
昼食を取ったあとは、人間誰しも眠くなるもの。暇な職場では、ウトウトとしている社員を見かけることもあります。なかには、ずっと寝ている社員もいたり…。
経営者としては、寝ている時間については、給与を支払いたくないと思うのは当然のこと。「ノーワーク・ノーペイ」で、居眠りをした時間分給与を減らすことはできないのでしょうか?
企業が実施すべきことについて詳しく解説!
労働人口が減少が続く日本において、「人手不足」は多くの企業に共通する社会課題です。企業成長のためには、この社会課題に対して、各社ならではの対策を進める必要があります。そこで、本講演では、経済産業省で「デジタル人材育成プラットフォーム」の制度設計をおこなう金杉氏にご登壇いただき、企業が現状の社会課題を正しく把握し、正しく対策を立てるために必要となるスタンスについてお話いただきます。また、企業が実際に利用できる国の支援制度や施策についても併せてご紹介します。
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Q.睡眠を繰り返す社員に寝ている時間分減給したい…それは可能?
A.場合によっては可能
居眠りしている時間が極めて長く、それを繰り返すなどして業務に支障を与えるような場合には、「ノーワーク・ノーペイの原則」が適用され、欠勤控除を検討する余地はあると思われます。
ただし、欠勤控除の計算方法は、あらかじめ就業規則等に規定しておく必要があり、居眠りしていた時間をきちんと証明できる資料を作成しておくことが不可欠です。
次に、欠勤控除とは別に、懲戒処分を検討することができるかどうかですが、就業規則等に、懲戒事由として「居眠りをした場合」という規定がなくても、「従業員として適正を欠く行為に及んだ場合」などの一般条項に該当するとして処分することはありえます。
ただし、懲戒処分の前提として、処分以前に何度か注意を行い、本人の弁明を聞くという適正な手続を経ることが不可欠です。また、居眠りは過失行為ですから、戒告等の軽い処分にせざるを得ないでしょう。そうでなければ、懲戒権の濫用と言われかねません。
そのほか、人事考課のシステムがあれば、勤務中の居眠りはその人の評価を下げる理由になり得ます。その場合、賞与の額の決定、さらには昇進・昇級にあたり本人に不利益に作用することになるでしょう。
なお、「居眠り」を好んでする社員はいないはずで、長時間労働や職場環境の問題がある、本人に何らかの精神的・身体的疾患が生じているなど、何らかのサインである可能性があります。
使用者側もその背景を把握する努力をすべきで、これを怠ると、職場の安全配慮義務違反その他の不当労働行為を指摘されることになりかねません。ただ注意するだけではなく、折を見て本人や周囲からよく事情を聞くなどの対応が必要だと思います。