4月1日、新元号「令和」が発表されました。新元号の歓迎ムードが続く中、官公庁は「平成から令和への変更対応」で修羅場を迎えようとしています。
日本マイクロソフトなどが主導して、システムの改修に乗り出していますが、一方で、その他民間企業、特に人事部にはどのような影響が出ると考えられるでしょうか?
1|官公庁が苦労する理由
まずは民間企業への影響を理解するために、なぜ官公庁が苦労しているのか知りましょう。
官公庁は圧倒的に和暦使用率が高いといえるでしょう。昨年、公文書などにおいては西暦を使うか否かなどの議論が起きていましたが、まだ西暦対応はなされていません。
つまり、「和暦使用率の高さ=和暦の変更対応の多さ」となるのです。
2|人事周りへの影響とは…?
それでは、民間企業が元号変化に伴い受ける影響はどのようなものがあるのでしょうか?結論としては「あまり影響はない」ということが言えるでしょう。
前章でも述べたように、和暦を使用するシーンが多い組織では対応を求められますが、民間企業で和暦を利用するシーンはまれです。そのため、あまり大きな影響を受けることは少ないでしょう。
しかし、だからと言って安心しきるのは危険です。民間企業でも和暦を使うケースがあります。
主に以下のような書類には和暦表記が使用されることが多いです。
会計範囲 | 人事給与範囲 |
税申告関連 | 税申告関連 |
手形、支払調書 | 社会保険関連 |
源泉管理 | 年末調整関連 |
償却資産申告 | 各種統計資料、証明書 |
各種明細、証明書 | FBデータ出力 |
FBデータ出力 |
このように、お役所周りの書類や対外的に発表する資料等には和暦を使うことが多いです。心当たりがある場合は、新元号変更に向け、速やかに対応をおこないましょう。
3|対策方法
では、ここから「新元号への対策方法」についてお伝えしていきます。
この対策方法ですが、実は企業が導入しているシステムの種類により対応が変わってきます。今回は「スクラッチ開発(自社開発)」と「PKG(パッケージシステム)」の2種類において、それぞれどのような対応が求められるのかをご説明します。
スクラッチ開発(自社開発)
スクラッチ開発とは、自社でシステムを構築し運用する形式です。
社内でカスタマイズをすることができるので、古株の企業の中には本方式を導入されているところも多いのではないでしょうか。
さて、この対策方法ですが、基本的には自社の中で変更を進めるしか方法がないため、コストと時間もかかってしまいます。これは、スクラッチ開発をおこなう企業の宿命かもしれません。
PKG(パッケージ)システム
パッケージという名の通り、他社が販売しているソフトウェアなどを用いた運用システムのことを指します。近年SaaSなどがトレンドになっている背景からこちらのシステムを導入する企業も増えているのではないでしょうか。
こちらは基本的にソフトウェア会社が一律で管理しているはずなので、自社で個別に
対策する必要のないケースが多いでしょう。もちろん、自社で何らかの対応をするようにソフトウェア会社から通知が来るケースもありますが、ややこしいシステム構築を要求されることはまずないため、スクラッチ開発と比べても、手間はほとんどかかりません。
しかし、「ソフトウェア会社がどのような対応をする予定なのか」のチェックは、逐一おこなうことをおすすめします。
4|年号変更後のリスク
前章ではスクラッチ開発を導入している企業は、年号変更における対応に時間とコストがかかるとお伝えしました。とはいっても「年号対応なんて滅多にあることじゃないし今回は自社エンジニアに対応してもらうか」と考える企業様も多いのではないでしょうか。
しかし、システム構築レベルの対応を求められる機会は何も年号の変更だけとは限りません。
例えば、今話題の働き方改革案や税制改革など、企業のオペレーションに影響を与えるような機会が多数あります。このような、突発的で予測できない機会は変革の時代である今だからこそ、加速度的に増えていくことが予想されます。
そのため、システムの運用方法もこのような問題を視野に入れた上で選びたいですね。
5|おわりに
今回の年号変更に限っていえば、西暦入力のケースが多い民間企業にとってはあまり影響が出ず、一安心といったところでしょうか。しかし、本記事でも述べたように不測の事態がいつ何時起こるとも限りません。
近年はPKGシステムも柔軟なカスタムができるように進歩してきています。年号に限らず法対応等にも柔軟に対応するために、PKG型のシステムの導入を検討されてみてはいかがでしょうか?