KGIとは、企業の最終目標を数値化したものです。設定すれば、企業の方向性を社員や利害関係者と共有できる、目標達成までのプロセスを管理しやすくなるなどのメリットがあります。なお、KGIは実現可能性の有無など、いくつか確認すべき注意点があります。
本記事では、KGIとは何か、設定するメリットや設定時のポイント、注意点を解説します。
人事評価制度は、健全な組織体制を作り上げるうえで必要不可欠なものです。
制度を適切に運用することで、従業員のモチベーションや生産性が向上するため、最終的には企業全体の成長にもつながります。
しかし、「しっかりとした人事評価制度を作りたいが、やり方が分からない…」という方もいらっしゃるでしょう。そのような企業のご担当者にご覧いただきたいのが、「人事評価の手引き」です。
本資料では、制度の種類や導入手順、注意点まで詳しくご紹介しています。
組織マネジメントに課題感をお持ちの方は、ぜひこちらから資料をダウンロードしてご確認ください。
目次
1. KGIとは?
KGIとは、企業が目指す最終目標を定量化した指標です。「Key Goal Indicator」の略称で、日本語では「重要目標達成指標」や「経営目標達成指標」と呼ばれています。
KGIは「〇年度売上高1億円達成」など、数値で目標を設定する点がポイントで、多くの場合、経営陣が設定します。また、設定期間は1~5年など長期に渡ることが多くなります。
1-1. KGIの具体例
KGIを設定するときは、売上高、利益率、成約数などの数値に注目します。具体的な例は以下の通りです。
- 1年後の売上高を1.5倍にする
- ECサイトのアクセス数を2倍にする
- 3カ月後に成約数10件を目指す
どのようなKGIを設定すべきかは、業種や企業の状況によって異なります。自社が目指すべき方向をしっかりと把握したうえで、最適なKGIを設定しましょう。
1-2. KPIとの違い
KPIは、KGIを達成するための中間目標にあたります。「Key Performance Indicator」の略称で、日本語では「重要業績評価指標」や「経営業績評価指標」となります。
KGIと異なり、KPIは企業の各部門で設定されることが多く、達成期間も1~3カ月程度と短めです。目標を定量化して設定する点はKGIと共通しています。
KPIはKGIまでの道のりを細分化し、プロセスの達成度合いや進捗状況を管理するうえで欠かせない指標です。
1-3. KSFとの違い
KSFとは、ライバル企業と比較しながら成果を出す際に、自社の優位性を示す指標のことです。「Key Success Factor」の略で、「主要成功要因」などと訳されます。
たとえば、価格の優位性、サービス品質の優位性、カスタマーサポートの優位性などをKSFとして設定します。KSFに注力することで、他社よりも大きな成果を目指すことが特徴です。
1-4. CSFとの違い
CSFとは、目標を達成するためのとくに重要な要因のことです。「Critical Success Factor」の略で、「重要成功要因」などと訳されます。
先ほど紹介したKSFと同じように用いられることもあり、商品の価格やサービスの品質などをCSFとして設定するケースが多いでしょう。
1-5. KDIとの違い
KDIとは、中間目標を達成するために重要となる指標のことです。「Key Do Indicator」の略で、日本語で表現すると「重要行動指標」となります。
目標を達成するための具体的な行動とその回数などを、数値化して設定することが一般的です。たとえば、顧客を訪問する回数や、アポイントの電話をかける回数などをKDIとして設定します。
1-6. OKRとの違い
OKRは「Objectives and Key Result」の頭文字を取った言葉で、目標と主要な成果を意味します。企業全体の目標管理に用いられるKGIとは異なり、OKRは社員個人や部署ごとの目標管理に用いるのが一般的です。
難易度の高い目標を設定することで、社員の育成や組織力の強化を目指すことが特徴といえるでしょう。
2. KGIを設定するメリット
KGIは企業が目指す最終目標を数値化した指標のため、社員全員で目標を共有でき、タスクや進捗の管理がしやすくなります。また、株主などの利害関係の理解を得やすくなる点もメリットです。それぞれのメリットについて詳しく見ていきましょう。
2-1. 企業が目指すゴールを全社員に共有できる
企業が掲げる指標のなかには、企業理念や経営理念のように数値化されていないものも含まれます。「お客様の幸福を作る」などの文言では、具体的にどのような行動をすべきか、社員によりイメージは異なるでしょう。
KGIでは売上のように数値化できる目標を定めるため、社員全員の理解の一致につながります。
2-2. タスクや進捗状況を管理できる
KGIとKPIはセットで用いられることが多く、最終目標を数値化すれば途中経過も数値により管理できる点がメリットです。
たとえば、「売上高1,000万円達成」がKGIであれば、KPIは「四半期別売上高250万円達成」などとなります。もし、1~3月期の売上高が300万円であれば、四半期別のKPIに対し120%達成、KGIに対し30%達成しているなどと進捗も確認しやすくなります。
中間目標の達成状況も可視化できれば、どのような要因で目標を達成(もしくは未達成)したのか、振り返り時も役立ちます。
2-3. 作業の優先順位を判断しやすくなる
作業の優先順位を判断しやすくなることも、KGIを設定するメリットのひとつです。KGIを細分化したKPIを設定しておけば、定められた期間のなかでどのような行動を優先すべきかが明確になります。
KGIやKPIを設定しておかないと進むべき方向が定まらず、社員の足並みが乱れたり、無駄な作業が多く発生したりするでしょう。
2-4. 社員のモチベーション維持につながる
KGIとKPIの設定により、最終目標までにどのようなことをすればよいか、部門別の目標が明らかとなります。部門別の目標をさらに社員それぞれの目標に細分化すれば、日々やるべきことが明確になり、モチベーションの維持にも役立ちます。
自分の仕事が企業の最終目標につながっているとの認識が得られやすい点もメリットです。
また、具体的な目標を掲げるだけでなく、目標に対して定期的に評価をおこなうことも従業員のモチベーション維持や向上のために欠かせない点です。目標や行動計画の立案と同時に、体系だった人事評価制度の運用は切っても切り離せないものです。しかし、そもそも現状、体系だった人事評価制度がなく導入を検討されている方もいらっしゃるかもしれません。
人事評価制度を整えると言っても何から手をつければ良いか分からずお困りの方へ向けて、本サイトでは「人事評価の手引き」を無料で配布しています。自社にとって適切な人事評価制度を検討するために、まずは人事評価制度について網羅的に理解したいという方は、こちらから資料をダウンロードしてご活用ください。
2-5. ステークホルダーの理解を促せる
自社の社員だけでなく、株主や取引先、顧客などのステークホルダーの理解を得やすい点もKGIを設定するメリットです。
KGIを設定していれば、何を目指して経営をおこなっているか数字で判断できるため、取引をする際の資料としても役立つでしょう。
3. KGIの設定方法
KGIは通常1~5年など、長期の目標として設定します。そのため、いつまでに、何を、どの程度達成するか明確にして決めるとよいでしょう。また、指標は数値で管理できるものでなければいけません。具体的な手順は以下の通りです。
3-1. KGIの期間を決める
まずは目標達成期間を設定しましょう。KGIは会社が目指すべき最終目標のため、5年などの長期目標とすることも可能です。期間を設けることで、それまでにやるべきことが明確になります。
なお、短期目標はKPIで管理します。
3-2. KGIの指標を決める
KGIの代表的な指標には売上高、売上総利益、営業利益などがあります。どのような指標でも問題はないものの、定量化できることがポイントです。
最適なKGIは業種や企業の目標によって異なるため、状況を把握したうえで設定しましょう。
3-3. KGIの数値を決める
KGIの指標が決まったら、具体的に数字を当てはめて目標を設定しましょう。たとえば「前年度と比べ経常利益の20%増益」「今期売上高5,000万円達成」などとなります。
上記3つの設定をおこなうことで、いつまでに・何を・どの程度おこなうかが明確となります。
4. KGIの設定ではSMARTモデルを意識しよう
せっかくKGIを設定しても、現実的でないなど達成が難しい内容では意味がありません。KGIやKPIの設定では、実現可能性を高める以下の「SMARTモデル」を意識しましょう。
Specific:具体的に
KGIの設定では社員や利害関係者など、誰が見ても理解できる指標とする必要があります。曖昧な内容では理解を促すことはできません。
良い例:売上高、市場シェア率、など
悪い例:世界中の人々に、みんなに、など
Measurable:測定可能な
KGIは測定できる内容で定義しなければいけません。そのためには数値を用いることが大切です。
良い例:%、回数、件数、など
悪い例:行き渡らせる、広げる、など
Achievable:達成可能な
KGIの設定が高すぎると、社員のモチベーション悪化や、利害関係者からの疑いにつながります。一方、低すぎるKGIを設定すると、企業成長の停滞につながる恐れもあります。過去のデータなどを参照し、努力して実現できる程度の数値を設定しましょう。
良い例:前年比や同業他者の実績と比較して設定する
悪い例:理想や希望など、根拠のない数値を設定する
Relevant:関連性がある
経営理念や経営目標など、他の大目標と関連しているか確認しましょう。また、KPIの設定では、KGIと関連しているか確認が必要です。
良い例:経営理念・KGI・KPIが相互に関係している
悪い例:経営理念に反するKGIの設定、KGIとKPIが関連していない
Time-bound:期限を設けて
KGI・KPI共に期限を設けることが大切です。期限があることで、優先順位が生まれ、達成率も上げることができます。
良い例:今期、1年以内、1カ月以内、など、
悪い例:近い未来では、将来的に、近々、など
5. KGIを設定するときの注意点
KGIを設定するときは、以下のような点に注意しましょう。
5-1. 現実的な目標を設定する
KGIの設定では、SMARTモデルに加え、KGIが達成できる要因があるか確認しましょう。たとえば、例年売上が順調に伸びており、KGIを「前年比売上高20%アップ」とした場合を考えてみます。
一見、妥当な目標に見えますが、仮に円安や災害、疫病など外部環境の急激な変化がここ1~2年ほど続いている場合、これらの要因も考慮し設定しなければいけません。
KGIを達成する重要成功要因をKSFといい、KSFの変化も考慮し柔軟に設定することが大切です。なお、KSFは自社の強みなどの「内部要因」と、市場環境などの「外部要因」に分けられます。
5-2. 明確な目標を設定する
KGIの設定では、明確な目標にすることも重要です。曖昧な目標にすると、具体的な行動を起こしにくくなるだけではなく、達成できたかを判断できなくなります。
3年後の利益を1.5倍にする、Webサイトのアクセス数を2倍にするなど、具体的な指標と数値を組み合わせて設定しましょう。
5-3. KGIとKPIの関連性を考える
KGIとKPIは、関連付けて設定しなければなりません。せっかくKGIを設定しても、中間目標であるKPIがまったく関係ないものになっていると、効率よくゴールを目指せないでしょう。
KGIをうまく細分化することで、最適なKPIを設定することが大切です。
6. KGIを設定して企業が向かう先を明確にしよう
KGIは企業が目指す最終目標を定量化したもので、重要目標達成指標とも呼ばれています。KGIの設定により企業目標を全員で共有できます。また、KPIと合わせて運用すれば、目標達成のために必要なことや、進捗状況の管理にも役立ちます。
なお、KGIを設定するときは、SMARTモデルを活用するだけでなく、KSFの確認も大切です。実現可能なKGIを設定し、企業の成長を後押ししましょう。
人事評価制度は、健全な組織体制を作り上げるうえで必要不可欠なものです。
制度を適切に運用することで、従業員のモチベーションや生産性が向上するため、最終的には企業全体の成長にもつながります。
しかし、「しっかりとした人事評価制度を作りたいが、やり方が分からない…」という方もいらっしゃるでしょう。そのような企業のご担当者にご覧いただきたいのが、「人事評価の手引き」です。
本資料では、制度の種類や導入手順、注意点まで詳しくご紹介しています。
組織マネジメントに課題感をお持ちの方は、ぜひこちらから資料をダウンロードしてご確認ください。