「求人」と聞くと、1番に広告を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。メインの採用手法として、少しでも多くの人の目に触れるようハローワークや広告代理店での求人掲載が挙げられます。
しかしながら最近では、SNSの普及により初対面同士でもダイレクトメッセージを送り合うことが当たり前になってきています。また、これにより「スカウトメール」という採用手法がスタンダードになりつつあります。
本記事ではスカウトメールの説明はもちろん、作成のコツを押さえながら、すぐに使える文面例もご紹介します。
求人広告からスカウトメールに変えるだけで圧倒的にミスマッチを減らすことができるため、特に、書類審査のフィルタリングが苦手な採用担当者は必見です。
ぜひ参考にしてみください!
目次
01
なぜ今スカウトメールが注目されている?
~「待ちの採用」から「攻めの採用」へ~
1-1|スカウトメールとは?
求人広告を掲載し、応募を待つのではなく、リクルーターがデータベースからピンポイントのターゲット層を抽出します。その抽出した層に直接ダイレクトメッセージを送ることで応募を促していくのが、「スカウトメール」と呼ばれる採用手法です。まさに「待ち」ではなく「攻め」の採用といえるでしょう。
1-2|なぜ今スカウトメールが注目されているのか?
有効求人倍率の上昇により採用の難易度が上がったことが、今スカウトメールが注目されている大きな理由の1つです。
特に知名度の低い中小企業では、広く候補者を集めることが年々難しくなってきています。スカウトメールの醍醐味は「特別感」。
中小企業では、多くの候補者を集められないという事実を逆手に取って、送りたい相手に送りたい内容をダイレクトに伝えることができるスカウトメールが非常に有効的になる傾向があります。
02
スカウトメールを成功させる秘訣とは?
2-1|スカウトメール作成の4つのポイント
POINT1|ターゲットと検索軸を明確にする
ターゲットとするペルソナの「イメージ」と、「検索軸」を明確にしましょう。
「年齢は20代後半~30代前半。飲食店などで接客業を経験したが、今後ビジネスマンとして交渉力や販売力などのスキルを身に付けたい」と考えている人
ここでのポイントは、求職者の希望職種です。オファー職種と希望職種の一致を見逃さずに送信対象を絞ることで、応募への確度がかなり高まります。
検索軸の設定で注意すべきことは、検索条件を絞りすぎると候補者の数が減ってしまうことです。条件は優先度の高い軸をぶらさずに、段階的に緩和しながら調整しましょう。
POINT2|特別感を出す
スカウトメールで最も重要なのが「件名」です。毎日、大量に送られてくるメールの中から際立つためには、「親近感」と「わかりやすさ」がポイントになります。
候補者の名前が表示できるのであれば記載し、「会いたい」という気持ちを率直に伝えましょう。いくつかパターンを考えておき、期限を決め、それぞれの開封率を検証してみるのもおすすめです。
次に重要なのが「内容」です。特にスカウトメールは、開封されたとしても最後まで読まずに閉じられる可能性が高いです。
したがって冒頭にいかに伝えたいことを記載できるかがポイントになります。職務経歴や自己PRを読み込んで、「あなただからこそオファーしました」ということをしっかり伝えましょう。
好感度をUPさせるために、スカウトに至った評価ポイントを記載するのがおすすめです。
POINT3|スカウト文面は相手に寄り添う内容にする
「とにかく気になったら応募(エントリー)してみる」といった新卒時の就職活動のスタイルとは異なり、転職活動は不安を抱えながらおこなっている人や、慎重におこなっている人が非常に多いです。
企業側からすると、募集のポジションにぴったりの人材であってもなかなか応募してもらえないことにもどかしく感じることもあるかもしれません。
少し奥手な求職者に、自社の求人とマッチしていることを気づいてもらうためにも「スカウトメール」はとても有効です。
自社の求人と候補者のスキルや経験がいかにマッチしているかを記載してあげると、求職者を「思い切って応募してみよう」という気持ちにさせることができ、エントリーの後押しとなります。
POINT4|会社紹介は分かりやすく端的に伝える
候補者の評価を伝えた後は、会社のアピールをしていきます。せっかくのスカウトメッセージなので、ネット検索してすぐに得られる情報ではもったいないですよね。
「会社が現在、どのようにして社会貢献をしているのか」「今後どのような成長を目指しているのか」という現在軸と未来軸を交えて紹介しましょう。
また、「もっとこの会社のことを知りたい」と思えるよう全ては伝えずに、面談に誘導する形で締めるのも効果的です。
2-2|職種別でポジティブ印象・ネガティブ印象を把握しよう!
スカウトメールで使用するワードは、職種によって与える印象が変わってきます。
ここでは、人気の職種ごとに「ポジティブな印象を与えるワード」と「ネガティブな印象を与えるワード」、それぞれピックアップしてご紹介します。
営業・管理・事務系
<ポジティブ>
土日祝休み、残業なし(少なめ)、幹部候補、有給消化率高
<ネガティブ>
急募、大量採用、ベンチャー、マルチタスク
ITエンジニア・クリエイティブ系
<ポジティブ>
前職の給与保証、フレックス勤務、年齢、性別関係なく評価
<ネガティブ>
急募、大量採用、早期キャリアアップ
販売・サービス・美容系
<ポジティブ>
地域密着、未経験歓迎、幅広い年齢層
<ネガティブ>
大量採用、早期キャリアアップ、実力主義、歩合制
03
「良い」スカウトメールと
「悪い」スカウトメールを比較しよう!
3-1|「良い」スカウトメールと「悪い」スカウトメール
「良い」スカウトメール
- 特別感がある
- 希望条件にマッチしている
- 役職者からのオファー
- 明確な評価ポイントがある
- 次にすべきアクションが分かりやすい
「悪い」スカウトメール
- あからさまな「定型文」
- 長い会社紹介
- 返信しにくい
- 応募するメリットが見当たらない
- 働くイメージがわかない
3-2|良いスカウトメールの例文と解説
はじめまして。〇〇社の採用担当をしております〇〇と申します。
〇〇様のご経歴を拝見し、ぜひ一度お話をさせて頂きたいと思いご連絡させていただきました。理由としては、〇〇社での〇〇のご経験から、弊社が現在募集している〇〇のスタッフとしてご活躍いただける人財だと高く評価しているからです!
また、今回〇〇の職種をご希望されているということで〇〇様のご期待に添える環境がご提供できると思っております。
今回の募集は広く公開しておらず、弊社が選考にお呼びしたい方だけにご連絡しておりますので〇〇様にご興味をお持ちいただけると大変嬉しいです!
弊社の社風としては、〇〇という目標を持ち、現在は〇〇に向け、仲間同士で切磋琢磨しているようなチームです。もし、具体的な業務内容・会社の詳細についてお知りになりたい場合は、求人票と弊社ホームページ(公式ブログ)をご覧頂けると幸いです!
<URLのリンクをつける>
他にもいろいろとお伝えしたいのですが、ぜひ直接お話しさせて頂き、お互いを知り合うことができればと思っています。お返事頂ければ次のメッセージで日程調整のご案内をお送りしますね。
また、すぐにでも選考に進みたい、というご要望があればご遠慮なくその旨もお伝えください!スケジュール調整はもちろんご面談の方法もお電話やSkypeなどで柔軟に対応致します。
それでは、〇〇様からのお返事を心よりお待ちしております!
最後は、候補者が次のアクションを気軽に起こしやすいように誘導します。接触方法もエントリーだけではなく、カジュアル面談を挟むような流れだと返信のハードルも低くなり、会える確率が高まります。候補者にしっかりと寄り添い、威圧感を与えないような文面にすることがポイントです。
3-3|悪いスカウトメールの例文と解説
こんにちは。〇〇社の採用担当です。
私たちは、〇〇という事業を展開し、多数のサービスや商品を輩出しています。業界トップクラスの規模を誇り、年間売り上げは〇〇円を達成。社長の〇〇は数多くのメディアに取り上げられています!
社員数も年々増えており、会社の成長は目覚ましいものです。これからも新規事業をどんどん立ち上げていく予定です。
今回の募集職種では特別なスキルはいりません!面倒見の良い人、明るく楽しく働いてくれる方を歓迎します。少しでもご興味をお持ちいただけましたら、求人ページにより詳細の情報が載っておりますので、ぜひご覧ください。
それでは、あなたのご応募お待ちしております。
明らかに誰にでも送ることができるような件名と文面です。全体的に手抜き感が出てしまっています。また、送り主も誰だかわからないため親近感がわきません。さらに、冒頭から候補者がそこまで欲していない情報を長々と書いているので、最後まで読もうとは思えない内容になってしまっています。
「候補者の存在が抜け落ちてしまっている」というのが悪いスカウトメールの特徴です。メッセージの先には必ず相手がいることを忘れず、しっかりと相手を意識して文面を作成することが大切です。
04
さいごに
スカウトメッセージの作成は、候補者一人ひとりに気持ちを込めておこなうべき作業です。まさにファンレターやラブレターの類といえるでしょう。作業工数はかかりますが、メッセージをすればする程お互いをよく知った上での面接が可能です。
また、これは入社後の定着率向上にもつながります。スカウトメッセージは大量採用や急募の場合にはあまり向いていませんが、質の高い採用をおこなう際にはぴったりの採用手法だといえます。
本記事では、「検索軸の設定方法」と「文面作成のコツ」などすぐにでも実践可能なスカウトメール作成時のポイントをご紹介しました。
採用担当者には、常に現場が求める理想に近い人材を効率よく採用することが求められます。
スカウトメッセージという手法を活用すれば、お互いの妥協点を最小化し、マッチ度の高い採用を可能になります。本記事が、採用にお困りの担当者のお役立に立てますと幸いです。