経費と仕入れの違いとは|仕訳時の注意点や経費と仕入れにかかわる棚卸資産についても解説

仕入れ

経費と仕入れの違いは、事業の運営費用か商品などの販売に必要な費用かどうかという点です。この記事では、企業の経理担当者や経理処理を行う経営者に向けて、経費と仕入れの違いについて解説します。また、仕訳する際の注意点や経費と仕入れの振替が必要な棚卸資産、青色申告書類への記載方法なども解説しているため、ぜひ参考にしてください。

1.経費と仕入れの違いとは

人件費
経費と仕入れは、事業を行ううえで必要な費用である点は共通していますが、それぞれに明確な違いがあります。どのような特徴、違いがあるのか以下で詳しく解説します。

1-1.「経費」とは

事業を営む際にはさまざまな費用がかかります。経費とは事業の運営に欠かせない費用のことです。必要な費用のうち、仕入れ以外にかかるものは経費に分類されます。
経費の一例として、交通費や消耗品・備品の購入費、水道料金、電気料金、家賃、従業員の給与などが挙げられます。家賃や従業員の給与などの人件費は固定費に該当するため、あらかじめ予算として確保しておかなければなりません。

▼経費に関して網羅的に読みたい方はこちら
経費とは?経費に計上できる費用、計上できない費用など経費の基礎をわかりやすく解説

1-2.「仕入れ」とは

仕入れとは売上に直結する費用で、販売を目的した購入にかかる費用を指します。仕入れに該当する費用は、自社製品の製造に必要な原材料や、販売目的で入手した商品などの購入費、商品の輸送費、送料などです。
仕入れが明確になれば、純利益を算出しやすくなります。純利益は、売上から仕入れを差し引くことで計算できます。仕入れから売上計上までの大まかな流れは、以下のとおりです。

1.仕入れを行う
2.在庫を保管する
3.商品を販売する
4.売上を計上する

1-3.経費と仕入れは目的が異なる勘定項目

経費なのか仕入れなのかを正確に見極めたうえで正確に仕訳することは、節税において重要なポイントになります。本来は、経費で処理しなければならないのにかかわらず仕入れで計上したり、逆に仕入れを経費に計上したりすれば、正確に処理できません。
青色申告を行う企業の場合、正しく仕訳できていないことでペナルティを受ける可能性があります。ペナルティを受けないためには、経費と仕入れの違いをしっかりと把握しておきましょう。

1-3-1.例外的に、仕入れが経費になるもの

仕入れは経費として計上することはできません。ただし、例外的に経費として扱うことが許可されているケースがあります。たとえば、おまけや特典を無料配布する目的で購入した商品は、宣伝広告費として計上できます。また、販売目的で製造した商品が在庫として売れ残り、取引先などへ無料で配布した場合の勘定科目も宣伝広告費です。

2.経費か仕入れか、仕訳時の注意点

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経費や仕入れを仕訳する際、いくつか注意すべきことがあります。以下では、仕訳時の注意点を解説します。

2-1.送料が発生した場合の勘定科目に注意

仕入れに関連する諸経費は仕入れ額として仕訳するのが基本です。ただし、送料の仕訳は、仕入れで処理するケースと経費として扱うケースがあります。まず仕入れで処理する場合は、以下のように送料を含めた仕入額を借方、貸方のそれぞれに記載しましょう。

借方

貸方

仕入 〇〇円

買掛金 〇〇円

一方で、経費として仕入諸掛で処理する場合、仕入額は仕入と記載し、送料は仕入諸掛として記載します。仕訳例は、以下のとおりです。

借方

貸方

仕入 〇〇円

買掛金(原材料代金) 〇〇円

仕入諸掛 △△円

買掛金(送料) △△円

2-2.年末に税金対策として大量に仕入れ、経費に計上するのは間違い

税金対策として年末に大量仕入れを行い、経費に計上するケースもありますが、節税対策にはなりません。あれもこれも経費として処理することで、税務調査によってペナルティを受ける可能性があるため、注意が必要です。
原則として、期末に売れ残った在庫は経費ではなく、すべて企業の資産として扱われます。仕訳では、経費から資産への振替をしなければならず、棚卸資産として扱う必要があります。

3.経費と仕入れの関係に影響する「棚卸資産」の仕訳とは

疑問

棚卸資産とはどのようなものなのか、経費や仕入れにどのような影響を及ぼすのか、以下で詳しく解説します。

3-1.棚卸資産(在庫)とは

在庫を棚卸資産として処理するかどうかによって、経費と仕入れに影響を及ぼします。棚卸資産とは売れ残った商品や、商品の製造のために購入した原材料などの在庫を総称する用語です。上述したとおり、在庫は売上を生み出すものであることから、企業にとって資産といえます。
棚卸資産に該当するのは、商品のように目にみえるものだけではありません。たとえば、サービスのように形を成さず目にみえる形で存在しないものも、棚卸資産として仕訳できます。

3-1-1.棚卸資産になるもの

消耗品でも未使用の場合は資産として扱われるなど、棚卸資産の定義は広く特徴的です。棚卸資産に該当するものは、以下のとおりです。

・販売目的で仕入れた商品
・製品
・半製品(製品の一部になる部品)
・仕掛品(未完成の製品)
・主要原材料(製品の製造に占める割合の大きい原材料)
・補助原材料(触媒や冷媒、熱媒など)
・事務用品
・消耗品(未開封のコピー用紙や未使用のトイレットペーパー、切手、収入印紙など)
・委託販売品(代理店などへ販売を委託した未販売の製品や商品)
・未着品(注文済みで自社に届いていない商品)
・トラック在庫(発送のためにトラックに積み込んだ商品や製品)

3-2.期末の在庫は経費から資産に振替が必要

期末時の在庫は、経費から棚卸資産へ振替する必要があります。仕入れの段階で棚卸資産を経費として仕訳した場合は、経費から資産へ振替をしておきましょう。税務調査では、棚卸資産が経費に計上されていないかがよく確認されるポイントです。
資産への振替を行わない場合、税務調査でペナルティを課せられる可能性があるため注意が必要です。なかには、追徴課税を納めなければならないケースもあるでしょう。

このように、仕訳や帳簿記入の仕方は正確に理解しておかなければ、不正会計ともとられかねません。「知らなかった」でミスを犯してしまわないよう、経理担当者は勘定科目や仕訳の方法を正しく理解しておく必要があります。当サイトで無料配布している「勘定科目と仕訳のルールBOOK」では基本的な勘定科目から、その科目に応じた仕訳例まで網羅的に解説しております。勘定科目や仕訳に関してまだ知識が曖昧な方にとっては、調べたい時にいつでも参照できる参考書のような資料となっており、大変参考になるので、ぜひこちらから無料でダウンロードしてご覧ください。

3-3.仕入れたもの全てが経費として処理できないことを理解しておく

商品や原材料を仕入れても、全てが経費として処理できるとは限りません。また、経理担当者が、経費を多くすれば納税額を減らせるなど、誤った認識をもって経費や仕入れを管理するのは注意が必要です。
基本的に、期末に在庫が増えれば棚卸資産として処理する必要があり、税金は減るどころか増えてしまいます。このように、年末などに大量に商品や原材料を仕入れても、節税対策にはならないことを理解しておきましょう。

4.確定申告書類作成時の経費と仕入れの記入箇所

整理
ここでは、確定申告書類を作成する際の経費と仕入れの記載方法を解説します。

4-1.青色申告決算書の「仕入金額」には経費ではなく仕入の金額を記載

まずは、青色申告決算書の1ページ目の損益計算書へ仕入額を記載します。記載場所は、左上にある「売上原価」内の「仕入金額(製品製造原価)」の項目です。仕入金額には、経費ではなく仕入額を記載しましょう。
次に、2ページ目の「月別売上(収入)金額及び仕入金額」内の「仕入金額」に、1月から12月までの月別の仕入金額を記入します。さらに、12ヶ月分の仕入金額の合計を「計」に記載し、1ページ目で記載した仕入額と一致することを確認しましょう。

5.【参考】法人税の申告を青色申告で行うメリット

まとめ

企業が青色申告を行った場合、法人税を申告すると節税につながるなど、さまざまなメリットが得られます。申告書の作成に手間はかかりますが、会計ソフトや青色申告が可能なクラウドサービスを利用することで、最小限に抑えることも可能です。以下では、青色申告を行う具体的なメリットについて解説します。

5-1.欠損金の繰越控除ができる

法人税の申告を青色申告した場合、申告書類を提出した事業年度に生じた欠損金が繰り越しとなり、本来なら課税対象となる所得の控除を受けられます。つまり、今年度の赤字を翌年度以降の黒字と相殺できます。さらに、欠損金の繰越控除は最長で10年間と定められているため、黒字となった年度は欠損金の繰越分と相殺することで、節税につなげることも可能です。

5-2.欠損金の繰戻しによって法人税が還付される

資本金や出資金が1億円以下の中小企業の場合は、欠損金の繰戻しによる法人税の還付を受けることも可能です。繰戻しによる法人税の還付とは、欠損金が発生した年度の前年度に納税した法人税が還付される仕組みです。繰戻しの対象となる年度は、欠損金が生じた年度の前年度に限るため、申請忘れのないように注意しましょう。

5-3.中小企業者は少額資産の損金算入できる

中小企業の場合、少額資産の損金算入も可能です。中小企業とは、従業員数が1,000人以下の事業者のことです。具体的には、事業運営のために30万円未満の減価償却資産を入手した場合に、取得価額の全てを損金として扱うことができます。損金算入によって法人税の課税対象額が減少するほど、節税効果は高くなります。

5-3-1.法人税の申告を青色申告で行うには事前承認が必要

上述したメリットを得るためには、事前に税務署から承認を得ておかなければなりません。青色申告を行う場合は企業の所在地を管轄する税務署へ、「青色申告の承認申請書」を事前に提出しておきましょう。提出方法は、税務署の窓口へ持参もしくは郵送、e-tax経由が挙げられます。
申請書は、青色申告を行う事業年度の開始日の前日までに提出しなければなりません。設立したばかりの法人は、設立日から3ヶ月後もしくは事業年度終了日のうち、早いほうの前日が提出期限です。

6.まとめ

項目 ポイント

経費と仕入れの違いを明確に理解していなければ、正確に仕訳できません。

場合によっては追徴課税などのペナルティを受ける可能性もあるため、無理に経費として仕訳をするような節税対策は行わないようにしましょう。青色申告の書類作成の手間を減らすなら、クラウドサービスの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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