「せっかくコストを掛けてWeb面接を導入したのに、採用した人材にミスマッチを感じている…」このような悩みはありませんか。今回は、Web面接がミスマッチにつながる原因を分析し、予防するための有効な対策を徹底解説します。Web面接導入によるミスマッチを解消したいと考えている企業は、ぜひ参考にしてください。
目次
Web面接がミスマッチにつながるといわれる2つの理由
2020年以降の新型コロナウィルス感染拡大に後押しされ、業種や規模感を問わず多くの企業が採用活動にWeb面接を導入するようになりました。Web面接には多くのメリットがある反面、ミスマッチにつながる可能性を企業側・求職者側双方から指摘されています。Web面接がミスマッチにつながるといわれる理由を2つ紹介しましょう。
1. 正当な評価をしづらい・受けられないと思われているから
Web面接を実施した場合、従来の対面面接に比べて相手の細かな反応や仕草を感じ取ることは困難です。百戦錬磨の面接官にとっても、ディスプレイ越しの非言語コミュニケーションから応募者の本質を感じ取ることは、決して容易なことではありません。また、Web面接特有の問題として、画像や音声が不明瞭になることは珍しくなく、途切れてしまうこともあります。
決められた時間内に、かつディスプレイ越しにやりとりできる情報量の限界から、どうしても表面的な受け答え内容のみを頼りに互いを評価することになりがちです。人間が本来持つ肌感覚を判断材料に加え難くなるので、総合的な評価をし合えるのか、妥当な結論を下せるのかなど、拭い難い不安感が多少なりとも残ります。
2. 職場のリアルな雰囲気や社風を感じられないと思われているから
従来の対面面接は、企業側・求職者側双方が職務内容や雇用条件のほか、企業文化や職場の空気感を確認できる千載一遇の機会です。ところが現時点では、Web面接のみで選考が完結してしまう企業も多いため、この確認やすり合わせが効果的におこなわれていない傾向にあります。
実際に求職者側からすれば、職場環境を肌で感じたい、先輩社員の生の声を聞きたい、という思いが常にあるものです。Web面接の画像や音声のやりとりだけを頼りにして、互いの相性の善し悪しを判断することは、社会人経験が豊富な人にとっても難しいことです。学生であればなおさらでしょう。
Web面接の導入で実際に生じやすい2つのミスマッチ
次にWeb面接の導入が一般化して、実際に生じやすくなったミスマッチを整理しておきます。新型コロナウイルスが流行している昨今の社会情勢を考慮すれば、Web面接の利用は採用活動においてもはや不可避です。どの企業にも生じ得るミスマッチだといえるため、しっかりと把握しておきましょう。
1. 企業文化や社風を理解しないままで入社してしまう
これまで、多くの日本企業が対面面接重視の採用スタイルを取り入れていました。これは企業規模や業種を問わずにいえることで、ホームページやSNSで事前に求職者に伝えられる情報を、敢えて面接の場で口頭説明することを好む傾向にもつながっています。
募集要項に載せるような給与や雇用形態、勤務時間、福利厚生などの基本情報は別にしても、社風や企業文化・ポリシー、職場の雰囲気、社員に多いタイプなど、日々働くうえで重要なソフト情報については、面接の中で話題にしたり、応募者に肌で感じ取ってもらったりすれば良いと考えがちです。
ところが、直接対面できないWeb面接では思ったようにやりとりもできず、働くうえで重要なソフト情報にまで話がなかなか進みにくいのです。この状態で内定を通知すれば、結果的に応募者は企業文化や社風をほとんど理解しないまま入社することになります。ミスマッチが生じるのも自然の成り行きでしょう。
2. Web上の企業イメージで入社してしまう
これは新型コロナウィルスの蔓延以降、Web面接が採用活動の定石になってから、一層懸念されるミスマッチだといえます。そもそも企業側と求職者側の情報格差は非常に大きく、企業側が発信する情報もよく見せたいという思惑が働く以上、自ずと演出・美化されたものになりがちです。
加えてWeb上には真偽不明の、ソースが疑わしい断片的な情報も氾濫しています。求職者の立場であれば、今や何を信用すべきか確信が持てない状態です。それにも関わらずインターンやOB・OG訪問も中止、Web面接のみで選考ということになれば、職場の雰囲気や社員が纏っている空気感、業務のリアルな実態を掴むことは至難の業だといえます。
Web面接でのミスマッチを防ぐために押さえたい2つのポイント
ここまでみてきたことを踏まえ、Web面接でのミスマッチを回避するために有効な対策を説明しましょう。結論を一言で述べれば、「求職者に対して企業文化をしっかり発信する」これに尽きます。ミスマッチによる早期退職が頻発してしまうと、企業にとってもコスト面や社内士気の面で大きな損失につながります。しっかりと理解しておきましょう。
1. Web面接で企業文化や雰囲気を伝えられると期待しない
企業文化や職場の雰囲気などは、そもそも言葉を尽くしても語り切れるものではありません。敢えて説明を試みるならば、Web面接の持ち時間では到底足りないでしょう。また、話し手である社員の個性やコミュニケーション能力、組織に対する忠誠心、仕事への熱量の多寡によっても、応募者への映り方が全く異なってきます。
学生時代のOB・OG訪問を思い起こしてみてください。たまたま会ってくれた先輩社員の個性で、応募者の企業に対するイメージが固定されてしまったことはないでしょうか。体育会で主将を務めていた先輩の勧めで総合商社に入社してみたら、上品でアカデミックな雰囲気もある社風にギャップを感じる、などということは実際に珍しくありません。
企業向けの、Web面接で準備することや注意点について、こちらの記事でも詳しく解説をしています。
2. オウンドメディアやSNSを積極活用して企業文化を語る
Web面接でのミスマッチを最小化するために企業側として打てる有効な対策は、ホームページなどのオウンドメディアやSNSを積極活用して、企業文化を伝え続けることです。ホームページであれば掲載する情報の内容や量、表現方法など自社裁量でいかようにも決められます。例えば経営層や第一線で活躍するキーパーソンのインタビュー記事や、自己紹介の記事を載せることも可能です。
社内イベントや創業史を写真・イラスト付きの記事で掲載しても良いでしょう。さらにはSNSやメールを活用し、応募者や内定者に対して、ビジネス現況や社内イベントなどの情報を定期的に共有することもおすすめです。さらには、オンラインのランチ会・飲み会などを設定することもできるでしょう。
社風や企業文化を身近に感じてもらえるようになるため、Web面接による入社後のミスマッチを最小化でき、入社前に一体感を醸成するためにも役立ちます。社内での対応が手に余るようならば、オウンドメディアでのコミュニケーションノウハウに長けた社外の知見を活用しても良いでしょう。
Web面接でのミスマッチ回避はオウンドメディアの積極活用で
採用活動でのWeb面接利用が一般的になってきましたが、同時に入社後のミスマッチ多発も懸念されています。今回はミスマッチが生じる原因を掘り下げて、有効な対策を紹介しました。ホームページなどのオウンドメディアやSNS、メールなどを積極活用し、企業文化を主体的に発信し続けてゆくことが大切です。入社後に感じるミスマッチを減らし、早期離職を抑えましょう。