こんにちは! HR NOTE編集部の田口です。
採用活動の中でも大きな位置づけを占めるのが「面接」。面接ひとつで応募者の志望度を上げることもあれば、下げてしまうことも多々…。本記事では、企業の採用活動において本当にあった「面接で人事がとった恐ろしい言動」を、エピソードとともにご紹介します。
1|本当にあった怖い人事の話
ここでは、本当実在した「恐ろしい人事」を5名ご紹介します。
1人目|面接設定できない人事
人事と応募者のやり取りは、応募後にいつ面接をおこなうのか、スケジュールを合わせるところから始まります。この段階で応募者に不安や不信感を与えてしまうと、面接をキャンセルされてしまい優秀な人と出会うチャンスを失ってしまいます。
そのため人事は、面接前の応募者とのメールや電話でのやり取りにも細心の注意を払う必要があります。就職活動を終えたCさんによる、面接設定でミスをしてしまった人事のエピソードをご紹介します。
就職活動中、気になったweb企業Rに採用ページから応募しました。すると後日その企業から「面接が可能な日時はありますか」という連絡がきたので、可能な日程を送り返しました。
ところが、1日経っても、3日経っても担当者の方から返信が来ません。1週間が経ち、とうとう提示した日程のうち最初の日にちの前日になってしまいました。何か諸事情があって、「選考に進めなくなったのかな・・・」と諦めて他社に応募しようとしたとき、R社から電話がありました。内容は「連絡が遅れてすみません。面接の件ですが、ご提示された明日の○○時でいかがでしょうか?」とのこと。
私は「いきなり明日!?連絡が遅れた理由も言わないないし・・・。」とびっくりしました。結局、私の予定は空いていましたが、人事の対応に納得できず、その場で選考を辞退することにしました。
2人目|履歴書読まない人事
応募者が企業に応募する際は、自身の履歴書を送付します。そして、履歴書を受けとった企業はその内容を確認し、書類選考に通過した応募者には選考通過連絡をするというのが基本的な選考の流れです。
最近では、求職者があらかじめ自身のプロフィールを登録し、それに対し興味を抱いた企業側から求職者にアプローチするスカウトサービスもよく利用されるようになりました。2つ目のトンデモ人事エピソードは、このスカウトサービスを利用した企業の人事エピソードです。
スカウトサービスを通して連絡してきた某有名IT企業。サービスに登録された私の経歴や自己紹介に興味を持ってくれたのだからと、選考を受けることにしました。
しかし当日、いざ面接が始まると人事に「履歴書を読みますので少しお待ちください」と言われました。私はその時「えっ!経歴や自己紹介を見てスカウトしたんじゃないの!?」と思わずびっくりしてしまいました。5分ほどして「それではいくつか質問させていただきますね」と言われたものの、履歴書を読めば分かることを聞いてきました。
私の面接へのやる気はみるみる下がっていき、自分をアピールすることもできませんでした。お互いを理解することができないまま面接は終了し、結果は”お見送り”。スカウトサービスを利用する意味はあったのでしょうか・・・。
3人目|プレッシャーかけ人事
面接官の態度が悪いと、話が弾まず、応募者は上手く発言をすることができなくなってしまいます。また、面接官の態度が悪いと、それだけで不合格なのではないかと不安になり、自信がなくなってしまうことも多々あります。
面接を受けに来る応募者は、採用の合否がかかっているため真剣です。応募者の中には、緊張のあまり頭が真っ白になり話すことを忘れてしまう人も多くいます。そのような場合には、応募者の緊張をほぐすために面接官が工夫をすると良いでしょう。”間違っても”、応募者に過剰なプレッシャーをかけるべきではありません…
新卒での就職活動で、業界の中でも大きな規模の不動産会社を受けました。張り切って面接の部屋に入ると、そこにはなんとなく機嫌が悪そうな人事の姿がありました。
さっそく面接が始まると、「はいじゃあ自己紹介してー」と少しばかり荒々しい口調で人事の方に言われました。さらに、こちらが答えた内容に対しては「それで?」「だから?」と強い口調でさらに質問をかけてきます。
もっとも印象的だったのが、面接の最中、人事は常にパソコンの画面を見ていて私(Iさん)の顔は少しも見てくれなかったことです。はじめは面接官の態度に惑わされず、自分をアピールしようと振舞っていました。
しかし、面接官の高圧的な態度に途中から自身が無くなってきてしまい、自分を出せないまま面接は終了しました。面接の結果は思った通り”不合格”で、とても落ち込みました。
4人目|自分の会社が一番人事
中途採用の面接においては、転職希望者の転職理由も重要視されます。転職理由は人それぞれで、ネガティブな理由がある人もいればポジティブな理由を持つ人もいます。
たとえば、勤務条件が悪かったことや人間関係がうまくいかなかったことなどがネガティブな理由に挙げられます。一方で、スキルアップや新しいことに挑戦したいというのはポジティブな理由になります。
どのような理由であっても、人事がその内容に否定的な意見を述べることは、応募者を不快な思いにさせる行為です。自分の会社を棚に上げ、応募者を見下すような発言をするなど、絶対にあってはなりません…
某大手アパレル企業に、中途採用の面接を受けに行ったときのエピソードです。私の前職は金融系だったのですが、入社して3年で自分のキャリアプランとずれていることに気づき、転職を決めました。
そのことを人事の方に話したら「その会社、評判よくないですよね。入ったのは間違いだったんじゃないですか?初めに気づかなかったのですか?」と前職の会社を否定するようなことを言われました。
前の会社で一緒に働いていた方々はとても良い人たちばかりだったし、自分がやりたい仕事とずれていただけで前の会社が悪いとは私は一切思っていません。
人事の方は自分の会社が一番だと思っているのかわかりませんが、私だけでなく前の会社も否定されたことに大きな憤りを感じました。この面接官のような人がいる会社では働きたくないと思ったので、こちらから辞退させていただきました。
5人目|マイナス発言連発人事
最後は、応募者の意欲を一気に失わせるような仕事に関するマイナス発言をしてしまった人事です。応募者が「この会社で働きたい!」と思ってくれたにもかかわらず、その気持ちを変えてしまうのは人事にとって非常に重大なミスです。
応募者の気持ちが冷めてしまうと辞退につながる可能性が非常に高くなるため、母集団形成・人手不足に悩む企業は特に気をつけなければなりません。5つ目は、応募者の意欲を削いでしまった人事のエピソードです。
新卒の就職活動の際に、誰もが名前を知っている某大手通信会社の子会社の面接を受けました。説明会で、子会社といえど主力事業に関わる規模の大きな案件を担当できると聞き応募しました。
しかし、面接の際に人事の方に具体的な仕事の進め方を聞いたところ、「ウチは子会社だから自分で決められない」と言われ、説明会で話していたことと違いびっくりしました。また、説明会では、新卒への教育制度が整っており、エンジニア未経験からでも始められると話していたのに、人事の方は「実際は厳しくて辞める人が多い」と言うじゃありませんか。
私はエンジニア未経験でしたので、こちらの会社で経験を積みつつ親会社のサポートをしたいと考えていたため、理想の働き方はできないと判断し、辞退しました。
2|面接の際に人事が心得ておくべきこと
紹介したエピソードの他にも、応募者の志望度を下げてしまう例は多々あります。問題は、一度マイナスなイメージを与えてしまうとなかなかそのイメージを拭えないということです。
面接を受けに来た応募者に「なんだこの人事(会社)は・・・。」と思わせてしまうのは、人事のミスだと言わざるを得ません。そのような人事は会社にとって脅威になる可能性があります。
なぜ脅威になるのか
現在は、インターネット上のSNSや掲示板に簡単に何でも書き込むことができ、小さな出来事も拡散されやすい時代です。さらに拡散されるにつれて情報が付け加えれたり、変えられていき、事実とはかけ離れた情報が浸透してしまう可能性もあります。
そのため、このたった数分の面接の中での出来事がきっかけで企業の評判が下がってしまうことも十分にあり得るのです。
会社の評判は、新卒採用、中途採用ともに応募者が会社を選ぶ際の重要な判断基準になります。そのため会社の評判が落ちることで人が集まらなると、結果として企業の採用活動が困難になってしまうと考えられます。現在の採用市場は企業が買い手だと言われていますから、評判の悪化は大きな痛手となるでしょう。
このように、「人事がきっかけで企業の人気が落ちる」という、なんとも恐ろしい事態になりかねないのです。そのようにならないためにも、人事の方が面接をする際に心得ておくべきことが3つあります。3つの心得を意識して、応募者に気持ちよく面接を受けてもらいましょう。
01 面接の目的と面接官の役割を果たす
面接をおこなうことには目的があり、またその目的を達成するために人事は面接官という役割を担います。そのため、人事は面接官として、きちんと役割を果たすべきなのです。
人事が応募者に不快な思いをさせてしまうのは、これらの目的と役割を理解していないことも原因のひとつです。ですので、そもそも何のために面接をおこなうのか、そのために面接官はどのような役割を果たすべきなのかを理解しておくことは非常に重要なのです。
【面接の目的】 ■応募者の人柄が自社の社風とマッチしているかを見極める ■勤務条件や社風についての認識をすり合わせミスマッチを防ぐ
【面接官の役割】 ■応募者のありのままの人柄を引き出す ■自社の魅力を応募者に伝える ■自社の正しい情報を応募者に伝える
応募者の人柄が自社の社風とマッチしているかを判断するためには、面接の場で応募者のありのままの姿を引き出す必要があります。しかし応募者は緊張から、本来の自分を出しにくい状況にあります。そのため、面接官から積極的に応募者の本来の姿を引き出す工夫をしましょう。
たとえば、応募者に対して笑顔だけでなくさまざまな表情を使い分けることで「私はあなたの話を聞いていますよ。」ということが伝わります。応募者は自分の話を聞いてくれているんだという安心から緊張が緩み、うまく話すことができるかもしれません。
また面接は、入社前と入社後にギャップが生じ、早期に退職してしまうという「ミスマッチ」を防ぐための場でもあります。人事は自社の魅力を応募者に伝え、入りたいという気持ちを高めることも大切ですが、勤務条件や仕事内容を正しく伝えることのほうが重要だと言えます。
これら「面接の目的」と「人事の役割」を理解していれば、応募者が萎縮してしまうような態度になったり、会社に疑問を持つような事態にはならないでしょう。
02 人事は企業の顔である
人事が与える印象は、そのまま企業の印象にもつながります。なぜなら、面接は応募者にとって企業のことを知るための数少ない手段の1つだからです。
人事の言葉や行動1つとっても、応募者の印象に残りかねません。たとえば、面接の日程調整をおこなう人と、実際に面接をおこなう人が別であっても、応募者にとっては一連の流れの中でやりとりをする「企業の人事」になります。ですので人事は、採用活動におけるあらゆる業務を最新の注意を払っておこなう必要があります。
多くの人に応募してもらうためにも「この人と働きたい!」もしくは「こんな人がたくさんいる会社で働きたい!」と思ってもらうことは大切です。そのために「人事は企業の顔である」という意識は強く持っておかなかればならないのです。
03 応募者と対等の立場になる
本記事で紹介した、応募者に対して高圧的な態度で接する人事のエピソードは珍しい話ではありません。以前よりは減ったものの、新卒採用の世界では「あの会社は圧迫面接だ」などのうわさはよく流れてきます。
そもそも、面接を受ける応募者の方々は、企業の求人情報を見て、受けたいと思い、わざわざオフィスまで足を運んできてくれています。その時点で応募者より人事のほうが立場が上ということはなく、自社に興味を抱いてくれた応募者に対して人事は対等な立場を持って接するべきだと言えます。
あえて高圧的な態度をとるいわゆる「圧迫面接」をおこなうことで、それでも食らいついてくる意欲の高い学生を見極めようとする企業もあります。しかし、面接で不快な思いをした応募者は、そのときの体験を知り合いに話したり、インターネット上に書き込んでしまうかもしれません。特にインターネット上の情報は拡散されるスピードが非常に速いため、企業にダメージが加わる可能性があります。
一度ついたイメージ、特に悪いイメージを変えるためには、たくさんの努力と時間がかかります。そのような事態にならないよう、人事は応募者と対等であるということを意識して面接をおこなう必要があるのではないでしょうか。
3|まとめ
いかがでしたでしょうか?本記事で紹介した事例は全て実際に起こったことであり、人事の少しの不注意で簡単に応募者に悪い印象を与えてしまうことを示しています。とくに、人事の経験が浅い方は要注意です。
最悪の場合、人事の良くない振る舞いがインターネット上に拡散され、企業の評判が下がってしまいます。そして結果的に新卒・中途ともに人気が落ちる可能性があります。
人事にとっては不本意・無意識であっても、応募者の心にはそのときの印象が強く残ってしまいます。人事は企業の顔だということを自覚し、いかなる場合であっても寛大に、応募者と対等に振舞わなくてはいけません。
面接によって応募者に悪い印象を与えてしまう事態を防ぐために、「面接をやる目的と面接官の役割を果たす」ことなどをしっかりと心得た上で、面接をおこないましょう。