社員を適切に評価するためには、評価制度の構築が欠かせません。ただし、エンジニアなどの専門職の評価制度を作成するときは、その職種の特徴に合わせた仕組みにすることが大切です。
この記事では、エンジニアの評価制度を作成する方法を具体的に解説します。評価基準や作成するときの注意点についても紹介しますので、制度を作り始める前にチェックしておきましょう。
目次
人事評価制度は、健全な組織体制を作り上げるうえで必要不可欠なものです。
制度を適切に運用することで、従業員のモチベーションや生産性が向上するため、最終的には企業全体の成長にもつながります。
しかし、「しっかりとした人事評価制度を作りたいが、やり方が分からない…」という方もいらっしゃるでしょう。そのような企業のご担当者にご覧いただきたいのが、「人事評価の手引き」です。
本資料では、制度の種類や導入手順、注意点まで詳しくご紹介しています。
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1. エンジニアの評価制度とは?
エンジニアとは、電子技術や情報技術などを用いて、機械やシステムの設計・開発・保守運用をおこなう社員のことです。ITエンジニア、インフラエンジニア、機械系エンジニアなど、さまざまな種類があります。それぞれ業務や役割が異なるため、評価制度を作るときは各エンジニアの特徴に合わせることが大切です。
エンジニアの評価制度においては、他の職種と同様、能力評価・業績評価・情意評価という3つの基準を設けることが多いでしょう。
能力評価では、社員が保有するスキルに注目します。使用できるプログラミング言語や資格などに注目して評価しましょう。業績評価とは、社員が出した成果を評価することです。開発したシステム数や成果物のクオリティなどに注目して評価します。
情意評価とは、仕事に対する熱意や姿勢を評価することです。真面目に取り組んでいるか、コミュニケーションは適切か、といったポイントを評価します。
2. エンジニアの評価制度を作成するのが難しい理由
エンジニアの評価制度を作成するのが難しい理由として、以下のようなことが挙げられます。
2-1. スキルを正確に評価するのが難しい
エンジニアなど、専門職のスキルを正確に評価することは簡単でありません。事務職や営業職などとは異なり、専門的な知識がなければ、エンジニアがどの程度のスキルを保有しているか、把握するのは難しいでしょう。
エンジニアを評価する際は、プログラミングやITに関する知識が必要です。元エンジニアやIT関連の知識のある上司がいる場合は、評価者として参加してもらうとよいでしょう。
2-2. 結果が出るまでに時間がかかる業務が多い
結果が出るまでに時間がかかることもエンジニアの評価が難しい理由のひとつです。エンジニアが関わるプロジェクトのなかには、半年から1年以上かかるような長期の案件もあります。数カ月単位で評価を実施すると、まだ成果が出ておらず、どのように評価すべきか悩む場面も多いでしょう。
成果だけに注目すると適切な評価ができないケースも多いため、仕事への取り組み姿勢やコミュニケーション能力などを含めて評価するような仕組みが重要です。
2-3. 客先に常駐しているエンジニアの評価が難しい
エンジニアが客先に常駐している場合は、評価がより難しいでしょう。エンジニアの働きぶりを近くで見ることができないため、実際の能力や熱意を把握しにくいという問題があります。
客先の担当者にヒアリングしたり、本人と定期的に面談したりするなど、エンジニアの様子を把握できるような仕組みを作ることが大切です。
3. エンジニアの評価制度を作成する方法
エンジニアの評価制度は、それぞれの能力や経験を正確に把握して、適切な処遇を与えるために必要です。システム開発に貢献したことを評価して昇給させたり、ほかのエンジニアと密にコミュニケーションを取っていることを評価して昇格させたり、評価制度は多くの場面で役立ちます。
評価制度を用いずに昇給や昇格を決めることもできますが、評価基準が曖昧になってしまい、不満を感じるエンジニアが出てくる可能性もあります。公平な評価を実施するためにも、評価制度を作っておくことが大切です。エンジニアの評価制度を作成するときは、次のような手順で進めましょう。
3-1. 自社の状況を把握しておく
評価制度を作る前に、自社の状況を把握しておきましょう。どのような評価制度を作るべきかは、自社の状況によって異なるからです。極端な話、在宅ワークを推進しているのに、社内でのコミュニケーションを評価するような項目を設定しても意味がありません。
エンジニアの人数や事業の規模によっても最適な評価制度は変わってくるため、状況をしっかりと把握しておきましょう。
3-2. どのような評価制度を作るか決める
絶対評価や相対評価など、さまざまな評価手法があります。それぞれの評価制度にメリット・デメリットがあるため、一概にどれを導入すべきとは言い切れません。自社の状況や目的に合わせて、どのような評価制度を作るのか決めましょう。
3-3. 具体的な評価項目を設定する
評価制度を作成するときは、具体的な評価項目を設定しておくことが重要です。明確な項目を決めておくことで、どのような部分に注目すべきかが明らかになり、スムーズに評価を実施できます。
エンジニアの評価制度においては、使用可能なプログラミング言語、コミュニケーション能力、マネジメント能力などの項目を設定しておくとよいでしょう。評価項目の詳細については、後ほど詳しく解説します。
3-4. わかりやすい評価基準を設定する
評価制度を作るときは、わかりやすい評価基準を設定しましょう。基準が曖昧だと、エンジニアがなぜそのような評価を受けたのかを理解できず、評価制度に対する不満が発生しやすくなります。
必要最低限の開発スキルを有するレベル、指示に従って要求された作業をこなせるレベル、応用的なスキルを習得しているレベルなど、段階的な区分を設定しておくと、評価する側もされる側も理解しやすいでしょう。
3-5. 評価制度の内容を社内で共有する
評価制度を作成したら、社内で共有しておきましょう。単に評価制度を作るだけではなく、制度の意味や導入の目的、意識して行動すべきことなどを共有しておくことで、団結力やモチベーションの向上を期待できます。
評価制度は、企業の理念や目標を反映したものだからです。評価制度を通して、企業の価値観を社員へ浸透させるようにしましょう。
4. エンジニアの評価制度における評価基準
エンジニアの評価制度における評価基準項目としては、エンジニアの技術に関する項目、コミュニケーションに関する項目、マネジメントに関する項目などが挙げられます。それぞれの基準について詳しく見ていきましょう。
4-1. エンジニアの技術に関する項目
技術に関する評価項目としては、習得しているプログラミング言語、クラウドやAIといった特殊な業務知識などが挙げられます。エンジニアの技術を評価するときは、単純に知識の有無だけに注目しても意味がありません。上司の指示がなくても作業できるなど、知識を使いこなせるかどうかを含めて評価しましょう。
4-2. コミュニケーションに関する項目
コミュニケーション能力は、エンジニアの重要な評価項目のひとつです。エンジニアに限りませんが、プロジェクトを推進するためには、チーム内でコミュニケーションを取りながら協働することが求められます。
上司からの指示内容をしっかりと聞いているか、わからない部分を適宜質問しているか、チーム内のスタッフと良好な関係を構築できているか、といったポイントに注目して評価しましょう。
4-3. マネジメントに関する項目
マネジメント能力も評価すべき項目です。自分で作業を進められるだけではなく、ほかのスタッフに指示を出したり、スケジュールを管理したりできるエンジニアがいると、プロジェクトがスムーズに進みます。
マネジメント能力については、プロジェクトリーダーとしての役割を果たせているか、適切な進捗管理ができているか、スタッフとの人間関係を構築できているか、といった部分に注目して評価しましょう。
4-4. プロジェクトへの取り組み姿勢
プロジェクトや仕事全体への取り組み姿勢についても評価しましょう。仕事に対する積極性やほかのスタッフとの協調性など、成果や生産性につながる業務態度に注目することが重要です。
資格を取得する、外部の研修会に参加するなど、スキルアップに励んでいることを評価するのもよいでしょう。成果だけではなく過程を評価することで、エンジニアのモチベーションアップにもつながります。
4-5. プロジェクトへの参画経験
プロジェクトへの参画経験も大切な評価項目のひとつです。プロジェクトの内容や規模、プロジェクト内での役割などに注目して評価するとよいでしょう。客観的に把握しやすい項目であるため、エンジニア側の納得感を得られます。
4-6. 問題解決能力に関する項目
エンジニアを評価する際は、問題解決能力にも注目しましょう。プロジェクトを進めるうえでは、さまざまなトラブルが発生します。
問題解決に向けてどのように取り組んだか、ほかのエンジニアと協力できたか、スムーズに解決できたか、といったポイントに注目して評価することが大切です。
5. エンジニアの評価制度を作成するときの注意点
エンジニアの評価制度を作成するときは、複数の視点から評価する、現場の意見をヒアリングしておく、といった点に注意しましょう。各注意点の詳細は、以下の通りです。
5-1. 複数の視点から評価する
エンジニアの評価制度を作成するときは、複数の視点から評価できる仕組みにすることが大切です。複数の評価項目を設けておくことで、エンジニアの能力を正確かつ公平に評価できます。さまざまな視点で評価をすることで、エンジニアの納得感も高まるでしょう。
5-2. 現場の意見をヒアリングしておく
エンジニアの評価制度を作成するなら、事前に現場の声を聞いておきましょう。とくに、エンジニア未経験の担当者だけで評価制度を作るときは注意が必要です。エンジニアとして求められるスキルや評価すべき項目についてヒアリングしておけば、よりよい評価制度を作成できるでしょう。
5-3. 定期的に評価制度を改善する
エンジニアの評価制度に限りませんが、制度を定期的に見直して改善していくことが大切です。事業の成長度、時代や働き方の変化に応じて、評価項目や評価基準を変更する必要があります。
評価制度が古くなると、適切な評価を実施できないケースもあります。エンジニアから不満の声が発生するケースもあるため、定期的に改善を実施しましょう。
5-4. 職種ごとに丁寧に評価する
エンジニアのなかにも多くの職種があるため、それぞれの特徴に合わせて丁寧に評価することが重要です。たとえば、インフラエンジニア、システムエンジニア、機械系エンジニアでは、求められる能力や知識は異なります。
すべて同じ基準で評価すると、社員の納得感が薄れてしまう可能性もあります。職種やポジションなどに合わせて、適切な基準を設けるようにしましょう。
6. エンジニアの評価制度を作成して公平な評価を実施しよう!
今回は、エンジニアの評価制度を作成するときのポイントや注意点を紹介しました。評価制度は、社員を公平に評価して給与や待遇を決定するうえで欠かせません。
エンジニアの評価制度を作成するときは、できるだけ具体的な評価項目とわかりやすい基準を設定することが大切です。また、職種やポジションごとに適切な評価項目や評価基準を設ける必要もあります。正確かつ公平な評価を実施できるような制度を導入して、エンジニアのモチベーションを高めましょう。
人事評価制度は、健全な組織体制を作り上げるうえで必要不可欠なものです。
制度を適切に運用することで、従業員のモチベーションや生産性が向上するため、最終的には企業全体の成長にもつながります。
しかし、「しっかりとした人事評価制度を作りたいが、やり方が分からない…」という方もいらっしゃるでしょう。そのような企業のご担当者にご覧いただきたいのが、「人事評価の手引き」です。
本資料では、制度の種類や導入手順、注意点まで詳しくご紹介しています。
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