「派遣社員の定着率が悪い」と悩まれている担当者様は多いのではないでしょうか?
離職の理由としては派遣社員に問題がある場合もあれば、派遣先や派遣会社の受け入れ態勢に問題があるケースもあります。いずれにしても良い人材であれば企業としては長期間働いてもらいたいものです。そこで今回は派遣社員が辞めてしまう原因はどこにあるのか、またどうすれば長く働いてもらえるのかについて考えてみたいと思います。
目次
【豪華ゲスト多数登壇!】変化に負けない「強い組織」を育むためにHRが果たすべき役割を考える大型カンファレンス『HR NOTE CONFERENCE 2024』
「人的資本経営」「ウェルビーイング」「DEI」といったトレンドワードが、HR領域だけでなく社会全体に拡がり始めた昨今。自社組織に漠然と"停滞感"を感じ、「うちは取り残されていないだろうか?」「何かやらないといけないのでは・・・」といった不安や悩みを抱える人事・経営者の皆様も多いのではないでしょうか。
本カンファレンスでは、HR領域の有識者の皆様に、様々な組織課題を解決するためのアプローチ方法について解説いただきます。強い組織を育む企業が実践している事例には、組織強化に必要な考え方や人事が果たすべき役割について学べるポイントが多くあります。ぜひ有識者の皆様と一緒に、組織を強化する「共通原理」について考えてみていただければと思います。
【1】派遣社員の定着率の実態
1-1 派遣社員の業務内容
- 派遣社員の業務内容は28%が「一般事務」
派遣社員のうち、男女問わず幅広い年代の28%が一般事務の業務をおこなっています。業務内容としては、書類作成やデータ入力、電話・メール対応などで、初心者・経験者問わず常に需要があります。また、残業もほぼないため、妊娠・出産を機に退職した主婦などには特に人気があります。
- 男性は製造・倉庫関連業務が上位
製造・倉庫関連業務に従事するのは、20代~30代の男性が圧倒的に多く、業務内容としては工場などの仕分けやライン作業など体力が必要な現場です。また近年、自社採用だけでは人材確保が難しくなっているドライバー業界などが、派遣社員の採用に注目しています。
1-2 派遣社員の契約期間
- 雇用契約期間は、「30日以上3ヶ月以内」が32%ともっとも高い数値
契約期間を派遣形態別にみると、登録型派遣では「30日以上3ヶ月以内」が38%と高くなっています。また就労業務別としては、テレマーケティングの営業が「30日以上3ヶ月以内」を4割超えとなっており、医療関連業務などの専門分野については雇用契約期間が比較的長い傾向がみられました。
1-3 派遣社員の年収
派遣社員年収は「200万円~300万円未満」が全体の38%
男女問わず派遣社員の年収は「200万円~300万円未満」という割合が多くなっています。次いで「100万円~200万円未満」が25%、「300万円~400万円未満」が14%と続いています。派遣社員の平均年収は正社員のおよそ4割減ともいわれています。また、派遣社員の賃金計算は基本的には時給換算となり、そのうち20%程度が月額固定でもらえる賃金となります。
基本給ベースで考えると正社員との差は小さい企業も多くなっています。ただし、派遣社員にはボーナスが支給されないことがほとんどであるため、年収で考えた際に正社員とは大きな差が出ることになります。
【2】派遣社員が辞める理由
2-1 待遇面での不満
- 待遇改善を希望、「賃金・手当を改善してほしい」が65%にのぼる
正社員と比較しても派遣社員は年収が低くなっています。待遇の差が生じる原因としては、昇給や賞与がないことや交通費の支給がないことなどがあげられます。派遣社員の中には正社員よりも働いていながら、正当な待遇を受けられていないことに不満がある人もいるようです。現在「同一労働同一賃金」による待遇格差を解消するための制度について、「良いと思う」が74%となっていることがわかっています。( 同一労働同一賃金(2018年10月調査) – アンケート集計 … – エン派遣)
2-2 派遣先企業とのトラブル
- 派遣社員が辞める理由は、「業務内容」や「人間関係」
- 仕事が合わない(ついていけない)
- 事前の説明や求人の情報と全然違う
- 自分のスキルが足りていない
- 仕事を覚えられない
- 最初から腰掛け仕事の予定だった
- すぐに辞めてもペナルティはない
- 派遣同士の仲が悪い(イヤな人が入社してきた)
- 派遣先社員と関係が上手くいかない
- 仕事を紹介してもらえなくなっても派遣会社は多数あるから
- 他に仕事が見つかった
- すぐに辞めても派遣会社が尻ぬぐいしてくれる
- 複数人で同時研修をしていて、1日でも休むと挽回が難しい
いくつかの理由が考えられますが、上記のいずれかに原因があることがほとんどです。派遣社員がすぐに辞めてしまう職場ではすぐにその理由を突き止め、改善をしていく事が求められます。
2-3 不満と離職までのプロセス
派遣社員の離職に影響を与えているものは「収入・待遇」や「仕事の責任・権限」、「雇用の安定性」に関する不公平感です。また、このような結果部分だけではなく、派遣先や世間からどのように見られていて、どのように扱われているかという点が大きいこともわかっています。正社員と同じ報酬を与えることや評価・処遇制度の構築が難しい分、別の形で組織的公正を補っていく必要があると考えられます。派遣社員の不公平感を解消することで、定着率と継続性の向上につながるのではないでしょうか。
【3】解決策
では具体的に「業務内容」「人間関係」「賃金」の観点から解決策をそれぞれ考えてみます。
3-1 業務内容の解決策
- 業務内容をしっかりと説明する
当たり前のことではありますが、業務内容についてきちんと説明できていないことも多いため派遣社員からは不満が出ています。業務に関して「どのように動くのか、何をしたらいいのか」と言うことを明確に伝えることにより、仕事へのモチベーションを維持することになり、派遣社員の定着率向上につながります。
3-2 人間関係の解決策
- 初期のコミュニケーションが定着率アップのカギ
人間関係、職場環境などすべてにおいて緊張は付き物です。社内で人間関係が構築されるまでは、自社の社員が積極的に声をかけることが重要です。また派遣社員が業務上での質問をしたいとき、誰に質問すればいいのか「教育担当」となる人を明確にしておくことがストレスを軽くすることにもつながります。自社の社員と派遣社員の間に垣根を作らず、常にコミュニケ―ションがとれるような働きやすい職場環境づくりを意識することが必要です。
3-3 賃金の解決策
現在、派遣社員の場合には、仮にどんなに優秀であっても、正社員と全く同じ責任と権限の仕事に取り組むことは現実の問題としては難しい状態です。「仕事の責任・権限・評価」という報酬を企業から得るには、正社員になる以外の方法がなく、そのため離職するという選択が発生しやすいともいえます。派遣社員の中には正社員以上の働きをしている社員もいる中で、一律に「派遣」として扱うことが、派遣社員に不公平感を感じさせる共通要因にもなっているのではないでしょうか。
2020年、同一労働同一賃金制度が施行
同一労働同一賃金制度の目的としては、正規社員と非正規社員の格差をなくすこととされています。2020年施行されることにより、正社員と同等の仕事をこなしていた非正規社員(派遣社員、フルタイムアルバイト等)の方々は、同一の賃金をもらえることになり経済状況は安定すると想定されています。また不満の原因となっていた、交通費や賞与の支給なども受けられるようになるため、定着散率改善につながるかもしれません。
【4】まとめ
いかがでしたでしょうか。
優秀な人材を確保し、長く働いてもらえる環境を整えることもこれからの日本企業には必要となってくることが想定されます。
これを機に、社内の評価制度やコミュニケーション方法の見直しを考えてみてはいかがでしょうか。
【豪華ゲスト多数登壇!】変化に負けない「強い組織」を育むためにHRが果たすべき役割を考える大型カンファレンス『HR NOTE CONFERENCE 2024』
「人的資本経営」「ウェルビーイング」「DEI」といったトレンドワードが、HR領域だけでなく社会全体に拡がり始めた昨今。自社組織に漠然と"停滞感"を感じ、「うちは取り残されていないだろうか?」「何かやらないといけないのでは・・・」といった不安や悩みを抱える人事・経営者の皆様も多いのではないでしょうか。
本カンファレンスでは、HR領域の有識者の皆様に、様々な組織課題を解決するためのアプローチ方法について解説いただきます。強い組織を育む企業が実践している事例には、組織強化に必要な考え方や人事が果たすべき役割について学べるポイントが多くあります。ぜひ有識者の皆様と一緒に、組織を強化する「共通原理」について考えてみていただければと思います。