電子帳簿保存法のタイムスタンプとは?必要性や発行手順を解説 |HR NOTE

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電子帳簿保存法のタイムスタンプとは?必要性や発行手順を解説

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日付のスタンプ

電子帳簿保存法は、企業に保管が義務付けられる書類の電子データ保存に関するルールを規定した法律です。同法では書類の電子データ保存の際に要件に応じてタイムスタンプを付与することを定めています。

複製が容易な電子データであっても、タイムスタンプの付与によりその電子データを原本として扱うことが可能です。書類の電子データ保存を適切に実施するため、タイムスタンプの仕組みや付与のルールを正しく理解しましょう。

本記事では電子帳簿保存法におけるタイムスタンプについて、必要性や発行手順を交えて解説します。

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1. 電子帳簿保存法のタイムスタンプとは?

書類に押されたハンコ

タイムスタンプとは、特定の電子データがある時点において確かに存在し、それ以降その内容が変更されていないことを証明する電子的な仕組みのことです。電子帳簿保存法では、税務署類を電子データとして保存する際に要件に応じてタイムスタンプを付与することを定めています。

なお、2022年の電子帳簿保存法の改正を受け、タイムスタンプの付与期限は最長で約2ヶ月と概ね7営業日以内となりました。[注1]

タイムスタンプを構成するのは、電子データごとの固有数値であるハッシュ値と、そのハッシュ値を付与した日時の時刻情報です。ハッシュ値は特定のルールで算出され、電子データにわずかでも改変があれば算出される数値も変動します。タイムスタンプはハッシュ値の特性を電子データの非改ざん性の証明に応用した仕組みです。

[注1]国税庁:電子帳簿保存法が改正されました p3

2. 電子帳簿保存法におけるタイムスタンプの必要性

データを守る鍵

電子帳簿保存法が書類の電子データ保存に対してタイムスタンプを要求する理由は、電子データの改ざんによる不正やトラブルを防ぐためです。電子データは誰でも容易に複製や改ざんが可能であり、原本として扱うためには内容の真実性が確保されていなければなりません。真実性とは、その電子データの内容が真実かつ正確であることです。

先述のとおり、タイムスタンプには以下2つの役割があり、これにより電子データの真実性が担保されます。

  • タイムスタンプを付与した時点で、その電子データが存在することを証明する
  • タイムスタンプを付与して以降、その電子データが改変されていないことを証明する

また、タイムスタンプは第三者機関によって付与されるため、すでにタイムスタンプが付与された電子データの改ざんや意図的な処分などは隠蔽できません。タイムスタンプは電子データの真実性を確保する手段として非常に有効であり、税務関連書類や取引関連書類などの電子データ化に広く活用されています。

3. タイムスタンプの仕組み

男性の前のメニューアイコン

タイムスタンプで電子データの真実性を証明するためにとくに重要な情報がハッシュ値です。また、ハッシュ値を算出してタイムスタンプを付与するのは自社ではなく第三者機関の時刻認証事業者になります。タイムスタンプを運用するにあたり、その基本的な仕組みも理解しておきましょう。

3-1. ハッシュ関数により電子データのハッシュ値を算出する

タイムスタンプの重要情報であるハッシュ値とは、その電子データから一定の計算手順を用いて導き出される規則性のない数字として表示されます。その計算に用いられるアルゴリズムがハッシュ関数です。

ハッシュ関数には以下2つの特徴があります。

  • 同じデータを入力すると常に同じハッシュ値を生成する
  • わずかでもデータに変更があれば異なるハッシュ値を生成する

タイムスタンプはハッシュ関数の特性を利用して電子データの真実性、非改ざん性を担保する仕組みです。一度タイムスタンプが付与された電子データに対して内容の改ざんが行われた場合、本来とは異なるハッシュ値が生成されるため直ちに異常に気付くことができます。

3-2. 第三者機関である時刻認証局が付与する

タイムスタンプの付与を行うのは自社ではなく時刻認証局です。時刻認証局は厳しい監査を経て一般社団法人日本データ通信協会の認可を受けた第三者機関であり、発行されるタイムスタンプには高い信頼性があります。なお、時刻認証局はTSA(Time-Stamping Authority)とも呼ばれます。

時刻認証局の役割は、企業が作成する電子データに付与するタイムスタンプの発行と管理です。企業の要請に応じて、時刻認証局は対象の電子データにハッシュ値と時刻情報を合わせたタイムスタンプを発行して付与します。

また、企業の要請に応じて、電子データに付与されたタイムスタンプの検証を行うことも時刻認証局の重要な仕事です。たとえば、他社からタイムスタンプが付与された電子データを受け取った場合、対象のタイムスタンプを付与した時刻認証局へ検証を依頼することで電子データの真実性が確認できます。

4. 電子帳簿保存法でタイムスタンプが必要となるケース

黒い封筒とハンコ

タイムスタンプは電子データの真実性を担保する有効な手段である一方、電子帳簿保存法ではすべての書類データに対してタイムスタンプの付与を義務付けてはいません。ここでは電子帳簿保存法における電子データ保存の区分とタイムスタンプの必要性について解説します。

4-1. 「スキャナ保存」はタイムスタンプ付与が必須

保存する電子データが「スキャナ保存」に該当する場合は、例外なくタイムスタンプの付与が必要です。スキャナ保存とは、紙媒体で受領・作成した税務関連書類を、スキャニングによって画像データとして保存する方法を指します。紙媒体の領収書や請求書などを電子データ化した際は必ずタイムスタンプを付与しましょう。

4-2. 「電子取引データ保存」は要件に応じてタイムスタンプを付与

「電子取引データ保存」に該当する電子データは、真実性の確保のために以下の要件のうちいずれかひとつを満たす必要があります。

  1. タイムスタンプが付与された電子取引データを受領する。
  2. 電子取引データの受領後、速やかにタイムスタンプを付与する。
  3. 電子データの訂正削除を行った場合にその記録が残るシステムを利用する、もしくは電子データの訂正・削除を行うことができないシステムを利用する。
  4. 電子データの訂正・削除の防止に関する事務処理規程を定め、その規程に沿った運用を行う。

電子データ取引とは、電子取引システムなどの電子的な手法で行われたすべての取引を指します。上記の要件のうち3、4の要件を満たさない場合は、電子取引に関連する電子データの保存にタイムスタンプの付与が必要です。

4-3. 「電子帳簿等保存」はタイムスタンプ不要

「電子帳簿等保存」は、その作成時から一貫して電子的手法で作成された帳簿類を電子データのまま保存する方法を指します。たとえば電子会計システムを用いて作成された決算書類などです。電子帳簿保存法では、伝帳簿など保存に該当する書類に対してタイムスタンプを不要としています。

ここまで読んでタイムスタンプに関する知識を理解できたが、電子帳簿保存法でタイムスタンプ要件がどのように改正され、会社で実際にどのように対応していくかわからないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。そのような方に向けて当サイトでは5分で読み解く電子帳簿保存法という資料を無料配布しています。本資料では電子帳簿保存法におけるタイムスタンプ要件の改正内容はもちろん、そもそも電子帳簿保存法がどのような法律なのをを図解つきでわかりやすく解説しております。大変参考になる内容となっているので興味のある方はこちらから無料でダウンロードしてご覧ください。

5. 電子帳簿保存法に則ったタイムスタンプの発行手順

設定の階段を上る

タイムスタンプの仕組みは一見すると複雑に感じますが、実務では専用のシステムを用いるため、発行の手順は至ってシンプルです。ここでは一般的なタイムスタンプの発行手順を解説します。

5-1. 書類を電子データ化する

タイムスタンプの発行は、まず対象書類の電子データを準備する必要があります。対象書類が紙媒体の場合は、スキャニングによって画像データを作成しましょう。スキャニング以外でも、デジタルカメラやタブレットで撮影した写真でも構いません。

対象書類の電子データの準備が完了した後、該当の電子データを専用のシステムにアップロードします。

5-2. タイムスタンプの発行を要求する

次に、電子データのハッシュ値を算出し、時刻認証局にタイムスタンプの発行を要求しましょう。専用のシステムを用いる場合は、対象の電子データをアップロードした時点で自動的にハッシュ値が算出され、電子データとともに時刻認証局へ送信されます。

5-3. 時刻認証局がタイムスタンプを付与する

対象の電子データの送信が完了すると、時刻認証局が申請に従ってタイムスタンプを発行します。時刻認証局側での処理が完了すると、タイムスタンプが付与された電子データの受け取りが可能です。

近年の文書管理システムなどでは、電子データをアップロードすると自動でタイムスタンプを付与する製品が一般的となっており、事務的な煩わしさを感じることはほぼありません。また、テレワークの普及に伴いスマホやタブレットからタイムスタンプの発行が申請可能なシステムもあります。

6. 電子帳簿保存法に従ってタイムスタンプを運用しよう

タブレットの上に浮かんだセキュリティ

タイムスタンプはハッシュ値と時刻情報によって電子データの真実性、非改ざん性を担保する仕組みです。電子帳簿保存法は、企業が税務関連書類や取引情報を電子データとして保存する際のタイムスタンプのルールも定めています。対象となる書類を電子データ保存する際は、電子帳簿保存法の規定に従ってタイムスタンプを運用しましょう。

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