2026年の人材育成トレンド予測|ジェイソン・ダーキー|HR NOTE

2026年の人材育成トレンド予測|ジェイソン・ダーキー|HR NOTE

2026年の人材育成トレンド予測|ジェイソン・ダーキー

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※本記事は、アイディア社のJASON DURKEE(ジェイソン・ダーキー)氏より寄稿いただいたものになります。

こんにちは。アイディア社のジェイソン・ダーキーです。

執筆者JASON DURKEE(ジェイソン・ダーキー)IDEA DEVELOPMENT株式会社(アイディア社) 代表取締役

米国シアトル生まれ。1992年に来日し上智大学に入学。卒業後,研修企画会社に就職し10年間勤務。2003年に独立起業。日本を代表する大手企業から外資系企業まで幅広い業種のクライアントに対して,研修プログラムの企画および講師として,5万人以上の能力アップとビジネス成果の向上に貢献した実績を持つ。著作に『ビジネス英語の技術』『ガツンと言える英会話』(Japan Times)ほか。

例年、年末年始には海外のグローバル人材育成トレンド関連レポートが数えきれないほど発表されます。今回は2026年のトレンド予測について、代表的なものから内容を要約してご紹介します。来年度の人材育成を企画する際に少しでも参考になれば幸いです。

2026年の人材育成トレンド予測

今回参考にしたレポートの出典元は、グローバルでよく知られた人材育成関連企業や組織ばかりです。それぞれの基本情報は以下のとおりです。

参考にしたレポートの出展元
企業 The Josh Bersin Company Training Industry(トレーニング・インダストリー) i4cp(Institute for Corporate Productivity) DDI(Development Dimensions International) Udemy(ユーデミー)
背景 HRテクノロジーの分野で著名なリーダーの一人であるジョシュ・バーシン 信頼性の高い人材育成業界向けのメディア 事業会社のベンチマーキングとベストプラクティス共有を中心にしているシンクタンク 世界最大級のリーダーシップ開発とリーダー育成の企業 日本でもよく知られている世界最大級のマイクロラーニングとeラーニング企業
URL https://info.joshbersin.com/from-predictions-to-imperatives-josh-bersins-2026-blueprint-for-hr-in-the-age-of-ai-webinar https://trainingindustry.com/articles/strategy-alignment-and-planning/trends-2026-reinforcing-the-strategic-value-of-learning/ https://www.i4cp.com/predictions https://www.ddi.com/blog/leadership-trends-2026 https://business.udemy.com/2026-global-learning-skills-trends-report/?utm_source=google&utm_medium=organic-search

レポートごとに様々な興味深い学びはありますが、まとめると大きなトレンドは以下の4つになります。

トレンド1:AI
トレンド2:リーダーシップ
トレンド3:人間力
トレンド4:スキル

各トレンドについて詳しく見てみましょう。

トレンド1:AI

一昨年・昨年とずっと続いている、ダントツのトレンドはやはりAIです。ただし、AIに対する切り口やトーンは少しずつ変わってきています。

個人的な感触は、以下の通りです。

AIに対する切り口の変遷
2024年

掛け声ばかり→「AIはすごい!」「AIですべてが変わる」「AIを早く検討しないとダメ」…だが、実践的なアドバイスや事例はほとんど出てこない

2025年

思いつきのアドバイス→「生成AIを使って◯◯ができる」「まず◯◯からすぐやってみよう」…試してみたくなるアイディアと一部の実施結果報告はあったものの、大企業の人事部が安心して取り組めるようなヒントはない

2026年

冷静な取り組み→「◯◯社の昨年の成功事例」「◯◯10社のAI導入実績から言えることは」…一時的な話題やブームだけではなく、担当者として取り組みたくなるようなノウハウが期待できそう

*6月のコラムでは、アメリカで開催されるATD ICE人材育成国際会議(グローバル人材育成イベント)の報告の中で、AIの成功事例が紹介できるかと思います。

i4cpのレポートにある調査によると、人材育成担当役員の43%が「AIは2026年の人材育成の最重要課題だ」と答えています。大切になるのはAIとの関わり方です。

Josh Bersinが強調する2026年のトレンドは「AIの実験からAIを通じてビジネス成果を出す」です。実現するには、部署別の小さい実験から始めて全社的な取り組みにシフトして明確なKPIを設定し、ビジネス成果(例:経費削減、売上向上など)につなげる必要があります。

従業員の育成については、Udemyのレポートには「AI fluency(AIの流暢性)がカギ」とあります。

従業員がAIを流暢に使いこなせるようになるための3ステップ
  1. ベースづくり:AIの基本を知り、代表的なツールを使いこなせるようになる
  2. 自動化:業務フローを自動化し、業務プロセスにAIを導入する
  3. エージェント:オリジナルAIエージェントをつくり、活用する

AIから成果を出すためには、テクニカルスキルよりもマインドが重要で、特に大切なのは管理職のマインドです。

DDIのレポートによると、管理職のAIに対する危機感は現場社員の3分の1しかありません。つまり、効果的なAI活用のためには、まずは危機感が薄い管理職向けの研修から始める必要があります。

DDIが勧める第一歩は、管理職に対して毎週30分程度のAIツールを使って実験を行うことです。それによって質問の仕方、適切な情報の解釈の仕方、効果的な意思決定のコツが身につきます。

トレンド2:リーダーシップ

リーダーシップは以前から注目されているテーマの一つで、グローバルでは「リーダーシップ研修」が育成領域で大きな割合を示しています。理由は、グローバルではすべての管理職と管理職以上の階層別研修、それ以外の階層に対する大半のマインドとスキル研修が「リーダーシップ研修」に含まれるためです。

ただ、今年注目されているリーダーシップのトレンドは、従来のリーダーシップ研修やリーダーシップ開発とは少々異なります。DDIのレポートには「2つの大きい組織変化が起きている」とあります。

1つ目は組織のフラット化によるホリゾンタル・リーダーシップ(直訳すると「水平方向の影響力」、縦の上下関係ではなく横の連携を意識した影響力)の重要性です。

激しい環境変化に対応する必要性、経済的な圧力、AIによる効率化など背景は様々ありますが、結果的に多くの企業が組織の階層を減らしています。階層が減ると、上下関係のない中で他のメンバーを巻き込んだり、動かしたりする必要が出ます。

さらに、階層が少なくなるとポジションと昇進の機会も減り、リーダーシップ・パイプラインにも悪影響が出ます。パイプラインの悪化、これが2つ目の組織変化です。

そこで人材育成を通して、上下関係が希薄な状況で影響力を強化する、昇進をしなくても従業員の成長につながるサポートをする、マネジメント機会が少ない中でのリーダーシップ能力を高めることが大切になってきます。

それ以外では、Training Industryとi4cpのレポートに「管理職の成長支援する力を高めることが重要」だとあります。背景は、世代間のギャップとエンゲージメントの低い従業員が多い中で人材育成だけでは十分対応できないためです。

直属の上司からの効果的なOJT、動機付け、成長支援は必要不可欠ですが、それがきちんとできる上司は半分以下だという調査結果も紹介されています。そのため、管理職研修に部下育成や成長支援テクニックを入れるべきで、実際に取り入れる動きもあります。

自分の経験から言えば、日本人マネージャー向けの部下育成研修がここ1〜2年で増えてきているという実感があります。

トレンド3:人間力

DDIのレポートによると、AI時代で成功するカギはテクニカルスキルではなく、人間力です。特に、この5つの「C」が大切です。

人間力に大切な5つの「C」
  1. Connection(つながり)
  2. Conscience(良心)
  3. Creativity(発想力)
  4. Clarity(明確なビジョン)
  5. Curiosity(好奇心)

管理職やリーダーは、この5つが揃って初めてAIの力と人間の力の相乗効果が出せます。

人間力が重要となるもう一つの理由は、エンゲージメント向上です。現在、一般社員はもちろんですが、管理職も過去にないくらいストレスを感じているようです。

DDIのレポートでは、マネージャーのストレスレベルについてこのような調査結果が出ています。

71%:過剰なストレスを感じる
54%:燃え尽き症候群になるリスクを感じる
40%:ウェルビーイングを改善するために転職を検討した

解決策としては職場環境を良くする、心理的安全性を高める、従業員の時間管理能力を強化する、マネージャーのEQを高めるなど多様な施策があり、どれも人材育成の関連テーマです。加えて、急ぎで対処しないとダメージはどんどん大きくなりそうです。

トレンド4:スキル

数年前から、スキルの可視化、リスキル、アップスキルなどのような「○○スキル」というキーワードが流行っています。レポートにあった2026年のスキルポイントは、主にこの2つです。

1)アップスキル施策の見直しと強化

アップスキル施策の見直しについては、今までのアップスキル施策の成功事例が少なく、あきらめている企業が少なくないことが背景としてあります。

2025年のATD ICE人材育成国際会議では、スキル系の取り組みの代表的な失敗パターンと主な原因分析に対する発表が複数ありました。

「重要だがうまくいっていない、だから今年こそ頑張ろう」という考え方です。

2)アダプティブスキル

アダプティブスキルは、変化にうまく対応するための能力のこと。今年から登場した新しいものでなかなか面白いです。Udemyのレポートでは、今年最も必要となるアダプティブスキルとして以下を挙げています。

アダプティブスキルの4要素
出典:Udemy “the 2026 Global Learning & Skills Trends Report”
  1. 論理思考力・判断力
  2. 学習能力
  3. レジリエンス・不確実性対応力
  4. イノベーション・創造力

ポイントはAIが急速に進化している、先が読めない時代には根本的なスキルが重要だということです。環境変化があっても強いベーススキルが身についていれば、今後もビジネスで十分活躍できるでしょう。

研修から成果を導き出すために、これまではできるだけ職場に近いスキルに重点が置かれていましたが、今後はどの場面で誰が何をすればよいか予測がつかないときに使える、①〜④のようなスキルがより求められそうです。

まとめ

グローバルの2026年人材育成トレンド予測をまとめてご紹介しましたが、この4つに関しては日本国内でも同じことが言えると思います。全従業員がAIを使い倒してビジネス成果を出すことは、競争力を高めるためには必須となります。

同時に、優れた人間力も必要です。そのためにはリーダーシップ強化が大切です。最後に、業界や職種にもよりますが、スキルの向上も重要なテーマの一つです。これからの一年で良い成果を出せるよう、ご健闘をお祈りしています。

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