アルバイトも社会保険の加入が必要?! 社会保険加入条件と手続き方法 | 人事部から企業成長を応援するメディアHR NOTE

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パート・アルバイトに社会保険は適用される?|令和4年10月~の法改正に向けて徹底解説!

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令和4年から社会保険に関する法改正が適用されます。それに伴い、新たに加入対象者となる人が増え、パートやアルバイトにおいても社会保険に加入する必要性が増します。

また、適用される従業員規模も今回の法改正によって変更となるため、企業は注意深く確認することが求められます。

本記事では、社会保険の法改正における変更点や企業が把握すべきポイントについて解説いたします。

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1.パート・アルバイト雇用時に加入が必要な保険は5つ!

アルバイトを雇用した際、必要となる公的保険は労働保険労災保険・雇用保険)と社会保険健康保険、介護保険、厚生年金保険)の5種類あります。

 

【 労働保険 】

労働保険は、労災保険雇用保険に分けられます。

 

労災保険

労災保険は、従業員が仕事中または通勤中にケガや病気、障害や死亡した場合に必要な給付をおこなう保険です。パートやアルバイトなどの雇用形態に関わらず、全員加入することが義務付けられている保険になります。

◆参考サイト 労働保険制度(厚生労働省)

雇用保険

雇用保険は、従業員が失業した場合や育児や介護をおこなう場合、教育訓練を受ける場合などに必要な給付をおこなう保険です。一般的に失業保険と呼ばれているものは雇用保険の給付をさしています。

雇用保険は労災保険と異なり、次の2つの条件に該当した場合はパートやアルバイトなどの雇用形態や、会社や従業員からの希望の有無に関わらず加入する義務が生じます。

(1)1週の所定労働時間が20時間以上であること (2)31日以上の雇用見込みがあること

◆参考サイト Q&A~事業主の皆様へ~(厚生労働省)

Q.  学生アルバイトは雇用保険に加入する義務があるのか?

原則として、昼間学生は雇用保険に加入できないとされています。但し、「通信教育を受けている学生」「大学や高校の夜間学生」「定時制課程の学生」については、前述の2つの条件に該当すれば加入する義務が生じます。しかしながら、昼間学生であっても次の場合は加入する義務が生じますので注意が必要です。

  • 休学中の学生
  • 卒業見込み証明書を有する者で、卒業前から就職し卒業後も同じ会社に勤務予定の学生
  • 会社の命令や承認によって大学院等に在学する学生
  • 一定の出席日数を課程修了の要件としない学校に在学する者で、会社で他の従業員と同様に勤務することができると認められる学生

学生アルバイトを雇用する会社の場合は以上の条件を確認しておくようにしましょう。

◆参考サイト 被保険者の詳細、被保険者となる具体例について(厚生労働省)

【 社会保険 】

社会保険は、健康保険」「介護保険」「厚生年金保険に分けられます。原則として、セットで加入することが必要ですので、例えば「健康保険だけ加入したい」ということはできません。

健康保険

健康保険は、従業員やその家族が病気やケガをした時、出産、死亡時などに、必要な医療給付や手当を支給する保険です。健康保険に加入することでもらえる健康保険証により、病院の窓口で払う金額は治療費の3割となります。

◆参考サイト 人を雇う時のルール(厚生労働省)

介護保険

介護保険は、従業員が65歳以上になって要支援・要介護状態となった場合や、40歳以上で末期がんや関節リウマチ等が原因で要支援・要介護状態となった場合に必要な給付をおこなう保険です。

◆参考サイト 介護保険制度の概要(厚生労働省)

厚生年金保険

厚生年金保険は、従業員が高齢や障害、死亡した時に年金として給付する保険です。国民年金に上乗せされて給付されるものです。

◆参考サイト 人を雇う時のルール(厚生労働省)

社会保険は、パートやアルバイトなどの雇用形態に関わらず一定の条件に該当した場合、必ず加入する義務が生じます。また、社会保険の保険料は、会社と従業員が半分ずつ負担する必要があります。但し、介護保険料は40歳以上の方に限ります。

2.令和4年10月~社会保険の適用範囲が変わる!

令和4年10月より、社会保険の適用範囲が拡大されることになりました。一部のパート・アルバイトの加入が義務化されることや社会保険料の変更が決定されています。

対象企業・社内対応の他、新たな加入条件やパート・アルバイトにとっての加入のメリットについてご説明いたします。

【企業における法改正のポイント】

法改正に伴い、社会保険が適用される企業の規模の範囲が拡大されます。

現在は従業員数が501人以上の企業が対象でしたが、令和4年10月以降は従業員数が101人以上の企業が対象となります。また、2年後の令和6年10月以降は従業員数が51人以上の企業も対象となりますので、今から少しずつ準備を進めておくと円滑な対応ができるでしょう。

☆従業員数の定義

従業員数とは、以上のA+B「現在の厚生年金保険の適用対象者」のことを指します。

特にBではパート・アルバイトも含まれるので注意が必要です。

社内対応のすゝめ

社会保険の適用範囲が拡大されますが、企業はどのように対応すればよいのかわからないという方もいらっしゃると思います。

以下の4つのステップを参考していただくと、実際の対応をおこなうまでの具体的な動き方やスケジュールを決めやすくなるかもしれません。

まずは、加入対象者(※後述します)が自社に何人いるかを把握することが大切です。

その後、社内周知をしてから、加入対象者である従業員とのコミュニケーションを取りましょう。その際、「なぜ加入しなくてはならないのか」「加入することによるメリットはあるのか」という部分を従業員に説明できると、円滑なコミュニケーションが取りやすいです。

従業員とのコミュニケーションが十分に取れたところで、書類の作成・提出をおこないましょう。オンラインでの作業となり、2022年8月までに通知され、対象の企業は2022年10月に提出する必要があります。後ほど説明させていただきますので、ご確認いただければと思います。

【新たな社会保険加入対象者】

2024年10月から新たに社会保険が適用される対象者は、以下の通りです。

  • 週の所定労働時間が20h以上
  • 月額賃金が8.8万円以上
  • 2か月を超える雇用の見込みがある
  • 学生でないこと

現在は1年を超える雇用の見込みがある従業員が対象ですが、法改正後は2か月を超える従業員が対象となります。

上記をもとに、加入対象者の人数を確認していただければと思います。

【社会保険加入のメリット】

社会保険加入のメリットを企業が知っておくことで、パートやアルバイトが社会保険に加入する意味を理解し、スムーズに加入手続きに移ることができます。

 

<年金>
  • 1階(基礎年金部分)だけでなく、2階(報酬比較部分)の保障が加えられる
  • より軽度の障害にも保障範囲が広がる
<医療保険>
  • 傷病手当金:病休期間中、給与の2/3相当が支給される
  • 出産手当金:産休期間中、給与の2/3相当が支給される
◆参考サイト 社会保険適用拡大ガイドブック|厚生労働省

3.パート・アルバイトの社会保険への加入手続きはどうすればよい?

パート・アルバイトが社会保険の加入条件に該当した場合は、会社はどのように加入手続きをおこなえばよいのでしょうか?それでは手順をみてみましょう。

【 手順① 】

「健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届 厚生年金保険70歳以上被用者該当届」を事実発生から5日以内に会社の所在地を管轄する年金事務所へ提出します。

健康保険、介護保険、厚生年金の加入手続きは、資格取得届1つで同時におこなうことができます。但し、会社が健康保険組合に加入している場合は、組合上の手続きも必要となります。

原則として添付書類は必要ありませんが、会社が特に注意すべき点は、加入者のマイナンバーと本人確認を徹底することです。本人確認がおこなえない場合は健康保険証を発行してもらえないため、必ず運転免許証などによって本人確認をおこなっておくことが必要です。

◆参考サイト 従業員を採用したときの手続き(日本年金機構)

【 手順② 】

「雇用保険被保険者資格取得届」を会社の所在地を管轄する公共職業安定所(ハローワーク)に、採用月の翌月 10 日までに提出します。

雇用保険被保険者資格取得届には1週の所定労働時間や雇用契約期間の定めの有無などを記入する箇所がありますので、雇用時に労働条件通知書などでしっかりと確認しておくことが必要です。

また、前職のある方の場合は、前職時の雇用保険被保険者番号を確認しておきましょう。番号が分からない場合は、前職の会社名などからハローワークに検索してもらうことができます。なお、雇用保険取得の際にもマイナンバーが必要ですので注意してください。

◆参考サイト 雇用保険の手続はきちんとなされていますか!(厚生労働省) 雇用保険被保険者資格取得届(ハローワークインターネットサービス)

【 手順③ 】

労災保険はパート・アルバイトごとの加入手続きは必要ありません。

労災保険は、従業員を雇用した際、事業所単位で「保険関係成立届」を会社の所在地を管轄する労働基準監督署に「概算保険料申告書」と合わせて提出することで、すべての従業員が労災保険に加入することになります。保険関係成立後は1年度に1回申告・納付手続きをおこなうことが必要となります。

会社が注意しなければならない点は、例え1日しか勤務していないパート・アルバイトであっても、仕事中や通勤途中にケガなどが起きた場合は労災保険の給付手続きが必要となる点です。労災隠しは厳しく罰せられることにもなりますので十分注意してください。

◆参考サイト 労働保険制度(制度紹介・手続き案内)(厚生労働省)

4.パート・アルバイトも社会保険に加入させなければならないのか?

社会保険の加入手続き等の負担を考えると、「パート・アルバイトに社会保険加入させたくない」というのが企業側の本音かと思います。また、パート・アルバイト側からしても、社会保険に加入することで手取り金額が少なくなるため、「できるのであれば加入したくない」というのが本音です。

実際にパート・アルバイトからそのような相談を受けたことのある方も多いのではないでしょうか。しかしながら、パート・アルバイトであっても条件に該当すれば必ず加入させておくことが必要です。その理由は以下の2点です。

【理由①】社会保険の加入条件は法律で明記されており義務となっているため

定期的に日本年金機構が、社会保険に加入すべき従業員が加入しているかどうか調査をおこなっています。万一、加入していない事実が発覚した場合は、過去2年遡って保険料を請求される可能性があります。

また万一、遡るようなことになれば、社会保険料は会社と従業員が半分ずつ負担するものであり、また社会保険は従業員の年金額に反映するものであるため、会社のみならず従業員にも迷惑をかけることになります。

金銭的なリスクはもちろんのこと、労務トラブルに発展することも十分に考えられますので、日頃からパート・アルバイトの労働条件には注意しておくことが必要といえます。

【理由②】社会保険に加入すれば、良い人材を獲得できる可能性が高くなる

多くの企業で人手不足が問題視される現在、「長く勤めてくれる人材がほしい」と考える企業は多いのではないでしょうか。

社会保険は法律で定められた福利厚生制度です。パート・アルバイトで働く方も福利厚生がしっかりしている会社で働きたいと思うのは当然のことです。もちろん、扶養の範囲で働きたい方も少なくありませんが、加入基準を法律どおりに明確に区分することで、「長く働けるようになったら社会保険に加入できる」というパート・安心感をアルバイトに与えることにもつながります。

以上の点からも、福利厚生をしっかり整備している会社には、自然と良い人材が集まると考えられます。

5.まとめ

社会保険に加入すべきは正社員のみと考えていた方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、法改正による社会保険の適用範囲拡大により、パートやアルバイトであっても社会保険に加入させる必要が出てくる可能性は大いにあります。

本記事でご説明いたしましたルールを参考に、義務を果たし会社のイメージや働く環境の向上につなげていただければ幸いです。

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