総合マーケティング支援を行なう株式会社ネオマーケティングが、 2020 年 1 月 17 日(金)~2020 年 1 月 20 日(月)の 4 日間、全国の 25 歳~59 歳のプロジェクト制度がある企業にお勤めのビジネスパーソン 1200 名を対象に「プロジェクト推進に関する意識調査」をテーマにしたインターネットリサーチを実施しました。
【調査概要】
- 調査の方法:株式会社ネオマーケティングが運営するアンケートサイト「アイリサーチ」のシステムを利用した WEB アンケート方式で実施
- 調査の対象:アイリサーチ登録モニターのうち、全国の 25~59 歳でプロジェクト制度がある企業にお勤めのビジネスパーソンを対象に実施
- 有効回答数:1200 名(プロジェクトメンバー経験者:700 名、プロジェクトマネジャー経験者 300 名、会社役員 200 名)
- 調査実施日:2020 年 1 月 17 日(金)~2020 年 1 月 20 日(月)
目次
◆「プロジェクト推進に関する意識調査」リリースサマリー
◆プロジェクトマネジャー(PM)が原因でプロジェクトが迷走・炎上?3 人に 1 人が経験
38.0%のビジネスパーソンが、PM が原因でプロジェクトが迷走・炎上した経験があると回答しました。
その理由は「合意形成ができていなかった」、「プロジェクトの進捗を見える化しなかった」、「計画・目標設定能力が足りなかった」と PM のスキル不足が原因です。
また、「はっきりと指示しない」、「コミュニケーション力が足りない」などマインド面の問題も。また、自社の PM を「名ばかり PM」だと思うビジネスパーソンは 6 割以上にも上っています。
◆PM が社内の人間関係にも影響を!?「人間関係悪化した」55.9%
PM によって社内の人間関係が悪化したと半数以上が回答しました。
その理由として「仕切りが悪かったから」、「無駄な工数を生み出したから」、「技術的知識、プロジェクト経験が乏しかったから」が上位にあがりました。
◆PM にも悩みが。大きなストレス掛かり、「会社を辞めたくなった」と約 6 割が回答。
PM 経験者の 57.0%が会社を「辞めたい」とまで思ったことがあると回答しました。
また、「企業として PM を教育している」と 6 割の役員クラスが回答したのに対し、プロジェクトメンバー、PMの 6 割以上が「教育を受けていない」と回答するなど企業と社員で溝が生まれる結果となりました。
◆「プロジェクト推進に関する意識調査」の結果
Q1. プロジェクトマネジャー(PM)が原因でプロジェクトが迷走したり炎上したりした経験がありますか。(単数回答)【n=700】
完成までのスケジュールを立て、チームメンバーとともに開発をする新サービス開発や、予算内に実施できるようにスケジュールや計画を推進する社員の新規採用など、企業内には多くのプロジェクトが存在します。
そのプロジェクトの意思を決定し、品質やコスト、納期などすべてに責任を持ち、前提・制約の中でプロジェクトを成功に導く役割を果たすのがプロジェクトマネジャー(PM)。
その PM が原因でプロジェクトが迷走したり、炎上したりした経験があるかをプロジェクトメンバーに聞きしました。
その結果、38.0%が「経験したことがある」と回答。3 人に 1 人以上が、PM が原因と考えられる理由で、プロジェクトが迷走したり、炎上したりした経験があるようです。
Q2. プロジェクトが迷走・炎上したのはプロジェクトマネジャー(PM)の何が原因だと思いますか。(複数回答)【n=266】
プロジェクトが迷走したり、炎上したりした原因だと思うものを聞いたところ、最も多い回答は「プロジェクトに関わる人達の合意形成ができていなかったから」となり 48.9%が回答しました。
次いで「プロジェクトの進捗を見える化をしなかったから」41.7%、「プロジェクトの計画・目標設定能力が足りなかったから」39.8%と続きます。
プロジェクトマネジャー(PM)のスキル不足が原因でプロジェクトが迷走・炎上したと感じているようです。
また、「はっきりとした指示をしなかったから」、「コミュニケーション力が足りなかったから」など PM のマインドに対する不満の声も多く集まりました。
Q3. あなたが今までに経験したプロジェクトでのプロジェクトマネジャー(PM)のスキルについて当てはまるものをお答えください。(単数回答)【n=700】
プロジェクトメンバーへ、PM のスキルについてお聞きすると合計 67.6%が「スキル不足の PM が多い」と感じていることがわかりました。
Q4. あなたは、自社のプロジェクトマネジャー(PM)は、PM としての仕事ができない『名ばかりPM』だと思いますか。(単数回答)【n=700】
自社のプロジェクトマネジャー(PM)は、「プロジェクトマネジャー」という役職名がついているだけで仕事のできない『名ばかり PM』だと思うと回答したプロジェクトメンバーは 17.4%、「やや思う」と回答したのは47.4%、合計 64.9%が自社の PM が『名ばかり PM』だと思っているようです。
Q5. あなたは、プロジェクトマネジャー(PM)の進行によって社内の人間関係が悪くなったと感じた経験はありますか。(単数回答)【n=700】
プロジェクトマネジャー(PM)の進行によって、社内の人間関係が悪くなった経験があるかをプロジェクトメンバーにお聞きしたところ、55.9%と半数以上がその経験があることがわかりました。
PM の進行によりプロジェクトがうまく推進せず、社内の人間関係にも悪影響を及ぼしてしまっているようです。
Q6. あなたがプロジェクトマネジャー(PM)によって、プロジェクトメンバーとの人間関係が悪くなったと思う理由をお答えください。(複数回答)【n=391】
次いでプロジェクトマネジャー(PM)によって、プロジェクトメンバーとの人間関係が悪くなってしまったと思う理由を聞きました。
その結果、「PM の仕切りが悪かったから」56.8%、「PM が無駄な作業を生み出したから」42.7%、「PM の技術的知識、プロジェクト経験が乏しかったから」35.8%が TOP3 となりました。
Q7. あなたがプロジェクトマネジャー(PM)として携わった案件で、プロジェクトがうまくいかなかった経験はありますか。(単数回答)【n=300】
次いで、プロジェクトマネジャー(PM)経験者に対し、携わった案件でうまくいかなかった経験を聞くと、70.3%が「ある」と回答しました。
プロジェクトメンバーだけではなく、PM 自身もプロジェクトがうまく進行していないことを自覚しているようです。
Q8. プロジェクトがうまくいかなかった理由をお答えください。(複数回答)【n=211】
プロジェクトがうまくいかなかった理由を聞いたところ、最も多い回答は「プロジェクトマネジャー(PM)としてスキル不足だったから」となり、37.0%が回答しています。
また、第 3 位には「上司に相談したが、具体的なアクションまでサポートしてくれなかったから」がランクインし、企業のプロジェクトに対する意識や体制の問題が垣間見える結果となっています。
Q9. プロジェクトマネジャー(PM)をしていた際に上司や会社に対し不満を感じたことをお答えください。(複数回答)【n=300】
プロジェクトマネジャー(PM)が上司や会社に対しての不満を感じたこととしては、「PM にすべてを任せすぎている」37.0%、「PM への教育が足りない」33.0%と回答した方が多い結果となっています。
スキルが足りないと自覚している PM が存在するのに対し、サポートや教育が足りないという企業の問題がありそうです。
Q10. あなたは、プロジェクトマネジャー(PM)を経験し、PM を辞めたい、会社を辞めたいと思った経験はありますか。(単数回答)【n=300】
多くのプロジェクトマネジャー(PM)が不満を感じていることが調査から判明しましたが、さらに、PM を辞めたいと思った経験があると答えたのは計 70.3%にも上りました。
会社を辞めたいと思った経験も計 57.0%と半数を超える結果となり、PM には大きなストレスが掛かっていることがわかります。
Q11. プロジェクトマネジャー(PM)に対する不満をお答えください。(複数回答)【n=200】
次いで、プロジェクトマネジャー(PM)を任命した経験のある役職者に対し、PM に対する不満を聞きました。
最も多い回答は「スキルが不足している」26.5%となり、次いで「無駄な工数が多い」23.0%、「プロジェクト成功に向けたマインド不足」20.0%と続きます。
企業の役員クラスでも PM のスキル不足を感じているようです。
Q12. あなたがお勤めの企業ではプロジェクトマネジャー(PM)の教育の重要性を認識し教育していますか。(単数回答)【n=1200】
企業はプロジェクトマネジャー(PM)の教育の重要性を意識し教育しているかを聞きました。
その結果、意識している計、教育している計ともに、役職クラスとプロジェクトメンバー、PM で大きな差がある結果となっています。
プロジェクトメンバー、PM は半数以上が「教育していない」と感じているのに対し、役員クラスは 38.5%のみとなっています。
この意識のズレを修正するには企業全体での取り組みが必要なのかもしれません。
【「名ばかり PM」問題 解決には PMO が成否のカギ】PM にはプロフェッショナルスキルが必須。「名ばかり PM」問題の解決法は?プロジェクトマネジメント支援のプロフェッショナル、MSOL(エムソル)の高橋信也 CEO に要点を聞いた。
<プロジェクトはなぜ炎上し、迷走するのか。「名ばかり PM」が増加する要因とは?>
PM はプロジェクトマネジメントのプロフェッショナルでなければいけません。多くの日本企業では、ジョブローテーションの結果、PM に着任するケースが多く見受けられます。
PM の仕事は、経験のない人が着任してすぐにできるような簡単な仕事ではありません。
経験のない PM がプロジェクトにアサインされた結果、管理不足と可視化不足で状況が把握できず、さらには全体を統括できずにプロジェクトが炎上することがあります。
<そもそもはマネジメントの問題。PM は教育されているのか?>
PM には、プロジェクトを統括し、計画通りに完遂させるためのプロフェッショナルスキルが必要です。現状、多くのプロジェクトでそのようなスキルを持たない PM が散見されます。
これは、個人として学ぶ姿勢や経験が重要ですし、さらにプロジェクトを成功に導く強いマインドも必要です。
昨今は多くのコミュニケーションツールが開発されていますが、生産性を向上させるためのツールにも問題があります。
使いやすいだけではなく過去の失敗や教訓を生かしながら PM を教育し、プロジェクトを成功に導くプロジェクトマネジメントツールが期待されます。
企業が PM を教育できているのか、教育できるのかを考えたとき、企業側に教育ノウハウがない場合が多く、正直心許ない状況です。
<欧米では MBA、弁護士、会計士と同等の価値がある PM のプロフェッショナル>
日本では PM のプロフェッショナルを指す、PMP(プロジェクトマネジメントプロフェッショナル)という資格はあまり認知度が高くなく、国内の PMP 取得者は約 4 万人です。
一方、米国では約 33 万人の PMP 取得者が存在しており、中国でもここ数年急増し、約 30 万人もの取得者がいるのに対して、日本ではあまり増えていません。
プロジェクトには、プロフェッショナルスキルを持った PM あるいはそれに準ずる人材がいるべきですし、もっと増やしていく必要があると思います。
<PM はスキルだけでは不十分。PM を支える PMO(プロジェクトマネジメントオフィス)の価値>
「名ばかり PM」問題を解決するには、スキルの取得、向上だけでは不十分です。
PM にはプロジェクトを成功に導く強い信念、リーダーシップと言った人間力がさらに必要となります。
そのため、今のプロジェクトの現場では、プロフェッショナルスキルを持った PMO(プロジェクトマネジメントオフィス)という人、組織が活躍し、大きなプロジェクトの PM を支えているのが現状です。
これからのプロジェクトは、PMO と優れたプロジェクトマネジメントツールが成否のカギを握っているといっても過言ではないでしょう。
【調査分析】株式会社マネジメントソリューションズ(MSOL:エムソル)代表取締役兼 CEO高橋 信也(たかはし しんや)氏
福岡県出身。上智大学経済学部卒。大学卒業後、アンダーセン コンサルティング(現アクセンチュア)入社。 コンサルタントとしての外部の目からだけではなく、内部の目でマネジメントを経験したいとの思いから、SONY Global Solutions へ入社。グローバルシステム開発プロジェクトの PMOリーダーとして活躍。 2005 年 株式会社マネジメントソリューションズを設立し、現在に至る。
調査元:株式会社ネオマーケティング