【グッドキャリア企業アワード2022レポート】従業員の「自律的なキャリア形成」に取り組む企業を厚生労働省が表彰 |HR NOTE

【グッドキャリア企業アワード2022レポート】従業員の「自律的なキャリア形成」に取り組む企業を厚生労働省が表彰 |HR NOTE

【グッドキャリア企業アワード2022レポート】従業員の「自律的なキャリア形成」に取り組む企業を厚生労働省が表彰

  • 組織
  • キャリア開発

※本記事は、主催企業や登壇者/登壇企業に内容を確認のうえ、掲載しております。

2023年1月24日、厚生労働省が「グッドキャリア企業アワード2022」を開催しました。

グッドキャリア企業アワードとは、従業員の自律的なキャリア形成に取り組む企業を表彰する、厚生労働省主催のアワードです。表彰やシンポジウムを通して、受賞企業の理念や取組内容を紹介し、キャリア形成支援の重要性を社会に広め、定着を図ることを目的に実施されています。

今回のグッドキャリア企業アワード2022では、全国89社の応募の中から、「大賞(厚生労働大臣表彰)」に5社、「イノベーション賞(厚生労働省人材開発統括官表彰)」に11社が選定されています。

本記事では、受賞企業の具体的な取組事例や審査総評、シンポジウム当日の基調講演の内容などについて、イベントレポートにまとめてお届けします。

1. 「グッドキャリア企業アワード2022」シンポジウム開会

まずはじめに、グッドキャリア企業アワード2022シンポジウム開催の挨拶として、グッドキャリア企業アワードの開催趣旨について、厚生労働省厚生労働審議官の小林氏からお話をいただきました。

小林 洋司 氏|厚生労働省 厚生労働審議官

まず、参加企業の皆さまが、従業員のキャリア形成に積極的に取り組み、他の企業の模範となる成果を上げたことに深く敬意を示します。

我が国は、デジタル化や脱炭素化など大きな変革の波の中、人口減少に伴う労働人口減少といった課題に直面しています。こうした中で、従業員の自律的な成長を促すために、人への投資を拡大していくことが必要不可欠です。

今、一人ひとりが自律的、そして主体的に能力発揮できる環境の整備が求められています。従業員の職業能力の開発・向上は、企業が生産性を上げ、変化する経済環境に対応し得るためにも重要なテーマです。

今回のグッドキャリア企業アワード2022では、テレワークや時差出勤などの新しい働き方が進む中でも、積極的に従業員とコミュニケーションを取る機会を設け、従業員がキャリアについて考えることができるよう支援している取組が多数見られました。受賞企業の取組を参考に、各企業がより一層、従業員のスキルアップやキャリア形成を支援し、全員参加型の社会を推進していきましょう。

本シンポジウムに参加された皆さまは、キャリア支援や学び直しなどの重要性について理解を深めていただき、また受賞企業の皆さまは、今後のさらなる取組と成果を期待しています。

2. 表彰|グッドキャリア企業アワード2022受賞企業16社とは

次に、グッドキャリア企業アワード2022の受賞企業16社(大賞5社、イノベーション賞11社)が表彰されました。受賞企業は、次に記載の通りです。

2-1. 受賞企業一覧(※五十音順、敬称略で表記)

大賞(厚生労働大臣表彰)5社

  • 株式会社イデックスビジネスサービス
  • えびの電子工業株式会社
  • トラスコ中山株式会社
  • 株式会社ナンゴー
  • 雪印メグミルク株式会社

イノベーション賞(厚生労働省人材開発統括官表彰)11社

  • NTTコミュニケーションズ株式会社
  • コカ・コーラ ボトラーズジャパンビジネスサービス株式会社
  • 西部ガス絆結株式会社
  • 株式会社ダイムワカイ
  • トゥモローゲート株式会社
  • 社会福祉法人 平鹿悠真会
  • 富士通株式会社
  • 明治安田生命保険相互会社
  • ヤフー株式会社
  • 株式会社洛北義肢
  • LAPRAS株式会社
受賞企業の具体的な取組事例は、グッドキャリア企業アワード公式サイトよりご確認ください。
URL:https://www.mhlw.go.jp/career-award/past_winners.html

2-2. 審査総評「企業と従業員が一緒になって施策を講じることが重要」

受賞企業に表彰状授与がおこなわれた後、審査総評として今回のアワードの審査委員長を務めた法政大学大学院イノベーション・マネジメント研究科教授の藤村氏よりお話をいただきました。

藤村 博之 氏|法政大学大学院 イノベーション・マネジメント研究科教授

今回のグッドキャリア企業アワード2022では、前回実施した2020年から応募数が42社増え、合計で89社が応募してくださいました。今回も多彩な応募が集まり、私自身も発見や学びが非常に多くありました。

キャリア開発とは「売れる能力を維持し続けること」と言い換えることができます。これは単なる能力開発ではなく、とても難しい取組でしょう。なぜなら、5年、10年先の社会で、売れる能力がどのようなものか誰も分からないからです。

すなわち、数年先に何が求められるか予測できないからこそ、従業員を信じて、本人が望む能力を伸ばしていくことが重要となります。今回のアワードでも、従業員の声に耳を傾けながら、キャリア支援環境の整備に尽力した企業が受賞されています。

国が5年に一度実施している『就業構造基本調査』によると、「仕事上の能力開発のために、企業からその機会を与えられたか?または自分で自己啓発したか?」という質問に対して、「企業の能力開発に参加した、または自己啓発をおこなった」と回答した50代の方は、男女ともに3~4割にとどまっています。

高齢社会の日本において、国は「70歳まで働こう」と旗振りしているにも関わらず、50代が何一つ勉強も訓練もせずに働き続けられるわけがありません。活力ある日本を維持するためには、従業員の能力開発が必要不可欠です。

繰り返しになりますが、先々にどのような能力が必要とされるかは誰にも分かりません。だからこそ従業員を信じて、任せていくことで、結果的に企業の業績が高まると考えられます。

従業員は、それぞれに生きる上での目的や家族があります。企業はそれを認めながらも、企業にとって価値ある人材育成をおこなわなくてはなりません。単に従業員任せにするのではない、企業も一緒になって真剣に考えながら施策を講じた企業が、今回のアワードでも受賞されています。

最後に、今回のような表彰に応募するために、その応募書類を作成することは大変だったのではないかと思います。しかし、このような応募書類を作る過程は、日々の取組を見直したり、気付いたりする機会にもなるでしょう。また、応募書類を作成した方の能力開発にも役立つはずです。

今回のアワードを「受賞して終わり」ではなく、これからもさらに良い取組を展開していただき、今後も従業員がイキイキと働ける企業づくりに邁進いただけたら嬉しいです。

3. 万協流キャリア形成支援の仕組み|基調講演

シンポジウムの基調講演では、2020年度の同アワードにて大賞を受賞した万協製薬株式会社の代表取締役社長である松浦氏より、同社で実践されているキャリア形成支援の仕組みに関するお話をいただきました。

松浦 信男 氏|万協製薬株式会社 代表取締役社長

弊社は、1946年に神戸で創業した会社です。スキンケア製品の外用薬に特化して開発製造・販売をおこなっています。

昨今の日本社会では、組織目標と個人目標がかけ離れてしまう課題があります。弊社は、社員成長が組織成長につながると確信し、社員の自律した成長を促す仕組みを作るエンパワー経営を実施しています。

弊社は過去に、阪神淡路大震災で多くの人材を解雇した経験があります。1から会社を立て直す過程で、社員のための「融通の効く仕組み」が必要となり、それが会社の制度として発展していきました。

また、社員エンパワーメント(「情報公開」と「権限移譲」)を徹底して、社員の働く現場単位での職場改善に取り組んできました。

キャリア支援の具体的な取組は以下の通りです。

業務のモジュール化やジョブローテーションは、社員の習熟度が明確になり、個人意識の向上につながっています。また、上司も各個人のフォローがしやすくなり、部門内外で協力し合える体制を作ることができました。

また、働き方やキャリア、課題を考える機会を創出することで、有給取得率なども上昇しています。

このように、社員エンパワーメントの徹底や、自己成長を促す支援によって個人能力と組織的能力が向上し、最終的に会社の業績向上につながっています。

私は組織において「山脈マネジメント」が大事だと考えています。山脈マネジメントとは、山の頂上を1メートルでも高くし続けるために、自らを高める努力をすることを意味します。

現在の日本の平均寿命は80歳、仕事寿命は60歳と言われますが、私は最終学習歴を更新し続けることで、平均仕事年齢を100歳まで高めていきたいと考えています。

「組織のトップが飛びぬけてしまうと、部下がついてこないのではないか?」と疑問をもつ方もいるかもしれません。しかし、私は、トップは空で輝く星になっていいと考えています。

山脈マネジメントを続けていれば、組織の中で必ずトップに近づきたいという社員が出てきます。そのような、トップの気持ちが分かる社員を教育すべきだと思います。

一方で、部下にあわせた経営をすると「バームクーヘン型」になってしまいます。バームクーヘンは同心円のため、各個人のリーダーシップは育ちません。みんなで仲良くする「バームクーヘン経営」ではなく、経営陣が理想を持ち続ける「山脈マネジメント」でなければ、社員は成長しないと考えています。

今、問題視されている日本組織の労働生産性の低さは、組織内エンゲージメント比率の低さが原因ではないでしょうか。働き方改革は労働時間減少ばかりが求められていますが、本当にそれで良いのでしょうか。

これからは「仕事あるべき論」ではなく、社員が「共感できる何か」を組織のリーダーは熱く発信すべきでしょう。

熱のないところに変化はありません。今こそ、組織内エンゲージメントに注力し、またファンマーケティングを意識しながら組織のファンを増やしていきましょう。

4. 受賞企業の具体的な取組事例パネルディスカッション

パネルディスカッションでは、法政大学キャリアデザイン学部教授の坂爪氏をコーディネーターに、大賞を受賞されたトラスコ中山株式会社の喜多氏、株式会社ナンゴーの南郷氏、イノベーション賞を受賞されたコカ・コーラ ボトラーズジャパンビジネスサービス株式会社の石井氏から、各企業における具体的な取組事例をご紹介いただきました。

4-1. 「施策」はあくまでも「手段」でしかない|トラスコ中山株式会社

喜多 智弥 氏|トラスコ中山株式会社 人事部長

トラスコ中山株式会社は、「がんばれ!!日本のモノづくり」をコーポレートメッセージとして掲げ、モノづくり現場で使用するプロツールの卸売や、自社ブランド商品「TRUSCO」の企画開発をする専門商社です。「人や社会のお役に立ててこそ事業であり、企業である」という「こころざし(パーパス)」を大切にし、人事施策も含めて常に社会の役に立っているかを意識しています。

弊社では、昨年度から人事制度改革を開始しました。その背景には、コロナ禍におけるビジネス環境や働く従業員の価値観の変化があります。従来の人事制度は「人事管理」が主軸で、昨今注目されている「戦略人事」の考え方に追い付いていない状況でした。そこで、新たに人事部を作り、人事制度改革をスタートさせました。

弊社の人事制度は、5つの本部を跨ぐジョブローテーション制度を取り入れていることが特徴の一つです。私自身も営業に始まり、カタログ作成や物流センターの責任者など、さまざまな部署を渡り歩いており、これは属人化を回避し、社員の仕事力・人間力を磨く狙いがあります。

また、この他にも、自らの意思で責任者に立候補する「ボスチャレンジ制度」やOJS(オープンジャッジシステム)と呼んでいる360度評価など、独自の人事制度が柱となっていました。

しかし、これらの制度だけでは「自らの意思でキャリアプランが構築しづらい」「適材適所の人事配置ができない」といった課題があったため、新たに次のような人事制度を取り入れていきました。

<新たに実施した人事制度改革>

  • タレントマネジメントシステム
  • エンゲージメントサーベイ
  • HRサポート課の新設
  • チャレンジ制度の増設
  • 希望のある社員が希望部署を申告
  • 1on1面談の強化
  • 人生の変化に応じたコース設定

    今回、取組を振り返る中で、改めて「人事施策に正解はない」と感じています。何よりも「従業員自らが考えて行動すること」「さまざまな制度が自分ごとになっていること」が大事です。

    そのため、人事部として意識していることは「手段」「目的」についてです。あくまでも施策は「手段」でしかありません。エンゲージメントサーベイやタレントマネジメントシステムを取り入れただけで満足しないように、従業員が自律的に成長できる環境づくりに意識的に取り組んでいます。

    会社は従業員に長く安心して働ける環境を提供する義務があります。意識的に定年まで頑張って働くのではなく、気が付けば定年まで働いている状態が理想です。

    最近は「キャリアプラン」が重要視されがちですが、全ての従業員が「キャリアプラン」を意識して働いているわけではありません。キャリアプランが分からない従業員がいて当然ですし、また、すぐに分からなくても問題ないと思います。

    むしろ、人事異動の中で偶発的に出会った業務に対して一生懸命に向き合うこと。その中で、キャリアの気付きを得ることもあります。無理にキャリアプランを見つけるのではなく、目の前の仕事に対して頑張れる環境を整えることで、従業員にとって自分のタイミングが来た時に機会提供できる企業でありたいと思います。

    長い人生で、人の価値観は変わります。どんな環境変化が起きたとしても、さまざまな人にとって働きがいのある職場にしていきたいと考えています。

    4-2. 「最終学習歴」を更新できるメンバーを応援|株式会社ナンゴー

    南郷 真 氏|株式会社ナンゴー 代表取締役

    弊社は京都の宇治の郊外にて、金属加工をしている15名規模の会社です。私は現在60歳ですが、実は40歳まで他業界にて働いていました。2018年にイノベーション賞をいただき、そして今回大賞を受賞しましたので、当時いただいたイノベーション賞から何が進化したのかについて、お話ししたいと思います。

    弊社が考えるグッドキャリアとは、簡単にいえば「人間力」を高めることです。技術面だけでなく、社会人としての考え方や道徳心など、総合的な人間力を高めていくことをグッドキャリアと結びつけています。

    2018年当時は「自己研鑽への全面サポート」と「社内コミュニケーション支援」を評価いただき、具体的には「スキルマップ(個人目標)の作成」や研修受講、サンクスカード制度などの施策を講じてきました。

    取組を始める以前の私は、自分が過去に在籍していた会社とナンゴーの人材の差に愕然とした時期もありましたが、この捉え方は誤りであったと後々になって反省しました。ナンゴーのメンバーは学ぶ意欲がないのではありませんでした。ただ、学ぶ機会がなかっただけだったのです。この経験から、「最終学歴」ではなく「最終学習歴」を更新できるビジネスパーソンを応援できる企業でありたいと考えています。

    もちろん、大企業のようにOJTできる人材を作る余裕はありません。しかし、だからこそ全員で共有し可視化する仕組みを積み上げる取組を続け、2021年3月には自律的向上ができる組織づくりを目指したプロジェクトグループ室を創設しました。

    ここで、具体的な取組例を一部ご紹介します。

    • プロジェクトグループ室主催の勉強会
      ランチタイム後に15分の勉強会を実施。「今さら聞けない名刺交換」「社内の教科書を用いて勉強会」といった題目で、従業員同士が学び合う。
    • 自社にあった研修等の情報収集、会社負担でセミナー受講、本の買取制度、自宅PC補助制度など
      従業員自身が読んで社内のメンバーにおススメしたい本を会社が買い取り、加えて紹介者には図書カードも進呈しており、本を紹介すればするほど、社員全員の知識も増え、図書カードも増える取組。従業員のボキャブラリーを増やす支援として実施している。また、在宅で使用するプライベートPC端末の購入費用も補助。家でも新しい技術に触れて欲しいと考えておこなっている。
    • ピンチをチャンスに!コロナ禍、その間を学びISO取得
      ISOを取得する際に、協力会社も交えて勉強会を実施。

    これらの取組の結果、各自が積極的に「企業として向上する」ことを意識するようになり、会社全体がメンバー全員のことを考えて行動できる風土になりました。私たちのような中小零細企業でも、ここまでできることを皆さんにお伝えしていくことで、1つのロールモデルになっていけたら嬉しいです。

    4-3. 「変革型リーダー」の育成のため社員個別のキャリア形成を支援|コカ・コーラ ボトラーズジャパンビジネスサービス株式会社

    石井 裕美子 氏|コカ・コーラ ボトラーズジャパンビジネスサービス株式会社 統合プログラムオーケストレーションサービス部 ケーバビリティ開発課 課長

    コカ・コーラ ボトラーズジャパンビジネスサービス株式会社にて、人財開発を担当している石井です。弊社は、コカ・コーラ ボトラーズジャパングループの100%子会社として2019年1月に設立しました。

    コカ・コーラ ボトラーズジャパングループでは、企業理念「Paint it RED! 未来を塗りかえろ。」のもと、変革を推進しています。このような背景の中で、メンバーシップ型からジョブ型へと人事制度を統一する過程において、社員に求められるものはこれまでのものから大きく変化しました。新しい組織に適応するために社員もスキルチェンジが求められており、変革型リーダーの育成が急務となったことがキャリア開発の取組のきっかけです。

    弊社では、ケーパビリティ開発戦略の主要施策として変革的なリーダーの育成を位置付け、成長戦略の基盤として組織能力の向上に向けた取組を実施しています。社員が自律的に成長し、組織の変革に向けて挑戦できる状態を目指しています。また、キャリア開発を通じて、社員のパフォーマンスを最大化することに注力しています。

    今回の施策の1番のポイントは、部門責任者、上司、キャリアコンサルタントが連携し、社員個別のキャリア形成支援をおこなったことです。

    部門責任者、上司、キャリアコンサルタントが各面談を通じて社員の経験や希望、スキルを確認し、多角的なフィードバックをおこない、部門横断的なレビュー会議をおこなうことで全世代を対象に組織戦略と一体となったキャリア形成支援を実施しています。面談で得た情報をもとに、上司だけでなく三位一体で社員の能力・意欲を反映した人財配置につなげていきました。

    具体的な取組としては、一般職選抜社員向けに「次世代リーダー育成プログラム」を実施しています。約10か月の間にリーダーシップ開発とキャリア開発の2つの研修と6つのキャリア面談を実施して、成長課題や強みをフィードバックしながら社員に気付きを促します。面談・研修では、一貫して組織変革を実現するためのリーダーシップケイパビリティーズに即したフィードバックをおこない、社員の行動変容を促していきました。

    同時に、部門横断でレビューをして、ポテンシャルが高い人財は組織全体で共有し、社員の特性にあわせたジョブアサインや育成プランの作成にもつなげていきました。部門横断でレビューすることで、社員は自分の専門領域を超えてスキルチェンジできるようになります。

    それ以外にも、社員にチャレンジングな仕事をしてもらうために「キャリアチャレンジプログラム(以下、キャリチャレ)」を新設しています。これは、現職に席を置いたまま、社員が希望した部署を経験できるOJTプログラムです。キャリチャレを通して、得意分野や本当にやりたい仕事がわからないと悩む社員のキャリア希望とマッチングを図り、適材適所の人財配置につなげることが可能となります。

    このようなキャリア開発の結果、2021年の「次世代リーダー育成プログラム」参加者のキャリア自律意識・行動のすべてのスコアが向上しました。具体的な効果としては、自分の得意分野や、やりたいことが分からないまま仕事に取り組んでいたために仕事への満足感が低かった社員が、面談を通じて自己理解が深まると共に、キャリアビジョンが明確になり、キャリア満足度が向上しました。また、プログラム終了後もキャリア実現に向けて継続的に能力開発に励んでいる様子が見られます。

    さらに組織の視点だと、社員の意識や行動変化に伴って挑戦する風土が芽生えたり、社員のリーダーシップ行動が増え、組織能力の向上につながったり、社員が主体的にプロセス改善に取り組むことで組織変革の達成につなげることができました。

    このように組織変革を実現するためのリーダーシップケイパビリティーズを定義し、それに即したリーダーシップ開発とキャリア開発プログラムを導入し、多角的かつ客観的フィードバックを通じて行動変容を促したことで、社員が自律的に成長・挑戦できる風土ができつつあります。

    弊社では経営者から社員に向けたメッセージとして「You are the Captain」という言葉が送られています。社員は自分の人生のキャプテンとなり、自律的に考え、行動し、キャリアの実現につなげることが出来るように、部門責任者・上司・キャリアコンサルタントが三位一体でキャリア支援をおこなっていきます。

    自律的な社員の育成を通じて、組織の持続的成長を実現したいと思います。

    5. グッドキャリア企業アワード2022|総括

    最後に、今回のアワードおよびシンポジウムの総括として、法政大学キャリアデザイン学部教授の坂爪氏よりお話をいただきました。

    坂爪 洋美 氏|法政大学キャリアデザイン学部教授

    本日は、企業成長に従業員の学び直しが必要不可欠であると繰り返しお伝えしてきました。学び直しは、企業が主導で実施するという方法もありますが、より効果的に行うためには、従業員に「あなたは何を学びたいのか」と問いながら、本人がより主体的・自律的に関わることが大切です。

    しかし、従業員の「自律」を促すことは難しく、どのように折り合いをつけるべきか、各企業が苦心しているのも事実です。「これしかない」といった一つの手法で進める必要はなく、上司と部下のコミュニケーションを深めたり、具体的なキャリアパスを示したりしながら、従業員が「この企業で働く意義」を感じられるよう促していくと良いでしょう。

    また、ミドルシニアが学びの場から離れている可能性が高い現実を受け止めながら、今後どのような機会提供をおこなうべきか、一方的に教えるのではなく「学び合う」ことはできないか、など多角的な視点で取組を進めていく必要があります。

    コロナ禍のテレワークは「隣の人を観察しながら学ぶ」ことを難しくしました。これからは、対面ではない職場において、どのように学びの機会を作り出していくかも課題の一つです。

    そして、最後に、人材育成やキャリア支援において「管理職のサポート」も非常に大事で欠かせないテーマです。「管理職が実施する面談の質を上げる」といったキャリア形成支援を担う管理職自身のサポートに注力しようとする動きは、特に今回の受賞企業に共通して見られた特徴だと感じています。

    キャリアは従業員の主体性に任せることが重要ですが、企業が目指すものや従業員に求めていることをあらかじめ伝えておくことが大前提として必要になります。従業員のキャリア自律が企業成長にどう影響するのかを明確に伝え、企業と社員が熱い思いを共有することがキャリア支援の基盤となるはずです。

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