在宅勤務でも交通費支給は必要?経費削減をする方法について解説 |HR NOTE

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在宅勤務でも交通費支給は必要?経費削減をする方法について解説

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在宅勤務を導入する企業が増えてきましたが、導入する際は交通費の扱いを決める必要があります。在宅勤務でも交通費が発生する可能性はありますが、従来の支給を続けるか実費支給にするかを決めなければなりません。就業規則の変更や社会保険料の変更など法的な問題もあるので、慎重に交通費の支給方法を考慮しましょう。

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1.在宅勤務で交通費の支給は必要?

在宅勤務を導入する企業の場合、交通費の支給をするかどうかを考える企業もあるのではないでしょうか。

在宅勤務は基本的に自宅で業務をおこなうため、出社時の交通費の扱いを変更する場合もあります。

では、在宅勤務における交通費の支給について見ていきましょう。

1-1.交通費と通勤手当は厳密には異なる

そもそも、交通費と通勤手当は厳密には違う扱いのもので、税金の扱いなども異なります。

交通費と通勤手当の具体的な違いは以下の通りです。

通勤手当とは、自宅から会社へ通勤するための費用のことで、交通費は業務で必要な移動にかかる費用のことです。在宅勤務が始まると、自宅からの通勤がほとんどなくなるので、通勤手当に変動が生じることがあります。

一方、急遽出社しなければならなくなった、取引先に行かなければならないなどの理由で、交通費が使われることも考えられます。在宅勤務になったからといって、一概に通勤手当や交通費がまったくなくなるとはいえないのです。

1-2.在宅勤務における交通費の支給方法

交通費の支給方法にはいくつかの選択肢があります。

実は、交通費や通勤手当に関しては、法律上のルールがあるわけではありません。交通費や通勤手当の支給は企業に義務付けられておらず、多くの場合就業規則によってその支給が定められています。

したがって、就業規則に従って支給する、もしくは就業規則を在宅勤務用に変更して適用することが必要となります。企業によっては、在宅勤務であっても変わらず毎月交通費を支給しているところがあります。

一方、経費削減を目指して、実費支給としている企業も少なくありません。実費支給の場合、出社した日数や移動した日数によって支給額が変わるでしょう。

あるいは、交通費の支給という形ではなく、在宅勤務手当を支給している企業もあり、さまざまな支給方法があることがわかります。

1-3.交通費に関するルールを変更する場合には就業規則も変更が必要

在宅勤務に切り替わるなどで交通費の支給ルールを変える場合は、就業規則などの交通費の支給に関しての規定も変更する必要があります。

規定を変更しないまま、今まで支給していた交通費の支給をやめるなど、交通費の扱いを変えるなどした場合、従業員との間でトラブルになる可能性があります。そのため、交通費の支給規定を変える場合は、就業規則の変更と周知までを欠かさずおこないましょう。

2.交通費を実費支給に切り替えるメリット

在宅勤務を導入した企業が採用することが多い交通費の支給方法が、実費支給です。

実際に従業員が使った分だけの交通費を支給する方法ですが、どのようなメリットがあるのでしょうか。では、実費支給に切り替えるケースのメリットを2つ見ていきましょう。

2-1.支出を抑えられる可能性がある

交通費を実費支給に切り替えると、企業側としては支出を抑えられる可能性があります。

これまで通勤手当として定期代を支給していた場合、実費支給になると出社日数によって交通費が変動します。当然ですが、出社日数が少なくなれば支出が減ることになります。ただし、出社日数によっては、定期代の方が毎回実費で支払うよりも安くなる場合があります。

例えば、ある従業員の往復の運賃は1,000円で、通勤手当として、定期券分が毎月15,000円かかっていたとします。在宅勤務に切り替わり、交通費を全額支給する場合、5日出社する場合は5,000円を支給するため、今まで支払っていた金額よりも安くなります。しかし、もし月の出社が16日以上になってしまった場合、交通費は16,000円となり、もともとの通勤手当よりも金額が高くなってしまいます。

在宅勤務の導入などで通勤手当を交通費に切り替えて実費支払いにする場合、勤務日数によって支出額が変わるため、考慮したうえで切り替えましょう。

3.在宅勤務で交通費を支給をする場合のメリット

一方、在宅勤務になってもこれまで通り通勤手当や交通費を支給する企業もあります。交通費の実費支給にもメリットはありますが、これまで通りに支給することにもメリットがあります。

では、交通費の支給方法を変更しないことのメリットをみていきましょう。

3-1.就業規則を変更する必要がない

まず挙げられるメリットは、就業規則を変更する必要がない点です。

在宅勤務にする際に交通費の減額を決める場合、過半数の労働者から支持された労働者代表の意見を聴いたうえで、就業規則を変更し、変更を届け出なければなりません。

また、交通費の規定を変更した場合の就業規則を変更していなかったことによる、トラブルを防ぐことにもなります。

これまで通りに交通費を支給するのであればこうした手間をかけずにすみます。

3-2.新たなやり方を導入しなくて済む

これまで通りに交通費を支給するのであれば、新たなシステムややり方の導入をせずにすみます。

交通費の支給でもっとも大きな影響を受けるのは経理担当者でしょう。経理担当者は、そもそも経費精算などで多くの業務を抱えていますが、在宅勤務による交通費の支給をおこなうとなれば、さらに多くの交通費の経費処理をしなければならなくなり、業務が膨大になる可能性があります。

一方、交通費の支給を受ける従業員側も、これまで通りの手法を続けるのであれば経費精算の申請などを改めておこなう必要がないというメリットがあります。

3-3.従業員の不満が溜まりにくい

通勤手当や交通費の支給をこれまで通りに続けていけば、従業員の不満が溜まりにくいというのもメリットです。

もともとの通勤手当を交通費として実費支給すると、かなりの日数出社しない限りは交通費が減ることになります。従業員からすると、これまでよりも支給額が減るので、不満を抱えることも考えられるでしょう。

交通費の実費支給によって従業員の受け取る額が減る場合などは、変更をしないことによって、不満が生まれるのを防止することもできるでしょう。

4.交通費の取り扱いにおける法的な問題とは

在宅勤務の交通の取り扱いでは、法的な問題が関係してくることもあります。企業にとってはトラブルの原因ともなりえるので、どんな問題があるのか見ていきましょう。

4-1.就業規則の変更には社員の同意か合理性が必要

まず、交通費の支給に関して就業規則の変更をする場合は、個別の労働者との合意や合理性がなければなりません。

在宅勤務を導入したからといって、経営者の判断で勝手に就業規則を変更したり、就業規則にない支給方法を採用したりすることはトラブルに繋がる可能性があります。

もし就業規則を変更しなければならないのであれば、労働者代表や労働組合と協議して合意を得なければなりません。合意を意見書として書面にしておき、就業規則の変更について労働基準監督署長へ届け出ることも必要です。

また、変更をした際は、従業員に周知をするまでおこない、未然にトラブルを防ぎましょう。

4-2.交通費と社会保険料の関係に注意する

交通費の支給方法を変更し、従業員の毎月の報酬額に大きな変動が生じる場合には、交通費と社会保険料の関係に注意しなければなりません。

もし、交通費の支給方法を変えたために、在宅勤務の間報酬の金額が大きく減った場合、直近3ヶ月の平均賃金をもとに算出された標準報酬月額が変わることによって社会保険料の金額が変わることがあります。標準報酬月額の等級に2等級以上の変更がある場合、標準報酬月額の変更手続きをおこなわなければなりません。

従業員の数が多くなると、この社会保険料の調整に割くべき時間も多くなるでしょう。当然人事担当者の負担も大幅に増えることが予想されます。

交通費の支給方法を変更する場合には、人事担当者の運用付加についてもよく考慮しなければなりません。

5.在宅勤務における交通費は自社に適した取扱いを!

在宅勤務を導入することで、交通費の取扱いを変更しなければならない場合、どのような支給方法がよいかは企業によって異なります。

在宅勤務に変えることによって、交通費を実費精算にすると、支給額を抑えることができて一見会社にとって良いことに見えますが、従業員の合意のもと規定を変更したり、必要に応じて標準報酬月額の変更手続きをしなくてはいけなかったりと、業務量や手間を増やすケースもあります。

会社の業績や各担当者の負担の大きさ、従業員の同意など、さまざまな要素を考慮しながら交通費の取扱いを決めるようにしましょう。

涌井好文

【監修者】涌井好文(社会保険労務士)

涌井社会保険労務士事務所代表。就職氷河期に大学を卒業し、非正規を経験したことで、労働者を取り巻く雇用環境に興味を持ち、社会保険労務士の資格を取得。 その後、平成26年に社会保険労務士として開業登録し、現在は従来の社会保険労務士の業務だけでなく、インターネット上でも活発に活動を行っている。

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