職種やポジションごとに必要な役割や目標が異なるため、人事評価における上司のコメントも、それぞれの社員に適した内容でなければいけません。とはいえ、複数の部門を抱える管理職は、人事評価コメントの内容に迷うことも多いでしょう。
本記事では、職種別に上司の人事評価コメントの例文と、記入時のポイントを解説します。
人事評価制度は、健全な組織体制を作り上げるうえで必要不可欠なものです。
制度を適切に運用することで、従業員のモチベーションや生産性が向上するため、最終的には企業全体の成長にもつながります。
しかし、「しっかりとした人事評価制度を作りたいが、やり方が分からない…」という方もいらっしゃるでしょう。そのような企業のご担当者にご覧いただきたいのが、「人事評価の手引き」です。
本資料では、制度の種類や導入手順、注意点まで詳しくご紹介しています。
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目次
1. 人事評価コメントが職種ごとに必要な理由
人事評価では、職種やポジションごとに達成目標や求められる役割が異なります。そのため、上司の人事評価コメントも職種ごとに適した内容でなければいけません。
なお、評価に至った具体的な成果と、良い点・改善点はどの職種でも記入が必要です。
さらに、社員の人格を否定する、他の社員と比べる、年齢や性別などの先入観に基づいたコメントは適切ではありません。上司の人事評価コメントは社員のモチベーションを左右するため、これらを考慮し職種別に適した内容を記載しましょう。
2. 人事評価コメントの例文(営業職)
営業職は定量目標が多いため、評価も数値を用いて具体的に記入します。とはいえ、成果評価に偏りすぎないよう、保有スキルや取り組み姿勢など、能力評価・情意評価の内容も具体的に記載しましょう。
「営業目標を110%達成した。既存顧客のニーズを汲み取り、営業を続け成果に結びつけた点を大いに評価する。また、チーム内ではリーダーのサポートを積極的におこない、円滑に回る手助けをして補助能力も養った。来期は新規顧客の獲得にも力を入れ、さらなる成長を目指してほしい。」
3. 人事評価コメントの例文(事務職)
事務職は目標の定量化が難しい仕事です。また、業務に大幅な変更がないことも多いため、日頃から社員の仕事への取り組みを観察する必要があります。
残業時間の縮小や業務効率化などはできるだけ定量化し、目標を管理しコメントしましょう。
「チェック体制の強化により、事務処理の誤りを前年比10%削減し目標を達成した。また、会計システムの変更時は必要な機能をまとめた資料を作るなど、業務改善への積極性も評価したい。面倒見が良く指導力もあるため、来期は新入社員教育も任せたいと思っている。」
4. 人事評価コメントの例文(エンジニア・技術職)
エンジニアや技術職は、製造工程の効率化によるコスト削減や、製品品質の向上など、企業に貢献した技術力を数値で評価しましょう。目標の定量化が難しい技術職では、あらかじめ評価基準を設けるとコメントしやすいです。
「A製品の設計変更対応により、従来品より10%のコスト削減を実現した。代替部品が多いなか、一つひとつのコストや代替後の性能を確認し対応した点を評価したい。業務への積極性やコミュニケーション能力も高いため、今後は営業担当者へ同行し、顧客から直接ニーズを聞き取り、改善する取り組みも任せたい。」
5. 人事評価コメントの例文(企画・マーケティング)
企画やマーケティングは実績を数値化しやすい職種ではあるものの、担当部門によっては定量化が難しいこともあります。また、プロジェクトの途中で評価が必要なケースもあるため、結果だけでなく社員の日頃の働きにも注目しましょう。
「ターゲット層を分析し新たにSNSの運用を始めたことで、商品認知度の向上に貢献した。また、SNSから流入した20~30代女性の売上が前年比20%増加しており、業績にも大きく貢献している。情報分析力だけでなく、実行力も高い。今後は、ノウハウを部門内で共有し、チーム全体の成果につなげて欲しい。」
6. 人事評価コメントの例文(接客業・サービス職)
会社の評判を左右する接客業やサービス職では、接遇能力とチームワーク、柔軟性の評価が必要です。いずれも数値化が難しいため、社員をよく観察し具体例を挙げて評価しましょう。
「笑顔を絶やさず気持ちの良い接客ができている。お客様アンケートでも、接客の良さで第2位に名前が上がっていた。対応が長引いたスタッフを先に休憩させるなど、他のスタッフと協力しチーム全体を見て行動できている点も評価したい。しかし、クレーム対応で動揺する部分がある。慣れもあるが、自分用の対応マニュアルを作るなどして克服すれば、さらに成長できるだろう。」
7. 人事評価コメントの例文(介護職)
介護職では、事故防止や環境整備など、利用者の安全が第一です。そのうえで、報・連・相など必要な行動を取れているか、スキルの向上に務めているかなども評価しましょう。
「決められた手順で介護ができている。また、判断が必要な場面ではすぐに先輩の指示を仰ぐなど、報・連・相も問題ない。細かな部分の清掃も率先しておこない、安全・衛生にも配慮している。基本事項はクリアしているため、今後は新たな技術や知識を習得し、さらなる成長を目指してほしい。」
8. 人事評価コメントの例文(看護師)
看護師の場合、経験年数や立場により求められる役割は大きく異なります。そのため、看護目標の達成と合わせて、現在の状況に見合った働きができているかも評価しましょう。
「看護師に必要な基本スキルや接遇を身に付け、日勤での独り立ちの目標も達成した。また、後輩の様子にも目を向け、安全を確認しながらチーム全体で業務も進める姿勢も評価したい。改善点としては、患者様のお話しを聞きすぎるあまり、勤務時間を超過することが多々ある。世間話が長引けば治療方針の話に戻すなど、コミュニケーションにメリハリをつけられるとなお良いだろう。」
9. 人事評価コメントの例文(保育師)
保育師も経験年数により求められる役割が異なり、子どもの安全を優先して考えなければいけません。また、子どもとの関わりだけでなく、保護者への対応、後輩の育成も重要な評価ポイントです。
「保護者と離れて泣く子どもの気持ちに寄り添い、落ち着くまで優しく接していた。イヤイヤ期の子どものわがままも笑顔で見守る姿に、安心して任せられるという保護者も多い。改善点として、後輩の指導では正解を教えるだけでなく、新人保育士が考える時間も作るとより成長を促せるだろう。」
10. 人事評価コメントの例文(公務員)
公務員の仕事内容は部署や役職によって大きく異なるため、業務の特性に合わせて目標を設定しなければなりません。評価の際は、数値化して評価できる業務については具体的な指標を示し、数値化が難しい場合はプロセスや取り組み姿勢に注目しましょう。
「決められたルールに従って、効率よく業務を進めている。表計算ソフトや文書作成ソフトの活用も得意としており、新しいフォーマットを作成するなど、業務効率化に関する提案をしてくれる点も評価できる。今後は若手の教育を任せたいと考えているため、指導力の向上を期待している。」
11. 人事評価コメントの例文(管理職)
管理職の場合、個人目標だけでなく、チームや部署の業績も人事評価に加味しなければいけません。また、管理職に求められるリーダーシップやマネジメント能力を発揮しているかも確認しコメントしましょう。
「今期は担当部門が前年度比110%の売上を達成した。マネージャーが月別で売上目標の達成を徹底したことが大きいと考える。また、個人の売上目標も同様に達成している。しかし、マネジメントでは、部下により業績に大きな偏りがある点に注意したい。優秀な部下の能力を伸ばすだけでなく、やる気が低下した部下のサポートも充実できれば、チームの成績はより向上するだろう。」
ここまで人事評価コメントの例を紹介しましたが、そもそもの人事評価設計や人事評価シートが自社にあっていなければ、適切な人事評価ができず、問題になることもあるでしょう。当サイトで無料配布している「人事評価の手引き」という資料には、人事評価マニュアルや人事評価シートを実際に策定する手順や、策定する際に必要な人事評価の基礎知識を網羅的に解説しており、を人事評価を再度策定する際に大変役立つ資料となっております。興味のある方はこちらから無料でダウンロードしてご覧ください。
12. 人事評価におけるNGコメント例文
人事評価コメントを書くときは、人格を否定したり他者と比較したりするのは避けましょう。ここでは、人事評価におけるNGコメントの例を紹介します。
12-1. 人格を否定するコメント
人事評価で対象とするのは、あくまでも業務です。人格や性格、性別や身体的特徴について言及したり否定したりすることは絶対に避けましょう。具体的には以下のようなコメントは避けるべきです。
「この仕事に向いていない性格と考えられる」「もっと男性らしさ(女性らしさ)を発揮してほしい」「会議における発言を聞くと人格に問題があると思われる」
12-2. 他者と比較するコメント
人事評価をする際に他者と比較したくなるかもしれませんが、基本的には本人に関してのみ記載しましょう。とくに他者と比較して悪い部分を記載すると、モチベーションの低下につながるため注意が必要です。以下のようなコメントは避けましょう。
「同期の社員Aさんと比較すると営業能力が劣っている」「自分の若い頃と比べると努力が足りない」「先輩社員Bさんのようなコミュニケーション能力を発揮してほしい」
12-3. 良い点・悪い点のどちらかに偏ったコメント
人事評価をするときは、良い点・悪い点の両方を指摘することが大切です。良い点に偏りすぎると社員の成長を促せなくなり、悪い点に偏りすぎるとモチベーションが低下してしまいます。以下のようなコメントは避け、バランスよく記載しましょう。
「営業成績がよく、社内でのコミュニケーションもよく取れており、とくに改善すべき点は見当たらない」「事務作業におけるミスが多く、仕事への取り組み姿勢にも問題があるため、全体的に改善を要する」
13. 上司の人事評価コメントは社員一人ひとりに合わせて作成しよう
上司の人事評価コメントは職種により必要な要素が異なります。また、最終的には社員一人ひとりに適した内容で記載する必要もあるため、日頃から勤務態度を観察する必要もあります。
上司と部下の双方でコメントの記載が必要な人事評価シートは、処理が煩雑になりやすい書類の一つです。処理を効率化したいなら、システム上で一元管理できる人事評価システムの導入もおすすめです。
人事評価制度は、健全な組織体制を作り上げるうえで必要不可欠なものです。
制度を適切に運用することで、従業員のモチベーションや生産性が向上するため、最終的には企業全体の成長にもつながります。
しかし、「しっかりとした人事評価制度を作りたいが、やり方が分からない…」という方もいらっしゃるでしょう。そのような企業のご担当者にご覧いただきたいのが、「人事評価の手引き」です。
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