「自社の見える化なしに組織成長なし」5段階の★が個人と組織にもたらすインパクトとは? | 人事部から企業成長を応援するメディアHR NOTE

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「自社の見える化なしに組織成長なし」5段階の★が個人と組織にもたらすインパクトとは?

  • 組織
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※本記事は、インタビューを実施したうえで記事化しております。

2017年4月末、株式会社リクルートマネジメントソリューションズ株式会社マクロミルが共同で、組織診断ツール『HR Glass』を開発しリリース。

今回は、プロダクト開発に携わっている両社の社員にインタビューをさせていただき、HR Glassが生まれた背景や特長、活用イメージなどをお伺いしました。

組織・人材マネジメントのプロとマーケティング・リサーチのプロが生み出したサービスとはどのようなものなのか。組織の仕組み化においてまず何をすべきか、そして人事データ活用に向けて必要なことは何か。組織・データマネジメントにおいて参考となる内容がまとまっています。

深見氏

深見 和樹(フカミ カズキ)| 株式会社マクロミル ビジネス・ディベロップメント本部 事業開発室

2013年4月に新卒でマクロミルへ入社。入社後は営業部へ配属となり、放送・OTT・玩具・ゲーム・ドローン・民泊など様々な業界のマーケティング課題解決に携わる。その後は、事業開発室にて複数の新規事業の企画・立ち上げ・アライアンス等を担当。
藤野さん

藤野 里衣(フジノ リエ)| 株式会社リクルートマネジメントソリューションズ コンサルティング部 HRDグループ マネジャー

ITコンサルティング会社を経て、リクルートマネジメントソリューションズに入社。2015年より現職。大手企業を中心に、組織開発領域のコンサルティングに従事。化粧品メーカーにおける組織風土改革支援、金融機関のマネジメント変革、広告代理店の次世代リーダー育成支援などの実績を持つ。最近は、新サービス開発にも携わる。

【豪華ゲスト多数登壇!】変化に負けない「強い組織」を育むためにHRが果たすべき役割を考える大型カンファレンス『HR NOTE CONFERENCE 2024』

「人的資本経営」「ウェルビーイング」「DEI」といったトレンドワードが、HR領域だけでなく社会全体に拡がり始めた昨今。自社組織に漠然と"停滞感"を感じ、うちは取り残されていないだろうか?」「何かやらないといけないのでは・・・といった不安や悩みを抱える人事・経営者の皆様も多いのではないでしょうか。

本カンファレンスでは、HR領域の有識者の皆様に、様々な組織課題を解決するためのアプローチ方法について解説いただきます。強い組織を育む企業が実践している事例には、組織強化に必要な考え方や人事が果たすべき役割について学べるポイントが多くあります。ぜひ有識者の皆様と一緒に、組織を強化する「共通原理」について考えてみていただければと思います。

【背景】「組織問題が顕在化する拡大フェーズ」では、自社の現状を把握しにくい

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 HR Glassは1,000名未満の組織を対象に開発

―HR Glassが立ち上がった背景をお伺いさせてください。

深見氏:マクロミルの事業開発室では、データを活用した新サービスをいくつか検討してきました。人材、医療、不動産など、データを有効に活用できていない分野がまだまだ多く存在しており、このあたりに目を付けました。
なかでも人材領域においては、すでに従業員満足度調査などのサービスを提供していたため、まずはこれを起点に新しいサービスをつくっていこうと考えました。
ただ、人材領域にフォーカスをしたときに、より専門的なノウハウを持っている企業様の協力が必要だと思い、リクルートマネジメントソリューションズさんと一緒に取り組みはじめたという経緯です。

藤野氏:ちょうど我々も、もっと多くの企業様に対して何か新しいサービスを提供できないかと考えていたタイミングでした。
今回、HR Glassの対象としては、「企業の創業から数年経ち、これからさらに成長していく」という、従業員数1,000名未満の拡大フェーズにある企業様にサービスを提供していこうと考えています。

―なぜ、1,000名未満の組織を対象としているのでしょうか?

藤野氏:社員数が少なくても成長してきた時代というのは、個人の力でできる属人的な部分が大きく働きます。
そこから徐々に組織が多くなると、一人ひとりの顔が見えなくなってくるため、仕組み化が必要になってくるフェーズに入ります。上手く仕組み化して軌道に乗れば、組織運営も安定してきますが、ちょうど1,000名未満での拡大フェーズでは、人が増えだして混乱をきたしやすいと考えています。

組織改善、仕組み化のためにまず求められるものは「自社の見える化」

―仕組み化に関して、各社に求められるものは何でしょうか?

藤野氏:基本的には会社のカルチャーに合わせて仕組みづくりをおこなっていくため、一律に「こうしたらうまくいく」という単純なものではありません。
だからこそ、まずは今の組織の現状や個人の現状を捉えて、自社を可視化することが重要です。そこから、自社の成長に合った仕組みをつくっていく。このプロセスが必要になっていきます。

深見氏:最近では、HRTechという領域が注目されており、タレントマネジメントシステムをはじめさまざまなサービスが出てきています。
そういったサービスを活用することで、より多くの従業員データを分析でき、組織マネジメントに貢献できるようになると思います。
そのような状態を目指すためにまずは何をすべきか。ファーストステップとしては、組織調査、従業員満足度調査を通して自社の現状を知ることが重要だと考えています。

HR Glassは、この「自社の現状を知るための調査」にフォーカスしたサービスとなっています。

藤野氏:事業が拡大するタイミングというのは、売上拡大や収益確保といった点のみが重視されがちですが、そういう時期だからこそ、個人や組織の成長などにもしっかりと目を向けて欲しいと考えています。

―日本の中小企業を見たときに、従業員に関する調査を実施している企業は、どのくらいあるものでしょうか?

藤野氏:リクルートマネジメントソリューションズの調査では、組織診断を「実施している」「実施計画がある」という企業が50%を超えている状況です。一方で、十分に活用しきれていないという課題感をお持ちの企業も少なくありません。
マクロミルさんのような調査サービスを活用して実施しているところは10%から15%ぐらいです。総じて中小企業の3割程度が、しっかりと意図を持って実施していると見ていただければいいかなと思います。

【特長】5段階の★の数で「個人と組織の成長度」の状態がわかる

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HR Glassは個人と組織の成長にフォーカスして「ひずみ」の解消を目指す

―HR Glassの特長はどのようなものでしょうか?

藤野氏:先程お伝えさせていただいたように、HR Glassは事業が拡大するフェーズに着目しています。「個人と組織の目に見えない部分」を定量的に明らかにするためのサーベイです。
特長として、「これからの企業成長」に軸足を置き、個人と組織が成長するために、現状把握、課題抽出、今後の打ち手にフォーカスをしています。
目指している世界観としては、個人と組織、両者が相互に高め合う環境をつくることです。そのような環境をつくるために貢献できるツールの1つになりたいですね。

―個人や組織の成長を見える化する上で、どのような部分に注目されているのでしょうか。

藤野氏:個人と組織の成長度の捉え方は、当然、企業様によって違います。
HR Glassでは、個人に関してはまず、「本人が成長実感を持って働いているか」に注目し、自身の成長をどう捉えているかについて質問していきます。

同じ状況でも個々の特性によって捉え方や感じ方が違いますが、そういった個人の特性を把握・分類できるような仕組みを取り入れつつ、個々の成長実感度を測定・把握していきます。

組織の測定においては、まず組織の成長度というものを「持続的に事業が成長しているかどうか」だと定義しています。
「持続的に成長する企業の研究」に弊社では取組んでおり、そういったノウハウを組み合わせていきます。持続的な成長を実現するための組織の状態はどうあるべきか、現場とミドルの関わり方、トップのリーダーシップのあり方といった内容を測定領域におき、組織の成長度として捉えています。
また、我々は「ひずみ」と言っているのですが、まずはお客様の困っていることや、事業の拡大フェーズで出て来る問題があって、その中でどういったところが把握できれば解決につながるのか、そういったことを考えながらアンケートの設問項目を開発しています。

★で把握。スピードと手軽さにこだわったサービス

―アンケートからアウトプットされたものをHR Glassではどのように可視化するのでしょうか?

深見氏:わかりやすいのは、指標を★で表す点です。
HR Glassでは個人の成長度と組織の成長度を5段階の★で表すようにしています。★5だと成長度が非常に高いという状態です。

藤野氏:そのほかに、簡単な診断に対するコメントもあります。個人や組織がどのような状態か、データをもとに自動的にコメントが出るようにしています。

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HR Glassレポートイメージ

深見氏:HR Glassのレポートでは、基本的にアウトプットされる項目が42個あります。さらに、項目が必要な場合には追加のサポートをさせていただいています。
たとえばダイバーシティを推進されている企業様であれば、ダイバーシティに特化した項目を追加仕様として足しています。
基本のアウトプット42項目を中心としたスコアをどんどん蓄積していくことで、他社平均や部署平均、全社平均がわかるため、具体的にどの部分を改善していくべきかを把握できます。

―HR Glassを導入してから、どのくらいのリードタイムでレポートが出て来るのでしょうか?

深見氏:ご発注から1週間程度でご利用いただけます。また、他社が提供している大規模なサーベイでは、アンケートを回収してからレポートの出力までに2週間~1ヶ月ほどかかることもありますが、HR Glassは回収後5日間ほどでアウトプットのご納品が可能です。
アンケートの回収期間は企業様によりますが、最短でも1カ月ほどあれば準備からレポートのご納品までが可能かと思います。まずはとにかく現状を把握いただくことが重要と考えているので、スピードと手軽さにはこだわっています。

【活用】「人事データは閉鎖的」だから、客観的なものさしがない

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個と組織の★のバランスでわかる自社の傾向とは?

―★の状況によって、組織の状態はどのように変わるのでしょう?

藤野氏:たとえば「個人が★5」で「組織が★1」という結果であれば、いわゆる“個人商店”になっているかと思います。おそらく一人ひとりは成長しているのですが、組織として形を成せていない状況です。
ひょっとすると、組織の変化が乏しい、現場のメンバーのポジションが上がりにくいという状態になっているかもしれません。個人が充分に成長しているのであればそこを軸に組織の成長をどう測っていくかというマネジメントが必要になります。
一方、「組織が★5」で「個人が★1」となりますと、組織主導、トップダウンで進んでいく会社が当てはまりやすいかと思います。決められたことはこなされているため、組織として見たときに方向性はうまくいっているのですが、なぜか社員が辞めていく、なぜか疲弊している、そういう状況があると思います。
そういった状況に陥った場合は組織としての推進だけではなくて、個々のメンタリティも含めてケアをしていくマネジメントに切り替えていく必要がありま

―個人と組織の★のバランスによってさまざまな傾向が見えてくるのですね。

藤野氏:企業によって本当にいろいろです。リーダーシップへの信頼がない、組織の一体感がないという声も度々耳にします。
また、成長フェーズの組織においてよくあるのが、マネジメントの経験がまったくないまま、マネジメントをするポジションに就くということです。がむしゃらにプレイヤーとして頑張ってきた中で、急にメンバーが増えてきたため、経験がないにも関わらずマネジメントをしなければならないということがあります。
マネジメントが機能するかどうかによっても、組織の成長は大きく変わってきます。よって、マネジャーのマネジメントが効いているかどうかを見ることも重要です。

「客観的に自社を見る」ために部署、レイヤー、年次、業界平均など、多様な切り口で分析可能

―経営陣、マネジメント層、事業部単位、入社年数など、さまざまな切り口で分析することもできるのでしょうか。

藤野氏:多くの切り口で見ることができます。全体報告書を用意する他に、経営陣、事業部長、マネジメント層、ミドルメンバーなど階層の違いでも全部抽出できるようになっていますし、新卒・中途、入社年数や性別なども可能です。
たとえば、トップ層は「好きなことができるいい会社だ」と言うけれど、実は後から入ってきた社員からすると、「すごく窮屈で自由にやっているのはトップ層だけ」など、そのようなギャップが明らかになります。

深見氏:たとえば、アパレル業の企業様であれば、ブランドごとにどのような状態になっているかを確認することもできます。
あとは先ほども触れましたが、業界平均との比較も可能です。ここがHR Glassのポイントだと思うのですが、他社平均に関するデータは世の中にほとんど出ていません。
我々が普段おこなっているリサーチでは、他社平均が重要な指標になります。たとえば、コカコーラの調査をするときは競合であるペプシコーラのことも調べるなど、マーケット全体の中で自社がどういうポジションかを把握した上でマーケティング戦略を検討していきます。
ただ、HR領域では自社のみの内向きなデータしかなく、人事の方の経験則と勘をメインに策を練っていくということが、現状として多いのではないかと思っています。
そういう意味で、「他社平均という視点が得られることはおもしろい」という声を多くいただいています。

藤野氏:人事データというのはあまり外部に出ないデータです。HR Glassによって、たとえば従業員規模や同業界内などで見たときに、業績が好調な会社とそうではない会社では、どうスコアが違うのかといった比較もゆくゆくはできると思います。
今、従業員満足度の領域に関しては、業界的にデファクトスタンダードが明確にないというところがあると感じています。今後多くのデータを集めていくことによって、日本企業における、従業員満足度のものさしのようなものをつくっていきたいですね。
現場のノウハウは結構あるので、企業様の状態によってさまざまな打ち手を提供することができます。今後は、それをデジタルに落とし込み、最適な手法をレコメンドして自動的に提供していくという構想もありますが、まだまだこれから開発を考えていくところです。

【これから】「個と組織を生かす」ために人事領域の指標をつくる

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―HR Glassを開発する上で、意識したことや苦労したことはありますか?

藤野氏:意識したところについては「できるだけシンプルに」です。今回はそんなに多くの人数に対する調査ではないというところと、成長にフォーカスを当てたかったので、どのように設問項目をつくり、アウトプットイメージを開発するかにもこだわりました。
調査において、網羅的にすべてきれいにデータを取ろうとすると、膨大なボリュームになってしまいます。そこをシャープに、かつ取りたいデータが取れるように、42項目にコンパクトにまとめています。
できるだけシンプルに、それが5段階の★でわかりやすく、そして現状の診断としていいのか悪いのかが判断できるコメントが出る、このあたりをかなり追求しました。

深見氏:意識した点は「拡張できるか」です。
今後、人事領域におけるデータ活用はもっと活発になってくると思います。もしかしたら5年後には従業員全員がウェアラブル時計をつけて健康データをとっているかもしれません。それによって健康保険料が変わってくるなど、そういう未来もあり得るのではないでしょうか。
そのような将来も見据えてHR Glassには拡張性を持たせて運営していこうと考えており、その辺りは社内でもかなり議論を深めています。

―人事もこれからはデータと向き合う業務が多くなってくるかもしれませんね。

深見氏:我々が普段やっているようなマーケティング・リサーチも同じなのですが、データを使って意思決定するという文化を醸成するのには時間がかかります
広告部門やマーケティング部門ではそのような文化が根付いていると思いますが、人事領域にはまだ定着していない印象があります。
理由としては、先程あった通り、閉鎖的な情報を扱っているということがあります。客観的な指標がないからこそ、自社の状態が良いのか悪いのかが、わかりにくくなっています。
また、データを持っていても、それをどう扱えばいいかがわからないということもあるかと思います。
HR Glassを活用して多くのデータを収集できれば、それを指標に判断ができますし、継続的にデータを取得することによって上がり下がりを客観的に見ることもできます。そして、状況に応じた対応策を打っていく中で、ゆくゆくはその打ち手の効果測定もできるようになります。
マーケティングと同じで、データドリブン(データを使ってPDCAをまわす)におこなっていくことになりますが、そこで成功体験が出て来ると、データを使って意思決定する文化がより広まってくるのではないかと思っています。
人事領域におけるデータ活用の浸透にはまだまだ時間はかかると思いますが、まず今回はファーストステップとして、人事領域における基準のようなものを提供していければと考えています。

―今後HR Glassを通してどのようなことを実現していきたいですか?

深見氏:データを活用して、人事領域における意思決定のサポートに貢献したいですね。
HR Glassを活用することで、成長する企業が増えれば日本もより盛り上がると思います。まずは日本の企業の標準的なものさしをつくって、それを基準に各企業の成長をサポートできればと考えています。

藤野氏:「個と組織を生かす」。個人と組織それぞれが、相互に高め合う関係を1社でも多くつくっていきたいと思っています。
HR Glassを通じて、データドリブンにおこなっていただきつつ、事業成長のベースとなる個の成長、組織の成長、そういったところをキーワードにマネジメントしていく企業が1社でも増えて、持続的に成長できる企業が増えていくことに貢献していきたいです。

【HR Glassに関するサービスページはこちら】

【豪華ゲスト多数登壇!】変化に負けない「強い組織」を育むためにHRが果たすべき役割を考える大型カンファレンス『HR NOTE CONFERENCE 2024』

「人的資本経営」「ウェルビーイング」「DEI」といったトレンドワードが、HR領域だけでなく社会全体に拡がり始めた昨今。自社組織に漠然と"停滞感"を感じ、うちは取り残されていないだろうか?」「何かやらないといけないのでは・・・といった不安や悩みを抱える人事・経営者の皆様も多いのではないでしょうか。

本カンファレンスでは、HR領域の有識者の皆様に、様々な組織課題を解決するためのアプローチ方法について解説いただきます。強い組織を育む企業が実践している事例には、組織強化に必要な考え方や人事が果たすべき役割について学べるポイントが多くあります。ぜひ有識者の皆様と一緒に、組織を強化する「共通原理」について考えてみていただければと思います。

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