人事評価の目標設定は、従業員の給与やポジションの決定基準となる重要なものです。
人事評価に活用するため、達成度合いが客観的に判断できる目標にしなければなりません。
しかし、具体的にどのような目標が人事評価に適しているか悩む方もいるでしょう。
今回は人事評価に適した目標例を職種ごとに詳しく紹介します。
1. 人事評価における目標設定の重要性
人事評価において目標設定は重要視されています。
なぜなら、個人で設定した目標の達成度合いやプロセスを評価材料にするためです。
目標達成の有無は客観的な判断をしやすく、誰もが評価内容に納得できる根拠になり得ます。
また、従業員の業務姿勢や能力を人事評価し、適切なポジションに配置する狙いもあります。
目標への取り組み姿勢や達成度が人事評価に影響することを受け、目標達成のために精力的に業務を行う従業員が増えるでしょう。
個々がモチベーションを高く持って業務に取り組めば、個人はもちろん企業全体の成長にもつながります。
2. 人事評価の目標例を職種ごとに紹介
人事評価の目標設定は、客観的に達成度合いがわかるよう、定量目標を立てるのがおすすめです。
しかし、職種によっては定量で表すのが難しい場合もあります。
もし定性的な目標を立てる場合は、客観的な判断ができる内容にしてください。
主観的なものだと目標の達成度合いがわからず、人事評価が難しくなります。
ここからは、人事評価の目標設定の具体例を職種ごとに紹介します。
目標設定時の参考にしてください。
2-1. 営業職の目標例
営業職は、定量目標を立てやすい職種です。
「来季の売上を3000万円にする」や「サービスの継続率を10%アップする」「新規顧客を40件に増やす」などの目標が立てられます。
実際に目標設定を行う際には、いつまでに何を行って達成するのかも具体的に決めておきましょう。
具体例は以下の通りです。
- 半年後までに新規顧客を30件獲得し、売上を1000万円伸ばす
- 後輩に営業訪問のマナーとトーク方法を毎週木曜日にレクチャーし、次月の後輩の顧客獲得件数を20件増やす
- 来月末までに広告の内容と運用費の見直しを行い、今期末までに広告効果を30%アップする
2-2. 事務職の目標例
事務職は業務ミスの減少やコスト削減などを取り上げると、定量目標を立てられます。
「〇〇の資格を取得する」「手書きのマニュアルをデジタル化する」といった目標でもよいでしょう。
事務職の目標例は、以下の通りです。
- メール送信前にダブルチェックを行い、誤字や送り間違いをゼロにする
- 1年後までにエクセルVBAの使い方を覚え、集計業務用のファイルを作成し、残業時間を毎月10時間減らす
- 資料作成用のテンプレートを作り、3カ月後までに月間資料作成件数を50件にする
2-3. マーケティング職の目標例
マーケティング職では、SNSのフォロワー数やオウンドメディアへの自然流入数、主要商品のCV率などを利用すると、定量目標を立てやすいです。
経営目標や部門の目標と照らし合わせながら、関連する目標を立てるのが望ましいでしょう。
目標例は以下の通りです。
- 競合他社のオウンドメディアを分析し、自社メディアの自然流入数を前期の2倍にする
- 広告出稿用ページの修正とテストを行い、今期末までにCV率を15%上げる
- 半年後までにSNSアカウントのコンセプトを練り直し、フォロワー数を2000人増やす
2-4. サービス系職の目標例
サービス系職は、アパレルや飲食の接客や宣伝、カスタマーサポートなど、仕事の幅が広いです。
目標設定も仕事内容に適したものにする必要があります。
接客なら売上や客単価、カスタマーサポートならアンケートを活用した評価数、クレーム数などを用いた目標設定が可能です。
事務作業を主としたバックオフィス系の仕事の場合は、ミスの発生件数やコスト、作業時間を目安にするのがおすすめです。
サービス業の目標例は、以下の通りです。
- 接客時にセット売りを提案し、半年後までに売上を1.5倍にする
- 料理の調理手順や調味料等の配置を見直して、調理時間を短縮し、3カ月後までに回転率を1.5倍にする
- カスタマーサポートに関する研修を受講し、半年後までにクレーム数をゼロにする
2-4. 医療職の目標例
医療職は、所属部署によって目標の立て方が異なります。
残業時間の減少や作業時間の短縮、ミスの発生回数減少といった定量目標を立てられる部署もあれば、そうでない部署もあるでしょう。
定性的な目標を立てる場合は「夜勤業務を習得して1人でシフトに入れるようになる」など、客観的に達成度合いを判断できるものにしてください。
医療職の目標例は、以下の通りです。
- 新人看護師のサポートを毎日30分行い、半年後には1人で業務を行えるようにする
- 日勤の業務内容やフローを洗い出し、半年後までに残業時間を10時間削減する
- 担当患者と毎日5分以上会話して信頼関係を深め、半年後までにクレーム数を50%減らす
2-5. 技術職の目標例
技術職は、作業の正確性や業務の効率性が重視される仕事です。
バグの発生件数や作業時間、生産量などで定量的な目標設定ができます。
顧客満足度の向上を目標にするのも一つの手です。
技術職の目標例は、以下の通りです。
- 動作テストの回数を7回から10回に変更し、バグの発生件数を月5件以下にする
- 業務フローを洗い出して作業の効率化を図り、設計に費やす時間を1日1時間増やす
- 来月末までに生産管理ツールを導入し、今期末までに生産量を20%アップさせる
2-6. 理部門・バックオフィス職の目標例
管理部門・バックオフィス職の仕事は、総務や経理、採用、人事・労務などさまざまです。
コスト削減やミスの発生件数 減少、残業時間の削減を定量目標にできます。
離職率の削減や有給休暇取得率の向上など、部門の課題に適した定量目標を設定するのもおすすめです。
管理部門・バックオフィス職の目標例は、以下の通りです。
- SEOによる自社ホームページへの集客に力を入れて、年度末までに採用コストを20%減らす
- 経費精算の入力後チェックリストを作成し、毎月の入力ミスをゼロにする
- 来月末までに会社周辺にある接待用の店舗を地図にまとめ、急な会食対応も20分以内にこなす
3. 人事評価における目標設定の悪い例
人事評価の目標設定の悪い例を紹介します。
3-1. 内容が具体的でない
「売上を伸ばす」「残業時間を削減する」といった抽象的な目標は、達成の基準が明確でないため、客観的に達成度合いが判断できません。
また、目標達成のための具体的な行動が定められていないと、目標達成率が著しく下がる傾向があります。
目標達成のために何をするのか、数値はどのくらいかなど、内容を具体的にした目標を立てましょう。
3-2. 達成が難しい
実的に達成が難しい目標は避けてください。
年商1億円の企業が「来年は年商100億円を達成する」といった目標を立てても、高確率で達成できません。
無謀な目標は早い段階で無理だと感じやすく、モチベーションが下がる傾向にあります。
努力すれば達成できる程度の目標を設定しましょう。
3-3. 期限が設定されていない
例えば「ノー残業デーの取り組みを強化し、毎月の残業時間を10時間減らす」といった目標は一見具体的に見えますが、期限が設定されていません。
期限がないと取り組みを後回しにする可能性が上がるため、必ず期限を定めた目標を設定してください。
4. 職種別の例を参考に人事評価に適した目標を
人事評価の目標は、具体的な行動や数値を入れた内容にしましょう。
数値を含むのが難しい場合は、客観的に達成度合いがわかる内容にするのがおすすめです。
人事評価の目標は職種ごとにも変わってきます。
今回紹介した7つの職種ごとの例を参考に適切な目標設定を行いましょう。
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