
求人倍率の高騰や採用コストの増大、さらにはダイレクトソーシングの一般化に伴う「候補者の奪い合い」が激化する中で、自社にマッチした人材を低コストかつ高精度で獲得できる手法として、多くの企業が「リファラル採用(社員紹介採用)」を導入しています。
弊社が採用支援や定着支援を行っている企業でも、リファラル採用制度を導入する企業は増えていますが、適切なツールや運用の仕組みを構築しなければ、「なかなか紹介が生まれない」「短期的にしか成果が出ない」といった悩みを抱える企業が多いです。
これからますます注目度が高まると予想される「リファラル採用」。具体的にどのように取り組んでいけば良いのでしょうか。

執筆者成田 靖也氏株式会社Take Action 代表取締役社長 CEO
1984年生まれ。北海道出身。人材コンサルティング会社に入社後、当時最年少で名古屋支社長に就任。ただ、採用会社の入社させて終わりの顧客目線ではない手法に疑問を持ち、採用・定着・活躍まで支援できる究極のカタチを求め、25歳でTake Actionを設立。現在は、エンゲージメントを軸に経営課題を解決し続けることで、『採用・定着・活躍』3つの側面から企業成長を支援しています。
目次
費用面と採用可能人数の両面で、従来の採用手法に限界を感じている
一般的に、採用活動においては
- ナビサイトへの掲載
- イベントやフェアへの出展
- 人材紹介会社との提携
などの方法があります。しかし、どれも数十万円から数百万円単位での出費となり、1名採用するための単価は非常に高額です。
職種によっても異なりますが、中途採用の場合は年収の30〜35%ほどかかるケースもあり、企業経営において大きな負担となっています。
また、多くの企業で人手不足となっていることから、採用難易度も高まっており、転職顕在層をターゲットにした手法だけでは、採用できる人数にはある程度の限界があります。そのため、転職潜在層に認知してもらう手法として、テレビCMやSNS、動画活用などの手法を導入する企業も増えています。
ただ、これらの手法もすぐに応募に至る施策ではありません。そこで、転職潜在層にアプローチできる手法として、リファラル採用が注目されています。
多くの企業で、採用の重要度が高まっているからこそ、費用を抑えた上で、これまでアプローチできなかった層からも採用できるリファラル採用が多くの企業で次々に導入されています。
リファラル採用の導入企業は増え続けているものの、採用に至らないケースも多い

株式会社TalentXが2025年に発表した『リファラル採用の実施状況に関する企業規模・業界別 統計レポート』によると、リファラル採用の実施企業割合は、2018年版の調査では41.7%、2024年版の調査では62.0%、2025年版の調査では62.5%と増加し続けていることが分かります。
一方で、2022年4月にマイナビキャリアリサーチLabが公表した『中途採用状況調査2022年版』によると、リファラル採用を実施している309社の内、採用者ありの企業が44.3%、採用者なしの企業が55.7%となっており、「十分な成果が出ていない」という企業が多い状態です。リファラル採用制度自体はあるものの、上手くいかずに制度が形骸化している企業も少なくありません。
リファラル採用の成功と失敗を分けるのは「エンゲージメント」と「仕組み化」
リファラル採用でよくある課題としては、
- 社員からの協力が得られない
- 求めている人材とは異なる人材の紹介が発生してしまう
ことなどです。社員に情報量と情報頻度ともに充分な発信ができていない場合に発生します。
また、
- 最新の求人情報がどこにあるか分からない
- どういう形で会社に紹介すれば良いか分からない
という声もよくお伺いします。協力に前向きな社員からの紹介を逃してしまうため、非常にもったいないです。
一方で、リファラル採用経由で、継続的に入社が決定している企業では、リファラル採用を制度として導入し、専用のチームを組成したり、専用のツールを導入しているケースが多いです。紹介するハードルを下げる施策とリファラル採用を管理してPDCAを回す仕組みができており、1年の中で多少紹介者数の波はあれど、継続的に紹介が発生します。
- 紹介したいと思える会社であるかどうか(従業員エンゲージメントの高さ)
- 継続的に紹介を生むための仕組み化
まずは従業員が紹介したいと思えるような会社を作ること、その次に紹介しやすいような環境を整えることが重要です。
リファラル採用の成功確度を高める3つのポイント

上述の通り、リファラル採用を成功させるためには、まず従業員が友人や知人に会社を紹介をしたいと思ってもらえることが必要です。感謝や承認の文化を醸成することや、企業理念を浸透させることなど、自社の組織における強みを伸ばし、弱い部分を解消しましょう。
また、「いきなり選考」ではなく、「まずはカジュアル面談やランチ、社内イベントへの参加から」などといった、低いハードルを設置することも効果的です。選考の前にまずは会社を知ってもらった上で、選考を受けるかどうかは当人に判断してもらうことで、紹介するハードルが一気に下がります。
紹介するハードルを下げるとともに、もし不採用になった場合でも、紹介した社員に丁寧にフォローを行うことも忘れずに行ってください。
その他、社内掲示板を活用し、定期的に求人情報や採用状況を発信して、協力してもらうための仕組みを作ることが重要です。
年間200名以上も!?リファラル採用で圧倒的に実績を出している企業事例
事例1:株式会社フレスカ
岡山県を中心に焼肉店などを展開する株式会社フレスカでは、アルバイトを中心に年間200名以上のリファラル採用が発生しています。
サンクスカードツールを活用して、従業員同士で感謝や称賛を伝え合うことで、従業員のコミュニケーションを活性化させています。
社内掲示板では、新メンバー紹介や社内イベント情報が多く投稿されており、エンゲージメント向上と社内の情報発信にかなり力を入れています。
リファラル採用を制度として導入し、制度の定期的な情報発信を行うことや直接協力を依頼することなどによって、アルバイトが友人を誘うサイクルが当たり前化しており、年間200名規模の採用を実現し、媒体掲載や人材紹介に頼らない店舗運営を可能にしています。
事例2:株式会社INGS
全国各地で飲食店経営やFCプロデュース事業を展開する株式会社INGSでも同様にアルバイトのリファラル採用でかなりの実績が生まれています。2022年は56名、2023年が95名、2024年も95名と、アルバイトの1〜2割はリファラルで採用しています。
社内掲示板を活用して、募集情報を伝えるとともに、毎月リファラル採用に協力してくれた人を掲載してお礼を伝える取り組みを行っており、紹介者を表彰することで、リファラルの紹介が生まれやすい仕組みや雰囲気作りを行っています。
アルバイトから正社員への登用も年間20名弱生まれており、従業員エンゲージメントを高めることによって、社員が定着・活躍する環境を整えています。
リファラル採用は始めるのは簡単だが、成果を出すことは難しい
リファラル採用自体は、制度を作って走り出すこと自体は難しくありません。ただ、継続的に紹介してもらい、そこから内定者を出し続けることはかなり難易度は高いです。
まずは社員がリファラル採用に協力したいと思ってもらえるような組織作りを行うこと、そして、従業員に紹介してもらうために、紹介ハードルを下げる施策と定期的な情報発信が重要です。
ぜひ、組織作りとリファラル採用の仕組化の両面を強化し、リファラル採用を成功させてください。
