初めまして。ダイレクトリクルーティングに関する採用支援を行っております、VOLLECTの代表取締役中島です。
創業6年、累計600社以上の企業を支援した中での「採用」ノウハウを是非伝えることができたらと思い、これから全5回に渡ってコラム記事を書かせていただきます。
執筆者中島 大志氏株式会社VOLLECT 代表取締役
新卒でインテリジェンス(現パーソルキャリア株式会社)に入社。その後、企業からの能動的なアプローチにより企業の採用のあり方に変革を与えることができる「ダイレクトリクルーティング」に可能性を感じ、ダイレクトリクルーティング特化の事業展開を決意した。2018年6月にVOLLECTを設立。ダイレクトリクルーティング特化の採用支援のパイオニア的存在として、採用の普及と啓発を行っている。
▶ダイレクトリクルーティングの実行支援サービス『PRO SCOUT』
企業成長を図る上で欠かせないのが「採用」です。その採用には、トレンドがあることをご存じでしょうか?
たとえば、現在はダイレクトリクルーティングが採用手法として浸透・定着しましたが、一昔前は求人広告や人材紹介が主流で、このような手法はありませんでした。
今回は、これまでの採用手法の変遷を振り返りながら、ダイレクトリクルーティングに関する理解を深めていけたらと思います。
- 【第1章】採用の歴史とは?求人広告・人材紹介・ダイレクトリクルーティングの繋がりを紹介
- 【第2章】ダイレクトリクルーティングで成果を上げる秘訣(返信をもらうまで編)
- 【第3章】ダイレクトリクルーティングで成果を上げる秘訣(返信をもらった後編)
- 【第4章】ダイレクトリクルーティングを用いたITエンジニア採用のポイント
- 【第5章】ダイレクトリクルーティングの成功事例
1.採用手法の変遷
上図は「求人広告」「人材紹介」「ダイレクトリクルーティング」と、現代でよく活用されている採用手法に関してまとめた図です。
この3つの採用手法が生まれる以前は、新聞広告やチラシ求人から始まり、タウンワークやanなどの求人誌をはじめとする紙媒体での採用手法が一般的だったかと思います。(今回はリファラル採用に関しては割愛させていただきます。)
そして、インターネットが普及していく中で、「求人広告」が生まれました。この求人広告は、web上の求人広告を指します。
その後、「求人広告」のデメリットを払拭する形で「人材紹介」が誕生し、「人材紹介」のデメリットを払拭する形で、「ダイレクトリクルーティング」が生まれました。
ここからは、今よく用いられている「求人広告」「人材紹介」「ダイレクトリクルーティング」3つの採用手法のメリット・デメリットと、変遷を絡めながら、詳しく解説します。
2.求人広告のメリット・デメリット
読者の皆さんの多くは、求人広告を活用した採用活動を一度は行ったことがあるのではないでしょうか?
インターネット上にある求人広告媒体を運営する企業に対して料金を支払い、自社の求人を掲載してもらい、応募を募るのが求人広告です。
【メリット】
- 複数名採用できればコストを抑えられる
- 未経験応募に優れている
【デメリット】
- 採用有無に関わらず費用が発生する料金形態が一般的
- 的外れな応募も多く手間がかかる
- 転職潜在層はあまり使わない
- 採用人数をコントロールできない
求人広告はインターネット上で集客するため、従来の紙ベースでの求人よりも安価で掲載が可能になり、多くの方に求人を見てもらえるようになりました。
また求人広告では、先行投資型の料金形態が一般的であるため、複数名採用したい企業にとってメリットが大きい採用手法です。
しかし、求人広告には掲載ルールが多く、「国籍」「年齢」「性別」等の記載が禁止されています。そのため、全く的外れな応募も多い点が最大のデメリットです。
実際に「100名から応募があっても、面接に進める人は10人よりも少ない」といったことは珍しくありません。ピンポイントな経験者を求める場合には、対象者が1人もいないこともあります。
さらに転職希望者側も沢山ある求人の中から自分に適した求人を見つけなければならないため、今すぐに転職したい転職希望者が多く閲覧しています。「良い案件があれば転職をしたい」と考えるような転職潜在層をのアプローチにはフィットしません。
さらに、企業や会社にとって重要な役職付きのポジションを採用する際は、戦略上非公開で行いたい場合も多いと思います。そのため、全員が求人を見ることができる求人広告では、メンバー層の採用に留まりがちです。
このように、経験豊富な人を採用するのではなく、それほど経験値を求めないポジションで複数名採用したいといったニーズを満たす場合に活用される採用手法が求人広告と言えるでしょう。
3.人材紹介のメリット・デメリットとダイレクトリクルーティングとのつながり
では、企業として「経験豊富な人を採用したい」といった場合はどうすれば良いでしょうか。この求人広告のデメリットを払拭したサービスが「人材紹介」です。
「人材紹介」は、人材紹介エージェントに自社の求める求人内容を共有し、その求人にフィットした候補者を推薦してもらう採用手法です。
【メリット】
- 成功報酬型の一律同じ料金体系
- 採用活動にかかる手間が省ける
- 求人広告よりも優秀な候補者が多い
- 第三者が介入することで、入社後のミスマッチを防ぎやすい
【デメリット】
- 一人当たりの費用が高い
- 人材紹介担当次第で提供サービスの質が変動する
- 採用ノウハウが自社に蓄積されない
- エージェント側の裁量が大きく採用活動がコントロールしづらくなる
人材紹介は求人広告と異なり、成功報酬型の料金体系になります。そのため、導入する際の人事の心理的ハードルが下がりました。
日本では、年収の約30~35%が人材紹介を利用する企業の支払う基本的な手数料です。少し高めな金額設定ですが、採用できた段階で支払うスタイルは意思決定を先送りにすることを好む日本人にマッチしていると思います。
さらに、年齢や性別、国籍などでスクリーニングができないという求人広告のデメリットも、人材紹介であればスクリーニングができます。これにより、的外れな応募は大幅に減少させることができました。
また、求職者側も求人広告のように自分で求人を探す必要がなくなりました。キャリアアドバイザーがオススメの求人を提案してくれるため、効率的に転職活動をすることが可能になります。そのため、経験豊富な候補者を採用するニーズに人材紹介はフィットしたのだと思います。
しかし、人材紹介のデメリットは、成功報酬型で採用決定が出るまでお金が入らない仕組みのため、人材紹介会社の担当者が採用決定しやすい企業や成功報酬が高い企業を優先してしまう点になります。
また、担当者によってはキャパシティ以上の求人や求職者を担当しており、自社の採用に注力してもらえず、担当者が変わると提供サービスの質が変化してしまうといったケースも多いです。
私も人材紹介に従事していた頃は、同時に100社近くの企業を担当していました。自分の予算を達成することがミッションだったため、100社全てに平均的に支援活動を行うより、「広い人材要件」や「ブランド力が強い会社」の求人に絞って支援する方が重要だという認識がありました。正直なところ、全く支援できない会社も多く存在していました。
このように、人材紹介会社に依頼しているのに、1名も紹介してくれないと嘆く企業も少なくありません。
さらに、人材紹介では、候補者の応募獲得や、他社選考情報・転職軸のヒアリングなど、面接以外のほとんどの応募プロセスを代行します。そのため、企業が応募を増やすためのノウハウを蓄積したり、PDCAを回したりする機会を失わせてしまい、エージェント依存体質な企業を増加させてしまいます。
このような、人材紹介のデメリットが存在している中で生まれたのがダイレクトリクルーティングです。
4.ダイレクトリクルーティングのメリット・デメリット
まずは、ダイレクトリクルーティングとは何かという点について解説させていただきます。ダイレクトリクルーティングを理解する際は、゙魚釣りをイメージするとわかりやすいと思います。
魚を釣る際、人は池に行き、釣り糸を垂らします。この池というのが、昨今CMなどでよく目にする「BIZREACH」や「RECRUIT DIRECT SCOUT」のようなスカウトサービスです。その〝池〞に登録する転職希望者たちを、ここでは〝魚〞にたとえてご説明していきます。
スカウトサービスを運営する企業側のミッションは、池により良い魚(転職希望者)を増やすこと。そして、魚が欲しい釣り人(人事)たちに、その池で魚釣りをする権利を買ってもらうことです。
採用担当者は、自分たちで池で釣りをし、ターゲットの〝魚〞を釣りあげる。それがダイレクトリクルーティングの全体像です。
ダイレクトリクルーティングでは、ターゲットとなる魚がたくさんいる池選び(スカウトサービス選び)や、強い釣り竿や餌(スカウトメール)が鍵になります。
【メリット】
- 運用方法次第で費用を抑えることができる
- 自社の担当者がワンストップで対応するため、質が変動しにくい
- 運用する中で転職市場の理解が深められ、採用ノウハウが蓄積する
- 転職潜在層も利用しており、経験豊富な候補者が多い
【デメリット】
- 運用に大きな工数がかかってしまう
- 自社に採用ノウハウが無いとそもそも採用できない
- 大量採用には向かない
経験が浅い若手人材を大量に採用したいときには「求人広告」。経験豊富な人材を採用したいのであれば「人材紹介」であると解説してきました。
ただ、経験豊富な人材を採用したいと考え人材紹介を利用しているが、担当者に注力してもらえず採用ができない。そういったときに、ダイレクトリクルーティングは有効です。
ダイレクトリクルーティングは企業の採用担当者が自ら運用するので、「注力してもらえない」という人材紹介における最大のデメリットを払拭した採用手法です。
また、採用担当者が自身で運用することで、転職市場における転職希望者の状況を把握できます。スカウトの開封率や返信率などの数値を見ることで、どんな候補者にどのような訴求を行えば応募が増えるのか、知見やノウハウを自社に蓄積させることができます。
このように「自社の採用力の健康診断ができる」という点も、ダイレクトリクルーティングの良さの1つでしょう。
さらに、スカウトサービスの多くは、スカウト通数によって費用が変動するため、少ない通数で採用できれば費用を抑えることも可能です。ただし、自社で運用するため一定工数も発生しますし、運用方法のコツやノウハウが少ない場合、採用が難航してしまうことも珍しくありません。
また、1匹ずつ〝魚〞を釣るスタイルがダイレクトリクルーティングです。網を張って採用するような求人広告と比較すると、大量採用には向かない点は忘れてはいけません。
以上、求人広告、人材紹介、ダイレクトリクルーティングに至るまでの採用手法の変遷について解説してきました。次回は、流行りのダイレクトリクルーティングで成果を出すためのコツについてお伝えします!
執筆者の中島さんが手掛けるダイレクトリクルーティング支援サービス「PRO SCOUT」
- SONYやラクスル、パーソルキャリアなど大手・メガベンチャーのスカウト実績豊富
- ダイレクトリクルーティング専⽤の体制を構築し「⾼品質」×「低価格」なサービス提供
- ABテストなど返信率向上のためのPDCAを回し、効率的な運⽤を⾏う