こんにちは!プロコーチとしてコーチング業に従事している、大津 達朗(おおつ たつろう)です。
企業と個人のお見合いの場と言われる面接。企業は優秀な人材を獲得するため、さまざまな角度から質問を投げかけ、適性を確認します。しかし、ときには常識に囚われないクリエイティブな発想を求めて、企業は変化球のような難問奇問を出してくることもあります。
かく言う筆者も就活時代に某コンサル会社の面接で「趣味はオカリナです(映画「となりのトトロ」でトトロが吹いていた楽器です)」と言ってしまったがために「日本のオカリナの市場規模を教えてください」というフェルミ推定(実際に調査するのが難しいようなとらえどころのない量を、いくつかの手掛かりを元に論理的に推論し、短時間で概算する)問題を出され撃沈した苦い思い出があります。
今回は「アメリカ最大級の転職クチコミサイトGlassdoorで発表された、2016年版のユニークな質問9題とそれに対するおもしろ回答」をまとめてみました。アメリカの人事は何を考えているのでしょうか。みなさんならどう答えるのか考えながらご覧いただけると幸いです。(引用:Glassdoor “Top 10 Oddball Interview Questions”)
アメリカでのユニークな面接質問9選
【第1問】スペース・エクスプロレーション・テクノロジーズ(SpaceX)|宇宙輸送業
質問:「ホットドッグが破裂したらどの方向に裂けますか?」
まずは有名な起業家イーロン・マスクが立ち上げた宇宙輸送ベンチャーのスペースXからの出題をご紹介します。宇宙レベルのクリエイティブなアイデアが求められるようです。
回答その1:「焼き始める前に入れておいた切れ目で裂けます。」
破裂という不確実な事象に対して、前提を入れることでシンプルな答えに変えることができる良い切り返しではないでしょうか。至極当たり前の回答ではありますが・・・。
回答その2:「円周と接線方向への負荷は軸方向の負荷より大きい。従って円周の長さよりも長い継ぎ目がある所で裂ける。均等に負荷をかけるためにはp(運動量)r(半径)/t(張力)である・・・」
もはや何を言っているのか理解できません。一見すると馬鹿げているような質問に対しても、物理の問題として真正面から解こうとする人もいるようです。ロケットを飛ばすには複雑な計算も求められます。
【第2問】Whole Foods Market|スーパーマーケット
質問:「馬のサイズの鴨1羽と鴨のサイズの馬10頭、あなたはどっちと戦いますか?」
次はオーガニック食材も多い高級スーパーのWhole Foodsからの出題です。アメリカ合衆国を中心に、カナダとイギリスを含めて、合計270店舗以上を展開しています。「馬サイズの鴨?」「鴨サイズの馬?」この質問はまず想像力が求められそうな感じです。
回答その1:「いいえ、私はいかなる食べ物(Whole Foods)とも戦いません。」
馬も鴨も食材なので、あらゆる食べ物という「Whole Foods」と店名を掛けてうまいことを言っている模様です。アメリカではこのような返しが笑いを誘います。アメリカン・ジョークというやつです。
回答その2:「馬のサイズの鴨1羽です。鴨ローストがどれ位作れるのか想像してみてくださいよ!」
この方の食に対する執着心がすごいですね・・・。そもそも馬サイズの鴨を想像するのが大変です。まずは戦い方や勝ち方を考えがちですが、そこをすっ飛ばして勝った後のことを考えているあたりがアメリカンですね。個人的に気になるのは、勝ったとしても果たして馬サイズの鴨は中までしっかりと火が通るのでしょうか。
【第3問】Dropbox|オンラインストレージサービス
質問:「あなたがCEOなら朝起きてまずやる仕事3つは何ですか?」
続いて、人気のオンラインストレージサービスDropboxより出題です。この質問から経営者視点でものごとを考えられるか、回答者の日々の仕事に対する意識を見たいという意図があるように思います。
回答その1:「従業員への気遣い、大口顧客のサービスの課題解決、世界や業界内で今日新しく起きたことのチェック」
模範解答ではないでしょうか。まさに経営者の鏡ですね。ただし、この回答がDropboxの意図とあっているかは不明ですが。
回答その2:「CEOは細かいことなんて気にしないよ。ニュース、天気、メールのチェックだけ」
一方でこんな意見も。大将はどんと構えているのが一番だという回答でしょうか。ダイナミックな経営には大胆さもときには必要になってくることでしょう。
【第4問】Urban Outfitters|アパレルブランド
質問:「あなたがアーティストならデビューアルバムは何と名付けますか?」
若者に人気のアパレルブランドUrban Outfittersからの出題。若者向けの企業だけあって、質問もイマドキな感じがするのは私だけでしょうか?
回答その1:「わが人生~今までになくクレイジーな曲ベスト~(CD2枚組)」
デビューにも関わらず、いきなりベストアルバム出してくるとは今までにない新鮮さがありますね。またCD2枚組というところで、「どれほどクレイジーな人生を送ってきたんだ」と、人事も興味を持ってしまうのではないでしょうか。ものすごく波乱万丈の人生を送ってきた方なのですね。
回答その2:「テストアルバム~どうかなかったことにしてください~」
こちらはデビューでしくじってしまったのでしょうか、一体どのような音源が収録されているのか気になり思わず聴きたくなってしまいます。事務所のゴリ押しでリリースとなってしまったのでしょうか。でも、納得行かない出来栄えでも握手券がついていれば、オ○コンで1位はとれるのではないでしょうか。
【第5問】Hubspot|マーケティングプラットフォーム
質問:「40,000ドルでビジネスを始めるとしたら何をしますか?」
セールス・マーケティングツールを提供するHubspotからの出題です。40,000ドルは1ドル100円だとして日本円に換算すると400万円くらいでしょうか。お金の使い方が問われているみたいですね。
回答その1:「朝食スタンド。私自身が朝食大好きだし、低コストでニーズもある。しかも自分で好き勝手できるしお昼には家に帰れる。それに、出店するのに一番いい場所も知っていますよ。」
自分のやりたいことと社会のニーズがマッチしている理想の仕事のように感じます。出店場所も目処がついているとは・・・。個人的には夕方まで働かなくて良いのは嬉しいですが、早起きだけはツラいですね。
回答その2:「ランニング」
いきなりランニング?と思う方もいるかもしれません。しかし、これには理由があると思います。個人的な見解として、おそらく回答者は太っており、経営者を目指す人間はスマートな体系であるべきと考えたのでしょう。そのため、「まずビジネスを始める前に自分自身のコンディションを整えます」ということが言いたかったのではないかと推測します。質問の回答に沿っているかは疑問ですが・・・。
【第6問】Trader Joe’s|スーパーマーケット
質問:「ペンギンが冷蔵庫の中に入っていたらどうしますか?」
アメリカ大手スーパーのTrader Joe’sからの出題です。2問目のWhole Foodsといい、なんだかスーパーの面接では生き物系が多い傾向があるように思います。しかし、ペンギンがいきなり冷蔵庫に入っている状況なんてあるのでしょうか。
回答その1:「まさにOSがLinuxのIoT冷蔵庫ですね!(注:Linuxのマスコットはペンギンです)」
Linuxはシステムのことを意味しますが、マスコットがなんとペンギンとのことです。
回答者はそこに目をつけて上記のような、うまい回答を導き出したのでしょう。これは高ポイントを得られるのではないでしょうか。人事がシステムに詳しかったらの話ではありますが・・・。
回答その2:「ドアを閉めて、お酒を飲むのをやめる。」
そうですね、きっと目の錯覚だったのでしょう。飲み過ぎは体によくありません。今日は早く寝ましょう。次の日起きてまだペンギンが冷蔵庫にいた場合は、その時考えましょう。
【第7問】ボストン・コンサルティング・グループ|コンサルティング業
質問:「あなたがブランドだったとしたら、どんなモットーですか?」
経営コンサルとして有名なボストン・コンサルティング・グループも意外な質問を出してきます。自分自身についてあらためて見つめ直す機会にもなるかもしれません。
回答その1:「簡単な道ではなく、正しい道を選びます」
自己実現に向けて、困難を恐れない。むしろ自分の成長のためであれば困難すら歓迎するといった気概がこの一文から感じとれます。そんなモットーをもっているブランド商品であればクオリティが高いのではないでしょうか。
回答その2:「他人の人生じゃなく、あなたらしく生きよう」
「だから自分らしく生きられる職場を求めて転職しにきました」このような言葉が次に続きそうですね。
【第8問】デルタ航空|航空会社
質問:「この部屋にバスケットボールが何個入りますか?」
こちらはデルタ航空からの出題。今までとは少し違う感じの難しそうな問題ですね。「なぜその数値を導きだしたのか」そのロジックを見られるのではないでしょうか。この手の問題は各社で手を変え品を変え出題されているような気がします。
回答その1:「ボールの空気は入っていますか?それとも抜けていますか?それ次第です。」
空気が入っているかどうかで前提ってすごく大事ですね。前提を確認することはもちろん賢いやり方です。でも、答えになっていないような・・・。
回答その2:「我々は部屋の中にいますか、それとも部屋の外ですか?」
この手の質問に対しては、前提条件が少ないため、質問返しをする方が多いみたいですね。人がいるかいないかでボール何個分か変わりますしね。仮に中にいるとしたら、大量のバスケットボールに潰されてしまう恐れがあります。
【第9問】ファーストリテイリング(ユニクロ)|アパレルブランド
質問:「24時間以内に2,000ドルを倍にしてください。」
最後の9問目です。日系グローバル企業の代表格ユニクロもこの手の質問では負けていません。
回答その1:「もし24時間以内に倍にできるなら私はこの仕事に応募したりしません。」
その通りなんですが、それを言ったらおしまいでは・・・。人事にケンカを売っているようにしか思えません。
回答その2:「100ドルで銃を購入して銀行を襲います(俺を採用しなかったらそういうことをするかもしれませんよ) 」
これは怖い!完全に脅しにかかっていますね。これもアメリカンジョークの一種なのでしょうか。もしこの状況で人事と応募者が笑っていたら、私はアメリカ人の友人を理解するのに時間がかかりそうな気がします。
おわりに
いかがでしたでしょうか?
この質問を見るだけであれば「面白い!」で終わってしまうかもしれませんが、自分が面接の場でこの質問をされると考えたら、ちょっと困ってしまいますね。
尚、企業が難問奇問を出す意図としては、
- 急に変な質問をされても動じない冷静さ
- 仮設を立てて論理的に説明する力
- 柔軟な発想力やユニークな個性
をチェックするためと言われています。いい加減に答えるのではなくて、自分なりの理由付きで回答する必要があります。面接の質問を全て準備するのは難しいので、想定外の質問が来た時もそれを楽しむくらいの余裕があってもいいかもしれません。