近年HRテックという言葉を何かと耳にする機会が多いのではないでしょうか。
HRテックとはHR(ヒューマン・リソース=人事部など)とTech(テクノロジー)を掛け合わせた造語で、今世界で急速に普及しているサービスです。
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このHRテックが国内において「現状どれくらい普及して」おり、「これからどれくらい普及していくのか」を表す指標として、ミック経済研究所がおこなった調査結果と今後の予測があります。
それによると、2019年度のHR Techクラウド市場規模は355.0億円が見込まれており、2023年度は1000億円以上まで国内市場規模が急拡大すると予測されます。今回はそんなHR Techの普及背景などをご紹介していきます。
1|なぜHR Techが求められているのか
なぜ国内でここまでHR Techが求められているのでしょうか?それは、近年の日本企業全体の課題が根幹にあります。
皆さんご存知のとおり、少子高齢化に伴い労働生産年齢人口は減少の一途をたどっています。
そのため、上記グラフのように採用における有効求人倍率もどんどん上昇しています。これが近年声高に叫ばれている「企業の人手不足問題」です。
そして、そんな人手不足という課題を背景に、「いかに優秀な人材を獲得するか」というものがさらに求めらる時代になってきました。
上記グラフは、人事担当者に対し人事全体で最も意識する必要がある役割を、現在と今後に分けて聞いたアンケートです。
このように人事の役割を「ビジネスの成果に貢献すること」という部分に位置づける傾向が強まっています。この流れも受け、新卒採用なども一種の”戦略”として認識する企業が増えているのだと考えられます。
以上のような人材業界を取り巻く課題を解決するためにも、「人事管理周りの効率化」「人事戦略支援」をするためのソフトウェア、すなわち”HR Tech”が必要な状況になっているというわけです。
2|HR Techブームについて
日本で必要不可欠なツールになりつつあるHR Techですが、このHR Techは国内だけでなく、世界的に注目されているサービスでもあるのです。
上記グラフからは、世界規模で見た時に日本が米粒ほどもシェアに食い込んでいないことが見て取れますね。
なぜ、今世界的にこんなにもHR Techがブームになっているのでしょうか。それはひとえに「テクノロジーの進歩・普及」にあると言えるでしょう。具体的な要因を以下の3つに分けてご説明します。
(1)ハードウェアの変化
かつての人事ソフトは人事担当のみが利用することを前提に設計されており、使いづらく一般の社員は利用を敬遠していました。
そのため、今まではエクセルなどに、メールなどで得た情報を打ち込みデータ管理をしていました。
しかし、スマートフォンが普及し、使いやすいインターフェースのソフトウェアが増加したことを受けて、社員も手持ちのデバイスにリアルタイムで情報を打ち込むことが可能になりました。
そのため、「打ち込んだ情報に対するフィードバック」や「情報の全体への公開」などが容易になり、情報のインプットのみならず全体へのアウトプットすら容易になった、という意味で画期的だといえるでしょう。
(2)SaaSの普及
ハードウェアが変化したことで、ソフトウェアも変化したことをお伝えしましたが、現在のソフトウェアはもう一回り進化してきているのです。それが俗に言うSaaS(Software as a service)と呼ばれるサービスです。
SaaSと従来のソフトウェアとの一番の相違点は課金体制です。従来はソフトパッケージを最初に購入し、アップデートが配信されれば随時追加課金していくというモデルでした。
そのため、追加アップデートが配信されたとしても課金してダウンロードするかどうかで二の足を踏むというようなことが多かったのです。
一方で、SaaSは定額課金が基本です。そのため、アップデートが配信されれば自動的に無料でそのアップデートの恩恵を受け取ることができます。
また、SaaSはその特性上「常にユーザーに対し最高水準のサービス」を提供し続けなければなりません。それは、課金し続ける都合上、上位互換の他社サービスがあればすぐに乗り換えられてしまうからです。
このようにユーザーにとって使いやすいソフトウェアが普及したことにより、HR関連のSaaSも増えているのです。
(3)AI・RPAテクノロジーの向上
過去のデータから自ら物事を考え最適解を導く「AI」とルーチンワーク的な仕事の代替に役立つ「RPA」の普及により、一層ソフトウェアのサービスの幅が広がっているといえるでしょう。
人事関連の大量の書類作成といったルーチン的な作業を自動化することにより、大幅なコスト削減につながります。
また、それにより人事担当者がルーチン作業から解放され、戦略立案や企画、あるいはまさに戦略的人事のようなより付加価値の大きな業務に注力できる環境が生まれるのです。
さいごに
いかがでしたでしょうか?
人事業務はもはや経営戦略の一環。そのため、面倒なルーチンワークをAIやRPA等のソフトウェアに任せ、人事戦略を考えるというワークフローが急速に広まってきています。その戦略を補助するためのソフトウェアすら登場しています。
そして、これらの競争がさらに激化するといわれているのが今年2019年。まさにHR Tech元年といえるでしょう!人事のあらゆる領域であらゆる工程においても補助してくれるHR Techサービスをぜひ一度試してみてはいかがでしょうか?