アウトロー採用とはなんですか?
-小俣氏:「就活アウトロー採用」は、キャリア解放区という団体がおこなっているのですが、多くの学生が「あたりまえ」と感じて就職活動をしているなかでも、「あたりまえが何か違う」と感じて旅に出たり、ひたすらバイトに没頭したりするようなルールに捉われない学生を採用していくという採用方法です。人と異なった価値観、その価値観から普通の人が「あたりまえ」と感じていないことができる度胸と決断力がある人が「アウトロー」には多いといいます。そういった異色の経歴の方に会ってみたいですね。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
一般的な就職活動セミナーとは違い、「世界で活躍したい!」といった夢を持つ社会人と学生達のために開催された「世界シゴト博」。世界を見据えた求職者の方々が参加し、出展企業とともにアツく語り合っていました。
取材として参加していた私も、このセミナーを通して、再度世界に飛び出そうかと本気で思ってしまったぐらいです(笑)。
海外で挑戦をしている企業と海外で仕事をしたいと感じている求職者が、このような場を介して出会えるということが、すばらしいと感じました。また出展企業は外国で働きたいという社会人と学生を全力でサポートをしていたので、求職者の方々にとっても刺激的な1日になったことでしょう。
今後、労働力不足から、日本国内でも多くの外国人が働くようになってくるでしょう。それに応じて国内にもグローバルな文化の波がやってくるかもしれません。グローバル化の波に適用するためにも、従来の人事制度だけではなく、世界で挑戦している企業が取り入れている人事制度の活用なども参考にしてみてもよいかもしれませんね。