業務効率化が叫ばれる昨今。多くの企業の人事が、さまざまな施策を模索しています。
そんな中、注目を浴びている施策がある。それは意外にもメールソフトであるOUTLOOKの操作(アウトルック)に関する研修。
その効果はなんと業務時間の20%を削減で、新入社員であっても、リーダー層であっても、はたまた社長であっても効く可能性が高いとのこと。
でもOUTLOOKと20%削減がどうしても頭の中で結びつかない。そんな裏ワザがあるのだろうか。そこで、研修を考案した森新さんに直接インタビューし、OUTLOOK研修のリアルな実態を聞いてきた。
取材対象者 | 森 新さん(Arata Mori)
大手飲料メーカー/新規事業。副業として研修サービス「オフィスク」にてOUTLOOK研修を提供中。アウトルック最速仕事術(ダイアモンド社)の著者
聞き手 | 植田 崇
ストリートアカデミー株式会社 事業企画
目次
人事として試行錯誤しながら見つけた、業務効率化の旗手「OUTLOOK」
植田:OUTLOOKというと意外な感じがしますが、なぜ着目されたのですか?
森:残業している人が、一番時間を割いているツールだからです。私は当時、飲料メーカー(某大手企業)人事部で働き方改革を担当していました。
様々な企画を考えては投入していたのですが、なかなか効果が出なくて。例えば、『早く帰りましょうキャンペーン』。全く効果がでないし、現場からは「現場のことを分かっていない!」とお叱りの声。そこで、現場をよく観察してみました。
残業しながら何をやっているのだろうと。すると、大半の方はPCを開いて作業をしている。さらにPCをのぞき込むと、みんなOUTLOOKを立ち上げて何か操作しているんですよね。
メールを書いていたり、予定を記入していたり、会議の招集をかけていたり。数えてみるとなんと全体の約3割がそうでした。
植田:OUTLOOKでどうやって業務効率を実現するのですか?
森:3つのムダ(画面切り替え、マウス依存、整理しすぎ)をなくすことで、業務効率化を目指します。
OUTLOOKの基本動作は、「書く」「読む」「整理する」。この基本動作の中で、3つのムダが発生しています。
- ①画面切り替えのムダ
- ②マウス依存のムダ
- ③整理しすぎのムダ。
①は例えば、メールにファイル添付をする動作を思い出してください。メールの作成画面からエクスプローラーに切り替えて、添付したいファイルをコピー。またメールに戻って貼り付ける。典型的な切り替えのムダです。
また②のマウス依存で言えば、Wordを別名保存する動作を思い出してください。マウスでファイルタブを選択し、その中からマウスを移動させて「名前を付けて保存する」を選択。
さらに、マウスを動かし保存先を選ぶ。かなり、マウスを動かす時間に使っていますよね。
実は、最も効果的なのは「脱マウス」です。そのためにショートカットキーを覚えます。ショートカットキーと聞くと、覚えるためにむしろ時間がかかってしまうと感じる方も多いのではないでしょうか。
確かに、WordやExcelなどのソフトでは脱マウスを実現するために必要なショートカットは完璧にやるなら150個程度と多め。
ですが、OUTLOOKはわずか10個を覚えることで、9割の操作において即日、脱マウスが実現できるのです。10個と聞くと、覚えられる気がしませんか?
<よく使うショートカットの例>
- メールの返信「Ctrl+R」
メールを開いた状態で、Ctrl+Rを押すと、瞬時で返信画面が立ち上がります。さらにCtrl+Shift+Rを押すと、返信が全員返信になります。 - 画面を閉じる「Esc」
メールを開いた状態で、Escをクリック。開いた画面が閉じます。わざわざマウスを動かし、「×」をクリックする必要はありません。 - メールの転送「Ctrl+F」
メール一覧で↑↓キーを使い、メールを選択。Ctrl+Fをクリックすることで、転送画面が立ち上がります。
膨大なサンプルをもとに、検証された効果「業務削減20%」
植田:20%の業務効率化ってすごい響きですね。具体的にはどのような数字なのですか?
森:「OUTLOOKを使っておこなう業務時間の20%が削減される」という意味です。
そう聞くと、効果が限定的にも聞こえますよね。どうしてもOUTLOOK=メーラー(メールの管理ツール)イメージが先行してしまうので。
でも会議の予約、アジェンダの共有、自身のタスク管理など非常に多岐にわたって業務を担っているのです。
事務職などで、OUTLOOKを頻繁に利用している人であれば、年間100時間以上時間短縮する人はたくさんいます。
100時間は日に直すと12.5日。今年は超大型連休といわれているGWが12日なので、その休みと同じくらい時間を作り出せるんです。
「90分+1週間の練習」手間いらずで、確実な効果
植田:20%の業務削減を実現する講座、さぞや大変な講座をイメージしますが・・・。
森:講座自体は非常にシンプルです。まずは、OUTLOOKの仕組みについて学びます。続けて、脱マウスに向けたショートカットキーの説明と習得をおこないます。
意外と知られていない機能が多いので、会場から「おおーー」という声が沸き起こるんですよ(笑)。
続けて参加者の仕事スタイルに合わせて、10個のショートカットキーを選び、学んでもらうだけ。これで90分の講座です。
ただ、90分の内容を実業務で定着させる必要があるので、その後の数日だけショートカットキーの使用練習をしてもらいます。
独自に作ったショートカットキー早覚え表があるので、これを机の横に並べてもらい習得してもらいます。
日本全体の業務を効率化していきたい
植田:現在は自社以外での活動にも積極的ですが、広めようと思ったのはなぜですか?
森:「ちょっとだけ日本が変わるかな」と思ったんですよね。OUTLOOKは企業のうち4割が導入しています。
さらにその企業では「全員」が使うツールであるため、このノウハウが横に展開されたら、日本社会全体の生産性まで少しは影響があるのではないかなと。企業の4割ってすごい数字だなと思っています。
OUTLOOKが企業の生産性を上げる一番手っ取り早い方法だと確信しているので(笑)。現代だからこそインパクトは相当大きいと思っていて。
これが上手くいかなくても、OUTLOOKスキルという言葉が世の中に認知されるようになって、課題意識を根付かせることが出来たら嬉しいなと。そう信じ続けて教えています。
ストアカさんで教えている理由もまさにこれです。ストアカを介してたくさんの企業の課題につなげていきたいですね。
また、学びたい方へ教えることも勿論なんですけど、ストアカ講座や研修で得た知識を是非周りの人に広めてほしい。スキルが広がって社会全体の生産性が上がることが、僕にとっても社会にとっても嬉しいことだと思うので。
植田:どんな人にオススメしたいですか?
森:OUTLOOKを使っている人、そしてマウスを使っている人全員です。OUTLOOKに限定して言えば、脱マウスは超簡単なんですよ。
意外とマウスをくりくりやって時間使うことも多くて、ストレス感じませんか?それが10個のショートカット覚えれば解決するんですよ。
90分の授業を受ければできるようになる。一度の授業で済むからこそ、多くの方に来て、知ってもらいたいですね。
ちなみに、僕はスノボーシーズンになると、北海道にこもります。これは業務効率化のたまもの。みなさんにも、できた自由な時間を、何かチャレンジのためにあててほしいですね。
植田:インタビューは以上になります。本日はありがとうございました!
森:ありがとうございました!
編集後記
森新講師はとにかくエネルギッシュで、それでいてOUTLOOKのインパクトを確信し続けていました。
自らが感じた働き方改革への課題とその現状。『OUTLOOKだからこそ日本社会全体の生産性を上げられる』森さんが起こし始めた小さな風が、大きな竜巻のように社会全体を巻き込んでいく。そんな勢いを感じさせる方でした。