新卒採用のハードルは年々高くなっています。理由は、労働人口の減少、SNSの台頭による学生の情報リテラシーの向上など、挙げればきりがありません。このような状況下で採用を成功させるためには、いかにデータを使って、かつ他社と差別化することにより活躍するであろう人材を集め、口説き落とすか、ということが企業には求められてきます。
しかし実際、「他社と差別化を図れるような面白いインターンシップを企画したり、効果的な母集団形成をおこなったりするにはどうすればいいのだろう…」と頭を悩ます採用担当者も多いのではないでしょうか。採用にあまり詳しくない担当者は、採用活動において、「なにから始めれば良いのかもわからない」という方もいるかもしれません。
そこで、どの企業でも選択肢として持つことができるのが、「採用コンサルティング会社」という存在です。本記事では採用コンサルティングの概要や活用するメリット・デメリット、新卒の採用コンサルティング会社を紹介しますので、参考にしてください。
目次
1|採用コンサルティングとは?
ヒト・モノ・カネのなかでも、企業の土台となるもっとも重要な資源であるのが「ヒト」。その「ヒト」を確保するためにさまざまな提案をし、成果に導いてくれるサービスが「採用コンサルティング」です。
ひたすらヒトを集めて、選考をし、内定を出すという一連の流れのなかで他社と差別化を図るのは難しく、学生を集めることに苦労している企業も多いでしょう。採用成功の確率を上げるためには、企業の経営方針や中期経営計画を踏まえ、人材の活躍する姿までを想定して動くことが求められます。
まさにこのような戦略的なソリューションを提案し、実行させてくれるのが採用コンサルティング会社です。
一方で、採用コンサルティングを利用することは、採用担当者の育成をしたい場合にも有効でしょう。採用コンサルティングの考え方やテクニックを取り入れることで、採用代行などのアウトソーシングでは得られない「ノウハウ」を自社内に蓄積することができるからです。採用活動の進め方や採用担当者の育成に悩んでいるなら、採用コンサルティングを活用するとよいでしょう。
2|採用コンサルティングを活用することで解決できる採用課題とは?
一番気になるところは、「採用コンサルティング会社が実際に何を解決してくれるのか」ということだと思います。そこで、以下では採用コンサルティング会社で解決できる新卒採用の課題を、大きく3つに分けてご紹介していきます。
1:最新の情報を提供してくれる
新卒採用は情報量が勝敗を左右するといっても過言ではありません。その情報内容は「幅広く、外部と内部どちらの情報」も必要となってきます。
外部でいうと、たとえば、その年度の採用手法のトレンドや学生の動向、競合他社の採用活動状況などが挙げられます。また内部の視点でいうと、自社の経営状況や組織状態、社員のタレント分析、活躍している社員のモチベーションの源泉がどこにあるか、などもありますね。
もう1つの条件として、情報は「精度が高く質が良いもの」である必要があります。年ごとに確度の高い情報を担当者の力だけで集めきるには、相当の工数を費やしてしまうことでしょう。これを、滞りなく提供できるのが採用コンサルティング会社です。
2:見えない課題の抽出
新卒採用自体が初めての取り組みである、せっかく採用してもすぐに辞めてしまう、そもそも内定まで結びつかない、内定を辞退されてしまうなど、企業によって課題はさまざまです。そのような課題には必ず原因が存在しますが、社内で考えていても有効な解決策が見つからないケースもあります。自社内の課題を客観的に見ることは、意外と難しいからです。
課題解決のプロである採用コンサルティングを活用すれば、表出していない採用課題をも可視化し、本質的なアプローチ方法を提供してくれます。
3:採用した人材の教育
採用活動は内定承諾を得て終わりというわけではありません。内定者フォローも含め、中長期経営計画に則った人材育成計画を立案していく必要があります。
その際も、戦略的な育成体系の知識を豊富に持ったコンサルタントが活躍してくれます。現場のニーズをうまく引き出し、プロの視点を加えた適切な提案を期待できるでしょう。
3|採用コンサルティングを活用するメリット
採用コンサルティングを活用すれば、プロ目線から客観的なアドバイスをもらえる、採用に関する最新情報を入手できる、コア業務に集中できる、といったメリットを得られます。それぞれのメリットについて簡単に確認しておきましょう。
1:プロの目線から客観的なアドバイスをもらえる
採用コンサルティングを活用すれば、採用のプロから客観的なアドバイスをもらえます。社内で考えていても、主観的な視点になってしまい課題を可視化できなかったり、有効な解決策が見つからなかったりするケースも多いでしょう。採用コンサルティングに依頼すれば、多くの実績やノウハウをもとに、他社とも比較しながら課題の解決方法を提案してもらえます。
2:市場の最新情報を入手できる
採用市場に関する最新情報を入手できることも、採用コンサルティングを活用するメリットのひとつです。採用活動を成功させるためには、市場のニーズやトレンドを把握することが欠かせません。しかし、忙しい業務のなか、変化しやすい採用市場の状況を常に把握しておくのは難しいでしょう。採用コンサルティングは、業界のトレンドや社会状況の変化を常に把握しているため、自社で調査することなく最新情報を入手でき、採用活動に反映できます。
3:コア業務に集中できる
採用コンサルティングに相談すれば、人材の募集やスカウトを効率化するためのアイデアをもらえます。さらに、採用活動に関する作業をピックアップしたうえで優先順位を付けてくれるため、無駄を省いて業務を効率化できるでしょう。その分、面接や応募者とのやり取りに集中できるため、自社に合う人材を丁寧に見極めたり、応募者との関係を深め内定辞退を防いだりすることも可能です。
4|採用コンサルティングを活用するデメリット
さまざまなメリットがある一方、以下のようなデメリットもあるため注意しましょう。
1:応募者との関係構築が難しくなる場合もある
採用活動に関するアドバイスを受けるだけではなく、応募者とのやり取りまで依頼すると、自社と応募者との距離が縮まらず、うまく関係を構築できないケースもあるため注意が必要です。採用コンサルティングは応募者と丁寧にコミュニケーションを取ってくれますが、任せっきりにせず、必要に応じて自社の担当者からも連絡をするようにしましょう。
2:コンサルティング費用を支払う必要がある
サービスやプランによって異なりますが、採用コンサルティングを利用すると10〜100万円程度の費用を支払わなければなりません。費用が無駄にならないよう、実績やサービス内容についてはしっかりと確認しておきましょう。自社の予算を確認したうえで、採用コンサルティングを利用すべきかどうか慎重に判断することも大切です。
3:社内にノウハウを蓄積しにくい
採用に関するノウハウを社内に蓄積しにくいことも、採用コンサルティングを利用するデメリットのひとつです。採用コンサルティングを活用すれば、採用課題の抽出や人材の募集を依頼できますが、採用に関わる人材を育成したり、情報を収集したりする機会が減ってしまいます。採用コンサルティング会社に任せっきりにせず、コミュニケーションを取りながら、情報とテクニックを社内に蓄積していきましょう。
5|採用コンサルティング会社を選ぶときのチェックポイント
採用コンサルティング会社を選ぶときは、サポート内容や得意分野、ノウハウを提供してくれるかどうか、といった点をチェックしましょう。
1:採用コンサルティング会社のサポート内容
採用コンサルティング会社へ依頼するときは、サポート内容や業務範囲をチェックしておきましょう。採用に関する課題の抽出や解決策の立案はもちろん、面接の実施や内定者とのやり取り、入社後の研修まで幅広く対応してくれる採用コンサルティング会社もあります。まずは任せたい内容を明確にしたうえで、自社に合ったサービスを選ぶことが重要です。
2:採用コンサルティング会社の得意分野
採用コンサルティング会社の得意分野や実績のある業界についても確認しておきましょう。採用に関する課題の解決、効率的な応募者の獲得など、採用コンサルティング会社によって得意とする業務は異なります。それぞれの特徴を把握したうえで、自社の悩みを解決してくれそうなサービスを選びましょう。
3:ノウハウを提供してくれるかどうか
先ほど記載した通り、採用に関するノウハウを蓄積しにくいことは、採用コンサルティング会社を利用するときの大きな課題です。情報をあまり提供してくれない採用コンサルティング会社の場合、契約が終了したあと、自社で再び採用活動を進める際に困ってしまいます。社内の人材育成やナレッジの蓄積を目指すなら、ノウハウを提供してくれる採用コンサルティング会社を選ぶことが大切です。
6|採用コンサルティング会社まとめ
以下では、採用コンサルティング会社を全14社ご紹介します。本記事を読んで採用コンサルティングに興味を持った方、採用コンサルティングの活用を検討している方は、こちらを参考にしてください。
株式会社キャリアマート
【特徴】
- 年間クライアント数・約600社以上のノウハウ・情報を持つ
- 業界・業種・職種別に、企業の特徴(強み・弱み)、給与、キャリアプランなどの項目を分析
- 新卒採用に注力しており、ターゲット学生に訴求されるプランニングに強みを持つ
HeaR株式会社
【特徴】
- 候補者体験に重きを置く唯一のコンサルティングファームで、ブランディングも含めた採用計画立案から採用代行まで戦略的にトータルサポートが可能。
- 契約終了までにクライアント社内リソースを鑑みながら引き継ぎを実施するため、契約終了後も社内にナレッジが残りやすい。
- 新卒採用の実績は数多くあるが、特にエンジニア学生の採用に強みがある
株式会社カケハシスカイソリューションズ
【特徴】
- 完全オーダーメイド型で企業に寄り添い、ニーズがあればその場で新規コンテンツやサービスを作り出していく柔軟性。
- 採用活動スケジュールの立案から内定者フォロー、入社までを年間サポート。また、面接官やリクルーター担当社員への研修も実施。
- 就職活動支援サイト「就キャス」を運営し、企業と学生のミスマッチを防止。
株式会社ネオキャリア
【特徴】
- 選考やパッケージを販売している企業が多い中で、企業の課題に合わせてゼロベースからどこにもかぶらない企画を開発することが可能。
- 採用したいターゲットをヒアリングした上で、それに合わせて最適な母集団の作り方、魅力づけの方法を提案してくれる。
- 就職エージェント(新卒紹介)との連携もでき、イベント送客などをプランニングすることも可能。
- アウトソーシングサービスを開始して10年以上の歴史があるため、キメの細かいサービスで、煩雑な採用業務・データ管理など、採用の全工程におけるバックアップを請負うことも可能。
株式会社船井総合研究所
【特徴】
- マーケティング視点をそのまま採用コンサルティングに当てはめ、企業規模ごとの戦略をとる。
- 100を超える業種・業界に専門特化した500名以上のコンサルタントが在籍。採用を通過点と考え、採用した人材による「業績向上」を至上命題としている。
- 内定者期間に業種ごとに特化した研修を実施。
株式会社クイック
【特徴】
- 5万人以上の臨床心理データに基づき開発された適性検査を既存社員に実施し、採用人材の要件定義に活用。
- インタビューによる現状分析と将来の事業像に対する採用計画の策定プログラムを実施。
- 採用、教育、広報・マーケティング、労務など幅広いサービス内容で一貫性のある提案を実現。
株式会社ジーズコンサルティング
【特徴】
- 採用活動を行いながら「同時進行でスピーディな改善」が強み。
- 動画コンテンツの制作など、採用に必要なツールの企画・制作も可能。
- 「Agent」という人材紹介サービスもおこなっている。
- 「就活生」へのサービスである就活予備校PRE-BIZ(プレビズ)の運営により、学生の就活スタイルの変化や企業イメージなど、就活生のリアルな情報を提供。
株式会社Legaseed
【特徴】
- キックオフとしてプロジェクトチーム全員を巻き込んで、丸2日間かけた採用計画の策定を行う。
- リクルーターや面接で関わる採用スタッフの採用力を強化するトレーニングを実施。グループワークや課題、インターンシップのプログラム設計もおこなう。
- 内定と同時に入社に向けて戦力化を果たす育成システムを構築。
ジョブズコンサルティング株式会社
【特徴】
- 『フル=全て』×『アウト=出していく』ことによって、採用成功〜売上アップまでをプロデュース。
- プレゼンテーターのスキルアップフォローや、リクルーター候補生に対するビジネスコーチングをしてくれる。
- 中小企業、特にスタートアップ企業での採用コンサルティングを得意とする。
- コンサル費用は月額として、ライトプラン:128,000円、スタンダードプラン:198,000円、プレミアムプラン298,000~の料金体系。
株式会社人材研究所
【特徴】
- 心理学と組織論を活用した独自の採用テクニック。
- 最短1日で面接官・リクルーターを育てる短期集中トレーニングを提供。
- 2万人以上の面接データベースを持ち、クロージングスタイルをパターン化。
- 形式化の促進によるナレッジの共有・業務改善を実現可能。
株式会社precious time
【特徴】
- 採用成果と人事スタッフの育成を実現するアクションラーニング型サービス。
- 選考に用いるグループワーク教材・内定者・新入社員教育用の豊富な研修教材をご提供。
- 優秀人財の採用後、職場で期待通りの成長を促すための「OJTコーチャー養成」プログラムを実施。
株式会社トライアンフ
【特徴】
- 元企業人事による自社で実験・検証した効果的なソリューションのみを提供。
- オーダーメイドなサービスでクライアントごとの課題を解決。
- 常駐型サービスで現場に入り込んだ採用支援を実現。
- 数合わせではなく、質合わせの採用を意識し、ダイレクトソーシングと呼ばれる母集団形成や、AIなどを駆使。
7|採用コンサルティングを活用して優秀な人材を確保しよう!
いかがでしたでしょうか。
新卒採用において優秀な人材を呼び込むためには、「採用コンサルタント」というプロの力を借りながら、企業のトップ層が積極的に採用に関わることがとても重要です。
全社一丸となって、採用プロジェクトを立ち上げ、経営陣をはじめ現場も一体となって取り組むことで、組織改革が進み、自社に必要な優秀な人材が獲得できるのです。
ここ数年は大手広告代理店に求人票を掲載しておくだけの待ちの姿勢では、優秀な人材に会える機会がほぼなくなってきている時代です。壁にぶつかったときこそ一度プロに任せ、自社にぴったりのピンポイントでユニークな採用手法を検討してみても良いかもしれませんね。