ユニリーバCHRO島田さんから「従業員エンゲージメント」について学んだ5つのこと♯HR ENGINE | 人事部から企業成長を応援するメディアHR NOTE

ユニリーバCHRO島田さんから「従業員エンゲージメント」について学んだ5つのこと♯HR ENGINE | 人事部から企業成長を応援するメディアHR NOTE

ユニリーバCHRO島田さんから「従業員エンゲージメント」について学んだ5つのこと♯HR ENGINE

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  • 人材育成・研修

※本記事は、インタビューを実施したうえで記事化しております。

「人と組織を動かすエンジンになる」をテーマに発足した人事コミュニティ『HR ENGINE』のイベントレポートをご紹介。

今回は、ユニリーバ・ジャパン・ホールディングス株式会社 CHROの島田さんによる「従業員エンゲージメントに対する考え方」についてお届けします。

島田さんは、「従業員エンゲージメントを上げるクリティカルな施策はない」と述べており、手法論の前に従業員エンゲージメントを高める上でのスタンスや考え方の重要性について説いていました。

では、従業員エンゲージメント向上のために島田さんが大事にしている考えとはどのようなものなのでしょうか。本記事では、島田さんのお話を5つに分けてまとめました。

是非、ご覧ください!

【登壇者】島田 由香 | ユニリーバ・ジャパン・ホールディングス株式会社 取締役 人事総務本部長(CHRO)

慶応義塾大学卒業後、株式会社パソナ入社。2002年米国ニューヨーク州コロンビア大学大学院にて組織心理学修士取得。日本GEにて人事マネジャーを経験。2008年ユニリーバに入社後、R&D、マーケティング、営業部門のHRパートナー、リーダーシップ開発マネジャー、HRダイレクターを歴任。2013年4月取締役人事本部長に就任。その後、2014年4月取締役人事総務本部長就任し、現在に至る。

【主催】HR ENGINE|ファウンダー 西村 創一朗、橋本 祐造

「人と組織を動かすエンジンになる」をテーマに、人事関連のテーマをみんなで考えるイベント・勉強会や、ニュースや話題となっているテーマなどの情報交換を中心とした人事コミュニティ。ただ講義を受けて「刺激になりました。おしまい。」ではなく、実際に「考え、行動する」ところまでをゴールにしている。

【豪華ゲスト多数登壇!】変化に負けない「強い組織」を育むためにHRが果たすべき役割を考える大型カンファレンス『HR NOTE CONFERENCE 2024』

「人的資本経営」「ウェルビーイング」「DEI」といったトレンドワードが、HR領域だけでなく社会全体に拡がり始めた昨今。自社組織に漠然と"停滞感"を感じ、うちは取り残されていないだろうか?」「何かやらないといけないのでは・・・といった不安や悩みを抱える人事・経営者の皆様も多いのではないでしょうか。

本カンファレンスでは、HR領域の有識者の皆様に、様々な組織課題を解決するためのアプローチ方法について解説いただきます。強い組織を育む企業が実践している事例には、組織強化に必要な考え方や人事が果たすべき役割について学べるポイントが多くあります。ぜひ有識者の皆様と一緒に、組織を強化する「共通原理」について考えてみていただければと思います。

1.エンゲージメントは「上“げ”る」ではなく「上“が”る」もの

島田氏:人事の方々は、社員のエンゲージメントレベルを上げるためにさまざまなことを考えていると思います。

ただし、結論から言うと、そのような人事戦略はないと私は考えています。

もちろん、中には「この人事戦略によってエンゲージメントが上がります。だからこれをやってください」と、効果的なものもあると思うので、否定はしません。

しかし、私の考えは違います。エンゲージメントレベルは上“げ”るものではなく、上“が”るものなんです。

ですので、モチベーションと同様に、自分の中から湧き出る主体的なものであるため、対象とする本人が主体的にエンゲージメントを感じていなければ、外部から上げよう上げようと思って何をしてもはっきり言って無駄です。

では、何もできないかというと、そんなことは決してなく、私たちができることは1つだけです。

それは、本人のモチベーション、エンゲージメントが上がるための刺激を与え続けることです。

これが人事の私たちができることです。その刺激によって気づきが生まれて、その気づきがもしかすると発火につながって、心に大きな火が灯るかもしれません。

火をつけるのはあくまでも自分たちです。私たちはそのために、どのような刺激を与え続けるべきかを選択したり、どのタイミングで実施するかを考えたりしていきます。

上“げ”るではなく、上“が”る。自分に置き換えて考えてみても、人から「モチベーションを上げて」と言われても上がりませんよね?

是非、そのような考えを持って欲しいと思います。

2.人事だからこそ、自分のことを一番大事にしてほしい

島田氏:人事は、人事であるからこそ、一番自分のことを大事にしてほしいんです。これは、私の今日の強力なメッセージの一つです。

もちろん、社員のエンゲージメントを高めたいですよね。そちらのほうが、プラスになることはいっぱいあります。

人事の方々は、試行錯誤して多くのことを実施し、ものすごく努力をしていると思います。さまざまな悩み抱え、さまざまな苦労されていると思います。

それは素晴らしいことです。ただ、そのために費やしている時間とエネルギーを、本当により効果的なものにするために、一度意識を自分に向けてみてください。

自身のモチベーション、エンゲージメントはどんなときに、上“が”りますか?

自分のことを知り尽くしてほしいんです。この仕組がわからない人が、誰かを元気にしようなんて、できないと私は思っています。

誰かのことハッピーにしたいと考えたら、最初にどうしますか?まずは、自分がハッピーになるということです。

「社員のエンゲージメントが上がったらいいな」と思っているのであれば、自分のエンゲージメントが高いのかどうかをまず見てください。

エンゲージメントの低い人が、エンゲージメントが高まるような刺激を与えられるわけがないんです。幸せじゃない人に、「幸せになろう」と言われても、なんの説得力もありません。

いつも周りの人のこと考えてる人事だからこそ、まずは自分をケアすることが大事だと思っています。

3.自分の人生のベクトルを見つめ直そう

自分のベクトルと合っているときにエンゲージメントは高まる

島田氏:自分の目指す方向と会社の方向が合っているとき、あるいは一緒の方向の想いを持っている人に出会ったときってすごく燃えませんか?

安心感があったり、「よしやるぞ」となったり。皆さんが感じているベクトルはとても大切なものです。

しかし、「人事はこれやってはいけない」「人事だからこれは言えない」と、自分のベクトルがあるのに、前に進めない閉塞感や圧迫感といったことを感じてる人が多くいるようのではないでしょうか。

自分のベクトルを大事にしてほしいんです。本当はどっちに行きたいのか、曲がっていたらなおしてあげて、イメージをしてほしいんです。

そのベクトルとあなたの歩んでる人生、あなたが歩みたいと思ってる人生は同じ方向を向いていますか?

「だって会社からこう言われているから」「だってまわりがそうだから」「だっていい母じゃなきゃいけないから」。“このようにしなければならない”という、この魔法の言葉でベクトルを無意識に変えさせられています。

エンゲージメントが高まるときは、自分のベクトルに沿って歩けているときです。そうすると、自然になんでもうまくいく。そのような状況が起こります。それは起こせます。

「What is your life purpose?」

島田氏:「あなたが人生で成し遂げたいことは何ですか?」

ユニリーバではこの問いかけが、キャリアディスカッションのスタートです。「What is your life purpose?」という言い方をします。

「Work Life Balance」ではなく、「Work in Life」なんです。あなたのLifeがあって、Workは自分をその中で表現していく一つのツールです。

しかし、このツールに踊らされている、このツールに縛られているということが、現状として起こっています。

働き方改革をもっと大きな視点で捉えて、自分の人生や生き方を決めることにつなげてほしい。自分のやるべきことに、心をこめてエネルギーを注げるか。これがエンゲージメントです。

エンゲージメントの高い人は、周りにエンゲージメントを拡散できます。これが巻き込む力です。エンゲージメントが高い人は、巻き込む力もとても高いんです。

4.社員のエンゲージメントを高めるために意識していること

上司の力量を上げること

島田氏:一人ひとりの社員が日々接しているのは、上司の方になると思います。仕事をしていく上で、上司に報告する、連絡する、相談するといったやりとりが多く発生します。

また、「自分は上司にどう思われるか」「上司にどう評価されているのか」など、気になっているはずなんですよね。

そういったことから、現場の社員が一番影響を受けるのが、上司になります。そのため、従業員のエンゲージメントを高めるためには、上司の力量を上げることが重要になります。

私がすべての社員と毎日会って様子を見て、ベクトルを合わせて、、、といったことは物理的にできません。

そこを、各部門の上司の方々が、「どういうことを成し遂げたくてやってるの?」「このあとどうなっていきたい?」と聞いて、今やってることと結びつけていく。

このような対話をちょっとしたときにできていたとしたら、「ああ、見てもらってる」「ケアしてもらってる」って感じて、エンゲージメントが変わるんですよ。

社員が持つ、3つの深いニーズを注意して見ること

島田氏:また、私がいつも注意を払っていることは、人の3つの深いニーズを見ることです。

1つは、「つながっていたい」というニーズです。嫌われたくなくて自分を隠す、無理をするなど、どの人にもあると思います。

2つ目のニーズは「認められたい」です。

「つながっていたい」だから嫌われたくない。「認められたい」そのために必要以上に人にサービスするわけです。自分が満たされてない中でやるから気を使って疲れていくんです。

そして、3つ目は「貢献したい」です。

この3つの欲求は、人によって強弱があります。たとえば、怒っている人がいたら、「この人は3つのニーズがどういうバランスになっているのか」を注意深く見ます。「ああ、認められたい想いが満たされていなくて怒っているんだな」って。

そのニーズが満たされると、本当に変わるんですよ。「どこかでいつも誰かに嫌われるんじゃないか」って思ってる人は、先に人のことを嫌うんです。先に人を排除する。そしたら嫌われないからです。

そういう些細なことを、組織の中であまり扱ってきていないように思います。ただ、リーダーシップも組織論も、すべて人間が関わるということを忘れてはいけません。

5.「人事から世界は変わる」人事は最高におもしろい仕事

島田氏:私のLife purposeは、「誰もが笑顔。自分らしく人生を楽しむ。そういう世界をつくる」ことです。

だから自分らしく、笑顔で生きています。自分の本当の声を聞く。自分らしくある。自分であることを認めるということです。

みんなが幸せになれる世界を人事からつくりたい。私は人事から世界が変わると思って、人事をやっています。

私たち人事は、社員、マネジメントに一番近いポジションです。そこから来た反応に対して最初にどんな言葉、どんな態度を返すのかで、相手ががらりと変わるわけです。

社員やマネジメントが変わったら、会社が変わるじゃないですか。私たちが一番変えられるわけです。会社が変わったら社会が変わるんです。社会が変わったら国が変わる。国が変われば世界が変わる。

人事が世の中を一番変えられる、人事は最高に面白い仕事です。

私はすべての会社の人事が仲間だと思っています。みんなで暑苦しいぐらいに楽しく明るく元気でいる世界観を目指していきたいですね。

 

【イベント概要】

【豪華ゲスト多数登壇!】変化に負けない「強い組織」を育むためにHRが果たすべき役割を考える大型カンファレンス『HR NOTE CONFERENCE 2024』

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本カンファレンスでは、HR領域の有識者の皆様に、様々な組織課題を解決するためのアプローチ方法について解説いただきます。強い組織を育む企業が実践している事例には、組織強化に必要な考え方や人事が果たすべき役割について学べるポイントが多くあります。ぜひ有識者の皆様と一緒に、組織を強化する「共通原理」について考えてみていただければと思います。

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